外伝25話 新世界日本風土記 犬系獣人は島を駆けまわる南国の大神諸島県っ!!嵐が来たってなんくるないさーっ!!3

 アースティア暦1000年・西暦2030年・5月29日・午前12時分00頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・西太平洋地域・地球海洋諸国連合同盟勢力圏・日本列島・日本国・新日本国領・大神諸島県・大東諸島地方及びワーウルフン諸島・県庁所在地・ワーウルフン島・大神町にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



日本国亜人居住地域学術現地調査団が、亜人種族居住地域の視察調査を開始してから間も無く、3週間が経過しようとして居た。



 同行取材を続けて居た日本国営放送テレビ局であるJHKは、今回の政府主導による同地域の視察調査に際して、民放テレビ局と供に同行取材をして居た。


 新世界特集シリーズ全5回と題しての特集番組を組んで、国営放送テレビと言う無茶な特色を活かして、一ヶ所の取材が済むと、他の民放テレビ局とは別に、独自のルートで東京に在るJHK本局へと画像データが逸早く輸送されて居た。


 今日は、その第4回放送として、現地の様子を生中継として、伝える企画が為されようとして居た。



「こんにちは、JHK連続報道特集番組・新国土、亜人種族居住地域とは?」


「シリーズ5回に分けて放送される当番組は、新たな時代である新世界アースティアと其処に住まう人間族とは別の亜人族と言う人型生命体又は知的異種族。」


「そして、新たな時代と成る。我が国内での亜人族との共存社会とは、何かにか?」


「今回の特集番組は、そんな謎多き他種族である亜人族社会に迫る特集番組です。」


「シリーズ4回目と最終回の5回目は、2回に分けて現地へと直接乗り込んでの生放送も交えての放送と成りますので、亜人族の世界が、如何いった物なのかを最後まで、視聴者の皆様に、生情報をお送りして行きたい思います。」


 司会者を務めているベテラン女性アナウンサーは、概要を説明しつつも、これからの異世界で、地球世界とは別の意味での多様性ある社会に対して、これまでとは異なった社会が待って居る先に在る社会情勢に対して、一体、如何して行ったら良いのか?と、視聴者へと投げかける問い掛けで締めくった、ナレーションを読み上げながら番組が始まって行った。


 撮影の舞台はスタジオから大神諸島県のワーウルフン島北端の岬で行われて居た。


「改めましてこんにちは、黛梢恵です。」


「今日は、まだ日本本土に、お住まい方々が来られた事の無い。新しい県である大神諸島県のワーウルフン島にお邪魔して居ます。」


「大神諸島県は、沖縄県の大東諸島地方と、この世界に無かった、この大東島諸島地方が転移する前から、この辺り一帯の海上沖に点在して居たワーウルフン諸島がとが合併して出来た、全く新しい県と成って居ます。」


「日本国に編入された現在の大神諸島県の人口が1万2000人弱で、その内日系人が2000人。」


「ワーウルフン諸島に住まう犬系獣人族が、1万人ほど住んで居ます。」


「そんな歴史的な経緯を持って居るワーウルフン諸島内の現地の亜人族の方々は、ユーラシナ大陸からローラーナ帝国との争いや戦争等でに巻き込まれ、故郷を追われて来た人々の子孫なのだそうです。」


「今回は、これまでの取材で放送しました奇天烈で、独特な文化を持った部族の方々では無く。」


「かつてユーラシナ大陸の東部から中部に掛けての森林地帯や草原地帯に住まう獣人族であった、ワーヴォルフ族の人達の暮らしに付いても、お伝えして行きたい思います。」



 流石のJHKでも、此れまでに取材したサクラ諸島県のサクラ・マーメリーア部族のマーメイド族やコロロッポ諸島県の小妖精族たるリトルフェアリー族、海獣妖精族、海獣人族等の亜人族の暮らしを紹介して行った。


 しかし、その文化の実情を垣間見た視聴者達らは、カルチャーショックと言うよりも、その見た目と私生活のインパクトが強過ぎて、そのまま放送すべきか迷ったが、最終的には各放送局と総務省との話し合いの結果。」


「取材した在りのままを放送した方が印象が良いだろうと言う事に成り、下半身の一部にモザイクを入れる事で放送にGOサインを出したのだった。



 JHK連続報道特集番組・新国土、亜人種族居住地域とは?の番組は3回ほど再放送経ても、中々の高視聴率を叩きだして、日本本土の人々の関心を引き寄せるには十分な役割を果たす事に成功して居た。


 その二日後の夕方、気象庁の予報通りに大神諸島県へと台風1号が来襲して来た。


 大神諸島県立高等学校に通う学生達は、大嵐に成るので学生達の家族と供にプレハブではある物の、頑丈に作られて居る体育館や校舎等等の建物内へと泊まり込みで避難して来て居た。


 大東諸島地方地区の日本人高校生達も、台風のせいで海が時化で荒れるからと予報がある事から、学校に何時でも泊まり込みが出来るようにして居た。


 船での行き来して居る大東諸島地方地区の学生達は、本当なら自宅待機にしたい所なのだが、台風の影響で四日くらいは船が使えない事に成ると見られるとの情報だった為に、その前後まで授業の穴を開けれるのは流石に不味いので、そんな対策を見越して建てられた備え付けの宿泊校舎棟で暫くは泊まり込みで授業を受けていた。


