エピローグ
――テルミナ帝国 帝城 執務室 皇帝 ゼオルム・テルミナ ――
「ふぅ……ちと疲れたのう。ぬ? もう夕方か。今日はこれくらいにしとこうかの」
余は書類の束から手を離し、椅子にもたれかかり窓に映る夕焼けを眺めた。
まさかまた夕焼けが見れるようになるとはの……
死者蘇生……魔王はとんでもないスキルを手に入れたもんじゃ。
まさか【冥】の古代ダンジョンにあのようなスキルがあろうとはな。知っておれば帝国を上げて攻略に乗り出したというのに……いや、無理じゃな。魔王の話では下層にアダマンタイトの盾の持つデスナイトや、即死スキルを放つリッチが山ほどいたという。【魔】の古代ダンジョン並の難易度であると思ったほうが良さそうじゃ。
ということは、【時】の古代ダンジョンにもとんでもないスキルがありそうじゃの。しかしあそこは魔人にとっては相性が悪すぎるからのう……
まあよい。魔王がいずれ攻略するじゃろ。来たる時に備え、奴にはより強くなってもらわねばならんからの。
いずれにせよ余は生き返った。メレスに再び会えることは嬉しい。その事には関しては、魔王に感謝してもしきれんほどじゃ。
じゃが……ランクが落ちる以外にもリスクがあろうとはな……素直に喜べんのう。
コンコン
余が先々のことを考え憂鬱になっておると、執務室の扉をノックする音が聞こえた。
余が入るように言うと、リヒテンが中へと入ってきた。
「失礼します。陛下、チキュウの人族による反乱の制圧が完了致しました」
「そうか。あっけなかったの」
余はそう答えながら席を立ち、棚からチキュウ産のワインとグラスを二つ取り出しソファーに腰掛けた。
そしてリヒテンを向かいに座らせ、ワインを注いだ。
「ありがとうございます。はい、どうやらチキュウの各領の総督府は、帝国の内乱が長引くと思っていたようです」
「愚かじゃな。まあ魔王が余を生き返らせなければそうなっていた可能性もあるか」
余が倒れたとしても、ロンドメルは魔王に倒されたはずじゃ。ロンドメルが魔王に手を出さない訳がないからの。そうなれば統治する者を失った帝国は荒れ、今ほど早く混乱は収まらなかったじゃろうな。魔王が皇帝になる選択をするはずがないからの。魔王がチキュウの人族に加担する可能性もあったやもしれん。いや、それは無いか。奴は帝国以上に同胞を警戒しておるからな。
「おっしゃる通りかと。過去に世界の覇権を握っていたという自負心からか、愚かな選択をしたものです」
「数年前に余の軍団に完膚なきまでに敗北したというのに、チキュウの人族は馬鹿ばかりじゃの。まあよい。二度と刃向かおうなどと思わぬよう、マルスが徹底的にやるじゃろう。それよりもじゃ、論功行賞の件はどうなっておる」
「はい。貴族院へ通達を終えております」
「そうか。これで魔王への借りは返したの」
「はい。アクツ公爵家の誕生ですな」
「魔王が公爵の地位を求めるとは少し意外じゃったがな。何か企んでいそうじゃな。色々と呑みにくい要求もあったがまあよい、これで魔王への借りはチャラじゃ」
あれほど貴族になるのを嫌がっておった魔王が爵位を求めるとはの。そのうえオズボードの領地だけではなく、帝国の直轄領となっておった、旧モンドレット領にコビール領まで求めてくるとはの……オズボードに奇襲された事が堪えておるのかのう? こちらとしては魔王を帝国に縛り付けられるゆえ、願ってもないことじゃがな。
ほかの要望もエルフの独立まではまあ良い。もともと魔素が濃いチキュウである所に、古代ダンジョンを二つ攻略したことで上級ダンジョン内と変わらぬ濃度となった。もうエルフの森という魔素を得るための保険は必要ないじゃろ。
しかし問題は結界の塔じゃ、奴が手に入れたオズボードの領地にはそれがある。貴族院はいくら公爵でも、チキュウ人にデルミナ大陸の守りの要である塔の一つを持たせるのは危険だとうるさかったのう。
アレは4つ同時に発動させて初めて結界が張られるからのう。貴族院の者たちが不安視するのも無理もなかろう。
じゃがそんなこと心配するだけ無駄じゃ。魔王は帝国本土に広大な領地を得るうえに、エルフの森もある。それらを危険にさらすようなことはしまい。
まあそんなことを言って納得する者たちではないからの。長い時間わめき散らされ、結局勅令を出して黙らせたわ。面倒なことをさせおってからに魔王め。
「全てお呑みになりましたからな。アクツ公爵もこれ以上は要求してこないでしょう」
「フンッ、奴め。己の望みばかり一方的に要求しおって……インドとチュウゴク地域の管理をやらせたかったんじゃがな」
余に対しメールで褒美をよこせと要求したうえに、余の命令は一切聞き入れぬとは。こっちは軍を保有する貴族が減り困っていおるというのに、あのクソガキめ!
