外伝38話 ミンフィル王国東南諸国同盟編 魔神賢王と呼ばれた男 9
アースティア暦998年 ・8月12日・午前9時38分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸東南部・レノア地方北西部・クララ地方・クララ平原地方・クララ王国・王都コーチン・ステナント市・レノア地方東南諸国商業連盟条約軍各戦線にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
戦端が開かれてから凡そ一時間が過ぎたが、両軍戦線は市内へと移り変わり、市内の周囲を防壁で取り囲まれた王都・コーチン・ステナント市の東西南の正城門を突破したレノア地方東南諸国商業連盟条約軍は、市内でゲリラ戦を挑んで来るジーク・新クララ王政府軍と交戦を開始する。
西城郭正門を突破したセラルーノ王国軍5千人と レノア中央都市国家連合軍2万人は、王都・コーチン・ステナント市の西大通りを中心とした狭い街路で、槍部隊同士の激しい刃同士のかち合いが繰り広げられて居た。
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少しでも広い通りであれば、槍隊同士のぶつかり合いで、全ての小道から大通りの通りでは、槍持った兵士同士がごった返して居た。
「くっ!!野戦や森林戦に戦い成れた我がセラルーノ王国軍では、この戦は苦手とは言い切れませんが、これでは完全に膠着状態に陥ってしまったようですね。」
「一体、如何したら・・・・・・・・」
水竜騎士団を率いて、空から自国軍の指揮を執って居たセラルーノ王国の第一王女にして、セラルーノ王国・水竜騎士団長であるラピリオス・サハリンラードこと、ラピスは、兄であり、セラルーノ国王でもあるイザーク・サハリンラードの名代としてこの戦に参戦して居た。
しかしながら、ラピスとセラルーノ王国軍は、自国でバジリアナ王国を相手取った市街は稀な事であった事から、決して手慣れて居るとは言い難い市街戦の難しさに苦労して居た。
セラルーノ王国軍は、野戦を含めた自然地形を巧みに利用した戦いに優れ、戦い慣れて居たが、今日の様な大規模な大都市圏での市街戦での戦経験は、殆んど無いと言っても良かった。
其処へ、レノア中央都市国家連合で、最も東に位置して居る交易都市・クラ市国のクラ市国都市警備隊を率いてこの戦いに参戦し、レノア中央都市国家連合軍の総指揮を任され、警備総隊長と言う役職に就く事に成ったミシェル・クルート警備総隊長から、伝言を預かったと言う部下が現れた。
「ラピス様。ミシェル警備総隊長からです。」
「ミシェル殿から?」
「はい。其れに由りますと、ラピス様指揮下の水竜騎士団に敵の後方を突いて貰いたいとの事です。」
「・・・・・・なるほど、それは妙案ですね。」
「我が国の歩兵軍の指揮は、私に任されたしとの事であります。」
「了承したと、ミシェル殿に、お伝え下さい。」
「はっ!!」
ラピスはミシェルの作戦に乗る決意を固め、自国軍の歩兵軍の指揮権を彼女に預けて、敵軍の後方へと回り込む。
今までは、自軍の指揮に忙殺されて居た為に、好き勝手な突撃攻撃に打って出られずに居たらしい。
それにレノア中央都市国家連合は、都市国家の連合国。市街戦は手慣れた物であり、歩兵軍戦術は、この地方では大国にも劣らない実力を誇って居るのだ。
指揮官としての枷が外れた彼女と水竜騎士団500騎は、敵の背後にウォーターブレスを撃ち放った。
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「喰らいなさいっ!!ウォーターブレスっ!!」
水龍とは、河口から内陸の水辺で暮らす龍種の事で、首長竜と体の青い羽の生えた種類の事を指して居る。
ラピスが指揮する水龍騎士団は、首長竜タイプの龍種を使用して居た。
その水竜の口から、膨大な量の水が吐き出され、ジーク・新クララ王政府軍の歩兵軍は大混乱と成った。
背後て水圧放水、正面からは的確に指揮されて居る歩兵軍による長槍による突き攻撃。
これでは堪ったもので無いと言える状況に成ってしまった、ジーク・新クララ王政府軍の兵士達は、次第に次から次へと将兵達が倒れて行き、その数を減らして行く。
「もう、良いでしょう。放水止めっ!!」