 宿泊校舎棟は、緊急時には避難所にも指定されて居るので、ワーウルフン島に住まう住人達も避難所として開放されて居る体育館や校舎内で寝起きして居た。


 また、台風対策が万全である言い切る一部の住人が、頑丈に建てられた伝統的な家屋で嵐をやり過ごすべく、各々の家で家族と供に過ごして居る。


 校舎の窓ガラスがガタガタと音を立てて居るの中で、学生達は、トランプで大富豪と言うゲームをしていた。


 日本人とワーヴォルフ族との交流は順調に進み、特に子供達は良く遊ぶ仲が出来て居るので、日本本土から伝わった簡単なカードゲームに興じる姿が多く見られて居る。


 他にも花札やU●Oと言ったガードゲームも流行って居るらしい。



「革命だっ。」


「うわああああああぁぁぁぁぁーーーーっ!!そりゃないさーーっ!!」


 場面が一気にひっくり返る。


 良いカードを持ってばかり居たミナミは、悲痛な顔立ちで叫んだ。


「ううっ、負けちゃったさ。」


「所で何時?」


「夜の11時だね。」


「明日は流石に授業は中止って言ってたけど・・・・・・・」


「そろそろ寝る?」


「そうだねーっ!先生達は1時くらいまでは、交代で見回りに来るって言ってたさーっ!」


 ミナミ達は、明日は急ぎの用事はないものの、学生達である為に、早寝早起きに備えて眠る事にした。



 翌朝、案の定。


 台風のせいでワーウルフン島諸島地方の各地は大荒れとなり、家屋の一部に被害が出てしまって居た。


 過ぎ去った後の台風の現在位置は四国沖に在り、翌日には温帯低気圧に変わって数日中には消え去るとの見込みらしいとの発表が気象庁から発表されて居た。



 現在の天気予報は、転移災害に影響で気象衛星が極端に減ってしまった状況下にある為、気象庁が中心と成って、この世界に転移してしまった国際宇宙ステーションと各地の気象レーダーを上手く使用しての予報発表を行って居る。



 ワーヴォルフ族人達は、日本政府主導で建てられた建物へとの避難して居たお陰で難を逃れて居たが、伝統的な島の木材や石材を利用して造った家々に一部だったが、嵐に由る様々な被害が出て居た。


 陸上自衛隊・大神諸島県分隊駐屯地へと派遣されて居る自衛官達と大神諸島県・大東諸島地方警察署と消防署らは、被害が大きいと聞いたワーウルフン島諸島へと出動して行く。


 海上保安庁が保管管理する事が決められている二隻の輸送船を使って車両部隊を編成して地元の土建会社をも巻き込んでの災害復旧活動を開始した。


「ミナミっ!」


「ううっ、うーん。」


「校長先生達がポランティアとか言うのやるって言うから、校庭に集まってだってっ!」


「ボランティア?って何さーっ?」


「大東島の子達が言うには、無償奉仕って意味だってさ。」


「詰まりは、お手伝いの事だねーっ!」


「台風のせいで、島中が大変な事に成って居るってさっ!」


「分かったよーっ!」


 ミナミは同級生の同胞の子に起こされて、島の復興ボランティアへと出かけて行った。


 大神諸島県立高等学校に通う学生達は、獣人と日本人関係無く、ボランティアに参加し、先ずは学校内外の清掃してから、大神町内の清掃や人数が必要な壊れた木材の移動作業を手伝う事と成って居た。


 小中学校の子達は成るべく軽い物を片付けの作業に回る事と成った。


 そんな中で日本国営放送局のJHKは、朝の臨時ニュースとして、大神諸島県・大神町を襲った台風情報を伝えていた。


 前日の番組撮影の為に訪れて居たJHKのベテラン女性アナウンサーと番組スタッフ達は、東京都の本局からの指示で、臨時ニュースの撮影を開始する。


「台風による嵐のせいで、大変な被害が出てしまった、ここ大神諸島県・大神町。」


「ですが、ご覧ください。」


「よいしょっと・・・・・・」


 カメラは日本人高校生の女の子と同じ歳くらいの地元の犬系獣人の女の子とが協力して、復旧作業に当たって居る姿を映して居た。


「異なる二つの種族である人々が、協力し合って共に台風による被害から立ち直ろうと作業に奮闘して居ます。」


「これは我が国の将来が、とても明るい事を指して居り、日本国本土に措ける遠くない未来像なのかも知れないのです。」



 JHKのベテラン女性アナウンサーと番組スタッフ達が伝えた台風被害のニュースは、大変な反響を呼び、転移災害で経済が悪いのにも関わらず、多額の寄付金が大神諸島県に寄せられて居た。


 今回の報道では、亜人も見た目と身体つきが違うこと以外では、自分達と変わらない人々なのだと言う印象が広く広まり、サクラ諸島県とコロロッポ諸島で変わった文化形態を持って居た事で、やや印象が悪かった事が、やや薄れて行く事と成ったのであった。


 日本国亜人居住地域学術現地調査団に参加する政府系の団員達も、新しい社会へと着実に正しい道を歩んで居ると言う事に確かな手応えを感じて、最後の目的地であるオオエ島諸島県へと出発したのは、それから四日後の事で在った。

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