外伝44話 新たな時代へと動き出す亜人国家っ!アセニア亜人連合同盟の者達っ! 1

 アースティア暦1000年 ・西暦2030年・7月上旬某日・アースティア世界・アセニア地方・アセニア亜人連合同盟勢力圏・ユグドラシル大陸・アセニア亜人連合同盟加盟国・アルブヘイム王国・首都・王都ユグドラシル市・アセニア亜人連合同盟総会議会場にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 アースティア世界・アセニア地方は、ユーラシナ大陸から東へ1万キロ以上も離れた絶海の亜大陸や群島等の島々から成り立って居る地域の事である。



 其処は昔から、その地域に住まう種族やローラーナ帝国との大戦争で、ユーラシナ大陸とカリフア大陸等の含めた大陸・島諸島・亜大陸と言った地域に住んで居た者達が、故郷を終われた亜人族として知られて居る。


 そして、其処は故郷を追われた亜人族を中心としたヒト族が住まい、ローラーナ帝国と西方バルバッサ帝国同盟勢力圏からの圧力による影響を受け付けも、寄せ付けもさせない地域として、アースティア世界では知られて居る最後の楽園とも言うべき地方である。



 世界に覇を唱えんとするローラーナ帝国が、何故アセニア地方に対して、その魔の手をが出せないと言うのは、その周囲が絶海の孤島とも言うべき海に囲まれた海域であり、近くに大きな大陸も人が居住できそうな島々が無い事とアセニア地方まで航海が出来るだけの船足に優れた陸海空の船舶が無いからであった。



 その様な理由から、アセニア地方を目指す亜人族たちらは、戦火から逃れるべく、先に逃げ込んだり、元々定住して居た、同胞種族の伝手を頼って、逃げ延びて来る者達が多く居た為、アセニア亜人連合同盟と言う中立国家勢力圏が誕生する事にも成ったのであった。


 そうした諸事情により、ユーラシナ大陸西部で始まったアースティア大戦の勃発して以来、この連合地域は、一貫して中立国を謳う事で、ローラーナ帝国から攻め込まれ無い様に、これまで外交努力をする事に努めて来て居たと言う訳である。




 だが、この年の春先にユーラシナ大陸東部地域で起きた天災である時空転移が、600年もの長きにわたる閉塞感の在った、中立平和の時代を根底から壊す事態と成ってしまう。


 それは地球世界より、異界国家とその地域たる島々を国土に持つ、日本国や東南アジア諸国と言った国々が、アセニア亜人連合同盟勢力圏の北西部側に現れた事である。


 これによりユーラシナ大陸東南部から、船を使って拠点を各地に作り上げ、ローラーナ帝国と西方バルバッサ帝国同盟勢力圏から、一気にアセニア地方へと大量に兵力が送れる事が可能と成ってしまうからだった。


 それと同時に慌てて居るのが、アセニア地方から更に南へと至る地域である魔族と呼ばれる数多の種諸部族から成り立って居るデモニュクス帝国・魔族連合であった。


 彼の国もローラーナ帝国と西方バルバッサ帝国同盟勢力圏と地続きと成り兼ねない、この天災によるアースティア世界情勢の変化に伴い、外からの脅威に備えて活発的に動いて居ると言う。



 アースティア暦1000年・5月上旬に、マーメリア海洋王国の女王であるメリー・サクラン・ブロッザム・マーメリアは、実家であり、故郷であるサクラ諸島のサクラ・マーメリーア部族のマーメイド族が、時空転移でこの世界へと現れた日本国なる国家による統治下体制へと入る事を決めた事を知る。


 その真意を確かめる為に帰省した際に、メリーは日本国政府の視察団が来ると言う出来事と偶然にも遭遇し、日本国との接点を持つ事が出来た。



 日本国は小笠原諸島でのサクラ・マーメリーア部族を引き網漁での捕獲してしまった出来事から、サクラ・マーメリーア部族と接触を果たす。


 当初はマーメイド族が海を泳いで居る程度の認識であり、同種族をどうこうする事も考えも無かった日本国政府だったが、サクラ・マーメリーア部族は、日本国が在る地点が、コヨミ皇国などへと向かう渡り航路であった為に、その海域を通過するには、日本国内の九州地方か津軽海峡を回る必要が有った。


 だが、其処で彼女達は気が付く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・無理して、戦火が近付くユーラシナ大陸やコヨミ半島へと渡るよりも、日本国で結婚相手を探すほうが格段に楽じゃない?ってね。