ラピスは頃合いを見計らって、水龍達の放水を止めさせた。
「今ですっ!!全軍突撃せよっ!!」
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ミシェルは、セラルーノ王国軍とレノア中央都市国家連合軍の連合軍に対して、止めを刺そうと、両軍に突撃命令を下した。
ジーク・新クララ王政府軍は、セラルーノ王国軍とレノア中央都市国家連合軍の連合軍の連携攻撃作戦を受けた事により、西大通りから総崩れを起こし、同時期に東大通りと南大通りからも味方勢が時を同じくして、敵軍を打ち崩したらしく、怒号の声を張り上げつつ、王城コーチン・ステナント城に向かって雪崩込んで行くのであった。
アースティア暦998年 ・8月12日・午前10時18分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸東南部・レノア地方北西部・クララ地方・クララ平原地方・クララ王国・王都コーチン・ステナント市・王城・コーチン・ステナント城内にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
どの世界で有ろうとも、攻城戦とは実に悲惨な戦場であると言えよう。
それは敗戦が確定して居る事が、殆んど占められて居る。
攻城戦で助かるには、味方の援軍が必ず在る事と逃げられる安全な場所が在る事だ。
その何方も無いと成れば、死を覚悟するべきと言える。
クララ地方事変戦役を引き起こし、クララ地方を我が物にせんと画策するユーラシナ大陸東南部・レノア地方の雄であるカレールーナ帝国の思惑に乗ってしまったクララ王国の継承権第二位の権利を持って居たジーク・クララ・クオッシュ王子。
彼は王城コーチン・ステナント城内の謁見の間に集まった、クララ王国新王政府軍の幹部達と供に、一階の階層から迫り来る死神の靴音が迫って居た。
「ぐぬぬぬぬっ!!予もや成り上がり簒奪王ごときに、この俺が此処まで追い詰められようとはっ!!」
「ジーク様っ!!最早これまで御座います。」
「此処は姉君さまで在らせられるニルカーナさまに・・・・・・・・・・」
「今更どの口と面で、降伏を言い出せると言うのだっ!!」
「今も味方の中には、俺の目が届かない事を良い事に、続々と降伏して居るとの報せが届けられて居るっ!!」
「その様な恥知らず者事などっ!!今はどうでも良いでしょうがっ!!」
「此処を切り抜けられば、きっと戦況を巻き返せるっ!!」
「その通りだっ!!反撃の機会を伺いつつ、態勢を整えて反転攻勢へと転じるべきだっ!!」
「今さら降伏なんぞっ!!言うのは、殿下への忠義心への冒涜であるぞっ!!」
「恥を知れっ!!痴れ者供がっ!!」
ジーク・新クララ王政府軍の幹部達は、今さら降伏しても、その後の自分達の待遇が保証されて居るとは有り得ないとし、此処は是が非でも勝つ。
いや、勝たなければ為らないので、鬼の形相で死ぬまで戦い続ける気で居るらしい。
どのような手段や結果に成ろうとも、最早知る物かと自暴自棄にも成って居る事もあるのだが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「それにだな、この俺は父上を殺し、国を二つに割って、新たな政権を発足させたのにも関わらず、今度は外国勢力を味方に付けたニーナの奴に攻め殺され様として居る。」
「実に滑稽な醜態を晒して居るこの俺に、今更ながら、誰が付いて来ると言うのだ?」
「それは・・・・・・・」と幹部の一人が言い掛けた時である。
謁見の間へと繋がる扉が何者かによって吹き飛ばされてしまう。
「失礼する。私はミンフィル王国・大将軍、ミルシス・ファーンだっ!!」
「今日は此処に在るお方をエスコートして参った次第、ジーク・クララ・クオッシュ王子殿下殿。」
「ミンフィル王国の総司令官が最前線にだとっ!?」
「くっ!飛天魔族を相手に、屈強な身体に鍛えた、我が国の将兵数百名をも軽々と吹き飛ばすとは・・・・・・・・・・」
「殿下を守れえええええぇぇぇぇぇーーーーーーーーっ!!!!」
ジーク・新クララ王政府軍の幹部達は、ジーク王子の近衛兵等と共に最後の抵抗を挑もうとする。
それが絶対に勝てない様な力と能力を持った亜人族であったとしてもだっ!!
