外伝27話  新世界日本風土記 おいでませーーっ!ちょっと危ない鬼ヶ島っ!オオエ島諸島には悪い子は居ませんっ!! 2

 アースティア暦1000年・西暦2030年・6月10日・午前9時分14頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・西太平洋地域・地球海洋諸国連合同盟勢力圏・日本列島・日本国・新日本国領・旧沖ノ鳥島海域周辺・オオエ島諸島県・オオエ島本島・県庁所在地・オオエ町・オオエ島本島南東部・オオエ海岸にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 オオエ族の部族達の基幹産業は農業と漁業に置かれて居ると先に説明して居るが、島内に住まうハイ・オーガ族達は、専業として居る職場へと向かうか、作業現場へと向かい、その日の明け方から仕事を始めて、夕方には仕事を終わらせて帰宅する毎日を送って居る。


「「「「「よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!」」」」」



「「「「「よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!」」」」」



「「「「「よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!」」」」」



「「「「「よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!」」」」」



「「「「「よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!」」」」」



「「「「「よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!」」」」」



 時刻は午前9時、オオエ島本島南東部・オオエ海岸では、オオエ族で漁師を生業として居る男女4千名は、銛に頑丈な鎖を取り付けた物を船から獲物へと投げ付け、陸地から大物の獲物を引き上げるオオエ族伝統漁の引き銛漁である。


 このオオエ島本島南東部にある砂浜海岸の事では、、オオエ族伝統漁の引き銛漁の他にも、地引き網漁も盛んであり、代々伝統的な漁法で漁業を行って居た。


 視察団の団長の小林を筆頭とする日本政府の職員や民間学者達、それに手透きのマスコミ各社の社員達をも巻き込んで大掛かりな漁を体験して居た。




「「「「「よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!」」」」」



「「「「「よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!」」」」」



「「「「「よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!」」」」」



「「「「「よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!」」」」」



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「今日の獲物は、何でしょうか?」



「銛を撃ち込んだ奴らによりば、何でも仕留めたのは、シーサーペントとオオナガスクジラらしいさ。どれも20メートルを超える獲物が、それぞれ12匹が取れて居るらしいって事さね。」



 視察団の来訪に合わせて、オオエ族伝統漁の引き銛漁の実技体験会を模様する事と成った為に、オオエ族長のオオエ紫温も、これに参加して居た。


 今日は大漁の獲物が掛かり、その大きさもかなりの大物との事である。


「クジラは分かるんですけど、サーペント?と言うのは、所謂ウミヘビの事ですよね?我々には、その姿形が、全く想像が付きませんね。」



「油が乗ってて、生でも煮ても焼いてもイケるぞっ!!そう言えば、最近は日本からやって来た官庁職員の料理人が、天ぷらと唐揚げと言う奴に調理して振る舞ったな。」


「それと甘辛いたれで焼いた蒲焼は絶品だな。」


(話を聞いて居るだけだと、何だかウナギやアナゴの様な気がする食材なのね。)と小林は思った。


 シーサーペント。


 日本政府は、シーサーペントと名付けて居る未知の生物とは、大きな船ですら襲うと言う全長が20メートルも在る巨大な海ヘビの事である。


 その肉は大変に脂が乗って居り、美味と事であるが、それを人間族だけで仕留める事は至難を業と言われて居る。


 一匹仕留めると町一つが三ヶ月は、金と食材に困らないと言われるこの世界での高級食材の一つであった。


 今回の体験会で仕留めた食材は、この地元で食べる分以外は、東京の豊洲市場へと冷凍移送される事に成って居り、それに先駆けて国内生鮮魚関係のバイヤーによる試食会も開かれて居る。


 その評価は大変に好評であり、ゲテモノ食いと揶揄している企業やバイヤーも居るが、試食会にやって来たバイヤー達は、ウナギやアナゴに近い肉質であり、その味は非常に美味と言って、全員がお代わりをし捲って居たと言う。


 しかも長期保存が利く冷蔵庫で保管すれば、東京都くらいなら余裕で二月分の食料に成るとの試算が農水省では出て居たので、農水省の職員達は大喜びだったらしい。


 これで食料自給率問題の解決にも繋がると言って、どう販売を展開して行こうかと国内生鮮魚関係の企業との話し合いが進められて居る。


 何せ、昆虫食を始めとする新種の食品業種の紹介と販売を宣伝するだけで、ゲテモノ扱いをするのが当たり前な地球世界から来た日本と地球系転移諸国にとって、新たな食料品と成る素材資源を販売して行くと言うのは、物凄い努力と労力を要する大変な事に成る事が予想されて居るからだ。


まぁ、こればかりは慣れるしか無いだろと言わざるを得ない。


 近い将来、何が食べられるて居られるのかは誰にも分からないが、食べられるだけで幸せである事を我々はもっと理解して置くべきだろう。


「そうれえええぇぇぇぇーーーーーっ!!もうひと踏ん張りっ!!」



「「「「「よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!」」」」」



「「「「「よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!」」」」」



「「「「「よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!」」」」」




「「「「「よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!」」」」」



「「「「「よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!」」」」」



「「「「「よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!」」」」」



「「「「「よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!よいしょっ!!」」」」」


 12の列を組んでの漁は終盤を迎え、20メートルもの大きな獲物達は、砂浜へと水揚げされた。



「「「「「やったーっ!大物だっ!!」」」」」と叫ぶ漁師達。


「本当ですね。大きい・・・・・・・」引き上げをたいけんした小林は、その大きさと迫力に感慨深く見詰めていた。



 獲物を引き上げた漁師達は、直ぐに解体作業に移る。


 何と言っても、生ものは鮮度が命だからだ。


 その作業中で、伝統的な刃を用いる者が多く居るの中で、数名の者達が、小林達の見慣れた物を持って現れる。



 キイイイイィィィィィーーーーンッ!!



