第17話 カーラの告白
「じゃあそのジャマルって奴は魔界に逃げないんだな? 」
目の前で胸を抑えている馬頭の男を見下ろしながら念を押すように確認した。
「……そうだ。今回の遠征には領地にいる精鋭部隊のほぼ全員を連れてきた。それらを失って戻れば他の四魔将に我らは滅ぼされる。退却などありえない」
馬頭の男は恐怖に染まった目でそう答える。
なかなかしぶとかったけど、やっと素直にしゃべるようになったな。
軍に味方と魔物の遺体を集めさせている中。
俺はアバドン族という種族の一頭の馬頭を蘇生させ、ダンジョンから魔物を呼び出したあの法螺貝のような音色と悪魔軍の大将の事を尋問した。
もちろん蘇生した馬頭は魂縛で縛っている。ルシオンより遥かに長く耐えたが、やっと心が折れ口を開いたのでホッとした。筋肉ダルマみたいな身体同様に、なかなかに精神力も強い種族だよな。
ああ、見ていて気分の良い物じゃないから、恋人たちはデビルキャッスルに戻した。代わりにフォースターを呼んで、二人で尋問しているところだ。
今の所、あの音色はシヴァという過去にいた、最強の魔神の角でできた角笛だということ。そして悪魔軍の大将が四魔将の一人であるジャマルという奴だということ。精鋭の兵を失い、魔王の勅命を果たせず逃げ帰れば他の魔将により滅ぼされるということがわかった。
隙を見せたらやられるってのは、魔界も地球も変わらないもんだな。まあ、逃げられないってのは好都合だ。これでじっくり料理ができる。
「そうか。それを聞いて安心した。シヴァの角笛だったか? それを持って帰られたらたまんないからな」
あれだけは破壊しなきゃならないからな。
「調子に乗るなよニンゲン。オレたちはただの先遣部隊だ。まだ後方には精鋭部隊がが2万近くいる。いくらドラゴンを操ろうとも、来るとわかっていれば対応もできる。魔界にもドラゴンを使役している種族がいるからな。今回は不意を突かれただけだ」
「へえ、魔界にもドラゴンがいるんだな。まあでも空飛ぶ馬が何万頭いようが同じだ。それに最前線で頑張るのはお前たちだからな。せいぜいその精鋭部隊を相手に俺たちの肉壁になってくれ」
「オ、オレだけではなく他の同胞も生き返らせ隷属させるつもりか!? 」
「オイオイ、さすがの俺もそんな無慈悲なことはしないさ。安心しろ。仲間を攻撃してるなんて意識を持たないようにしてやるから」
いくら俺でも魂縛で縛って無理やり仲間と戦わせたりなんてしない。さすがにそれは俺の良心が痛む。
「……どういうことだ? 」
「ん? ああ、色々教えてくれた礼に見せてやるか。えっと……アイツでいいか。『還魂』 」
するとその馬頭のいる地面が光り、やがて馬頭はゆっくりと起き上がった。
その目は虚ろで、目の前に仲間がいるというのに視線は全く別の方に向いていた。
「……バートン? オイ、オレだ。なぜこっちを見ない? オイ! 」
「バートンていうのかこの馬。ああ、話し掛けても無駄だ。コイツはゾンビだからな」
「ゾンビだと!? そ、蘇生だけではなくアンデット化の魔法まで使えるのか!? 」
「まあな。そういうわけでお前も頑張ってくれ『滅魔』 」
そう言ってゾンビとなった仲間を前にして、顔を青ざめさせている馬頭の胸の魔石に向け滅魔を放ちその命を絶った。
馬頭は俺の言葉に反応する間もなくその場に倒れ込んだ。
「さて、知りたいことは知ることができたし、後はゾンビの大量生産をするだけだな。フォースター。もう夕方だし味方の遺体の回収を終え次第、軍をここで一晩休ませろ。明日の早朝から進軍する」
俺は隣で一部始終を見ていたフォースターに軍を休ませるように命令した。
ゾンビを作らないといけないし、明日からほぼ休み無しの進軍だからな。今のうちに休ませておかないと。
本当はずっと竜に乗って飛び回っていた恋人たちを休ませたいだけなんだけどな。