「後継者のいなくなったローエンシュラム家をルシオン殿下がお継ぎになりますゆえ、旧ロンドメル領と共に管理させるしかありませんな」
「ルシオンか……南アメリカで奮闘したそうじゃの。相変わらず剛毅なひ孫じゃ」
ハマールの配下のアーレンファルトの小娘が率いる艦隊に乗り込み、白兵戦で落としていったらしいからの。まるで余の若い頃そっくりじゃ。あれでもう少し頭が良ければの……そこだけが余に似なかったの。やはり途中でロンドメルの一族の女の血が混ざったからじゃろうな。
「今回の件でアクツ公爵にさらに興味を抱いている様子でございますな」
「フンッ、もう好きにさせよ。魔王が余に文句を言ってきたならば、いつでも皇位を譲ると言えばいいからの。なんといっても魔王は加護持ちじゃからのう。ククク……」
再び皇帝になってからは忙し過ぎて、まだメレスを一度も抱きしめておらぬ。毎日魔導通信で顔は見ておるが、余はメレスを抱きしめたいのじゃ。こんな事務仕事ばかりで面倒ごとの多い皇帝など、魔王という後継者がいる以上いつでも放棄してくれるわ。
ああ……メレスが心配じゃ。魔王に襲われていないかのう……早くアルディス湖で親子でゆっくり過ごしたいのう。
「陛下、アクツ公爵との約束をよく破ろうなどと思えますな。私は考えるだけで身が凍る思いでございます」
「……余も抵抗を感じておる。リヒテンほどでないのは、恐らくランクが近いからじゃろうな」
「なるほど。しかし……これはやはりあの死者蘇生というスキルの後遺症でしょうか? 」
「後遺症などではない。これは魔王の呪いじゃ」
あの日生き返ってからというものの、魂が魔王の言葉に逆らうことを拒絶しているような感覚を覚える。魔王が強い言葉で何かを言うほど、その感覚はより強くなる。
じゃからあの時。帝城に地下で魔王に再び皇帝になるよう言われた時は、危なく二つ返事で承諾しそうになった。なんとか心を強く持って抵抗し、時戻りの秘薬や希少なアクセサリーを手に入れることに成功したがめちゃくちゃ疲れたのう。
その後も余のメレスとキスをしたとのたまう魔王を殺そうと思ったが、余の放ったスキルの威力は弱くあさっての方向へと向かっていきおった。
これはまずいのう……何があっても魔王に気づかれることだけは避けねばならん。
まさか死者蘇生のリスクが、ランクが下がるだけではなく呪いまであるとはのう。
「蘇生された者が、術者に反抗しないためと考えれば道理ではございますが……」
「それもあろうが、恐らく魔王と魂が繋がっている可能性がある。契約のスキルが発動しなかったからの」
「魂が……なるほど。契約のスキルは同一人物と認識したというわけでございますか……確かに自分に契約のスキルは掛けれません。恐らく陛下のご推察が正しいかと」
「厄介じゃのう……」
気合いを入れれば抵抗はできるが、異常に疲れるんじゃ。あれは長時間はムリじゃ。
「結局帝国はアクツ公爵の思いのままというわけでございますな」
「帝国などはいいんじゃ。魔王は加護を得ておるからの。欲しいならいつでもくれてやる。奴ならチキュウの人族から己の身を守るため、滅ぼしたりはせんじゃろう。そんなことよりもメレスじゃ! 万が一メレスを嫁にくれなどといわれたら、余は……余はどこまで抵抗できるか……」
「いっそのことお認めになられてはいかがでしょうか? お互い憎からず想っているようですし、皇女様であるメレス様と公爵であるアクツ殿であれば、身分が釣り合わないということなどは……」
「嫌じゃ! 余のメレスをあのスケベ大魔王などにくれてやるものか! アルディスと余の娘であるメレスは誰にも嫁にはやらぬ! 魔王に伝えよ! どうしても欲しかったら余を倒……アルディスの許可を得るのじゃとな! 」
「アルディス様はこの世にはおりませんが……」
「では無理じゃの! 婚姻には両親の承諾が必要じゃからの! 魔王には残念じゃったなと伝えておくのじゃ! 」
余が言うと疲れるからの。リヒテンよ、しっかり伝えておくのじゃ。メレスは誰にもやらぬとな。わははは! ざまあみろなのじゃ魔王!
