外伝28話 南郷どんっ! 1


 アースティア暦 10××年・西暦20××年・某月某日・午前9時15分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・コヨミ半島・コヨミ皇国・旧南西国藩・南西国州・州都庁所在都市・加古島市・加古島市役所・加古島市長室にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




 彼のアースティア大戦から半世紀、かつては南西国藩と呼ばれた藩は、南西国州と名を改めて居る。


 アースティア大戦後のコヨミ皇国は、今や民主主義体制と成って居り、今は議会政治と官僚体制で、国会が運営されて居る独立国家と成って居た。


 其処に50歳を過ぎた初老の男性が、久方ぶりに故郷である加古島市に帰郷して来たのである。


 その男は長い間、コヨミ皇国の各地で、各省庁の官僚を務めてきた人物で、50歳を過ぎたのを契機に、コヨミ皇国の官僚職の退職を決意する。



 官僚を止めた彼は、今度は故郷の市政を良くしたいと考え、市長選に出馬を目的の為に帰郷する。



 万が一、市長選がダメならば、故郷内の何所かの役場に勤める積りで居た。


 長い官僚勤務での繋がりが在るお陰で、その手の伝手も多く在るので、市長落選した際の滑り止めの確保して居る事から、後顧の憂い無く、安心して市長選に出馬をする事が出来たのであった。


 そして、一月前の加古島市の市長選挙で彼は見事に当選し、今日初登庁の日を迎えたのだった。



「この度は南郷さん、市長のご当選、真におめでとう御座います。」


「ああ、どうも。これから、この加古島市をもっともっと良くしたいと思います。」


「では、本格的なお仕事は3日後からと成ります。今日は簡単な書類と、午後には各部門の職員代表者達が、顔合わせのご挨拶に参ります。」


 

 加古島市役所職員の市長秘書をして居る職員達は、新市長である南郷松次郎と言う人物に、色々と今後の説明すると、己の職場へと戻って行った。


「ふぅ、何かと官職の代表と言うのは、こう挨拶と説明ばかりで疲れるよ。」


「そうですね。」


「まぁ、私もこの前まで、先ほどの者達と変わらぬ立場だったのだがね。」


「ですが、南郷さん。何でまた、定年まで勤められる省庁官僚職を辞められたんですか?」


「ああ、それね。まぁ、私の父がやり残した事かな。」


「南郷さんお父上と言えば、南郷盛隆先生ですね。」


「ああ・・・まだ、そう言う風に言う方が居るんですね・・・・・・」


「ええ、何を言っても、この加古島市の英雄ですよ。それも世界を救った英雄で有らせられる紅葉様達と同等の事をしたくらいの。」


「聞かせて貰えませんか、お父上の事を・・・・・」


「そうですね・・・・・・まぁ、良いでしょう。」


「本当ですか?」


「まぁ、この話は長話です。私の任期が終われるまでに話終えれば、良いんですがね。」


「お手透きの時で構いません。私も直にお聞きしたいのですよ。英雄と謳われた南郷盛隆先生の英雄譚を・・・・」



「まぁまぁ、そうがっ付きなさんな。私の父の話は、ちょっとした余興話程度ですよ。」


「それに・・・・・父の盛隆は、世間で言われている様な英雄では有りませんよ。特に家族や親族に取ってはね。」


「その父は臆病で人が良い、身体のデカイだけの人でしたし、その生き様は正に・・・・・、桜花島でしたね・・・・・・・・・」



 南郷盛隆の遺児の一人、南郷松次郎の言う桜花島とは、加古島市の南に浮かぶ火山島で、日本で言えば桜島の様な所である。


 その人の良さから非業の最後と成った南郷盛隆。


 その彼は奇妙な縁で紅葉と関わり、日本とも深い繋がりが有った。


 その彼が最も力を入れたのが、近代化と紅葉の輿入れだった。


 それは丸で篤姫と西郷隆盛の様な関係とも言える奇妙な縁である。

 

