外伝30話 ミンフィル王国東南諸国同盟編 魔神賢王と呼ばれた男 1

 アースティア暦996年 ・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東南部・レノア地方にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 ユーラシナ大陸東南部・レノア地方・・・・・此処は多岐に渡る民族の坩堝と言うべき、あらゆるヒト型種族が交わる地方として、アースティア世界各地に措いて、その名が知られて居る土地であった。


 人間族・エルフ族・魔族・ドワーフ族・ホビット族・竜人族その他数多くの亜人族住まう地で、本当に色々な種族が交わって居る人種の坩堝とも言うべき所でもあり、この様な他種族が多いのは、古代戦争の名残りと言われて居る。


 この世界に措ける人間族の居住地域の居場所は、アースティア世界各地の殆んどの地域に措いて、何処にでも居るし、エルフ族を含めた亜人族は世界中に点在して居るから珍しい事でも無い。


 しかしながら魔族だけは違って居た。


 魔族は邪神カオス・ノワールと言う怪物的な力を誇る邪神が、異世界ヘル・&ヘブンズ界から転移させられた魔族は、アースティア暦350年に勃発した、邪神戦争時代に現れた種族のこと。


 異世界から強引に連れて来られた魔族たちは、邪神カオス・ノワールの手によって、意識が操られ、魔王を頂点とするアースティア世界の征服の為の尖兵とされてしまうが、英雄王とも謳われたローラーナ帝国の祖であるギルバート・メリッシュによって 多くの英雄と多国間同盟の軍勢を率いてデモニュクス帝国・魔族連合とデモニュクス魔大陸へと攻め込み、邪神カオス・ノワールを討ち取った。


 後に、魔王と魔族達等は、邪神カオス・ノワールの呪縛から解放されると、各地に展開して居た部族や軍派閥勢力が、各々独自路線を貫いた結果、各地に居着いてしまう事にも成ったが、それらは各部族や軍閥勢力の諸事情による物なので、デモニュクス帝国・魔族連合の本国政府も、それ以上の口出しは出来ずに、アースティア世界暦1000年代の現在へと至って居る。


 その結果、邪神カオス・ノワールの影響下に置かれ、、デモニュクス帝国・魔族連合の命令や独自に動いて、各地に展開して居た部族や軍派閥勢力は、デモニュクス帝国・魔族連合の本国の在るデモニュクス魔大陸へとは戻らずに、折角戦争で手柄を上げたり、新たに獲得した土地を手放す事を良し利しないとして、世界各地で独自の国家や独自勢力として支配地を獲得して行く事と成ってしまった。


 その後にローラーナ帝国が邪神カオス・ノワールとは別の理由を掲げて、アースティア世界の世界征服を掲げて各地に武力侵攻を開始。


 アースティア世界の新たな覇権勢力として、国家の台頭と成った事や邪神戦争での傷が深かったアースティア世界の国々は、これらの新興勢力を如何にかする力は無かったのであった。


 ミンフィル王国東南諸国同盟とは、ユーゴ・ラーシルズが魔族を含めた異民族を迫害するザグナード・ミンフィル王を討ち倒した事で、ミンフィル王国政権を奪取する事に成功した事に端を発して居る同盟勢力の事である。


 この時にザグナード・ミンフィル王に政略結婚で嫁ぐ為に、カレールーナ帝国からミンフィル王国に来ていたイリナ・カレールーナは、年老いた相手との結婚を嫌がって居た事もあり、結婚式当日に城内に攻め込んで現れたユーゴ・ラーシルズに一目惚れしてしまい、そのまま結婚を迫って、序でに新生ミンフィル王国の国王になる口実を提案したと言う剛胆な事をしでかしてしまう。


 イリナの提案に乗る事にしたユーゴは、魔族を含めた異民族を迫害を守る為、ミンフィル王国に住まう多くの異種族達等のを率いた功績を各勢力の長達らに認められた事から、そのまま正式に新生ミンフィル王国の国王に戴冠して、新生ミンフィル国王になると、ミンフィル王国内各地を転戦して、反抗的な勢力を討伐を成し遂げ、新生ミンフィル王国内を統一し、3ヶ月と言う速さでミンフィル地方を完全に掌握した。


 その後、帝国ことローラーナ帝国とカレールーナ帝国側を嫌って居たミンフィル王国の周辺諸国と同盟を結んで、僅かに期間に一大勢力を築いたのである。


 その勢力とは次の通り、ミンフィル王国東南諸国同盟に属するミンフィル王国 セラルーノ王国、クララ王国、ナカハラドラス部族国(ドワーフ族) テルリーナ部族国(魔族) フェルニー部族国(ダークエルフ族) クラ市国(都市国家) ラクサ市共和国(都市国家)。


 西方バルバッサ帝国同盟に属して居るカレールーナ帝国・ガルマニア皇国・メガテリア公爵国・バジリアナ王国と言ったレノア地方西方諸国の同盟勢力圏とに分かれて居り、此処ではカレールーナ帝国(ローラーナ帝国側)とミンフィル王国(反帝国側)の二大勢力が同地方で争っている。


