外伝59話 異世界防衛力強化計画

アースティア暦 1000年・西暦2030年・5月21日・午前10時13分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・西太平洋地域・地球海洋諸国連合同盟勢力圏・日本列島・日本国・九州島地方・福岡県・福岡市東側郊外地域・神部町・異世界国家交流総合支援省・通称交援省・第5会議室にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 この日、外務課と防衛課、経産課と財務課の官僚や一般職員等が20名が集まり、東京サミットに提案と提出が成される予定と成って居る防衛装備品の輸出品目に付いて話し合われていた。


 その東京サミットに付いては未だに非公開情報なので、これが外に漏れると大変な事に成ってしまう。


 東京サミットに提案と提出が成される予定と成って居る防衛装備品の輸出品目に付いて改訂法案は、日本国と日本人に取って、未だに腫れ物を扱うような対応策を取られないと、大反対と言う憂き目に遭ってしまうので、慎重に・・・そして秘密裏に話し合いが官民一体と為って進められて居た。


 それもこれも、アースティア世界で日本国と地球系転移諸国が生き延びる為にである。


「それで、大方の話し合いは終わったのか?」


「ええ、経産省が音頭を取る形で、工業系の経団連とは、話し合いが付きつつあります。」


「売り出す予定の装備品は、此方に成る予定です。」



「陸軍装備は・・・・・・・61式戦車・・・・74式戦車(スペックダウン版)100ミリ砲塔バージョンと105mmバージョン。」


「国によっては、110mm使用の物を予定か・・・・・」


 防衛省及び経済産業省、交援省らによる防衛装備品の輸出計画に措いて、陸上兵器類は1990年前後までに生産された物を輸出させようと計画して居た。


 但し、90戦車等の高性能装備は、輸出品目から除外される方針であった。


 どの程度の装備品を輸出するのかと言うと、万が一輸出先が敵に回った際に措いて、自衛隊が、それらの装備品を叩き壊せる程度なのかを目安として居る。


 そして、ローラーナ帝国と戦って、簡単に勝てるくらいの強さである事も、輸出させられるのか?如何かの目安の基準として居た。


 対艦誘導の場合は射程距離を落としたり、89式装甲戦闘車は対戦車誘導弾のスペックを落とすか、外してから売り付ける事を想定して居る。


 仕方ないとするの為らば、歩兵装備はスペックをチョット下げるくらいの威力の在る物を売り付けるくらいだろう。


 その他の移動車両は、殆んどそのままで良いとされて居るが、恐らくは少数買い入れる程度と思われる。


 後は地球世界でも在った様に民間車両の改造車が、ゲリラ軍の様に軍装備品として使われる事が予想されている。


「75式自走榴弾砲に弾薬車、60式106mm無反動砲とジープに、無限軌道車式かぁ・・・・」


「小銃としては、我が国の89式5、56mm小銃及び20式5,56mm小銃等の国産自動小銃の機密情報を継続して守る観点からな。」


「此方は地球世界でも性能構造が在る程度バレバレの状態である。アメリカのM16自動小銃とロシアのAK-47自動小銃を採用し、弾はNATO弾共通規格で生産する。」


「その他の砲弾類等の火器類の弾薬も、これに倣う形での生産が決まって居る。」


「三葉グループが音頭を取ってくれて居て、豊川・オッサンも大量生産は何時でも出来ると言ってくれて居る。」


「モトダは創業者の元田浩一郎の理念で、軍装備品に当たる物は造らないと言って、最初こそ渋って居たが、例の魔導機兵の一件や同業者にして、自衛隊装備もやって居るカワカミ重工の現社長からの説得も在ってか、事業継続と戦時下の国防の必要性から、最後には3代目の元田社長が、引き受けると言ってくれた。」


「そうか、何だか悪いな。」


「全くだっ!!元田浩一郎社長は前世界でも有名な車両メーカーの社長で、とても平和主義なお方だったが、今は会社も日本も平和主義を貫ける程に余裕が無いんだっ!!」


「戦争が終わったら元田浩一郎社長の墓参りで謝らんと、いけないな。」


 会議に参加した各省庁の職員達は、元田浩一郎社長の事を思いつつ、国防の為に戦争と成った事により、その理念を踏み躙った行為に胸を痛めた。


「他にも常陸那珂製作所・大松製作所・スバル星重工・友住重機貴金属工業・豊島工業なんかは、何時ものメンツとして・・・・・・・」


「有事戦時下に成ったせいか、普段は自衛隊装備の生産に余り関わりのないヤマナ発動機・スズノキ自動車工業・松葉東洋自動車工業・スニ―電子と、一流メーカーがズラリと居並ぶねぇ・・・・・・・・・」