 此処から語られるのは、彼に関するその記録である。




 アースティア暦 ・1000年・3月末某日・午前10時17分頃・日本が転移する数日前・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・コヨミ皇国・コヨミ半島・コヨミ半島南部・南西国藩・加古島市・南西山城下の嶋津義隆屋敷にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 この日、紅葉はある理由から皇都・星都市から、コヨミ皇国の建国以来、暦皇族の事をとても大事に敬って居る南西国藩の嶋津一族が治めて居る中心地の藩都である加古島市にやって来ていた。


 その一件とは、ローラーナ帝国との一件であり、西北を中心の領地を治めて居る国内の講和一派と揉め、一騒動を起こしてしまったからだった。


 講和派は、長きに渡りローラーナ帝国と貿易を通じて、彼の国とは、商業交流を通じて、多少の友好的な国交関係を持って居て、その利権を維持し、帝国との戦を避け様と外交努力に努めていた歴史を持って居た。


 その甲斐も有ってか、ローラーナ帝国の本国政府上層部と言うより、近隣地域を統括して居るローラーナ帝国・第三方面軍・帝国東方制圧軍司令部が、好条件な話が講和派の舞い込んできた。


 それは第一皇女である紅葉を帝国の第五皇子ゾイザル・セイダル・ローラーナに嫁と言う名の人質に差し出せと言う物である。


 ゾイザル・セイダル・ローラーナは、ローラーナ帝国軍の帝国東方制圧軍総司令官にして、ローラーナ帝国領・シャッポロ属州領総督を兼務して居るローラーナ帝国の皇族幹部の一人。


 そんな我が儘で残忍な性格の彼は、ローラーナ帝国・第三方面軍・帝国東方制圧軍司令官であるのと同時に、ローラーナ帝国領・シャッポロ属州領総督と言うローラーナ帝国の皇族幹部と言う強力な権限を持って居るので、その権力の許す限り、やりたい放題なやり様を繰り返して来て居た。



 兎に角女癖が悪く、飽きると捨てると言う行為を繰り返し、ローラーナ帝国無敵論者にして残忍な性格で、そんな彼に逆らえば、100万人の軍勢や法律の曲解をしてまで己が我欲を通す始末。



 コヨミ皇国講和派には、ローラーナ帝国の下で平和な暮らしがしたいと言うのならば、その美貌と名声は、遥か西方諸国にも噂に聞え、東方にその人ありと謳われて居ると言う、黒髪の美しい皇女(紅葉)を寄越せと、半島の小国内の西側諸藩を通じて外交ルートにて迫って居た。


 それが嫌なら第二皇女の暦清香(こよみきょか)、第三皇女の暦麻衣(こよみまい)でも良いと言うのだ。



 これは素晴らしい条件だと喜び勇んで国皇である暦力仁国皇や皇后にして、正当なる皇族の血筋である暦葛葉皇后に、ローラーナ帝国領・シャッポロ属州領総督府からの講和平和条件の条文の事を上申するが、その場に居合わせた紅葉が激怒し、上申して来た諸侯を1人残らず叩きのめし、全員を病院送りにすると言う珍事が発生する。


  

 流石に両親は、これはやり過ぎとは言ったが、己や妹達を人質同然の嫁入りは絶対に嫌だと言う言い分にも、一定の理解を示して居たので、表向きは喧嘩両成敗と言う体裁を取る形で、紅葉の事を信頼関係の強い、嶋津家へと事件当事者である娘を預けたのであった。


 嶋津家の城下屋敷の一角に部屋を用意して貰った紅葉は、其処で初めて顔を合わせた世話役となる27歳の下級武士の男に面会した。


「おいは、南郷幸之助と申すでごわす。今日からお姫様のお世話係りとして、働く事になんり申した。宜しくお頼みもんす、姫様。」


 南西州訛りと呼ばれるこの地方一部の民が話す独特の喋り方で話す巨漢の男。


 彼は後の世では、南郷盛隆と成る男で、後世の世では、南郷(なご)どんの愛称で呼ばれている人物である。


 176センチの背丈と巨漢を持った体つきだが、とても臆病で優しい性格をしている南西武士。


 この男、どの身分の男女にめっぽう好かれ、信念を持つて働く誠実な人物と多くの人々から、好印象な人物である称される事に成る。


 後に竜史と紅葉の婚約が決まり、高見家への嫁入りが正式に決まると成ると、この男が結婚式や各種嫁入り道具を含めた一切を取り仕切りを任される大役をしたり、日本国の駐在文官として派遣されたりと官僚としてのキャリアをアップして行く。


