外伝21話 新世界日本風土記 妖精と海獣人達の住まう島にて・・・コロロッポ諸島県の視察編 1

アースティア暦1000年・西暦2030年・5月15日・午前9時45分頃・・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・西太平洋地域・地球海洋諸国連合同盟勢力圏・日本列島・日本国・新日本国領・コロロッポ諸島県・南鳥島及びコロロッポ諸島中央部・コロロッポ島・コロロッポ諸島県庁所在地・コロロ市及び南鳥島湾港にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 此処はサクラ諸島県から現代の船足で北東へ3日の所に在る南鳥島。


 現在は日本国の法律の新法案の発布を経て、新日本国領・コロロッポ諸島県と成った新しい日本の地方自治体地域である。


 此処はサクラ諸島県とは、また別の様相を呈して居る地域で、独特な文化と南国ムードが溢れる所でもあった。


「今度の地域は、マトモな所でしょうね?」と日本国亜人居住地域学術現地調査団の団長である小林由紀子は、随行して居る交援省や国交省の職員にため息を付きながら聞いて来た。


 この世界の人魚族の女性達は、どこぞの自由な気風の欧米系の国々の移民国家先に見られる様なグラビア女性達みたいな人々よりも、更にオープンで自由な性格過ぎるライフスタイルに呆れと、童話世界風の設定よりもラブコメの様なラノベ世界風の設定世界感が強過ぎる事に、開いた口が塞がらないと言った感じで、本土の国民に向けて、何んと報告したら良いのかと、頭を痛めて居たからだった。


「・・・・・・と言われてもな。」


「ええ、何処も似た様な感じなので・・・・・・・」


「それで良いのと?言いたいけど、それがこの世界に措ける。その土地の伝統的文化の保護と言われてしまうとね・・・・・・・・・・・・・」


「それを私に言わないで下さいよぉっ!!」と嘆くのは、文科省と文化庁の職員達は悲痛な声で叫んだ。


 只でさえ、琉球文化やアイヌ文化と言った日本国内でも北と南に在る独特な文化圏の保護をと言う風当たりが強い事に頭を抱え、混血化が進んで居る為に、風化しそうな状況下に在るのに、アースティア世界へと異世界転移した影響で、オタク文化的な亜人族の文化形態を保護すると言う新しい仕事に頭を抱えて居るのだから、話を更にややこしくするような突っ込みを入れられても困ると言う物。


 彼らだって日常生活で裸体を晒したり、下着を身に付けない習慣やナンパが当たり前なのが普通な文化だと言われれば、無理に現地の人達に向かってダメとは言えない。


 況してや本土外の地域の事で、日本人の居住率は1割以下どころから1パーセント在るかさえ疑わしいと言わざるを得ないと言う地域の事なのだから、現地原住民族の人々に対して、迂闊な事は言えない。


地球世界にある北センチネル島の様な事態にならないだけマシである。


 因みに北センチネル島とは、インド領アンダマン諸島に所在し、南アンダマン島の西約30Kmに位置する離島のこと。


 この島の先住民であるセンチネル族は外部との接触を強く拒否しており、行政当局も何度も追い返されて居る事から世界一、攻撃的な先住民として知られている。


 現代文明人を拒否する理由は不明だが、接触した事は幾度か有るが、彼らが拒否する理由として、現代文明人達が彼らに感染症を齎したり、外部との諍いによる死傷者が出て居る事から、敢えて威嚇攻撃をして居るのでは無いのではないかと言われて居ると言う。



 そんな離島諸島様な展開には成らなかったコロロッポ諸島を含めた日本国亜人居住地域。  


 折角日本国への好感度支持率100パーセント新国土なのに、統治のスタート開始から内戦に成る様な火種を起こしたくは無い。


 そんな会話をして居る内に交援省を中心とした日本国亜人居住地域学術現地調査団は、次の目的地であるコロロ市にも含まれて居る南鳥島湾港へと到着する。


 コロロ市は、コロロッポ諸島と南鳥島全体を都市圏とする県庁所在地都市である。


 コロロッポ諸島自体がそれほど大きくはない離島諸島であるので、区割りはすれども市町村は作らずコロロ市だけを地方自治体とする事と成って居る。



「小林団長、ようこそコロロ市へ。」


「ご苦労様です。」


 港で出迎えくれたのは、南鳥島に常駐して居る海自隊員や海保隊員、気象庁の職員達を含めた合同庁舎と気象観測所に勤めて居る職員達だった。


 南鳥島は、転移の影響で海面水位が下がり、旅客機が楽々着陸が出来る様な飛行場の拡張工事と大きな港が楽々建設出来る程に陸地が広がり、更に大きな海自と海保の共用基地へと変貌して居た。


