外伝33話 ミンフィル王国東南諸国同盟編 魔神賢王と呼ばれた男 4
アースティア暦996年・4月20日・午前10時24分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東南部・レノア地方・レノア地方中原地域・レノア中央都市国家連合・ラクサ地方・ラクサ市共和国・東城壁門見張り塔にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
都市国家クラ市国での攻防戦であるクラ市国解放会戦が終結し、それから更に五日後・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ノア中央都市国家連合主都・ラクサ市共和国に、ユーゴとミンフィル王国軍は1万8千人の軍勢を引き連れて、ノア中央都市国家連合主都・ラクサ市共和国の東側に広がる平原に現れた。
数多の深緑色に染められた布地にグリフォンの刺繡が入ったミンフィル王国の国旗を掲げつつ、真っ直ぐにラクサ市共和国の東門へと迫って居た。
「隊長殿っ!!現れましたっ!!ミンフィル王国軍ですっ!!」
「分かった。」
「だが、キッスニア都市国家長様のご許可が有るまでは、如何なる国や軍隊、外交使節や外交官、それに商人であっても中に居れる事は罷りならんっ!!」
「ええっ?!」
「キッスニア都市国家長様の命令だっ!!」
「ですが、既にカレールーナ帝国東方征伐軍は、我が国を捨てて、奴らの西側勢力圏まで撤退して行きました。」
「もう、我が国は、カレールーナ帝国の言い成りに成る必要もも無い筈ですっ!!」
「今さらミンフィル王国軍に助けてを求めて置きながら、我が国の中へと受け入れないと言うのは、道理が通らない。私は納得が行きませんっ!」
「その事に付いてだが、この俺もだよ。」
「だがな、ミンフィル王国軍も、もしかしたらカレールーナ帝国の奴らと同じかも知れないと、キッスニア都市国家長様は考えて居られ、もしもの為にと、警戒態勢を敷かれるお積りなのだ。」
「・・・・・分かりました。」と、隊長の言う事も一々最もな理屈だと考え、副隊長は助けを求めて置きながら、あんまりで、無礼な対応であると分かっては居るが、上官の言う事に、渋々従う事にした。
城門を守るラクサ市共和国・都市警備軍の隊長と副隊長の二人は、ラクサ市共和国市長とレノア中央都市国家連合の都市国家長であるレイカ―リナ・キッスニアの命令を忠実に遂行をするべく、ミンフィル王国軍に対して警戒態勢を敷く事と成った。
「流石ね。魔人王の坊やは・・・・・切れ者であると言う噂は本当の様ね。」
「こうも意図も簡単にカレールーナ帝国軍を打ち破り、奴らを本国へと追いやる手腕は称賛に値するわ。」
「これで、この私は自ら賭けた賭けに勝ったと言う事に成るけど、これだけでは、この私は満足しないわよ。」
「さて、彼は私が課した次なる試験に合格出来るのかしら・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
レリナはラクサ市共和国の中央に聳え立つ中央議会近くの官庁街に建てられたラクサ市共和国・市長・レノア中央都市国家連合・国家長官邸のバルコニーから見えて居るミンフィル王国軍を見て居た。
ラクサ市内では、官庁街一定の高さを必要とする建物以外は、その全ての建物が均一に統一されて居る為に、遠くの風景が良く見える様に成って居る。
レリナは、東門側に続く街道沿いに、隊列を作って現れた、ミンフィル王国軍を見て、魔人王とも言われて居るユーゴが実際に如何なる人物なのかを推し量ろうとして居るのであった。
アースティア暦996年・4月20日・午前10時42分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東南部・レノア地方・レノア地方中原地域・レノア中央都市国家連合・ラクサ地方・ラクサ市共和国・東城壁門にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「私はミンフィル王国軍所属。リネット・アスト・ミンフィル王国近衛騎士団副団長だっ!!」
