外伝26話 新世界日本風土記 おいでませーーっ!ちょっと危ない鬼ヶ島っ!オオエ島諸島には悪い子は居ませんっ!! 1

アースティア暦1000年・西暦2030年・6月10日・午前9時分14頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・西太平洋地域・地球海洋諸国連合同盟勢力圏・日本列島・日本国・新日本国領・旧沖ノ鳥島海域周辺・オオエ島諸島県・オオエ島本島・県庁所在地・オオエ町にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




 日本国亜人居住地域学術現地調査団は、遂に最後の視察調査地である旧沖ノ鳥島地方に当たるオオエ島諸島県へと到着する。



 オオエ島諸島県は、この島に独自の文化圏と生活圏を形成するハイ・オーガ族の島で、地球での転移災害が発生した後、小さな小島だった沖ノ鳥島と合体した形で、数十の島諸島地域と成った旧沖ノ鳥島。


 その二つの小島は、今やオオエ島本島の中央に聳え立つ、オオエノ山の山頂の岩石と成り果て、その近くに建てられて居た沖ノ鳥島海上海洋気象観測所は、只の山岳観測所と成り果ててしまった。


 海から山へと名称が変更されると言う、何の冗談だと本土の気象庁や他の民間観測所の職員達に、ジョークとして揶揄われるネタと成って居た。


 さて、この島に暮らすハイ・オーガ族とは何か、オーガ族との違いとは?


 その説明を簡単にするのならば、チンパンジーと人間との違いだと言うしかない。


 オーガは人間で言えば、原人に当たり、ハイ・オーガが人間種と同等の知能が在るのだ。


 他にもゴブリンとオークは原人でしか無く、人族とは言葉が通じない野生動物に当たる。


 それくらいの僅かな違いしかないので、現代文明が万が一、この手の人権問題か野生動物保護問題で、色々な問題を裁判で争うと厄介な事に成り兼ねないと言える。



 そのハイ・オーガ族は、身長が2メートル50センチから3メートル越えの大柄な種族で、とても大らかで大人しい性格をして居る亜人種族である。


 屈強な身体とパワー自慢では有るが、ちゃんと勉学を教えれば人間と変わらない人々で、世界各地の気候が厳しい土地に、ひっそりと隠れる様にして暮らしている為か、争いごとに巻き込まれずに居る部族が多いと言う。


 オオエ島諸島に住まうオオエ族と言うハイ・オーガ族は、大陸中を渡り歩いて居た部族の一派が、ユーラシナ大陸の南東部に在った頃のオオエ島諸島に住み着き暮らして居たが、ある日を境に島々が地殻変動の影響で東へと移動して孤立してしまったらしい。


 それ以来、人魚や翼人種くらいの渡り暮らしをして居る亜人族しか、知らない島々成って居た地に住まうハイ・オーガ族と成って居る。


 

 それが300年前に、南方の亜人地域へと貿易に出掛けていたコヨミ皇国の商船団が、台風の嵐に巻き込まれ、流れ着いた事が遭った。


 その人々は、乗って居た外洋船の再建が困難であった為に、故郷へと帰る手段と流れ着いた先の場所が分からないとして、帰郷を諦めて同地に定住したと言う。


 その時にオオエ島諸島には、ユーラシナ大陸とコヨミ皇国の技術と文化が伝えられたと言う事が、最初にこの島へとやって来た日本政府の調査団により明らかに成り、コヨミ皇国側でも商船団が300年前も前に南方に渡った際に、行方不明と成った記録が確かに在るとの事であった。


 後日、日本政府の計らいで、オオエ島諸島に所縁の有る商船団の親族の子孫や関係者達が、帰国を断念した先祖達の墓参りに訪れて居る。


 そのオオエ島諸島に住まう人達の基幹産業は、農業と漁業に置かれて居る。

 

 島の農業は昔から自生して居るサトウキビ、トウモロコシ、小麦、ジャガイモ等が、大陸に近かった時代の名残りの食物として、現在も栽培が続けられて居た。


 コヨミ皇国の商船団の漂流民が根付いてからは、米・サツマイモ(この世界ではサクラ芋)ナス・キュウリ・トウガラシ等の栽培がされる様に成り、現在では大小50もの島々に多数の田畑と広大な原生林の恵みを受けて暮らして居る。



因みに島内には、オオエ諸島で唯一の家畜種である重騎竜の亜種タイプである 正面の額に角の無いのをプロトンという種類の亜竜が飼育されて居る。


 この種類は、地球で言えばプロトケラトプスに似た姿しており、最大で全長が23メートルにも成り、島では貴重なタンパク源の一つとして重宝されて居る。

 

 港に付いた船からぞろぞろと視察団一行の面々降りて行くと、一際大きい亜人族であるハイ・オーガ族達が出迎えの歓迎セレモニーを開いてくれて居た。



「うわー、話には聞いて居ましたが、とても大きい人達ですね。」


 視察団長の小林由紀子は、初めて見たハイ・オーガ族を見て、身体つきが兎に角大きな人達だと思った。


「はい。オオエ族の方々は、平均身長が2メートル50センチを超えますからね。」


「それに・・・・・・・・」と小林はジト目でオオエ町に来ているオオエ族のハイ・オーガ族の女性達に目をやる。


「『大きければ良いってもんじゃ無いわよっ!!』と叫びたく成るほどに、色々と身体付きがデカいのね。」


 小林が、特に驚いたのは、見た目の背丈だけでは無かった。


 バストサイズもビッククラスで、120センチ前後のサイズから最大で160cm(Pカップ)まで存在して居ると言うのだから、その驚きを例えるとすれば、見た目のインパクトが強すぎて、開いた口が塞がらないほどであると言った所だろう。