「他にも様々なメーカーが名乗り上げている。」


「経団連も、戦時下体制だからと言う訳では無いが、新規の仕事が欲しいんだよ。」


「今なら何らかの形で、ライバル企業と成り得る様な相手が居ないし、異世界の国々と自由な取り引きが出来る。」


「それは何れ取り引き先へと進出する切っ掛けにも成るから、今の内に日本政府や相手国に取り入ろうと必死なんだよ。」


「確かスズノキ自動車工業は海外生産拠点が多かったな?」


「彼の鈴ノ木修治会長の方針のせいか、安くて安心して乗れる車両を大量生産し、現地雇用にも貢献する。」


「だが、今回の転移災害のせいで、それらの方針が裏目に出てしまって居る。」


「豊川も同様だが、あの会社は国内の拠点や傘下の中小企業も多いからな。この状況下でも、平然と生産調整をしながら操業を続けて要る。」


「対してスズノキは、国内中小企業との下請け取り引きこそして居るが、海外拠点が多いせいか、国内工場が少ないから売り込みや生産の出遅れを気にして居たな。」


「確かに、此処何日か防衛省と経産省に売り込みに来ていた、鈴木凛とか言うけしからん巨乳を持ったОL女性が、必死に頭を下げていたのを見かけたよ。」


「あれ?それってスズノキ所属バイクレーサーで有名な鈴木刃の娘さんじゃないのか?」


「知って居るのか?」


「ああ、子供の頃の彼女が、テレビに父親と映って居るのを見た事が在るからな。その名前には、聞き覚えが有ってな。」


「そうか、この転移災害で親父さんが解雇されそうなのをその娘さんが、必死になって止めて居るんだな。」


「んん?どういう意味だ?」


「知らないか?今の状態だと、各種車両メーカーのレーシングチームが、解散と解雇されそうなんだとよ。」


「特にスズノキは危ないらしい。鈴木刃も今や正社員と同様に働かいなと、会社からリストラ対象と成り兼ねないんだとよ。」


「そいつは世知辛いな。」


 各省庁の職員達は、防衛装備品輸出計画会議の資料を見ながら、国内の各企業が危ない状態に在る事を改めて思い知らされたのであった。



 丁度その頃、シベリナ連合各国の外務連絡事務所が置かれている異世界国家交流総合支援省の敷地内の区域。



アースティア暦 1000年・西暦2030年・5月23日・午前10時23分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・東太平洋地域・地球海洋諸国連合同盟勢力圏・日本列島・日本国・九州地方・福岡県・福岡市東側郊外地域・神部町・異世界国家交流総合支援省・通称交援省・ダバード・ロード王国在日本外務省領事連絡事務所にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 此処は異世界国家交流総合支援省・通称交援省の近くに在るダバード・ロード王国在日本外務省領事連絡事務所。


 此処にはダバード・ロード王国以外にも、日本国に入国を許可されたアースティアの国々が、日本国との国交開設に向けての下準備を進めるべく、外務連絡事務所を開設して、来るべき日に備えて、日夜業務に励んで居た。


「パパの為にも、何としてでも、何所でも良いから、スズノキを売り込まないと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


彼女の名は鈴木凛と言う。

 


 東京都の丘ノ上町に住まうОL女性で、スズノキ自動車工業東京本社の営業部に勤めて居る人物である。


 現在入社2年目で、大学卒業後に父親がレーサーとして席を置き、大好きなスズノキバイクメーカーであるスズノキ自動車工業を世界に広め、発展させようと意気込んで入社したスズノキ信者でもあった。


 子供の頃に購入台数が、僅か30台と言う希少なムラヨシ・カタナ・1135Rの購入権を父親にプレゼントしようと書いた、作文コンクールが鬼気迫る作風が評価され、何んとっ!!大賞を取って居る程に、スズノキバイクが大好き女の子だった。



 そんな彼女が政府省庁を営業回りをしながら、必死に成って、スズノキ自動車工業を売り込んだり、支援を頼みに回って居るのも、父親が所属して居るスズノキバイクレーシングチーム守る為でもあった。