 しかしながら、日本国に取って、サクラ・マーメリーア部族の居るサクラ諸島が在る海域と言うのは、外国に近い扱いの外地である。


 そう簡単には、入管法の観点から、簡単には入国を許す訳が無いとの話に成ってしまう。


 だったら日本人に成りたいから、サクラ諸島を日本国の国土に編入してよっ!ってな話に成った。


 前例のない前代未聞の行き成りの話に、如何したら良いのかと戸惑う日本政府であったが、国土や領海が増えるのは国としては、大変に嬉しい限り話なのだが、色々と問題も山積みと成った。



 似た様な地域が日本国内の地域と異世界転移してしまった際に国土が融合化してしまった為に、その扱いを一体、如何したら良いのかで、各党派閥の議員達や関係各省庁の官僚達は揉めてしまう。


 其処で交援省大臣である高見竜史は「別に良いんじゃないの?」と言う一言で、荒れて居た会議は、閉塞感を吹き飛ばして一部反対する者が居る中で、全ての亜人族居住地域の日本国内への編入を決定した。



 その結果、サクラ・マーメリーア部族は日本人と成り、アイヌ民族・琉球人(沖縄)と言った人々以外の前例を覗いて、日本国の有史以来初めてとなる日本国籍を持つ事と成った異種族亜人族としての道をスタートさせたのであった。


 これには日本国独自のオタクサブカルチャーによる萌え文化が根付いて居た事も、偏見と言う概念が薄いので、この手の編入問題を解決した一助と言えるだろう。


 因みに国内では人魚姫の童話が架空の物語に過ぎず、リアルな人魚達の生活や慣習は、実にラノベ小説に在る様な設定を持った物で、アダルト系創作物に近い、実に生々しい物である事がニュースで報道されると、小さなお子様への人魚関連の童話冊子の売れ行きが悪くなった事を付け加えて置く。


 さて、マーメリア海洋王国の女王であるメリー・サクラン・ブロッザム・マーメリアは、サクラ諸島での日本国亜人族地域の視察団との会談での話で、アセニア亜人連合同盟と橋渡し役を引き受ける事を申し出て居た。


 メリーは、アセニア亜人連合同盟に所属する各諸勢力の種部族をユグドラシル大陸・アルブヘイム王国・首都・王都ユグドラシル市・アセニア亜人連合同盟総会議会場へと招集させて居た。


 この日、王都ユグドラシル市には、アセニア亜人連合同盟に加盟する南北太平洋のアセニア各地を中心とした地域に住まう各地の亜人諸部族の代表達。


 エルフ・ドワーフ・獣人・人魚・龍人・妖精・ホビット・巨人・翼人・魔族(外地魔族人)の人に近い姿をした種族の長達とその幹部と文官・武官らが、メリーの呼び掛けに集まって来て居た。


 その会議に逸早く現れたのは、ドラグリア白龍大帝国のエリノア・ドラグリアとも深い繋がりの在る竜人部族であるブルーアクーアドラグリア族・海底竜王国・族長兼青龍帝・アミリア・ブルーアクーアドラグリア。


 青龍帝と呼ばれ、日本国から東へ4万キロ、マーメリア海洋王国から東へ6千キロ地点に在るというブルーアクア・アイランドラ諸島と青海底洞窟成る地域に住まう色竜族の一角である水と氷を操る青竜人族と青竜族達の族長である。


 その姿は四聖獣の青龍と瓜二つの姿をしており、人化すると濃い群青色をしたロングストレートヘアーで、鹿の様な角を生やしたボッキュンボインな母性愛溢れるお母さんの様な女性の姿をして居た。


 着て居る服はコヨミ皇国形式の和装風の服で、着崩した着方を好んで居る為か、それは常に、実にけしからん爆乳の谷間が際立って揺れて居た。



 次に到着したのは、黄龍人族と呼ばれる竜人族を率いて居るエクレール・サンダース・ドラグリアと言って、竜としての姿は典型的な羽と強靭な身体付きをした黄色の竜である。


 人間体としてのその容姿は、碧眼の金髪セミロングヘアーで、10代後半の女暴走族風の出で立ちをして居る竜人族。


 黄龍雷帝とも呼ばれ、雷撃魔法を得意とする荒ぼっい性格の集団の竜人族として知られ、ユグドラシル大陸の南東上空の位置している天空の浮遊大陸、サンダース浮遊亜大陸群を支配するサンダース天帝雷空部族国と言う独自の部族国家を統治して居る。