「あれ?電動式鋸なんかを使うんですか?」



「いやー、日本って所は便利なもんが有るさね。お陰で獲物の痛みを気にせずに、素早く貯蔵出来るし、仕事も早く片付く。」



「ホンと日本人様々だよ。アハハハハハハッ・・・・・・」




 彼らの解体作業には現代文明の利器が使われて居た。


 日本本土から取り寄せた、最新機器や鋭利な刃物を使って、手早く獲物達を解体して行く。


(そう言えば、島内にはカインズ・ホームズと言うホームセンターが何故か進出して居たっけ、モーター式の機器や頑丈な造りの刃物も日本本土の高名なメーカー会社が、地元の人達に技術指導をしながら独立を目指させて居たわね。)


(どれも彼の差し金に見えるのは、気のせいかしら?)


 南洋亜人種族居住地域地帯の産業構造や文明風習を壊さない様に努める政策案を提示して居るのは、何れも交援省大臣である高見竜史の献策による功績が大きかったりする。


 必要な事は省庁の縦割りを気にせず、忌憚のない意見を優先させつつ、政策を調整しながら事を進める事で、地元が困らない様に竜史は号令の旗振りに務めて居た。




 アースティア暦1000年・西暦2030年・6月15日・午前6時分35頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・東太平洋地域・地球海洋諸国連合同盟勢力圏・日本列島・日本国・関東地方・東京都・江東区・豊洲六丁目・豊洲市場にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 オオエ諸島地方での引き銛漁が有った日から数日後、豊洲市場では、これまで扱った事の無い物珍しい海産物が仕入れられて居た。



「さあさあ、今日はオオエ諸島県産のオオウミヘビだ。油が乗って居て大変に美味しいとの農水省と国内大手デパートのお墨付きだっ!!」


「だが、これは大変にデカい代物、20メートルもの大きさだっ!!」



「こんな物扱うのは初めてで、値段に幾ら付ければ良いのかは此処に居る競り人のお眼鏡次第だっ!!」


「タダでも良いのか?」


「バカ言っちゃいけねえよ。これでも輸送費は掛かってんだ。」


「易い部位を買って、ご家庭のお母ちゃんを喜ばせるも良し、高い部位を買って料亭の料亭一流板前に料理して貰って、お客さんに食べて喜んでもらうのも良し、さあさあ、買った買ったっ!!」


「今日、買わないと暫くは入荷しない貴重な代物だ。早い者勝ちだっ!!」


 この日、新世界で初めて取れた6匹のシーサーペントと6頭のものクジラは、豊洲市場や旧市場である築地市場で部位に由っては、マグロと似た様な値段の数万円から数十万円の高値が付く食材と成って、お茶の間を騒がせた。


 特にシーサーペントは、どんな調理方法でも美味しく食べられると、大評判の食材として、新レシピがあらゆる階層の人達へと広がりを見せたという。


 一方ではゲテモノと揶揄される事も有ったが、安全性は担保して居ると農水省と国内大手デパートのお墨付きを日本政府は喧伝して居るので、反対と敬遠する声はかき消されてしまうのであった。


アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月10日・午前13時分47頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・東太平洋地域・地球海洋諸国連合同盟勢力圏・日本列島・日本国・新日本国領・旧沖ノ鳥島海域周辺・オオエ島諸島県・オオエ島本島・県庁所在地・オオエ町・オオエ島本島北部・オオエ乃家畜竜牧場にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




 オオエ諸島漁師体験会を満喫した視察団一行は、水揚げした獲物での昼食を挟んで、午後から畑と家畜の見回りに参加した。


「北海道並みの広さの在る田畑に、牧場で放牧・・・・・って!?アレは竜ですか?」


「ええ、その通りです。この島では食用としての竜が食べられて居るのですよ。」


「その肉質は鶏肉に近い物です。」


 オオエ諸島の一つ一つの島々が佐渡や沖縄、淡路に対馬と言った大きさに匹敵して居るお陰で、オオエ族のハイ・オーガ族達は食い扶持に困る事無く、潤沢な食料を島々から得て居る様であった。


「これは凄いですね。上手くすれば、この島独自の特産品どころか、我が国の特産品にも成り得ます。」


「飼育方法と環境さえ整えられれば、日本本土でも飼育で既存の家畜に頼らなくても、新しい大型動物からの潤沢な肉が手に入れられるかも知れませんね。」


「小林さん。それは難しいかも知れません。」


「アレでもソコソコの大喰らいだそうですから、この島の環境下で伸び伸びと育てて居るから、あの家畜竜も生きて行けると見られて居ます。」


「まぁ、それなら品質改良が要りますね。」


「はい。農水省では、この竜には大変に注目はして居ますが、当面はオオエ諸島の特産品として売り出して行くのが、今の所は妥当な所だと見て居ます。」



 後にオオエ諸島の家畜竜は、どの高級食材鶏肉よりも美味いと評判のお肉として珍重される様に成る。


 更には品質改良が進むと、ある程度の食料を与えるだけで大きく成り、大量の食肉が手に入ると評判の食材の一つと成って行くのであった。


 視察団一行は、その後は島の史跡とされて居る文化財や同地に進出している企業への訪問、同地の詳しい民情を見聞きを済ませると、予定通りに西暦2030年6月16日には、東京都へと戻り、安元総理に現地に必要な政策を提言し、レポートを提出して長かった、視察旅行は無事に終了したのであった。 


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