 会社に掛け合って解散時期を見合わせる様に頼み込み。


 何とかスズノキバイクレーシングチームの人達に別種の仕事させながら、チームの存続を図って居たが、新規の仕事が来ないとチーム解散は免れられないと言われて居たのであった。


 そんな彼女は、今日も営業の為に各所を回って居た。


「くうぅぅっ!!何所に行っても、モトダ、モトダ、モトダって何様の積りよっ!!」


 凛は営業先で良く出くわす、モトダの営業部、カワカミの営業部の者達に対して、悪態を吐く。


 それもその筈、モトダは安心安全が売りだし、カワカミは防衛省と関わり合いが強いからだ。


 オマケにヤマナ発動機と言うメーカーは、他のバイクメーカーと違って、バイク製造販売の他に、農業機械から発動機を含めて結構売れるものが多い。


 スズノキも、それと似たような物を売っては居るが、格安自動車が主力製品であるせいか、他の商品の売れ行きが横ばい状態でもある。


 その為、前世界で海外生産で勢力を伸ばして、他社を出し抜いて来た事のツケが、こんな所でしっぺ返しを喰らう羽目に成ろうとは、何んとも皮肉な事でもあった。


「それに加えてカワカミや普段は、影が薄いヤマナの連中も、省庁に売り込んで来て居るっ!!」


「ちょっとは遠慮しなさいよねっ!!あんた達には、国内工場がたくさん在るでしょうにっ!!」


いやいや、在るからこそっ!!売り込んで居るだと思うぞっ!!


「昨日まで回った所は、ダメそうね。」


 ガックリと肩を落としながら、今日の営業先であるダバード・ロード王国在日本外務省領事連絡事務所へと入る。


「あのー、スズノキ自動車工業の鈴木凛と言いますっ!!営業に来たのですが・・・・・・・・」


「アポイントはお取りでしょうか?」


「いえ、申し訳ございませんが、我が社として貴国に直接的に売り込みたいと思いまして、やって来た次第です。」


「申し訳ございません。本日はモトダ技研工業様、カワカミ重工様、ヤマナ発動機様等の取り引き説明会と成って居ます。」


「お話ならば、後日改めてアポイントをお取りに成ってお越しください。」


「そうですか・・・・・・・(此処でもライバル会社がっ!!ちくしょうっ!!)」と心の内で悔しがる凛。


そんな中である。


「あれ?凛じゃないか。」


「えっ!?」


「あっ!凛ちゃんだっ!!ヤッホー久しぶりっ!!」


「本当ですわね。」


「アンタ達っ!!何で此処にって、まさか・・・・・・・・・・・」


 現れたのは凛の女子高生時代のバイク仲間であった。


 それぞれ好きなバイクメーカーに就職したと聞いて居たが、こんな形で再会をしようとはっ!!と思う凛。


「凛。もしかして、アポ無しの営業か?バカな奴だな。幾らスズノキが大変だからって、飛び込み営業の成功は、難しいと思うぞっ!!」と癖っ毛の強そうな友人が言う。


「うるさいわねっ!!こっちはアンタ達と違って余裕が無いのよっ!!下手を打てばリストラに成り兼ねないだからっ!!」


「まぁまぁ、凛ちゃんも押さえて、押さえて。」と天然そうな友人が言う。


「・・・・・・・ねぇ、凛ちゃん。営業が出来れば、良いんですの?」


「そうよ。」


「でしたら後日、此処に来て下さい。根回しをして置きますから。」とお嬢様風の友人が言った。


「良いの?」


「ええ、わたくし父はカワカミ社長ですもの。それくらい構いません。友達と同業他社の危機に際して、塩を送るくらいの事はしても良いと思いますし。」


「ありがとうっ!!助かるっ!!」


 凛は取り敢えずは、その場を後にした。


「良いのかよ?親父さんに断りも無く、そんな勝手な事を言ってっ!」


「良いですわ。それよりも、スズノキが倒産して、そのしわ寄せが、わたくし達の会社に、やって来るのも面倒な事ですしね。」


「うっわー、聖菜ちゃんつてばっ!大人だねぇーっ!!」


 こうして国内4大バイクメーカーに所属するこの四人が、この出来事を切っ掛けに、まさかダバード・ロード王国の工業の発展に大きく貢献する事に成ろうとは、 夢にも思わなかったのであった。


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