外伝56話 動き出すデモニュクス帝国・魔族連合国編 11

 アースティア暦 1000年・西暦2030年・7月3日・午前10時30分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・西太平洋地域・地球海洋諸国連合同盟勢力圏・日本列島・日本国・関東地方・日本国首都・東京都 ・東京都内・江東区・聖川恵梨香の自宅・聖川家・聖川恵梨香の自室にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 日本国内に潜伏偵察活動を続けるエルザ達は、その後も日本国とその同盟諸国に付いての情報収集に務める。


 アースティア世界の歴史に激震を齎す切っ掛けの一つにも成った、第二次龍雲海沖海戦から暫くして勃発した、日本国とローラーナ帝国の紛争と言う名の戦争であるブラキュリオス湖畔紛争。



 アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月7日の前後を境に勃発したブラキュリオス湖畔紛争は、紛争当事国であるアルガス公国だけで無く、ダバ派遣隊やシベリナ王国連合をも巻き込み、一大戦争へと突入した事を報告書に書き記した、エルザ。


 そして、ローラーナ帝国との武力衝突は、更に西方諸国のリユッセル北欧同盟諸国とローラーナ帝国の第一方面軍との大規模な戦争へと突入させしまう。


 ジャンブロー要塞の嵐の前哨戦とも言われる第3万次シュバルツバルド平原戦争は、両軍共に相当な被害を出す物の、リユッセル北欧同盟諸国側の戦勝で幕を閉じた。


 だが、事はそれだけで無かった。


 それから数日後・・・・・・オローシャ帝国とローラーナ 帝国・ゾルモン要塞軍団との大戦争たるジャンブロー要塞の嵐戦役と名付けられた戦い。


 地球海洋諸国連合同盟とシベリナ王国連合との連合軍で構成された、北部大陸間海洋国際平和維持連合軍。


 略称名は北国連合軍の主導による一大迎撃作戦たるザタン・アタック作戦により、ローラーナ帝国のゾルモン要塞軍団とゾルモン要塞は撲滅され、更にはゾルモン要塞軍団と要塞の撤退支援に出たローラーナ帝国・第二方面軍・カリフア大陸方面制圧軍団も手痛い大打撃を受けてしまった。



 ローラーナ帝国に取って、その総兵力の4割もの軍勢の喪失は、敵対勢力へと侵攻計画の見直しを迫られる結果と成った。


 そして、この日は土曜日休日であった為、遥々遠方の亜人族の国家の一つであるデモニュクス帝国・魔族連合国から、異界国家である日本国へとやって来たエルザとリリエの二人の含む、吸血鬼族とサキュバス族のチームで編成された6名から成る秘密諜報部隊であり、日本国内では聖川家を含めた聖マリアンナ女子高等学校に通う女高生達の自宅で潜伏生活をして居た。


 そんな秘密諜報部隊を務めて居る彼女達は、昼間から聖川家の聖川恵梨香の自室に集まったエルザ達。 


 彼女達が集まったのは、日本国政府が重大発表が在ると、その日の早朝のテレビニュース番組に措いて一斉に放送が為された事による物だった。


 日本政府は、テレビ中継を通じて発表が在るとの予告を為し、午前10時30分頃に成ると、日本政府による中継放送が赤坂迎賓館で始まった。


 そして、それは何かと言うとだ。


 日本国とその同盟諸国から成る地球海洋諸国連合同盟が計画して居るある重要な事柄が、赤坂迎賓館にて発表されようとして居た。



 それは西での戦いザタン・アタック作戦により、ジャンブロー要塞の嵐戦役と呼称される事に成った戦いが、ようやく決着が着いた事を契機に、日本政府は2ヶ月近くもの間、伏せて居た重要なある計画を日本国民と地球系諸国の市民達に報せた。


 異世界の反帝国を掲げる主要諸国、何所の勢力にも属して居ない中立国や国家体制を取って居ない部族自治政府地域と接触した地球系諸国が、これからの事に付いての話し合いの場を持ちたい。