 その後、彼はコヨミ皇国の近代改革政策である皇国御一新新政の改革が始まると新政権内で、親友である小久保仁蔵と対立し、仲違いをして起こして帰郷してまう。


 その後、新しい制度に馴染めない武士や諸侯、庶民達の大反乱の一つである反新戦争が勃発する。その中で最終戦争とも言うべき南西戦争の首謀者と成ってしまう運命が待って居た。



「南郷、そう畏まる必要は無いわよ。特に私は堅苦しいのが大嫌いな性分ですから・・・・・」


「いいえ、トンでもないでごわす。おいの様な下級武士である身分の者に、その様な事をして頂くのは、恐れ多い事でごわす。」

 

 紅葉は柔らかな笑顔でそう言うのであった。


 南郷は、初めて相対し、己が身分の差を気にせずと言う、紅葉の分け隔ての無い応対と性格がとても眩しく写るのであった。




 アースティア暦 ・1000年・4月4日・午前10時05分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・コヨミ皇国・コヨミ半島・コヨミ半島南部・南西国藩・加古島市・南西山城城下の嶋津義隆屋敷にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 それから暫くして、日本国自衛隊とコヨミ皇国・南西国藩水軍連合とローラーナ帝国東方制圧派遣海軍との紛争が起こる。


 南西国藩の南西山城・嶋津屋敷に戻って来る筈だった紅葉は、そのまま日本へ渡ってしまう。


 南郷は、嶋津義隆の嫡男で次期当主と決められている嶋津鳴彬(しまづなりあきら)に呼び出され、突如、紅葉の世話役の職をお役御免を言い渡された。

 

「・・・・・・・と言う訳だ南郷。すまんな。」


「では、姫様は新たに見つかった異国へと渡られたのでごわすか?」


「そうだ。今、姫様はお国の為に、ニホン国と我が国との橋渡しを成されるお積りだ。」


「父上も姫様の護衛として、我が藩へは、当面はお帰りには成られないかも知れなくなった。」


「其処でお前には、その方の無二の友でもある小久保仁蔵と供に、コヨミ皇国の皇国政府との連絡薬務を取り仕切るべく、ニホン国からやって来る外交官らの世話役を命じる。」


「ははっ!!謹んで拝命いたす所存でごわす。」



こうして南郷幸之助は、日本国からコヨミ皇国との外交交渉の下準備の為に派遣されて来る外交官の世話役を任される事に成った。


 そのお役目を供に命じられたのは、親友であり、幼馴染みでもある小久保仁蔵と共に命じられたのであった。 



  

アースティア暦 ・1000年・4月4日・午前10時05分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・コヨミ皇国・コヨミ半島・コヨミ半島南部・南西国藩・加古島市・南西山城城下・コヨミ皇国・南西国藩・在コヨミ皇国・南西国藩・日本国コヨミ皇国臨時領事館にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 それから数日後・・・・・・日本国政府は、外務を統括する外務省から外交官を中心とした官僚や職員達をコヨミ皇国との国交開設に向けて、自国と彼の国との連絡調整の為に、5名ほどの人員を加古島市へと派遣し、加古島港に客船に乗って現れた。


 コヨミ皇国は、日本が異世界アースティアに転移して、直ぐに接触した、初の異世界国家である。


 その日本国外交官達は、海上保安庁の巡視船3隻の護衛船と共に現れたのだが、国交樹立に向けての大事な最初の外交交渉である事から、あさくら号襲撃事件の事後処理を担当した実績も在る外務省の藤原敬二が国交開設に向けての地均しの為にやって来ていた。



 藤原敬二とは、 外務省の官僚の一人で、日本で一番最初にコヨミ皇国と交渉した、初の人物と成る。


 そのコヨミ皇国との外交交渉での功績が認められ、引き続きコヨミ皇国との担当者として、課長に昇進したらしいが、それは交援省の事だっらしく。


 外務省内では、色々と切れ者過ぎる人物である事から、霞ヶ関や地方の省庁街に居座られる事を危惧した上司や同僚達から、交援省に出向する人材をする様にと言われて居た事も有って、これを契機に丁度良いと交援省へと厄介払いされたらしいとの事。