 因みに色恋沙汰には初心で恥ずかしがり屋な性格をして居るが、恋には一直線な性格で、とことん尽くすタイプの性格らしい。



 最後に緑風龍帝と呼ばれる緑風竜人族の長であるリーファ・フォレストウィンド・ドラグリアが会場入りする。


  緑風竜人族達は、風の力を操る事が得意とし、本当の種部族名をフォレストウィンド・ドラグリア族と言う。


 住まいはユグドラシル大陸の更に東に位置して居るウィンドミル連峰山脈亜大陸は、陸地の大半が険しい渓谷地帯と山脈地帯で成り立って居る厳しい環境下で暮らして居ると言う、変わった所に住まう竜人達で、かつては渡り鳥の様な生活史を持って居たらしい。


 一年間の大半を同地方より、外地で子作りの為に他種族や同胞の男性竜人族との交配繫殖活動に費やし、子育ての為にウィンドミル連峰山脈亜大陸に戻って来る生活をして居る。


 だが、ローラーナ帝国の身勝手な世界征服戦争が始まってからは、好き勝手に渡りが出来なく成ると、反帝国同盟諸国の地域にしか行けなくなってしまった。


 その為、 彼らはウィンドミル連峰グリーンウィンド・ドラグリア部族国を仕方なく建国し、 半年間に一度か、又はそのま住み続ける事が多く成り、人口問題や食料自給率問題が浮上してしまって居る。



 緑風竜族の人達は、クールビューティーな性格で、人間体の時は武器を使った武術を好んで居る武闘派種族。


 リーファ・フォレストウィンド・ドラグリアは、羽を生やした首長竜型の竜形態と緑色の頭髪ポニーテールと引き締まった体型を持ったクールビューティーな美人さんの人間体形態をしていた。


 続いて議会場入りして来たのは、アルブヘイム王国のエルフ族連合の今代の国王に就任して居るシルフエルフ族の族長、ユグノート・シルフィードである。


 アルブヘイム王国は、ユグドラシル大陸内に複数あるエルフ族連合の部族連合体であり、定期的に部族長が王位継承選挙を行って政権を担って居る。


 地球風の例えて分かり易く説明するのならば、アラブ首長国連邦の様な近い政体を持って居ると言えば良いかも知れない。


 ユグノートは爽やかイケメンと言った感じで、少々長めの金髪ロングヘアーと白い肌色をして居るやや背丈が高い人物であった。



 エルフ族に付いて説明すると、複数の部族と王侯部族が居て、多数の政体を持った国家が現存する。寿命は数千年と言われて居るが、事故に病気や戦災で命を落とす事も有るので、実際の寿命は分からないし、正確な記録も無い。


 主な種族はダークエルフ族・シルフエルフ族、イフリートエルフ族、ウンディーネエルフ族、ノームエルフ族等と種族多岐に渡る。


 この世界で一般的にエルフ族と認識されて要る代表格は、シルフエルフ族と言われて居る。


 なお、シルフエルフ族の女性は、その殆んどがCカップ以下のバストサイズが多く、ダークエルフ族・イフリートエルフ族、ウンディーネエルフ族等の女性らは、Dカップ以上のバストサイズを誇って居ると言われ、たわわに実る豊満な果実が無い、シルフエルフ族の女性は、他のエルフ族の女性達を羨む事が多いらしい。


 中には、どこぞの素晴らしい世界を担当する女神様の如く、胸バットで誤魔化して居るらしい。


 「シルフ族の胸は、パット胸えええええぇぇぇぇぇーーーーーーーっ!!!!」なんて言う冗談を言う事も在るらしい。



 次にやって来たのは、ロックアイランド亜大陸に住まうドワーフ族の連合国であるドワーフ部族連合国の者達である。


 その大地の殆んどが、鉱物資源を含んだ山々で連なり、地下へ地下へと掘り進んだ都市がドワーフ族達の住みかと言う大地を丸ごと開拓した開拓国家の大陸。



 此処を今現在統治して居るのは、アルゴ・ガルスタンという小柄で屈強な強面の風貌の在る顔立ちをして居る髭オヤジの部族長が現れる。


 アルゴは武断派でありながらも、自らも職人として様々な物を作り上げる事に務めて居る。


 この国では主に鉱山を開拓して様々な工業製品を売り出している国。山脈地帯と盆地地帯や地下洞窟に住みながら、工廠商会を中心とした職人社会で、鉱山から取れた地下資源の鉱物を用いた加工品や鉱物素材を輸出する事で経済を支えている国。


 そんな彼の政治手腕のお陰で、シベリナ連合等の国々を始め、多くの国々との工房品が取り扱われ、様々な品々が高値で取引きされて居る。


 ドワーフ族は、平均寿命が300歳前後で、身長が145センチから160センチ前後と小柄な背丈とドップリとし体型に筋肉質な身体つきである。


 とても勇敢で強靭なパワーと手先が器用な事で知られていて、主に鉱山と併設された都市や地下都市を築いて暮らしている。鍛冶工房等で作られている工業製品は一級品と言われて居る。