「陛下……」
余はリヒテンの残念な物を見るような目を無視し、ワインを飲み干すのじゃった。
♢♢♢♢♢
「じゃあな三田に田辺。三井と鈴木のこと頼むぞ」
俺は鹿児島市にできたばかりの獣人の移民が経営する『ケモミミクラブ』から出たところで、酔い潰れた三井と鈴木を背負う二人へ介抱を頼んだ。
「はい。うちで寝かせておきます」
「先輩、ごちそうさまでした」
「いいっていいって、んじゃまた飲もうな」
俺はそう言ってその場から飛び立ち、桜島へと向かった。
まだ2時か……ティナには朝帰りになるって言っちゃったけど、思ったより早かったな。
まあ三井と鈴木があんな状態じゃな。
二人とも俺の奢りだと思って、ここぞとばかりに高い酒を飲みまくってたからな。
まああれだけチヤホヤされりゃな。俺もかなり飲んだし。
しかし久々にゆっくりできた。ここのところずっと忙しかったからな。
俺は未だ冷たい風が吹く夜空を飛びながら、忙しかったここ2週間の出来事を思い返していた。
馬場さんと浜田と再会したあの日。
深夜に帰った俺を見て、恐らく頬に涙の跡が残っていたのに気付いたんだろう。ティナたちは何も聞かずそっとおっぱいを差し出してくれた。俺はそんな恋人たちの優しさに胸を熱くさせながら、おっぱいを口に含んで朝までめいっぱい甘やかしてもらった。
そして股間も気分もすっきりした翌日。
メレスとリリアを旅館に呼び、カーラを紹介した。
そして彼女が元は異世界の人族で、古代ダンジョンにボスとして召喚されたこと。その呪縛から解放し、覚えたばかりの死者蘇生のスキルで生き返らせ別の種族になった事を説明した。
二人ともそりゃもう驚いていたよ。カーラのこともそうだけど、俺が蘇生のスキルを覚えたこともね。
二人はもしかしてって感じで何か言いたそうにしていたけど、俺はお昼をみんなで食べようって言ってごまかした。
魔帝と宰相が一度死んだなんて言い難かったし、加護の話に発展してあの場で尻を出すことになりそうだったからだ。
カーラとメレスたちに、もしも笑われでもしたら立ち直れないし。まあそのうち二人には話すさ、ずっと露天風呂に入れなくなるのは辛いし。
そしてみんなでお昼を食べたあとは、港の飛空艦間発着場に軍の者を集めた。朝からゾンビが現れたって港が騒がしかったからな。
そこで俺は死者蘇生というスキルをダンジョンで手に入れたと皆に説明した。
みんな信じられないって顔をしたけど、目の前に生き返った奴らが笑いながら『ボスに生き返らせてもらった』『魔王マジスゲー』とか言って笑っているのを見て信じざるを得なかったみたいだ。
ああ、もちろん変な期待をしないよう、なんでも蘇生できるわけじゃないこともしっかり伝えた。その上で可能性のあるなら俺に言ってこいと、成功するかわからないけどスキルを掛けてやると言ったら喜ぶ者とそうでない者に分かれた。
ダンジョンで命を失った者はな……遺体を持ち帰れないケースがほとんどだからな。
俺は色々思うことはあるだろうけど、うちの軍に殉職による二階級特進制度はない。生き返りたかったら身体と未練を残せって言ったらみんな大笑いしてたよ。
そして仲間の復活祭と戦勝祝いをすることになり、鹿児島市の領民総動員で宴会の準備をしてもらった。
野球場で行った祝いの席では、軍の戦争参加者全員に昇進を伝え金貨を配りまくった。もちろん島を守ってくれていた、デビルバスターズギルドの皆にも配った。そしてその後は皆に2週間の休暇を与え疲れを癒やすように言った。独身の男どもは飛空艦に乗って、満面の笑みを浮かべながら福岡へと向かっていったよ。