 その理由として、外務大臣は別にして、外務省幹部達らが恐れる程に、外務省の影で動かしているとの噂が立っている胡散臭い人と言われて居ると言う。


 そんな彼が南西国藩・加古島市・南西山城城下を訪れると、テレビ時代劇の様な世界観だと思って、物珍しそうに南西国藩・在コヨミ皇国・南西国藩・日本国コヨミ皇国臨時領事館の庭先から市街地を見回して居た。


「この国は丸で、我が国の江戸時代に、タイムスリップしたかのような所ですね。」


「ええ、本当に時代劇村の様な所ですね。」


「藤原さん、お迎えのようです。」


 藤原は部下の外交官の一人が、コヨミ皇国側の出迎えに気が付き、急ぎその場へと歩き出した。


 出迎えたのは、176センチの背丈と巨漢を持った身体つきの男と背丈がソコソコ高く、ヒョロイ感じがするが、とても真面目そうな男を含めた二人が、日本国外交官達を出迎えた。


「お初にお目にかかり申す。おいどんは、南郷幸之助でごわす。」


「私は小久保仁蔵です。」


「二ホン国の外交官の方々の皆様方のお世話の事は、力仁国皇陛下と藩主代行の嶋津鳴彬様のお二人等から、おいどん達二人がお世話係を命じられ、申し使って居り申す。」


「宜しくお願い致します。」


「此方こそ、お世話に成ります。南西国藩・在コヨミ皇国・南西国藩・日本国コヨミ皇国臨時領事館に派遣され、貴国との国交開設準備に参りました、日本国外交官の藤原敬二です。後ろに控えて居るの者達は、日本国外務省から共にやって来た、私の部下達です。」


「では此方へ・・・・・・・・・・」と、小久保が、日本国との交渉を請け負う事に成った南西国藩と藩主。


 今は藩主である嶋津義隆が日本国に出向いて居る関係で不在である事から、交渉を行うのは父親の代理人として、次期嶋津家当主にして、藩主候補でもある藩主代行の嶋津鳴彬との会談場所である南西山城へと案内をするべく、一行を誘導をしてくれた。


(藤原さん。)


(何だね。)


(南郷さんと小久保さんを見た時に、背筋が凍りましたよ。)


(?!)と藤原は、部下の一人が背筋が凍ったと言う言葉の意味が、丸で分からなかった。


(藤原さん、コイツはね。鹿児島市の出身なんですよ。)


(ええ、あの二人を見た瞬間に、現代に西郷隆盛と大久保利通が蘇った様に見えてしまいましたよ。)


(ああ、言われてみれば、そんな風にも見えますね。ですが、西郷さんのお写真って、確か・・・・)


(まぁ、教科や人物図鑑には、合成写真が使われて居る事で有名ですけどね。)と、西郷隆盛の顔写真を今の日本人は誰も見た事が無く。


 一説には、細長く背が高い人物が西郷では無いのかと言われる写真が3つほど在ると言われて居るが真実の程は判らない。


 何故かって?


 それはわね、西郷さんって臆病な所が在って、写真嫌いだったと言う話が在るらしく、本人であると確証の在る真実の姿を誰も知らない。


 また、西郷と言う人物は色々と重要な役職を務めて居た事から、写真に写って居る姿を世間の目に晒すのを嫌ったとも言うが・・・・流石に明治に入ってからも一枚も写真が無いのだから、本当に写真が嫌いだったかも知れない。


 それに日本国内に在る全ての西郷像と言うのは、比較的西郷に顔が似ていたといわれる実弟の西郷従道の顔の上半分、従弟大山巌の顔の下半分を合成して描き、親戚関係者の考証を得て完成させたものである。