 ドワーフ族達が入り終わると、その他の少数亜人達が入り、最後に現れたのはジャパリンランド獣人部族連合国と言う複数の獣人族だけで構成された種部族連合国家である。


 獣人族が住まうと言うジャパリランド大陸は、各部族が平和に暮らして居るらしく、ケモノは居るが除け者は無いと言う、とても平和な土地柄で、何時もドッタンバッンと大騒ぎとかして居たりしている。


 殆んど他の人族が足を踏み入れていない土地で、物好きが探検した事の在る人物による書物くらいにしか、彼の国の諸情勢を知る事は出来ないと言われて居る。




 だが、此処で一つだけ注意する事が有る。



 彼の土地から帰った者達は、ケモナーとか言う精神の病に掛かると言われて居る。



 主な種族として、犬獣人族・狼獣人族等と言った犬系獣人族。


 猫獣人族系として、町猫獣人族・虎獣人族・獅子獣人族・豹・チーター・ジャガー・ピューマ・山猫獣人等と多岐に渡る。


 他にもアザラシやオットセイ型の海獣人族。ゾウにクマやシカに牛にヒツジにウマなんかも居て、中には鳥やリザードマン(水トカゲ族)なんかも居て、種族数を上げるのならば、この世界でも指折りの種族数を誇って居る。


 そのジャパリンランド獣人部族連合国の連合議長を務める人物なのが、レオン・ブライアンと言う獅子獣人族の族長である。


 威風堂々とした獣人族達の王とでも言うべき風格のある鬣を持った獅子獣人であった。


 ブリリアイランドキングダム王国  


 アセニア亜人連合同盟内に在る最も東の果てに在るメイプルシロップランド大陸と言う地域内に、多種多様な妖精族達が暮らして居る多種多民族王制国家のこと。


 その陣容は多彩で、ヒト型タイプから獣人・無機物・植物等々と言った感じに、これと言った法則のない変わった進化を遂げた種族である。


 妖精魔法と言う人間族・亜人族達が扱う魔法とはチョッとだけ違う変な魔法を扱う事で有名な所で在る。


 現在は妖精人族ウィステリア王家の正統血筋たるラティファ・ウィステリアが成人した姿と成るまでアーシェ・カムルン・アーカーイム宰相が政務を取り仕切って居る。



 円卓テーブルの会議場にそれぞれの地域の元首や閣僚等が席に付くと、アセニア亜人連合同盟総会が始まる。


 因みに、此処で話に上がった、アセニア亜人連合同盟総会とは?


 アセニア亜人連合同盟に加盟する国々の国家元首や専属大使らが、国際会議を開き、世界情勢や同盟内に付いて共同で行う政策を話し合う会議場のことで、地球世界で言えば、国連総会に当たる。



 アセニア亜人連合同盟総会の議長は、会議を持ち掛けた本人が務めたり、又は持ち回り制なので、今回は招集を掛けたマーメリア海洋王国の女王であるメリー・サクラン・ブロッザム・マーメリアが務める事に成る。



 アセニア亜人連合同盟総会議場に、主だった国家元首の面子が揃い、指定されて居る議席に付いたと見たメリーは、開口一番に口火を切って話し始めた。


「この度は急なアセニア亜人連合同盟総会の招集にお集まり頂き、誠にありがとう御座います。」


「今回、皆様にお集まり頂いたのは、今年4月にユーラシナ大陸東方地域を中心に発生した時空転移現象により、600年振りに異世界から新たな異界国家が、このアースティア世界へと出現をしたと言う事が確認をされました。」


「付きましては、これらの国家に対する今後の方針をどうするべきか?を取り決めたいと思います。」


「そして、我が国としては、この度ひょんな事から、異界国家の一カ国と、とある伝手が出来ましたので、その伝手を用いて、異界国家の国々とのあらゆる分野での交流を目的とした国交樹立に向けた会談の場を設ける事も可能である事もお伝え致しします。」 


「なんじゃと?アセニア亜人連合同盟総会に報告も碌な根回しも、外交手続きをせぬうちに、その様な勝手をしおってっ!!もし、あのローラーナ帝国に、その事が知れたら不味い事に成り兼ねんぞっ!」


「その通りだ。厄介事は困る。」


 ドワーフ部族連合国の部族長であるアルゴ・ガルスタンとジャパリンランド獣人部族連合国の連合議長を務めるレオン・ブライアンの二人が、厄介な案件を持って来たと、メリーの事を煙たがる物言いを言い出す。