「貴国のレイカ―リナ・キッスニア・レノア中央都市国家連合都市国家長殿と我が主君であるユーゴ・ラーシルズミンフィル国王陛下との首脳会談を申し入れに使者として貴国に参った。」
「開門されたしっ!!」
ミンフィル王国近衛騎士団副団長であるリネットは、200騎の騎兵と共にミンフィル王国側の使者として現れ、ラクサ市共和国に首脳会談を申し入れをした。
「ご使者の任務、誠にご苦労様です。」
「残念ながら我が国の都市国家長である。レイカ―リナ・キッスニア・レノア中央都市国家連合都市国家長様は、今すぐにはお会いには成られないとの事です。」
「何だって?」
「元々我が国は如何なる国を相手にしても、中立国を謳い参って来ました。」
「それを西方バルバッサ帝国同盟の盟主国であるローラーナ帝国とその従属衛星国家であるカレールーナ帝国が無視して、武力占領をしたからと言って、それを開放する為に貴国の・・・・・いや、如何なる国の軍隊を都市内に受け入れると言う事は、憲法違反と成る可能性すら有ります。」
「其処で我が国の議会は、ミンフィル王国軍を受け入れるか如何かをレノア中央都市国家連合・都市国家連合中央議会とレイカ―リナ・キッスニア・レノア中央都市国家連合都市国家長様との議会承認会議が終わるまで、町の外で待機して頂く事に成ります。」
「そんな・・・・・・・・・」
「ご都合が悪い場合は、このままお帰りに成られても一向に構わないとキッスニアレノア中央都市国家連合都市国家長様は仰られて居らます。」
(くっ、どういう事だ?ミシェル殿がキッスニア・レノア中央都市国家連合都市国家長自らレノア中央都市国家連合内に巣食うカレールーナ帝国を駆逐したいからと、陛下や我がミンフィル王国軍に協力を要請し、レノア中央都市国家連合内の全ての町にミンフィル王国軍を受け入れるとの通達をして来た筈だ。)
(それを今さら覆すとは、如何いった了見なのだ?)
「して、ご使者殿のミンフィル王国の返答は如何に?」
「暫く待たれたい。私は今、貴方に言われた事に対する返答を持って居ない。」
「此処は一旦我が主の下へと持ち帰り、回答を述べたいのだが・・・・・・・・・・」
「了解した。では、良い返答お待ちしております。」
両者の一回目の交渉は終わり、それぞれの国家内のトップの下へ戻って行った。
アースティア暦996年・4月20日・午前10時42分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東南部・レノア地方・レノア地方中原地域・レノア中央都市国家連合・ラクサ地方・ラクサ市共和国・ミンフィル王国軍本陣所にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その話を聞いたユーゴは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「何っ!?!レイカ―リナ・キッスニアが、我が王国軍の受け入れを拒否して居るだと?」
「今さら如何言う事だ?聞いて居た話が違うじゃないかっ!!ミシェルっ!!」
「陛下っ!申し訳ございませんっ!!この事に付いて、私は何も聞かされては居りませんっ!!」
「これは恐らく、レリナの・・・・・・・レイカ―リナ・キッスニア都市国家長自身の。彼女個人が
企みによる思惑かと・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・何が、目的だ?」
「恐らくは・・・・・彼女は、ユーゴ陛下の事を試して居るのかと・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・試す?」
「はい。この度レノア中央都市国家連合は、その長い歴史の中でも初めて外国勢力に膝を屈してしまいました。」
「彼のローラーナ帝国からの無茶苦茶な要求でさえ、外交努力で、のらりくらりと避して来たのです。」
「ですが、今回の一件に措いて、初めて外国軍に国土を占拠され、各地の都市国家は人質に取られてしまいました。」