 それに・・・3人目の妻・糸子(いとこ)が、上野公園の西郷像のお披露目会では、『家の人はこんな人では無かっ!!」と言って怒って居たそうです。


 でも、それは今更ながら事で、その真実は本人が墓へと持ち去り、今は歴史の闇の中と言う訳と成って居る。



 日本国外交官達は、南郷と小久保の二人の事を彼の明治維新の立役者であり、今は歴史の偉人であり真実の顔が判らない西郷隆盛と仲違いの末に、西郷戦死の一報を聞いたその夜、玄関先で大泣きをしたと言う大久保利通の二人とそっくり其の儘の様だと、びっくりしてしまい。


 各々口々に、二人の人物象に付いての私見を話す。


 まさか後に、この二人が、西郷と大久保の二人と良く似た様な運命を辿る事に成ろうとは、流石にそんな事は、この時点に措いては、誰にも想像が出来る訳も無かった。


 この後、日本国外交官達は、話題の尽きない世話役の二人に嶋津家の城下屋敷へと案内を受け、嶋津家次期当主の嶋津鳴彬の歓待を受けたのであった。



  

アースティア暦 ・1000年・4月6日・午前11時08分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・コヨミ皇国・コヨミ半島・コヨミ半島南部・南西国藩・加古島市・加古島湾・大住半島と加古島半島沖合・加古島湾・桜花島近くと加古島湾港にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




 それから程なくして、紅葉の意向を組んだ南西国藩主である嶋津義隆は、自領地へと帰国をするべく、海上保安庁の巡視船団の護衛を受けながら自領地へと帰国する事と成った。



 彼は後に龍雲海沖海戦と呼ばれた戦いを終え、日本国へと曳航された率いて居た嶋津水軍と共に南西国藩へと帰国した。



 嶋津水軍は、日本国海上保安庁の巡視船団12隻と共に、嶋津水軍の12隻もの帆船を曳航させながら、加古島市から南に広がって居る沖合を挟んで居る大住半島と加古島半島に挟まれた加古島湾近くに在った、桜花島の近くで鎖を切り離した。


「あさくら号を救った全ての勇敢なる嶋津水軍の将兵に対して、総員っ!!敬礼っ!!」


 海上保安庁の保安隊員達は、警笛と敬礼を以ってして自国の多数の民間人の生命の危機を救った事に足して、感謝を表しながら、加古島湾から去って行く。


 これは防疫の面から現地人との接触は最低限にするとして居る政府の方針から来るもので、コヨミ皇国の本土内に立ち入る事は、外交官達以外では、まだまだ憚られて居たからだった。


 加古島湾内に入った嶋津水軍を見つけた家臣や領民達は大騒ぎと成ってしまう。


 家臣と領民達は、ローラーナ帝国の海戦に勝った藩主の話を聞き付け、悠々と凱旋を果たした事で、大興奮して居たからだった。


「殿だあああぁぁぁーーーーっ!!」


「殿がお戻りに成られたぞおおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」


 海を監視して居る嶋津家の家臣達が、大きな声で叫んで居た。



 義隆達は、加古島湾港へと到着すると、港へと駆け込んで来た家臣と領民達から熱烈な歓迎の出迎え受けた。


「義隆さまあああぁぁぁーーーーっ!!」


「義隆さまっ!!又もやローラーナ帝国軍を蹴散らしたとき誠ですか?」


「我らは、それを聞いて、胸のすく思いがしましたぞっ!!」


「うむ、皆には心配を掛けたな。だがワシはこの通り無事である。さぁさぁ、日々の職務に励んでくれっ!!」


「「「「「ははーーーっ!!」」」」」


 義隆の言葉を聞いた家臣と領民達は、安心したのかそれぞれの日々の仕事へと戻って行った。


「御父上、無事のお戻り何よりにございます。」


「鳴彬、ワシの居ない間の留守を良く守った。」


「はい。」


「早速だが、姫様の事も有る。積もる話は、姫様のご要件を片付けてからだ。」


「はい。二ホン国の外交官達は、父親の言付け通りに、何不自由の無い形で、持て成して居りまする。」


「ご苦労、何事も最初が肝心だ。その事が我が家とコヨミ皇国に途轍もない利益を齎す事に成る。」


 嶋津親子は、居城で有る南西山城へと入り、それぞれの政務へと入る。


 義隆は紅葉からの書状をそれぞれの宛先へと送り、鳴彬は引き続き内政の充実に務めて行くのであった。

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