そんな中、一人の女性が茶褐色の鎧甲冑姿で現れた。
「ニーナか・・・・・・・・・・」
「ちょっと見ない間に、随分と落ちぶれましたね、ジーク。これが貴方のしたかった事ですか?」
「違うっ!!俺は武によってクララ地方を統一をっ!!」
「武だけでは、誰も付いては来れませんっ!!クララ地方の武力統一平定が、今日に至る日まで、誰にも為されて居ないと言う事は、出来ないと言う事を意味して居ます。」
「況してや、その手段を誰も取らないと言う事は、そして、力任せと言うのは、最後には貴方の様に成ってしまうからですっ!!」
「だから父上は、私を跡継ぎにしたかったようですね。」
先王であるザイール・クララ・クオッシュは、男子であるジークを跡継ぎにしなかった理由は、ニーナの方が力以外の方法で国を治めたり、先々の事を見通しつつ、世界情勢を見る目が有ったからであると、この戦い後に語られて居る。
「まぁ、この話は父上と親しかった数名の家臣達にしか、話されて居ない話の様ですが・・・・・・・・・その事に関しては、先見の明はあった様ですね、父上。」
「我が弟は、此処まで頭が悪く、自分以外の事を見ようともしない愚か者だったようです。」
「だっ、黙れっ!!武に優れず、己が美貌を駆使して他力本願なひ弱な女の貴様に言われたくは無いわっ!!それだけは飽き足らず、簒奪王を篭絡し、外国勢力を我が国に外患誘致をしてっ!!」
「お黙りなさいっ!!貴方の方こそっ!!カレールーナ帝国軍参謀総長のゲルヴァン・サリードスの口車に乗ったのだとの調べは付いて居るのですっ!!」
「潔く縛に就いて法の裁きを受けるか、潔くクララ王族としての潔い最後を迎えるかを、お選びなさいっ!!」
「ぐぬぬぬぬっ!!うおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」
「お前さえ居なければああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!!!」
鬼の形相と成った彼は、自暴自棄と成ったジークは、ニーナへと斬り掛かる。
ニーナは剣を構え、ミンフィル王国の大将軍たるミルスも素早く、ジークからニーナを守ろうと動く所に、突如として後ろからユーゴが現れ、ジークを斬り伏せた。
「ぐはっ!!」
「力任せだな。だから、お前はどの様な事を為しても、こうも脆いのだっ!!」
ユーゴはジークの力を受け流しながら、ひらりとジークの剣をいなして、素早く体勢を整えた上で、突き攻撃で止めを刺してやった。
「ユーゴ陛下?!」
「我がままな弟に、何時までも構うなっ!!最後の最後までこうも甘やかすから、こう言う事に成るのだっ!!」
「この様なバカ者に付けてやる処方箋は、この世には在りはせんっ!!死んで出直してこいと言うもの。」
「は、はい・・・・・・」とニーナは顔を真っ赤にして恥じらいながら返事をして居た。
「それに時間も惜しい。次が在るのだぞっ!!お前は新女王として、さっさと城内と市内を纏めろっ!!」
「その後は国内の掌握をしつつ、お前には北へ共に向かって貰う。次の戦がクララ地方の雌雄を決する最後の戦い成る。」
「はい。仰せままに・・・・・・・・・・・」と同盟国軍の元首で在りながら、盟主王の命に素直に従うのは、ミンフィル王国の援助と支援無しでは、クララ王国はやって行けない事を意味して居る。
それにニーナは、如何やら颯爽とクールに自分の事を守ってくれた事で、完全に惚れ込んでしまった様である。
ニーナが次期女王ならば、次代の王を産むには旦那様が必要不可欠。
それにはユーゴが、一番に相応しいと思ってしまうニーナであった。
こうして、クララ地方事変戦役を引き起こした勢力の一つであるジーク・クララ・クオッシュ王子が率いて居たジーク・新クララ王政府軍は壊滅し、ジーク王子は戦死。
ニルカーナ王太女正統政府政権体制による新生クララ王国政府による王位継承が宣言された。
新生クララ王国政府は引き続き、国の安定化に務め、一部の国軍をレノア地方東南諸国商業連盟条約軍と共に軍勢を北進させた。
目指すは、クララ地方にカレールーナ帝国軍参謀総長のゲルヴァン・サリードスの口車に乗って騒乱を引き起こして居る魔族のテルリーナ部族とフェルニー部族国と言うダークエルフ族との争いを止めるべく、ユーゴ達は北へと軍勢を進めて行くのであった。
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