「それを如何にかしようと、カレールーナ帝国と敵対して居るミンフィル王国の力、これも外国勢力の力を用いて自国の解放をしようと試みて居ます。」
「これでは、中立国としての立場を自ら否定して居る様なものです。」
「其処でレリナは、ユーゴ陛下に対して、ワザと無茶な要求を突き付けて、その反応を連合国内の全ての人々に見せつける事で、その裁可と承認をしようと考えて居るのだと思われます。」
「それは万が一の保険か?何方に転んでも良い様にと・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ご明察かと・・・・・・・・・・・・・・」
「と成ると厄介だな。下手をすれば、トンだ女狐を敵に回しかねない。」
「しかしながら、それは我が国と俺の居にはそぐわない結果と成るだろうが、それは何としてでも避けねば為らん。」
「とにかく、此処は私が出向いて、レリナ話をしてきましょう。」
「分かった。この件は一旦、ミシェルに任せる。」
はっ!お任せください。」
「だが、一つ聞きたい。誠実で真面目な貴様は、この俺を罠に掛けたりはしないだろうな?」とミシェルの事を試す様な事を問いただすユーゴは不敵な笑みで、ミシェルに意地悪な質問をして見た。
「・・・・まさか、陛下は・・・私をも疑われるお積りか?」
「違うのか?」
「心外ですっ!!陛下には我が故郷であるクラ市を救って頂きました。」
「その恩義に報いたいとも、想って居るしだいです。」
「私は、貴方様のご命令と有らば、貴方様の臣下にすら加わり、この身を捧げて働くことも厭いませんっ!!!」
「ほう、仕えてくれるか?」
「はいっ!!」
「だったら、面倒な友人を如何にかして来いっ!!このままでは、お前の事を配下に迎え入れることは叶わん。」
「ははっ!!必ずやご期待に添える様に努力を致します。」
クラ市国都市警備隊長であるミシェルは、同志とも友人関係とも言える関係持って居る為に、ミンフィル王国との仲介役として、レイカ―リナ・キッスニアの下へと急いだのだった。
そして、半日かけてレリナとミシェルの両名は、激論を交わす。
夕刻、ミシェルと共に薄い黄緑色のドレス姿と共に現れたレリナは、20名ほどのラクサ市共和国・都市警備軍の護衛官と共にユーゴの下へと現れた。
ミンフィル王国軍本営の陣幕テントへと通されたレリナとミシェルの両名は、ミンフィル王国軍の軍幹部が居並ぶテールと相対する様にして、席に座った。
「随分と掛かった様だなミシェル。」
「申し訳ございません陛下。何せ、商売と国家の大事とも成ると、このレリナは一歩も引かない頑固者ですので・・・・・・・・・」
「久しぶりにミシェルと口論を交わしたわ。まさか、この堅物を口説き落とせる男が現れるとはね。」
「裏表の駆け引きをしないから、安心して使者として送り込んだのに、こうも裏切りに等しい形で、出戻って来るとは思いもしなかったわ。」
「レリナっ!」とミシェルは怒鳴り散らす。
何らユーゴには、聞かれたくない事を言われたので、普段は物静かな彼女であっても、ついつい怒ってしまったらしい。
「おー、怖い、怖い。これは将来が楽しみね。」
「何が有ったんだ?」
「それは・・・その・・・・・」と赤らめるミシェルは黙り込んでしまう。
「うふふ、まぁまぁ、坊や。その内分かるわよ。」
「それよりも、お初にお目にかかるわね。ユーゴ・ラーシルズミンフィル国王陛下。」
「私がラクサ市共和国市長兼レノア中央都市国家連合の都市国家長を務めているレイカ―リナ・キッスニアよ。」
「呼びにくければ、親しい者が呼ぶように、レリナで良いわ。」
「了解した、レリナ。それで如何なる理由が有って、我が軍を受け入れを拒否して居るのだ?」
「それは中立国として体面よ。」
「それだけか?」
「そうね、坊やへの試験と言った所かしらね。」
「その様子だと、俺と交渉する気は有る様だな。」
「有るわ。でも返答次第ね。」
「それで条件は?」
「貴国が我がレノア中央都市国家連合の全ての都市国家に駐留軍を置く場合は、一月に付き100万エイリスを駐留税として支払う事。」
「ほう・・・・・・・・・・」