 その場所とは?・・・・・題して、アースティア国際大会議・IN・東京サミット。


 略して東京サミットを呼ぶ事にした大国際会議を開くと言う事には成って居るが、地球諸国も異世界諸国と国防安全保障と経済的な結び付きが特に欲しい事も有り、国防安全保障条約と国交開設関連条約を一遍に結ぶには、異世界諸国の元首又は国家代表の招致が絶対に欠かせない。



 二ヶ月近くも、この事実を伏せて居たのは、地球系勢力圏外の異世界国家内で活動して居るマスコミ対策でも有ったからだった。


 ホンの一部だが、地球諸国以外で活動して居るマスコミは、一部だが活動して居る。


 特にコヨミ皇国や最近に成って日本国へと編入された、サクラ・マーメリーア部族と言うマーメイド族達が暮らすサクラ諸島県でも、マスコミによる取材活動を開始して居る。


 其処はマーメイド族の中立国家マーメリア海洋王国に近く、小笠原諸島の役場や国土交通省許可と、サクラ諸島県庁の許可さえ有れば、出入りが自由と成って居るが、今の所は制約付きの限定的であり、防疫と文化保護の目的とした外地からの立ち入りが厳しく制限されて居た。


 分かり易く言うと、ガラパゴス諸島の様な入島検査や防疫処置が、徹底されて居るとも思って貰って良いだろう。


 そんな異世界諸国との繋がりが強い地域で、日本国内と地球諸国の内情や異世界諸国との外交問題をペラペラと喋ったら、一気に噂話として、この異世界中に噂が広まるだろうし、ローラーナ帝国の間諜達も、その噂話を聞き逃す筈も無いと言う理由からだった。


 現に海上保安庁の臨検で、外洋船を臨検した所、ローラーナ帝国の間諜者も居たらしく、第二次龍雲海沖海戦が起きてしまう一因と見られて居る。


 この事から日本国政府と交援省は、徹底した防諜処置と情報統制を行う事で、情報の漏洩に新家を尖らせる様にして対策を取って居た。


  そんな理由から東京サミット自体が秘匿されるべき内容であり、日本へとやって来る異世界諸国の首脳陣や使節団の身の安全を守る事に繋がる。



 そう言われれば、日本国民も地球諸国の国民達も、更にマスコミ関係者達すらも納得するしか無いと言えた。



 その東京サミット開催に向けて赤坂迎賓館で開かれた地球連合先進5ヶ国首脳会議。

 