そして一週間もしないうちに帰ってきて、日銭を稼ぎにダンジョンに潜っていった。なんなんだろうなアイツら……
妻帯者たちは、鹿児島市に建設中の新築マンションの購入資金にあてるっていうのにな。
戦勝会が終わった次の日からは、グリードたち獣人救済軍の死者の蘇生をしに旧オズボード領に毎日通った。
当然グリードたちも、死んだと思っていた仲間が生き返ってぶったまげてたよ。俺を獣神ラン様の使徒だって拝んでる奴もいた。なんで人族の俺が獣人の女神の使徒なんだよ……
それから混乱する獣人たちに、うちの軍にしたのと同じ説明をしたら希望者が殺到した。この時俺は悟ったよ。年単位で蘇生を続けることになりそうだってね。
まあ、こればかりはな。一緒に戦った者たちの身内ぐらいはしてやろうと思う。ただ、日本人にはできないんだよな。火葬の文化だし。
そんな感じで午前中はグリードたちの仲間の蘇生をしに行き、帰ってきたら戦後処理の事務仕事から何からと大忙しだった。まあ、忙しいのは俺だけじゃないんだけどな。ティナも家令として事務仕事に忙殺されているし、オリビアも情報局の仕事をしながらティナを手伝ってくれていて忙しい。リズとシーナには、日本を領地化した時のためにギルドの職員の増員と教育を頼んでいたしな。
俺たちがそうして戦後処理に追われている頃。外ではロンドメルに付いた貴族はことごとく配下の平民に殺され、地球の元国家の反乱もあっけなく鎮圧された。
それはもう再編したマルスとラウラの艦隊に蹂躙されてたよ。あまり無茶なことをするなと言ってあるから民間人虐殺はしてないようだけど、反乱を起こしたアメリカ、ロシア、欧州、インドなどの総督府の人間と軍の兵士は皆殺しにされた。
今後は街のカメラなどを解析して暴動に参加した民間人を特定し、ダンジョンを壁で囲った監獄で強制労働させるそうだ。死ぬまでダンジョンに挑まされ続けるんだってさ。そうしてその映像を常にテレビで流すそうだ。
なんというか長年奴隷を扱っていただけあって、色々心得てるなと思った。
そうそう、結局カーラはそのまま旅館に住みついてしまった。なんか和室と温泉が気に入ったらしい。黒髪で浴衣姿のカーラが和室でくつろいでる姿なんてさ、もうまんま日本人だったよ。それも超絶美人の。
そんな忙しかった日々を思い返していると、視界の先に悪魔城が見えてきた。
相変わらず真っ黒で禍々しいこの風貌にも、すっかり慣れちゃったな。悪魔城という呼称も領内に浸透しちゃったしな。
最初は建て直そうと計画していたティナたちも、見た目はともかく内部の過ごしやすさに諦めたみたいだし。なんか今度は地上に白亜の城を建てるとかなんとか言ってたな。しばらく軍の増強でそんな予算は無い思うんだけどな。きっと空の魔石を大量に渡されるんだろうな……覚悟しとこ。
《……光》
「ん? メレス? 」
俺が悪魔城の入口に降り立とうと高度を下げたタイミングで、突然のメレスからの念話が届いた。
ふと西の塔に視線を向けると、最上階の客室のバルコニーにメレスが白いネグリジェ姿で空を飛ぶ俺を見上げている姿が見えた。
俺はそのまま西塔に向かい、メレスのいるバルコニーへと降り立った。
「起きてたのかメレス」
「光が帰ってきたとフラウが教えてくれたの」
「それで起きたのか? 何か相談したいことでもあるのか? 」
「いえ……その……光と二人で話したかっただけよ」
「ははっ、そうか。ならば私でよければお姫様のお話相手になりましょう」