「100万エイリスだと?」と話を聞いて立ち上がったのはミルシス・ファーン大将軍だった。
「確かにミルスが声を荒げたく成るのも分かります。」
「レノア中央都市国家連合内の都市国家の数だけでも100近く、それらに対して駐留税と称して、毎月100万エイリスづつを支払うと成ると、莫大なお金が掛かります。」と淡々と語る近衛騎士団長のフィルスは、ざっくりと駐留税を支払う場合の説明を述べた。
「そうだ、一つの都市国家に対して、年間1200万エイリス。年間で12億エイリスもの経費が掛かってしまう。」
「これは我が国の1.5%もの国軍の経費に当たる。」
「とてもじゃないが、それを払うと成ると躊躇せざるを得ない・・・?!」
「!?」
軍部の二人は有る事に気が付いたらしい。
(ミルスっ!まさか、これって・・・・・・・・)
(ああ、駐留税を支払うとはブラフだ。これは高いか安いかでは無い。)
(ふふっ、どうやら軍幹部の二人は、私が仕掛けた罠と交渉術に気が付いた様ね。)
レリナは、自分が仕掛けた罠と交渉術が上手く行った事に、ニヤリと不敵な笑みで、にやけて居た。
「ふっ、レリナよ。意地の悪い罠と交渉術を仕掛けて来るな。」
「これを断れば、中立国として立ち戻るか、万が一、再び戻り入って来たカレールーナ帝国に対しての言い訳をする為なのだろう?」
「さぁて、どうなのかしらね。」と知らんぷりを決め込んだレリナ。
彼女はカレールーナ帝国に対しても、ミンフィル王国に対しても、そして自分達に対しても、何れの選択肢を選んでも損が無い様にと、ユーゴに罠と交渉の両方を仕掛けて来て居た。
全く煮ても焼いても食えぬとは、この様な事を言うのだろう。
「それで坊やは、如何する積りなのかしら?」と、レリナは勝ち誇った顔付きで、ユーゴに返答を促した。
(・・・・・断れば、カレールーナ帝国との戦争が不利に成る。)
(しかし、莫大な駐留税を支払うのは痛いが・・・払えばレノア中央都市国家連合の100都市国家60万人の警備隊を味方に出来る。)
(・・・そうか、この女狐。自分とレノア中央都市国家連合をこの俺に値踏みさせた上で、試して居るか?)
(くっくっくっくっ、実に痛快な駆け引きだが、果たしてこの買い物が良い物か如何なのかは、勝ってみてのお楽しみと言う事に成る。)
(俺の選択は・・・・・・)と思考するユーゴは、決断をする。
「・・・・・・支払おう。」
「へえ・・・・・・」と、驚きつつも、以外にもあっさりとしたユーゴの答えに拍子抜けした表情を晒してしまったレリナ。
「以外だと言いたげだな。」
「ええ、大抵の国家なら、『ふざけるなっ!!』って、怒鳴り散らして言う所だもの。」
「確かにな。」
「だがなレリナ。レノア中央都市国家連合の100都市国家60万人の警備隊を敵に回すよりは、金を払った方が遥かに経費が安いし、それらの都市に対しての防備と経済基盤の充実に駐留税を使うと言うのならば、安い買い物と見るべきなのだろう?」
「流石ね。坊や、その通りよ。」
「だがなレリナ、この貸しは高く付くぞっ!!後でキッチリと利子を付けて返して貰うからなっ!!」
「ええ、確かに。其れに付いては期待を裏切らないとお約束するわユーゴ・ラーシルズミンフィル国王陛下。」
アースティア暦996年初夏、ミンフィル王国は、レノア中央都市国家連合との相互防衛条約を結んで、自勢力の保護地域対象と成った。
これによりカレールーナ帝国がレノア中央都市国家連合を武力占拠に伴うミンフィル王国へと仕掛けたルナック大封鎖と言う経済封鎖は、こうして打ち破られる事に成ったのだった。
ミンフィル王国とカレールーナ帝国は、この戦い後、一旦矛を収め合い。
戦で生じた国内基盤の充実や軍部内の立て直しと内政に力を注ぐ事に成る。
アースティア暦996年・4月20日・午後13時07分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東南部・レノア地方・レノア地方中原地域・レノア中央都市国家連合・ラクサ地方・ラクサ市共和国・ラクサ市共和国・市長・レノア中央都市国家連合・国家長公邸にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ユーゴとの首脳会談を終えたレリナは、国家長公邸に戻り、友人であるミシェルと昼食を終えて、お茶をしながら談笑をして居た。