「まあまあ、お二方達も、そう邪険に為さらなくても。」


「メリー殿は、何も我々に不利に成る様な案件を提案している訳では無いのだ。此処はメリー殿のお話を最後まで聞きましょう。」


 アルブヘイム王国のエルフ族連合の今代の国王に就任して居るシルフエルフ族の族長、ユグノート・シルフィードが、白熱し始めてしまう所を上手く間に入り、事を収めて見せた。


 亜人族連合の国々と諸種部族達は、ローラーナ帝国の迫害や争いを避け、逃れたいとして居る者達が寄り集まって出来た同盟連合なのだ。


 獣人族は迫害や奴隷狩り等から帝国とは敵対する事は避けたいとして居るし、ドワーフ族達は帝国との貿易と外交の観点から争いを・・・・・・・・ぶっちゃけて言えば、戦争へと突入する事を避けたいと思って居るのだ。


「お二人の懸念は、異世界より現れた新たな転移国家の国々が、ローラーナ帝国と敵対的である事を懸念して居られる事から、不用意な接触は避けるべきだとお考えなのですね?」


「ああ、その通りだ。」


「ワシもレオン殿も、独自のルートを通じて、異世界より新たに転移して来た異界国家群の情勢に付いても、少しばかりだが知り得て居る。」


「その情報筋に由れば、転移して来た異界国家群中でも二ホン国なる異界国家は、既にローラーナ帝国と開戦し、一方的に勝ちを得てしまって居るらしいのじゃっ!!」


「そして、昨今二ホン国が反帝国同盟諸国と連絡を取る為に送り込んだ海軍艦隊を中心とした艦隊が、今正に彼のローラーナ帝国と一大開戦に及ぶとの話だ。」


「これは非常に不味い事態と言えるのじゃっ!!」とドワーフ部族連合国の部族長であるアルゴは渋い嫌そうな顔付きで言った。


 その言葉に続くようにして、ジャパリンランド獣人部族連合国の連合議長を務めるレオンが言葉を続けて行く。


「俺もそう思う。何方かが勝とうが負けようが、我らは預かり知らなぬ所であるが、ローラーナ帝国とは、決して敵対する事は絶対にっ!!有って為らないのだっ!」


「メリー殿。貴女が得た伝手とは、恐らくは二ホン国の事じゃろう?」


「貴国の在る海域は、地図上で見れば、二ホン国が転移して来た海域と接して居るし、何よりも貴女の妹殿が住まわれて居るサクラ・マーメリーア部族が独自の統治をして居るサクラ諸島も在る筈じゃっ!!」


「大方メリー殿の実家から何某かの報せが在り、その相談を受けた時に伝手を得たのであろう?」


 ドワーフ部族連合国の王であるアルゴは、商取引関係で得られた世界各地から知り得たあるゆる情報を多角的に精査分析した結果から来る推察で、メリーの伝手の出所を言い当て見せた。


「その通りですわ。流石はアルゴ殿。ドワーフ族の商取引網から得られた情報を使い、見事に言い当てられた。」


「これから説明を終わってから、議会提案を提示する積りでしたが、私はマーメリア海洋王国女王と人魚族の宗主国代表として、此処に日本国を始めとする異世界国家群との国交樹立に向けた国交開設交渉計画案をアセニア亜人連合同盟総会の議会案として、本会議に提出し、本日中に議決したいと考えて居ります。」


 言い当てられたメリーは、平然としながら相手を褒めつつ、冷静に事を進めて行く事を決意する。


「それは何と性急過ぎるのでは無いのかメリー殿。」とレオンは言う。


 そして、それを援護射撃するかのようにして、アルゴは更に自分達・・・・反対派の主張話を続けて行く。


「それに異世界より現れた二ホン国なる国が、実力にしろ、まぐれにしろ、ローラーナ帝国に、戦で勝ってしまって居るのは、何れ二ホン国がローラーナ帝国との全面戦争へと突入する事は明白じゃっ!」


「故にジャパリンランド獣人部族連合国とドワーフ部族連合国は、二ホン国とそれに連なる異界国家群との関わりは、最低限の物とし、極力関わらない方向を提案する。」


 メリーが日本国を始めとする異界国家群と本格的な国交樹立に向けた外交交渉をするべきとの提案に対して、先ず最初に本格的な本題に入る前に、真っ向からの反対論を唱えたジャパリンランド獣人部族連合国とドワーフ部族連合国の二か国からは、反対票が2票投じられた。

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