最大戦力の竜に乗っていたからか、みんなまともに休んでなかったみたいなんだ。特にメレスとオリビアは魔帝とマルスが心配で移動中も仮眠をとっていない。さすがに彼女たちの顔に疲れが見えたから、今夜は俺も我慢して皆にゆっくり休んでもらわないと。
「ハッ! 警戒を厳にしつつ兵を休ませます」
俺の命令にフォースターはそう返事をしたあと、艦隊へと戻っていった。
そして一人死体の山の前で残された俺は、ゾンビ化した馬頭にその辺で寝ていろと命令してデビルキャッスルへと戻り皆と夕食を取るのだった。
それから夕食を食べ終わり少しした頃。フォースターより魔物の遺体の集積作業が完了したとの報告が入った。
報告を聞いた俺は恋人たちにお風呂に入って早めに休むように伝え、カーラを連れデビルキャッスルを後にした。
「悪いなカーラ。疲れているのに呼び出して」
魔物の死体が種族ごとに集積されている場所に着いた俺は、紫色のローブを纏ったカーラへと詫びた。
ちなみにこのローブは【冥】の古代ダンジョンで手に入れたもので、英雄級だがスキルを無効化する能力がある。物理攻撃には無力だが、その分彼女には最高等級の護りの指輪や祝福の指輪。そして魔力の腕輪に身代わりのアムレットを装備させている。渡した時はカーラは過保護すぎると呆れてたけどな。
「そんなに疲れてないわよ。だから気にしなくていいわ。これは私とコウにしかできない作業なんだから」
「助かるよ。さすがにこの数は一人じゃしんどいし、何よりひたすらゾンビを作る作業を何時間も一人でやってたら気が狂いそうだ」
報告ではガーゴイルが1万ちょっとで、アバドン族が1500。ケルベロスが10でベヒーモスが2。そしてトロールやオーガやオークにゴブリンが4万ほどらしい。
損傷の激しい死体や竜を見て逃げた下級魔物が多いとはいえ、それでも5万体はいる。いくら聖剣で魔力を増幅できてその魔力も無限にあるとはいえ、これだけの数のゾンビを作るには時間が掛かる。
「フフフ、私がいることで役に立てるなら嬉しいわ。魔力を補充してくれたら最後まで付き合えるから安心して」
カーラは少し恥ずかしそうにしながらローブの胸をはだけさせ、黒いブラを見せた。
今日は中にワンピースを着ていないのか……
「ま、まかせてくれ」
俺はカーラの程よい大きさの胸から視線をアバドン族の死体が並べられている場所に移し、聖剣を取り出して還魂のスキルを発動した。
そんな俺の姿にカーラは隣でクスリと笑ったあと、オークへと死者操術を発動した。
それから数時間。カーラの魔力が切れる度に俺は彼女のブラによって押し上げられた胸に手を当て、色っぽい吐息を吐く彼女に股間を膨らませながら魔力を補充していった。最後の方なんてカーラがこっちの方が効率がいいみたいと言って、頬を染めながらブラを外して直接乳房に手を当てさせられた。
そんな彼女の大胆な行動に俺は、ダンジョンでゾンビを作って回った時といい、もしかしてこれは蘇生したお礼っていう気持ちだけではないんじゃないかと思いだしていた。
「ふう……これで最後かな。かなり慣れてきたけど、それでも結構時間が掛かっちゃったな」
俺は最後のベヒーモスをゾンビ化し終え、聖剣をしまいながらそう口ずさんだ。
時計を見るともう深夜の1時を回っている。途中で熟練度が上がったのと、聖剣のおかげもあって一度に数百体をゾンビ化できるようにはなったがそれでも数が数だ。二人がかりでも結構な時間が掛かってしまった。
「お疲れ様コウ。ごめんなさいね早々にダウンしてしまって」
カーラが俺が後ろに用意したソファーに横になりながら、申し訳無さそうにしている。
カーラは何時間も魔法を連発したことで、疲れた切っていたから途中で休ませたんだ。俺も滅魔を覚えたての頃に、慣れるために連発した時はキツかったもんな。