 上手くすれば1日4便程度の民間機の往来も可能に成るが、水上飛行艇も取り入れる話も検討して居るので、今後はUS-2救難機の様な飛行機が南方地域に向かう為の水上旅客機として取り入られる可能性も有ると言えた。



 さて、このコロロッポ諸島に付いてたが、詳しく説明して行く。


 この島々に定住して居る種族は、小妖精族たるリトルフェアリー族種が60パーセント、海獣妖精と呼ばれる妖精族の亜種タイプが20パーセント、海獣人族が20パーセントの割合で暮らして居る。


 コロロッポ島内にあるコロロ市は、西寄りに日本政府主導で作られた仮設行政区と日本人の居住地域で、その殆んどの建物が仮設住宅や5階建て程度の仮設ビルで占められて居た。


 その反対側の東寄りの海岸近くには、海獣人族・海獣妖精人族・特別保護住宅街区と成って居るが、島の木々を材料にした簡単な造りの家屋が立てられて居るだけで、島に暮らす海獣人・海獣妖精人族の住人達は、日中は砂浜でのんびりとごろ寝して居るか、海底洞窟で寝起きして居るのかの何方かと言う説明を視察団の団長である小林は受けている。


「しかし・・・・・・・・・・・・」


 ジト目の小林がチラリと東に広がる砂浜に目をやると・・・・・・・・・・


「「「「「おおおっ!!」」」」」と若い男達が、又もや大きな声上げて驚愕して居た。


「目のやり場に困るなっ!!」


「しかし、見るな言われても無理だよっ!これはっ!」


 この島に住まう海獣人族・海獣妖精人族の人口の7割五分を占めて居る女性達は、恥じらいが無い為か、大っぴらに大小様々サイズのバストを曝け出して居た。


 勿論、下半身もだ。


 海獣人族・海獣妖精人族とは、アザラシを含めた海に住まう哺乳動物の姿格好を真似て居る獣人族と妖精族達の事で、年に何回かは別の地域へと渡りをして子種を得る生活と生きて行くのに必要な生計の為に、食料と装飾品を得るべく、海上や海岸近くで狩りして過ごして居るらしい。


 そんな訳で、この島を起点に定住をして居るが、一々服に着替えると言う習慣が無い人たちだった。



「あはは・・・・・・はぁ~、そう・・・今度はそう来るのね。」


「小林さん、余り気に病むのも無駄かと思います。」


「そうそう、慣れれば、どうって事は有りませんよ。」


「寧ろ、ブラジル等の国々の原住民族問題の苦労に比べれば、まだ可愛い方ですよ。」


「こっちはこっちで、苦労しそうだとは思いますが・・・・・・・」


「まぁまぁ、あの人達は、陸上では普段からのんびり屋さん達ですから、でも我々だって最初は驚きましたけどね。」


 此処の地元を統括するコロロッポ諸島県庁の職員達は、1月も有ればあの光景が普通に見えて来るらしい。


 だが、その反面女性の裸を見ても興奮し辛く成ってしまう事が、ある意味問題かも知れないと、合同庁舎の職員達らは、苦笑交じりに言って居た。


そりゃね、毎日毎日女性の裸を見続けて居たら飽きるし、成れちゃうしね。



 況してや、グラビア写真集やビデオであっても同じ事が言えるのだからと例えをまじえて言われると、最早、苦笑するしか無いのである。



「まぁ、海獣の群生地だと思えば可愛い方と・・・・・・・思う事にしましょう。」


「ですが、各島々の内陸地はマトモですよ。小妖精族の人達は口が悪い事以外は、至って普通の格好の人達です。」


「口調が悪いって言って居る時点で、アウトな気がするんだけど・・・・・」


「あはは・・・・・・やっぱりですか?」


「まぁ、良いわ。次期の県知事に就任予定であるソララ・二ルポさんの所に急ぎましょう。」


 一行は、コロロッポ小妖精族の族長であり、コロロッポ諸島県次期県知事であるソララ・二ルポの下へと向かった。


 アースティア暦1000年・西暦2030年・5月15日・午前10時45分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・西太平洋地域・地球海洋諸国連合同盟勢力圏・日本列島・日本国・新日本国領・コロロッポ諸島県・南鳥島及びコロロッポ諸島中央部・コロロッポ島・コロロッポ諸島県庁所在地・コロロ市・コロロ小妖精族集落地区にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 徒歩でコロロ小妖精族集落地区の在る内陸へと向かう視察団一行は、南国の熱さに汗だくに成りながら、日本国へと編入するに当たって整備された集落へと続く砂利道を歩いて居た。