 この世界での今後の行方を如何するかが、主なが議題内容と成って居たが、それは表向きの建前だった。


 日本へと向かう筈の異世界国家の首脳陣達が、ローラーナ帝国との偶発的に起こった戦争の為に、サミット開催が何時に成るのか決めらずに居たからだ。


 地球連合先進5カ国首脳会議の開催期間中には決着が着くとの見立てから、数日の間たけ他の議題でお茶を濁しながら5ヵ国の首脳達は事が終わるのを待つ事にして居た。


 そして、最後の戦いであるジャンブロー要塞の嵐戦役が終結した事で、地球連合先進5カ国首脳陣は、東京サミット開催と告知に対してGOサインをようやく出せたのであった。



 聖川恵梨香の自室に在るテレビに、エルザ達一同は、注目する。



 彼女達は日本国の総理大臣である安元総理の発表を聞き逃すまいと、テレビ中継の安元総理が、何を言うのかをDVDデッキのハードディスク内に記録もして居た。


 後でパソコン等の機材を使って編集し、持ち帰る予定のDVDデッキやパソコンを使って、故国のヘレナ・ザタニキア・パンデモニウム魔皇帝にも見せる事にして居た。


 他にも専門業者を通じて小型ソーラーパネルの入手したり、発電機もホームセンターで買い入れて居た。 


 世界の事態が急変し、新たな動きを始めたと見たエルザは、これを契機に帰国準備を進め始めて居た。


「始まるわ。」とテレビ中継を見つめるエルザは、真剣な目付きで、テレビを見ていた。


 そんなエルザが見つめる先のテレビ画面には、安元総理が壇上の前に立って、視聴者達に語り掛け始めた。



「8月中旬から10月までの期間に措いて、アースティア国際大会議・IN・東京サミットを開催する事を地球系諸国に住まう、全ての国民の皆様にお伝えします。」


 パシャ、パシャ、パシャ、パシャとカメラのフラッシュ音を鳴らし、安元総理はお茶間に向かって、東京サミットを開催する事を高らかにこの異世界中に向けて宣言をした。


 安元総理の後ろには、地球の本国と決別し、新たな新生アメリカ合衆国として出発する事にした、アメリカ合衆国の大統領のジョーンズ・ベクター大統領。


 ウラジオストク市周辺とオホーツク海内の島々やカムチャッカ半島を国土として独立する事にした、ロシア共和国のジェーコブ・フロスキー大統領。


 転移災害によって中華人民共和国とは完全に決別する事が出来た事で、改めてアースティア世界に措いて、地球系世界諸国から独立国として承認され、真の独立国と成った、台湾共和国のユンファ・リー総統。


 台湾は中華民国だったが、新たな異世界へと来てしまったと言う事で、心機一転する意味を込めて、国名を台湾共和国とする事にした。


 イギリスのフォークランド諸島を中心としたEU諸国の離島や軍基地等国土が転移してしまった事で出来た、欧州諸島連合国は、各国内で大統領選挙と欧州諸島連合国議会議員選挙を行った。


 その選挙で国家代表とEU議会議員が定まると、続けて各国家代表の中からEU大統領を決めるEU大統領選挙が行われた。 


 その選挙で決まったのが、EU大統領兼イギリス共和国議会・国家代表首相であるクラリス・エリントン。


 その彼女の周りには、欧州諸島連合国の国家元首達が居並んで居た。


 欧州諸島連合国はたくさんのヨーロッパ系の小国家諸国の集合体国家である為に、全ての国家代表が、この会議に参加して来て居た。


 それにゾルモン要塞軍団の撃滅作戦及びザタン・アタック作戦にも参加して居るので、ある程度の発言権を有して居る故に、この首脳会議に参加して居るのである。


 先に行われた地球連合先進5ヶ国首脳会議で議題に成って居た、東京サミットの日程調整が済んだ事を正式に、地球系転移国家の勢力地域の全域に伝える為に、彼らは居並び立って居るのだった。


 会議の終了の四日前に成って、今年からアセアン議長をして居るタイ王国の首相と経済的に有利なインドネシア大統領が、アセアン諸国地域の主要国の一つとして招かれだが、これは経済と軍事に付いての話し合いをする為に、他のアセアン諸国に先駆けて、この二か国が先遣隊として来て居た為である。


 また東南アジア諸国の全部が、準備段階で全員で押し掛けたら大事に成ると言う観点から、東南アジア諸国連合事務総長がオブザーバー枠として、東南アジア諸国の代表として日本へと現れ、他の先進国に対しても物が言えて居る事を喧伝する為に、サミット開催発表の場に、先進5ヶ国の首脳らと共に立って居る。


 アセアン議長の議長は、国別のアルファベット順に持ち回りで加盟各国の首相又は国家元首が、ASEAN会議での議長に就任する事に成って居る。


 そして、東南アジア諸国連合の事務総長は、5年間のアルファベット順のローテーションに基づいて、ASEAN加盟国の国民の間で選出されたASEANサミットによって任命される。



 東南アジア諸国からやって来た、この3名は、東京サミットへの先遣隊であり、サミット参加への地均し為に、日本へとやって来て居るのだ。




 更にこの演出は、当初から予定されて居た、既定路線でもあるのだ。



 それは東京サミットが決まって居ないのに、東南アジア諸国の代表団が現れるのも、何か有るのではと勘繰られる恐れがあり、各国の政府首脳しか知らない機密事項であるサミット開催をマスコミ等に漏らす様な真似が出来ない。


 それなので日程のギリギリに成ってから日本へと来てもらう事が事前の話し合いで決められて居た。



 万が一、フリージャーナリストにサミット開催の事を素っ破抜かれても、東南アジアの代表団は、首脳会談に来ただけと良い訳を通す為の方便用のカンペを用意されて居たが、如何やらそれは杞憂に終わったらしい。