 ミンフィル王国は人間が中心と成って治めていた国で、国内には数多の他種族が暮らして居るが、前政権時代では、それらに対しての圧制が数百年の長きに渡って続いて居た。



 現在はユーゴ・ラーシルズ王朝政権と成り、新生ミンフィル王国の国王であるユーゴが代表盟主を務めて居り、侮りがたい国力を有している連合同盟国家群と成って居る。



 その近隣の南東部には、地球世界から東南アジア諸国が転移している地域と成って居る。


 また、レノア地方の西側の海域周辺には、EU諸国の飛び地の島領や他の島国が転移して来ており、国交開設の為の外交交渉と国境確定をどうしたら良いのかを地球転移国家諸国からの相談が、交援省に寄せられ来ている事も有り、今後も動向が目が放せない地域と成って居る


 後にミンフィル王国・ザグナード王朝を転覆させ、最後の国王であったザグナード・ミンフィル国王を討ち取った出来事は、ミンフィル王国・王都・マルス市事変、略称名はマルス事変と呼称される政変革命と成り、同地方の歴史的な政変事件の一つとされて居る。



 アースティア暦996年・4月7日・午後13時15分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸東南部・レノア地方・ミンフィル地方・ミンフィル平原地方・ミンフィル王国・王都・マルス市・マルス城にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 これは日本が現れる4年前の事である。


 ユーラシナ大陸東南部・レノア地方・ミンフィル地方・ミンフィル平原地方のミンフィル王国・ザグナード王朝に反旗を翻し、ザグナード・ミンフィル国王を討ち倒したユーゴ・ラーシルズは、魔人族にして多民他種族国家王国の国王であり、後の魔神賢王と讃えられる人物。


 これは彼のユーゴ・ラーシルズ・ミンフィル王国王朝を立ち上げて間もない、最初の頃の軌跡の記録である・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 ミンフィル王国、それはユーラシナ大陸東南部・レノア地方・ミンフィル平原地方の最も東に位置して居る小国である。


 東にモルディブ地方とモルディブ海岸、北にウィーロ連峰山脈、南はルペリオン地方平原とルペリオン湾にルべリオン市。


 西にはルナック森林とレノア中央都市国家連合のクラ市国へと続くルナック街道が在った。


 南西には隣国にして分裂した国家であるバジリアナ王国と正統王位を巡って係争を続けて居るセラルーノ王国と、特に大国と接して居る訳でも無いが、この時のミンフィル王国はローラーナ帝国と戦うと言うよりも、自分達の勢力圏を維持する事に専念する事に努めていた。


 

 先の王朝の国王たるザグナード・ミンフィル国王を討ち取り、武に由って王位とカレールーナ帝国の第二王女イリナ・カレールーナ・ラーシルズを簒奪したユーゴは、同地域では厄介者、又は蛮人王と揶揄され、古くから続いて来た国々から忌み嫌われて居た。


 ローラーナ帝国を盟主国とする西方バルバッサ帝国同盟に加盟して居るカレールーナ帝国は、ユーラシナ大陸東南部・レノア地方の支配者と成る事を許され、その全地域を統治下に置かんと着々と事を進めて居たが、肝心の東方地域の要の国とも言うべきミンフィル王国をどこぞの田舎傭兵魔族に奪われてしまった。


 世に言う、ミンフィル王国・王都・マルス市事変こと、略称名はマルス事変と呼称される政変革命である。


 この事に怒り心頭のラガート・カレールーナ皇帝は、娘を奪い従属させる筈たった国をも奪い去ったユーゴとミンフィル王国を許すまじと、経済封鎖を仕掛けた。


これをルナック大封鎖と言う。


 西からミンフィル王国続くルナック街道の経済封鎖、これをされたミンフィル王国は一溜まりもない事に成り兼ねない。


 カレールーナ帝国とは一部の主張が違って居ると言うだけで、ミンフィル王国と争って居るに過ぎない。 


 由って、ローラーナ帝国やシベリナ連合各国やアセニア亜人連合同盟を含めた東西貿易は、中立貿易と見なされ、ミンフィル王国は、中継地点貿易を行う事で、自国の経済の最も重要な要と成って居る。


 どんな国々取っても、多国間との貿易と言うのは、国家の経済基盤政策の重要な基盤である。



 ユーゴ率いるミンフィル王国は、マルス事変での内乱で負ってしまった国内の傷を癒し終えると見られて居た春の訪れを待って、ミンフィル王国とクラ市国との国境付近との間に築かれたルナック街道砦に軍勢を集めた。



クラ市国とはミンフィル王国の西隣国に当たる都市国家の事で、アースティア暦996年・4月7日の時点では、マルス事変の事で怒り心頭のラガート・カレールーナ皇帝は、娘を奪い従属させる筈たった国をも奪い去ったユーゴとミンフィル王国を許すまじと、レノア地方の東部地域各国に対して、ミンフィル王国に対する経済封鎖を仕掛けたるルナック大封鎖を求めた。


