第2話 初めてのタイ王国
飛行機で日本から約7時間、タイ王国のバンコク、スワナプーム国際空港に到着した。今はLCCが多くあるのでタイへの安い航空券はドンムアン国際空港が主なのだが、当時はスワナプーム国際空港が主だった。LCC以外の飛行機には、これ以来1回しか乗っていない。
スワナプーム国際空港は、東南アジアNo1は伊達ではなく、大きく思ったよりも綺麗だった。
ただ、今は慣れたし自分のテンションも上がる要因になっているが、初のタイ王国は蒸し暑く何だかわからない香辛料?と下水の香りが鼻腔に抜けて少し落胆した。
地球の歩き方とか、ガイドブック的なモノは一切持っていない。そんなモノは初心者丸出しだし、レールに沿った旅なんか旅じゃないと初めてのくせに変な格好を付けた僕は、来る前に行きたいところや最低限の知識はインターネットから仕入れていた。
とりあえず入国審査を通る。入国審査官に
パスポートを渡した。
ここで今ならわかるのだが、タイで4ヶ月のFIXつまり120日滞在。タイは空路で入った場合にノービザだと30日間しか滞在出来ないのだ。もちろん観光ビザなんて申請していないので普通なら入国審査に通らない可能性もあった。
帰りの便も、もちろんあるので途中でビザランすると説明をし訝しげな入国審査官も通してくれる様だった。
タイ語でよくわからない事を言っている。僕は通るに通れず立ち尽くす。首を傾げて何を言っているのか何回も同じタイ語を話させるがわかるわけはない。
「カメラを見ろって言ってる」
後ろの日本人の兄ちゃんが教えてくれた。
恥ずかしながら、入国審査の時にカメラで顔写真を撮られる事を知らなかったのだ。それくらいの経験値で初めての海外に1人でいた事に今は苦笑しかない。
無事カメラで撮られ、タイ王国へ入国出来た。今思えばよく入れてくれたと思うし怪しすぎる日本人だった。
入国したのはもう夜になっていた。とりあえず向かうところは事前に調べておいた、安宿が多く集まるバックパッカーの聖地「カオサンロード」。
今となっては観光地化してしまって面白味も薄れたし人も減ったが、当時はまだ活気があり様々な人種が集まっている東南アジアの安宿だった。
初の宿泊はカオサンロードでと決めていた僕は、空港のタクシー乗り場からタクシーでカオサンロードに向かう事にした。
タクシーの運転手が立っているので、カオサンロードに行きたいと交渉する。
記憶が定かではないが、1000バーツくらいと言われたと思う。
これは完全はぼったくりだ、普通なら400バーツ(これでもメーター使うより倍くらいだが)くらいで行ってくれるだろう。しかしながら右も左もわからない様な、初海外の日本人はさながら鴨が葱じゃなくバックパックを背負って来たと思われたんだろうし、僕もなんの疑いも無くその値段でタクシーに乗り込んだ。
色々と警戒もしていたので、恥ずかしい事にバックパックはトランクには入れず前に背負い、タクシーも何故だか後部座席ではなく助手席に乗り込んだ、その方が安全だと思ったんだろう。
暗いハイウェイをタクシーが走る。変な乗り方をしている初心な日本人を乗せて。
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