 

 また、2021年頃にクーデター事変が起こったミャンマー連邦は、国民連合政党を中心とした各武装部族勢力が徹底した軍事政権に抵抗続けて居たが、アースティア世界に異世界転移した事により、裏で暗躍して居た中華人民共和国とロシア連邦から独自の支援が途切れた。



 その事で日本国・アメリカ合衆国・EU諸島連合国・ロシア共和国・台湾共和国・ASEAN諸国から最後通牒が、ミャンマー連邦軍事政権に通達された。



「さっさと国民連合政党を中心とした民主政権に交代しろっ!!しないと・・・・・どうなるかな?」ってな具合の通達文が送られると、ミャンマー連邦軍総司令官は真っ青な顔付き成ったと言う。


 中華人民共和国とロシア連邦から受けて居た、独自の経済・軍事支援が消え去ってしまった事で、今まで通りのデカい顔が出来ないからだった。


 それが5月の半ばに降伏に近い形で政権移行が為され、ミャンマー連邦の国民達は民主化を達成した事を大喜びで祝ったと言う。


 総司令官と軍幹部。それに加えて甘い汁を吸って居た者達等は、その後日本国・アメリカ合衆国・EU諸島連合国・ロシア共和国・台湾共和国・ASEAN諸国による合同裁判法廷が開かれる事に成り、各国から派遣されて来た、裁判官による裁判所での裁判に措いて、今までやって来た事のツケを支払わされる様な手酷い目に遭ったとか。


 それはさて置き、安元総理の演説は続く・・・・・・・・・・・



「サミットの日程として、国際合同軍事演習会・国際サミット・日本国内視察、企業交流会・学術文化交流会の五つを予定して居ります。」


「また、この度は地球から転移国家して来てしまった国家群は、地球海洋諸国連合同盟を結成し、地球時代の国連に代わる国際議会の交流の場にしたいと考えて居ります。」



「ふーん。日本国を始めとする諸国は、何処の勢力にも属して居ないとアピールする狙いが在るようね。」


「その様ですね。」


「これで何所か一カ国だけが、我が祖国などのアースティア世界内の諸国と単独でその勢力圏内に、取り込まれる事を防ぐ事が出来るわ。」


「軍事力・経済力に措いて、一大勢力圏が誕生した事にも成りますね。」


 エルザ達が関心して居る日本が、提案した地球海洋諸国連合同盟と言う国際議会組織は、単純に言えば地球転移国家諸国の寄り合い会議所の様な物である。



 このアースティア世界に措いて、シベリナ王国連合・リユッセル北欧同盟・ミンフィル王国東南諸国同盟・アセニア亜人連合同盟・デモニュクス帝国・魔族連合。 


 アマラーラ王国・アマラーラ半島地方首長連合・西方バルバッサ帝国同盟・等の連合同盟と言った物の国家間同盟議会が数多く存在して居る。


 色竜人族の集まりや、その他の大小様々な中立国同盟会を含めると、10以上もの連合同盟組織が在ると言われて居る。


 地球諸国が自分達の寄り合いグループを作ったのも、名無しの余所者集団では色々と問題や舐められる心配も有るし、引き抜きや取り込みすらも、多々あると思われるので、これは言わば名目上のグループ組織であり、他の勢力に呑まれない為の保険の様な物であった。


 お互いにガッチリと古い友達同士でタッグを組んで居れば、如何なる異世界諸国の勢力でも、簡単には手を出し辛いと言う訳だ。


 ローラーナ帝国からすれば、東の果てにシベリナ連合以外にも、更なる大きな力を持った、一大勢力の連合同盟諸国が団結結成した事に成る。



 ローラーナ帝国は、これまでの戦いで、地球系諸国をかなり刺激をし過ぎた行動を取ってしまった。


 危機感を抱いた地球系諸国の各国は、一致団結して、ローラーナ帝国と戦う事も辞さない覚悟を決めた事にも成ったと言えた。


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