でもこればかりは慣れるしかないんだよな。
「気にしなくていいよ。側にいてくれるだけで俺は助かったし」
周囲を見渡すと暗闇の中。5万を超える数のゾンビが俺とカーラがいるソファーを囲み、フラつきながら虚ろな目でこっちを見ている。
自分がやったとはいえ、こんなとこに一人でいたくない。カーラという絶世の美女が側で見ていてくれたから俺は耐えることができたんだ。
「フフッ、嬉しいことを言ってくれるわね。コウ、疲れたでしょ? こっちに来て少し休みましょう」
そう言ってカーラは身を起こし、隣をポンポンと叩いて俺に座るように促した。
「ああ、そうするよ」
俺はゾンビたちを配置するのは後でいいかと思い、カーラの隣へと腰掛けた。
「ねえコウ。少しは役に立てたかしら? 」
「もちろん。カーラがいてくれなかったら途中で投げ出してたよ」
「フフフ、良かった。魔道具を作るのもいいけど、こうしてコウを直接手伝えることの方が嬉しいわ」
「結界は本当に助かった。もちろん今回のゾンビ化作業もね。カーラには感謝の気持しかないよ」
カーラがいなかったらこうして領地を空けることなんかできなかった。俺が前線で戦えるのはカーラのおかげだ。
「生き返らせてもらったのだもの。これくらい当然よ。でも……少しは恩返しができたかしら? 」
「十分すぎるほどね。だからもう恩とか気にしなくていい。カーラには好きなことをして、自分の幸せのためだけに生きて欲しいんだ」
自分が作った魔導兵器で家族も国も滅び、そのうえ魂までダンジョンのボスとして利用された。そんな悲惨な前世だったんだ。今度こそ幸せな人生を歩んで欲しい。
「コウ……フフッ、もうとっくに好きなことをしてるわよ。コウはどんなにコストの掛かる研究でも好きなだけやらせてくれるし。それに私は幸せよ? コウは優しいしティナは怒ると怖いけど、普段はまるで母親みたいに面倒見が良いし。リズとシーナはしょっちゅう研究所に来て、新しい魔道具を作ってと色んなアイデアを持ってきてくれる。シーナのはちょっと私には作れそうもないけど……でもあの二人といると本当に楽しいのよ。もちろん彼女たちだけではなく、オリビアとメレスとリリアとだってお友達になれたし、ラウラも軍の装備のことで相談しに来るわ。王国にいた時よりも毎日がにぎやかで幸せよ」
「そうか。でも研究室からはもっと外に出て欲しいかな。せめて俺が毎朝毎夕と呼びに行かなくて済むようにね」
最近は下着姿で寝てないから、もう役得感がないんだよ。
「フフッ、それは難しいわね。だってコウが来てくれるのを楽しみにしてるんだから」
「え? 」
俺が呼びに来るのを楽しみにしてた? どういうことだ?
「本当にこの人は……いくらだらしない私でも男の人の前で無防備に寝たりしないわ。コウが起こしに来てくれるのを待ってたに決まってるでしょ。ハーレムを作ってる割には変なところで鈍感よね」
「待ってた? それって……もしかして俺のことを? 」
「そうよ。好きでもない男性の前であんな格好で寝たフリなんてするわけ無いでしょ? あんなにたくさん恋人がいるからすぐ手を出してくると思ってたのに、コウって変なところで紳士なのよね。これじゃあいつになっても恋人にしてくれないと思ったから正攻法に切り替えて飲みに誘ったのに、酔ったフリをしても部屋に私を送り届けておしまい。さすがに女として自身がなくなったわ。ねえコウ? 私ってそんなに魅力がないの? やっぱりエスティナやシーナみたいに胸が大きくないと駄目なのかしら? 」
「え? あ、いや……カーラはすごく綺麗だよ。背が高くてスタイルもいいし、濡れ烏のようにしっとりとした黒髮で日本人ぽい雰囲気だし、胸はお椀型で形もいいし」
カーラが俺を誘ってた? だらしなかった訳じゃなくわざとだった? ということは俺に気があるってことだよな?