 その目論見に最も煽りを受けてしまった西隣国に当たるクラ市国は、建国以来の国是である中立都市を謳いながらも、カレールーナ帝国軍の八千人の軍勢に、ルナック大封鎖を成し遂げようと半ば強引に、貿易路と外交官達の保護を名目とした治安軍に占拠されてしまって居た。


 更にカレールーナ帝国は自国の面子を丸潰れにしたユーゴとミンフィル王国を攻め滅ぼさんと、1万2千人の軍勢を差し向けさせた。


 ユーゴはこれらを的確に迎撃、撃破して貿易路の回復を目指すのが、彼が率いるミンフィル王国軍の作戦目的である。



 両軍はミンフィル王国から西へと続くルナック街道沿いに築かれたルナック街道砦から東へ3キロ地点のルナック森林盆地と言う東西2.5キロの高原盆地で衝突しようとしていた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「くくくっ、ぐはっ、ハァハァハァハァ、ワシを討ち取ったと言う事は、これから貴様がこのミンフィル王国の国王か・・・・・・・・・・」


「くくくくくっ、貴様はこから何百万人と言う屍を踏み越えて行く事に成る。」


「ワシは貴様が悶え苦しみ、苦痛に満ちた痛みにさえ、狂い死に逝いての来るのを地獄の底から眺め見て、貴様があの世にやって来るのを・・・気を長くして待つとしようぞ。」


 城内の謁見の間に現れたユーゴと彼が率いた革命軍の一団は、ユーゴの剣に討ち貫かれた状態で鮮血に染まる床に倒れるザグナード・ミンフィル王の最後を見届けていた。


「ふっ、それは楽しみだ。だがなザグナード、この俺は簡単には死なんぞっ!!」


「俺を必要としてくれる者達が居る限りな・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



 ユーゴは、ルナック街道砦の中心部の木造の建物内で、軍主要幹部と作戦会議を行って居た。


 ふと数か月前の出来事を思い起こし、物思いに耽ってしまったが、これから始める事を思えば、ミンフィル王国での革命戦争は楽な戦いだったも言える。



 現実に戻った彼の目の前には、新生ミンフィル王国軍幹部が居並んで、これから行われる戦いに向けて、作戦会議を取り行って居た。


 ユーゴの両脇の席には、デモニュクス魔大陸から流れて来た元傭兵にして 飛天魔族と言う魔族であるミルシス・ファーンミンフィル王国大将軍。


 前王朝時代から近衛騎士団長を務め、新生ミンフィル王国軍の総司令官も兼任して居るアイフィル・ハンス近衛騎士団長が居並んで作戦の話を進めていた。


 その近くで詰まらなそうに眺め見て居るのは、元傭兵冒険者を生業していた魔導弓騎士で、魔導弓術を極めたスナイパーであるマルーシャ・ルネーノ。


 その腕前は地球世界の主要兵装である自動小銃並みの射程距離を誇ると言われて居る。


 ミンフィル王国の革命の際に前王朝側に付いて居たが、ユーゴ達に敗れた後に、彼に乞われて新生ミンフィル王国の魔導弓騎士隊の部隊長を務めて居た。



 他にもユーゴと関わり合いの有る者達が軍幹部として居並び、この作戦会議に参加して居るが、実はこの軍幹部と軍勢内は、その全てがユーゴに由るミンフィル王国の革命の際に敵同士だった者達ばかりである。


 ・・・・・とは言え、何故その者達が味方同士で居らるのかと言うと、ユーゴに付いて居た者達は、先の争いは既に決着が着いて終わった事であり、敵対して居た旧王朝側は、腐敗して居た王朝内で働く事に、物凄くうんざりして居た事も有ってか、両者はお互いに意外とスッキリとした関係を築いて居た。


「敵将はヨージモード・イマガワンだな?」


「ええ、噂では大したことない、金持ちだけの高位貴族の軍事系貴族だそうです。」


「完全に舐められて居るな。」


「そうでしょうね。」


「しかも3つの方角に別れて居るルナック街道のルナック森林盆地の中央に堂々と軍勢の本陣地を築くなんぞっ!!軍将校としては三流以下も良い所だっ!!」


「本当に舐められて居るのも考えものね。お陰で此方は戦い易いから助かるわ。」


 街道の要所を抑えるには、特定の地点を抑えると敵に痛いダメージを与えられ、身動きを封じられるが、下手な所に陣を敷けば、大敗北に繋がる事に成る。


 彼の三国志で泣いて馬謖を斬るの古事に在る様に、中途半端な才能や知識で軍の指揮を執ると、その結果は本当にロクな事には成らないのだ。


 それだけカレールーナ帝国は、新生ミンフィル王国の事を取るに足らない小国・・・・・・・以下と見て居たのであった。


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