 正にボンキュッボンと言う言葉をそのまま体現して居る身体付きを体現して持って居た、オオエ族は持って居たのである



「それに加えて、聞く所によれば、何でも、ハイ・オーガ族は食べ過ぎても太らない体質と聞きます。」


「「「「「「「「「「羨まし過ぎるっ!!」」」」」」」」」」


「えっ?!」とポカンとしてしまう、現地の案内を担当する事に成った、交援省の総務課の男性職員。


 叫んだのは使節団に同行して居る全ての女性達であった。


 確かに身体がデカい事に目を瞑れば、スタイル抜群で、物凄く太り難いと言う夢の様なボデイスタイルを有するハイ・オーガ族の女性達は、それを目の当たりにして居る人間族の女性達に取っては、とても眩しく羨ましい物に目えるのだろうか?


 港に付いた視察団一行を出迎えてくれたのは、コヨミ皇国の流れを汲んだ様式の太鼓であるオオエ太鼓を豪快に叩いての出迎えである。


 ドドッンっ!ドンドンドコドコッコッドンドン!!ドドッンっ!ドンドンドコドコッコッドンドン!!


 ドドッンっ!ドンドンドコドコッコッドンドン!!ドドッンっ!ドンドンドコドコッコッドンドン!!


 ドドッンっ!ドンドンドコドコッコッドンドン!!ドドッンっ!ドンドンドコドコッコッドンドン!!



 ドドッンっ!ドンドンドコドコッコッドンドン!!ドドッンっ!ドンドンドコドコッコッドンドン!!



「流石に人間である我々からすれば、これは迫力満点の豪快な演奏ですねーっ・・・・・」と小林は、ハイ・オーガ族達が奏でる大太鼓の迫力ある音に圧巻されて居た。



 このオオエ太鼓による太鼓演奏は、日本国へと編入されとの同時に文科省指定の無形文化遺産に指定されて居る。


 他にも島内では、族長館とオオエ町の町全体が国指定重要文化財、国宝に指定されて居るし、オオエ太鼓は、同地方の伝統工芸品にも指定されれて居る。



 また、コヨミ皇国からの漂流者達の墓場を県指定の重要指定史跡に指定、オオエ島諸島県の発展に寄与し、その後の島内の文化と暮らしに影響を与え続けて居るとして、その歴史を後世に伝える重要な史跡であると、文科省として居る。



 この事はオオエ島内でも珍しい事らしく、他人の墓場まで文化財保護する日本政府の姿勢と心意気に感動し、その行為を好意的に受け居られている。


 コヨミ皇国からの漂流民達の墓場は、この出来ごと以来、オオエ族の恩人であるコヨミ漂流民達の墓場を今まで以上に、綺麗に手入れをする様になったと言う。




 ドドッンっ!ドンドンドコドコッコッドンドン!!ドドッンっ!ドンドンドコドコッコッドンドン!!



 ドドッンっ!ドンドンドコドコッコッドンドン!!ドドッンっ!ドンドンドコドコッコッドンドン!!





 ドドッンっ!ドンドンドコドコッコッドンドン!!ドドッンっ!ドンドンドコドコッコッドンドン!!



 ドドッンっ!ドンドンドコドコッコッドンドン!!ドドッンっ!ドンドンドコドコッコッドンドン!!




「小林殿、オオエ族長のオオエ紫温だ。」


 歓迎セレモニーの中を3メートル近くの大女が、その半分の背丈しかない小林に握手を求めて来たが。


「大きい・・・・・」


「はっはっはっ!!あたしらが住んで居るこの島に、あんたらの様な人間族が来るなんて出来事は、実に300年振りのことさね。」


「そりゃ、お互いに種族が違ければ、互いに違い過ぎるよ事も多いだろうよ。あたしからすれば、アンタ達の手の方が小さい過ぎるよ。」


「いえいえ、失礼いたしました。余りにも互いの違いに戸惑って居るだけですので・・・・・」


「そりゃ、見た目だけたがら、直に気に成らなくなるよ。これでもあたしらの種族は、アンタ等とも子作りは出来るし、喰いもんだって、暮らしだって、然程変わらないよ。」


「只ちょっと身体的にアンバランスだから、気を付け無いとあたし等がアンタ他達を怪我させちまうからな。」


 身体的に色々な部分が大きく性格も気さくで豪快な族長であるオオエ紫温は、ケラケラと笑いながら、日本政府からの援助で、陸上自衛隊で使用されて居る大型トレーラーを改装したトレーラーに乗り込んだ。


 ハイ・オーガ族は普通の車には乗れないので、陸上自衛隊で使用してる様なトレーラー車を彼らの体型に合わせて改造した車両を現地へと送り込んで居る。


 そんな関係で、オオエ島諸島県内には、三葉扶桑・樋野自動車工業・ミスズ自動車工業と言った大型トラック製造会社3社と三葉重工業株式会社と大松製作所の5社が合弁会社を立ち上げるべく乗り込んで来ていた。


 何でも日本政府と交援省とが音頭を取る形で、他種族専用使用の自動車開発のプロジェクトを此処、オオエ諸島で始めて居るらしい。


 特に大型車を含めた乗り物の開発は、一定の需要が有るとの見込みを想定し、オオエ族にサンプルを提供しながらの開発で、 その為に必要な開発と修理改修工場が、島内に立ち上げられて居る


 そんな感じで改造された、トレーラーに乗り込んだオオエ族の族長関係者達は、到着した視察団一行と供に、オオエ島諸島県庁舎へと向かうのであった。

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