「ならなぜ手を出さなかったの? 魔力の補充をしてもらう時も勇気を出して私の胸をその……それなのにコウはダンジョンをひと通り回ったら私を置いて一人で行ってしまうし……」
「いや……その……カーラは恩を感じてるみたいだからさ。なんというかそういったのに付け込むような感じがして……」
俺が迫ったら断りにくいだろうと思ってムラムラしても我慢していたのに、それが無駄なことだったなんて……
「はぁ……いくらコウに恩を感じていても、身体で払おうなんて思わないわ。そもそもそんなことできるほど私は経験豊富でもないわ。コウが好きだからに決まってるじゃない」
「そ、そうだったのか……ごめん。でもいつから俺のことを? 」
「いつからかしらね……蘇生してもらった時に幸せに生きて欲しいと言われた時からかもしれないわね。コウに攻撃兵器を作るなと言われた時も胸がドキドキしたのを覚えてる。あの時、私に二度と悲しい思いをして欲しくないって……悪魔が侵攻するとわかっても、頑なに私に作らせなかった。それがすごく嬉しかった」
「そ、そんな前からだったのか」
「フフフ、そうね。それと私が研究所にこもっていても面倒を見てくれるところや、床で寝ている私を優しく抱き上げてベッドで寝かせてくれたこと。あとはコウには恋人がたくさんいるから、私が研究に集中していても安心していられることね。初めて付き合った男性は会えないってうるさかったのよ。それでいて部屋が汚いくらいで私を振って……私だって掃除をしようと思えばできるのに、あの男は王宮でそのことをベラベラと話して……おかげで私は駄目女の烙印を押されて男が寄り付かなくなって……あの男のせいで私はずっと……」
「そ、そうか……まあ色んな男がいるからね。その男が特殊なんだよ」
俺はカーラの表情が徐々に険しくなり、身体から黒い瘴気のようなものが吹き出し始めたので彼女の肩に手を置いてなだめた。
初めて付き合った男の話になるといつも闇落ちするよな。
しかし俺を好きな理由の大半は自分の面倒を見てくれて、恋人になっても手間が掛からない相手だからとか……俺は家政夫かよ。
いや、きっと面倒見がいいというところは照れ隠しだろう。きっとそうに違いない。
「そうよね。たまたま初めて付き合った男性がハズレだったってだけよね。でも今度は大丈夫。私の部屋が汚くても掃除してくれるほど優しい男性だし。コウ……その……私を恋人にしてくれる? 」
「あ、ああ。俺で良ければ喜んで」
俺は少しきんちした表情で告白してきたカーラに即答した。
こんな美女に告白されて断れるわけがない。
大丈夫だ。俺なら全員を平等に愛せる。やれる。ヤってみせる!
「はぁぁぁ……よかった。断られたらどうしようかと思ったわ。私にはコウしかいないから、できればコウに告白して欲しかったのに……でも勇気を出して言ってよかった……本当によかったわ」
「その……ごめん。カーラの気持ちに気付かなくて……でも俺しかいないって言ってくれるのは嬉しいけど、俺より優しくてイケメンの男が現れる可能性もあったかもしれないぞ? 」
俺は力が抜けたように俺の胸に顔を埋めるカーラの肩を抱き、ちょっと意地悪かなと思いつつもそう問いかけた。
「優しくてイケメンてだけじゃ足りないわね。私は不死だから、私が死んでもいいと思う時まで生きていてくれる人じゃないと」
「な、なるほど。それはかなりハードルが高いな」
確かに俺ならカーラが生きることに飽きるまで一緒にいてあげられる。停滞の指輪の効果が切れそうになればまた取りに行けばいいだけだしな。まあ必然的にティナたちも長生きの道連れになるけど。
「それにコウとは魂が繋がっているから、万が一コウ以外の恋人ができたとしても絶対破局するもの」
「え? 魂が繋がってる? それが原因で破局する? どういうことだ? 」
なんで俺とカーラの魂が繋がってるんだ? しかもそれが原因で恋人ができても破局する? カーラはいったい何を言ってるんだ?