俺は恥ずかしそうにしているメレスに対し、右手を胸に当てゆっくりと腰を曲げながらそう言った。
「意地悪……私は光にちゃんとお礼を言いたかったの。お父様のこと……生き返らせてくれたのよね? 」
「ああ……ごめんな。俺が行った時には手遅れでさ、それでたまたま手に入れた死者蘇生のスキルで生き返らせたんだ」
俺はメレスに正直に話した。あの時、魔帝が死んでいないっていうのは嘘だったんだと。そして生き返らせることができたのはたまたまなんだと。
「やっぱり……いいの。結果的にお父様が生きていてくれたのだから。ありがとう、光」
メレスはそう言って俺の胸にその身を預けた。
「メレスを悲しませないで済んでよかったよ」
俺はメレスの頭を優しく撫でながらそう答えた。
「光……私……私は光が……好き……優しくて、温かい光が……光と一緒にいると心が温かくなるの……ずっと一緒にいたいの……」
「俺もメレスが好きだよ。4人も恋人がいる俺がこんなことを言うのは不誠実かもしれないけど……でもメレスが愛しくて仕方がないんだ」
我ながら最低な男だよな。でもこんな美人で内面も可愛いくて、俺を好きだと言ってくれる子を他の男に渡したくないんだよ。
「嬉しい……いいの。光に何人恋人がいても……私は光と一緒にいれればそれだけでいいの……私を愛してさえくれればそれで……」
「絶対に寂しい思いはさせないから。魔帝が引き裂こうとしても、俺は退かないから。メレス……好きだ。俺の恋人になってくれ」
「……はい」
俺は目を潤ませながらそう答えたメレスを強く抱きしめ、唇を合わせた。
それから長い時間お互いの唇求め合い、舌を絡ませた。
「光……寒いわ……身体も温めて欲しいの……」
そんな長いキスを終えると、メレスは俺の胸に顔を埋め恥ずかしそうにそう言った。
「ああ、温めてあげるよ」
俺はメレスの足に手を入れ抱きかかえ、彼女の部屋へと入っていった。
そして恥ずかしがるメレスのネグリジェを、キスをしながらゆっくりと脱がしていった。
生まれたままの姿になったメレスの身体は透き通るように白く、そしてとても柔らかかった。
俺はメレスの身体の隅々まで触れたあと、痛みに耐える彼女にヒールを掛けながらゆっくりと繋がった。
メレスは身体の中に温かいものをもっとと、そう言って何度も求めてきた。
俺はそんなメレスが愛しくて、朝まで何度も愛し合ったのだった。
古代ダンジョンを攻略したと思ったら帝国で内乱が起き、魔帝が討たれ俺が加護を得るなんてとんでもない出来事があったけど……
終わってみれば悲しい別れをしたカーラとも再会ができ、死んだ仲間たちも全員生き返った。
そのうえ俺と恋人たちの計画も一気に進めることができた。
なによりこの気高く美しいメレスとの仲が深まった。
魔神の加護という呪いは受けたけど、それ以上に得た物は多い。
あとは守るだけだ。
もう二度と領地を危険にさらさないために。
大切な人を失わないために。
※※※※※※※※※※
筆者より
長い3章となってしまいましたが、お付き合い頂きありがとうございました。
4章の『ニートと富国強兵』は少し時間を空けて、11月7日土曜18時からの連載を予定しております。
また、4章からは毎週土曜日更新のみとなります。ご理解のほどお願い申し上げます。
『4章予告』
【魔帝とのメレスを巡る戦いに意外な人物が終止符を打つ!】【地球で敵なしとなった主人公に新たな敵の姿が!】
乞うご期待!
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