第5話まずは文字を学ぼう!
3歳にもなると、大分周りの事情がつかめてきた。ここで簡潔に自己紹介。
名前は、エレナ・ディベメント。
姉が一人と兄が二人、妹が一人の5人兄弟。
母は、アメリア・ディベメント。父は、ダートマス・ディベメント。
家は、ディベメント商会という商会で、商人の家だ。この商会は、知名度は低くはないが高くもない普通の商会。
以上!
情報少なっ!?
3年もここにいるというのに……。
これにはわけがある。
父親は実力主義で厳しい人なのだが、母親は過保護で10歳までは無茶なことはさせない、と甘やかしにかかってくる。
1番上の兄は現時点で商会を継ぐことになっているため厳しく育てられているらしいが、それ以外の、特に私と妹にはべた甘である。
私たちはほかの兄弟と5歳以上離れているからなのかもしれないが、過保護すぎである。
これではダメ人間になるぞ、お母様?
ただ、この3年で分かったことはほかにも少しある。まず、神様とおしゃべりできること。赤ちゃんで言葉をしゃべれず、外の世界もわからなかった精神年齢24歳。
心の中で独り言をぶつぶつ言っていたら、返事が返ってきた。ファラウザーさんだ。どうやら私を心配してたびたび見守っていてくれたようで、(←実際のことは大神様が怖くて言えていない)一人でぶつぶつ考える私に思わず返してしまったのだとか。
あとは、魔法とかの概念があるらしいこと。5歳になったら教会で洗礼式を受けて魔力、魔属性などの測定をするらしい。
たくさんの本を読んでいて、当然ファンタジーも読んでいた私はその事実は少しうれしかった。
今までは非科学的だと思っていたのだが、神様に会ってしまってはそんなこと言えたもんじゃない。
そして、我慢の限界が来た。こうして考えてみれば異世界の新しい知識を得るどころの話ではない。
まだこの世界の文字も知らないなんて!
新しい知識を得ることに関して息をするのと同じように行ってきた前世を思えば今の状態はおかしい。
私にとって異常なのだ。
もう、かーさまに文字を教えてもらおう。
「かーさま!私、文字を知りたいです!みんなが使っていてかっこいいのです!」
子供っぽくできたかな?
「まぁ、もう文字をお勉強したいのね!自分から言うなんてえらいわ!!すぐに教えてあげますからね!」
あまあまである。こちらとしてはありがたい限りだ。
この国の文字、ラステル文字は、英語に似ていた。
もともと7ヵ国語つかえた上に、英語に似ているのだから苦戦するはずがない。
かーさまに基本文字と基本単語を教えてもらうとすぐに理解できた。単語は発音にのっとって当てはめる形なので、ある意味英語より日本語に近いのかもしれない。
満足である。しかし、かーさまは
「こんなに早く理解するなんて、”天才”かもしれないわ!」
あ゛……。
天才はいらない、平凡を。
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