「うそ……気付いてなかったの? 術者なのに? これは予想していなかったわ……いい? コウ? 貴方に蘇生された人間は貴方に隷属するのよ。貴方の命令に逆らえなくなるわ。そんな状態でコウとしょっちゅう顔を合わせる私が、他の男性と一緒になることなんてできるわけないわ。だってコウに脱げと言われれば逆らえないもの。これはもう隷属しているのと同じね」
「は? はあああああ!? なにそれ!? 俺に蘇生されたら隷属する!? そんなの今まで……あ……」
言われてみればカーラにティナやリズがどんなに言ってもだめたったことでも、俺が一言言っただけでいつも素直にいうことを聞いていた。カーラだけじゃない。あの自由人のアルディスさんですら、俺のいったことに抵抗したことなんて一度も無かった。
じゃあいつもカーラやアルディスさんが俺には逆らえないって言っていたのって、文字通りの意味だったってことか?
「フフッ、本当に知らなかったのね。術者なのに不思議よね」
「で、でも魔帝はしょっちゅう俺に反抗するぞ? 全員が全員ってわけじゃないんじゃないか? 」
そうだよ。あのクソ魔帝は俺に反抗ばかりする。てことは蘇生した全員がそうなるってわけじゃない可能性もある。
「それはメレス絡みだからじゃないかしら? 隷属といってもそこまで強いものじゃないから、強い精神力をもってすれば抵抗できると思うわ。疲れるから私はやらないけど。そもそもコウは私のためを思って言ってくれてることばかりだもの」
「なるほど……」
確かに魔帝にメレスと俺は好きあっているんだから邪魔するなと言った時に、何かに耐えてるような顔をしていたな。そうか……そういうことだったのか。
ククク……そうか……いいことを聞いたな。これは蘇生のスキルの事をもっとよく知るためにも、魔帝の精神力がどこまで保つか確認する必要があるな。
「コウ? 悪い顔をしてるわよ? 皇帝で遊ぶつもりね? 」
「え? いや……あはは。わかっちゃった? 」
おっと、あまりの楽しさに顔に出たようだ。
「わかるわよ。ずっと貴方を見てたんだから」
カーラは俺の胸に左頬をつけながら、上目遣いでそう答えた。
「そ、そうか。なんか照れるな」
「ねえコウ。試しに私に命令してみて」
「うーん、あんまりそういうのは好きじゃないんだけどな……」
抵抗できない女の子に命令とかはなぁ。
「そうよね。コウならそう答えるわよね。なら……キスをしろって命令なら? 」
「命令だ。カーラ、俺にキスをしろ」
俺は迷うことなく命令した。
「喜んで♪ 」
するとカーラはニコリと笑い、俺の首に両腕を回して唇を重ねてきた。
彼女の唇は少し冷たく、そしてとても柔らかかった。
そんな彼女とのキスは初めは唇を重ねるだけだったが、カーラの方から舌を差し出してきていつの間にか激しいキスに変わっていった。
「ん……ふっ……コウ」
「……カーラ」
長いキスを終えた俺たちは、お互いの唾液のアーチを作りながら顔を離した。
「私の初めてのキスはどうだった? 」
「え? ああ、すごく良かったよ」
確かにカーラの今の身体では初めてになるか。
「私も初めてがコウでよかったわ」
「ハハハ、ムードとかは最悪だけどね」
俺はソファーを囲むゾンビの群れを見ながらそう答えた。
「フフフ、冥族と魔王の初めてのキスにはぴったりじゃない」
「あー、まあそう言われればそうかな」
お互いネクロマンサーだもんな。
「でも……初めてコウとその……一つになるのはベッドの上がいいわ。ねえ、もう帰りましょう。私の部屋に……」
カーラはさすがに恥ずかしいのか、クールなその顔を赤く染めながら俺の肩に顔を埋めた。
「ああ、帰ろう」
俺はそんなカーラを可愛いなと思いながら彼女の両膝に手を回し抱き上げた。
そしてプライベートルームの下の階に用意したカーラの部屋へと向かい、部屋に着くなりキスをしてそのままお互いを激しく求め合った。
カーラの身体は少しヒンヤリしていたが、肌がとてもきめ細やかで綺麗だった。俺はそんな白く綺麗なカーラの身体を隅から隅まで味わい、声を押し殺す彼女に覆い被さり一つになった。
最初痛がっていたカーラだが、途中から声を押し殺すのをやめたのか、普段のカーラからは想像もできないほど大きな声を出したから驚いた。そのあまりの感度の良さに俺も楽しくなって夜が明けるまで求め続けたのだった。
悪魔軍への反撃の途中。
俺にまた恋人が増えてしまった。
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