「ミシェル。良い男を見つけわね?」
「もうっ!!いいでしょうその話・・・・・」と真っ赤に成って言うミシェル。
「だって、今朝の口論で、惚れたのと聞き返したら、真っ赤に成って怒るのもだもの。アレで拍子抜けしちゃって、大笑いをしたのよ。」
「ご馳走って感じで呆れてしまったわ。」
「ううっ・・・・・・」
「でも、お陰で坊やの人となりが分かったから、大収穫と言えば大収穫なのだけれども・・・一番の大収穫なのは、ミシェルに男が出来た事ね。」
「・・・・・・」と、更に真っ赤に成ってしまうミシェル。
「あらあら、普段はクールビューティーでカッコイイあなたが。ゆでだこ見たい顔をしちゃって、そんなに良いなら私も抱かれて見ようかしら?」と言うレリナ
彼女は金髪ロングストレートの碧眼でスタイル抜群の絶世の美女であり、裏では取り引きの為に、その美貌を駆使して、男を惑わす事も厭わない手腕を用いる事も有る。
キッスニア商会の中には娼婦館も会って、誠実で身綺麗をモットーとする男の遊び場であるとの評判の良いキッスニア娼婦館は、病気一つを蔓延らせない娼婦館として有名を馳せて居る。
レリナは、その自前の娼婦館を使って、商売ごとや政治を上手く動かす事を自らの出世の原動力の一つとして用いて居る。
「レリナ。陛下をあの遊び場に・・・・・・」
「悪くないと思うわ。坊やも男よ。偶には遊びたいと思うのは当然のことよ。」
「それに貸しを作らせたと言われてしまったから、何時かは支払わないと、この私の沽券に関わるもの。」
「何を企んで居るの?」
「今度は損得勘定無しで、私を高く買って貰うわ。」
「・・・・・・見返りは?」
「そうね。ミンフィル王国元老院議会の宰相大臣の座と坊やとの妾の地位かしらね。」
「はぁ~、レリナは、昔から出世する為に、自分の身体を平然と売り込むわね。」
「あら、それでも操は取って置いて在るわよ。」
そう、レリナはこれまでに男とキッスニア娼婦館で一夜を供にし、出世の基盤や取り引きを有利に成る様に働きかけて来た。
しかしながら、男との関係で本番のセックス行為・・・性交行為をさせた事は一度も無い。
やって居るフリをして居るか、性交行為は以外の夜伽行為をさせて、男たちを満足させて帰らせて居ると言う、やり手な美女だった。
そんな友人であるレリナとは正反対の性格をして居るミシェルと馬が合うのは、仕事に関して真面目な姿勢が、お互いに共通して居るからであり、飲み仲間でもある事から、お互いに認め合う関係と成って居た。
「ミシェル。坊やは更に大きな人物に成るわ。だってこの私や貴女が認めた男なのよ。地方の王様如きで人生が終わらせる事なんて有る訳が無いわ。」
「その為には、この私を買わせて、私は貴族に成る。その地位を持って、ミンフィル王国元老院議会の宰相大臣の座を手にし、ミンフィル王国を更に大きくして見せるわ。」
「それにね。私は子供が欲しいの。それも私を大事に扱ってくれる男との子供がね。」
そんなラクサ市共和国の下級階層出身の女性であるレリナは、安全な暮らしがしたいと言う欲求と家族願望が強かった。
その実現の為に商家を興し、出世の為に政治に成り、更なる出世を望む。
それは安全な家を創る為の布石であるからだった。
「レリナは、出会った時から家族や子供が欲しいと言って居た物ね。その為に貧乏を脱出し、今日まで様々な方法を駆使して出世を為して来たのは知ってはいたけど、今度は王様の妾と宰相の地位なの?」
「そう、安全な国と安全な地位に、守ってくれる男の側は快適な場所よ。」
「この私の夢の実現する為に、坊やには頑張って貰わないとね。」
レリナは、自らの夢と野望の実現の為には、手段を選ばないが、筋は通すので、嫌いに慣れないと感じて居るミシェルは、その夢に関わる一人と成って行くのは別のお話である。
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