「ふうー、軽装に着替えたとは言え、この暑さは堪えるわ。」


「今日のコロロッポ諸島の気温は、34度ですからね。そりゃ、堪えますよ。」


「それにまだ、コロロッポ諸島内では、車が使える地区が限られて居ます。小林さんをはじめとする視察団の皆さんには、視察予定期間の間は徒歩と成ってしまうので、覚悟して置いて下さい。」



 コロロッポ諸島内では、車両の使える地区に限りが有った。


 これは小妖精族達が暮らす地域が疎らに有る為であり、それらを車両で踏み潰さない為に道路の施設を為すには、コロロ小妖精族達の承認を得なければ成らなかったからだ。


 今の所は、直ぐに必要性の在る主要道を作るだけに留め、今後は必要に応じて道を増やす事に成って居た。


 そんな訳で、コロロッポ諸島内の殆んどは徒歩と成って居るのだった。


「それは堪える事に成りそうね。」


「それに本土は、まだ5月だと言うのに、此処は本当に南国なのね。」


「海辺の子達が、裸で居るのも納得だわ。」


「まぁ、あれは熱中症対策でも有り、彼女達は、ああやって体温調節をして居る見たいですから・・・・・・・・」


「あっ!?南国と言えば、マラリアは有るの?」


「蚊は居るみたいですが、それほど大繁殖はして居ません。病原体や蚊を含めた地域外来種を含めて、外からの持ち込みが無ければですが・・・・・」


「そう、薬は十分に?」


「はい。その辺は抜かりは有りません。各種族の健康診断やカルテも作成済みですし、病院も都心クラスの設備は用意して在ります。」


「ベットは最大で120床、小妖精族はドールハウス模型の物を実用物に改造した物の用意が出来ています。」


 厚生労働省の職員がタブレットで見せたのは、ドールハウスの模型で、誰だよっ!!こんなに凝って作ったのは?と言うレベルを有して居る病院形式のドールハウス模型が制作され、タブレットに映し出されて居た。


「誰よ、国家の血税で、こんな凝ったものを作ったのはっ!!」


「交援省の厚労課の職員として雇った、一般公募の職員ですが、これがホンと良い物を造れるんですよ。」と厚労省の職員達は、何故か誇らしげに語って居た。


 可愛らしい小妖精族の病床なのだから、失礼が有っては為らないと、厚生労働省は人権的な配慮した行為が、斜め上に良い仕事をさせてしまったらしい。


 何せ、作らせた物の作者達は、ドールハウス好きや人形好きのへん・・・・・・・ゴホンっ!!・・・・では無く、紳士の皆様・雄志達に由る力作で有った。


 小林はそれを聞いて、呆れてしまう。


 この先、この手の出来事で政府の底力が本気に成ったら、何が作られるのかは想像出来ないかも知れないと彼女は思った。


 何せ日本人は、イギリス・ドイツと並ぶ以上に、外国の人達からドン引きされる程に物作りに関しては、物凄く凝り性な性格だからだ。


 因みにイギリス・ドイツと例を挙げたのは、軍艦や医療に発明と言った面で多くの実績がある国家の分かり易い事例を持った国を挙げただけなので、特に含む事は無いのでご容赦を頂きたい。


「小林さん、そうこうして居る内に、如何やら集落に付居た様です。」


「・・・・・今度はマトモよね・・・・」と不安そうに小林は集落に足を踏み入れた。


 其処には、石造りや木造作りで建てられたミニチュアの建物が点在する集落が800戸が見受けられた。


「これは凄いわねっ!!」


「ああ、小林さん、静かにして、此処の人達は普通のサイズの人間達とは違いますから。」


「生活環境に敏感肌人達なんですってっ!!」


 五月蠅くした為か、小妖精族達はジロリと小林を見つめてしまった。


 そんな中で族長の取り次ぎをして居る小妖精が近付いて来る。


 その姿はフィギュア人形と変わらない背丈に、青い髪色に薄い羽とその羽色はアゲハ蝶の様な美しさを誇って居た。


「日本国政府の者達か?」


「はい。何時もお世話に成って居ります。日本国本土から、日本国亜人居住地域学術現地調査団が到着しましたとソララ・二ルポ族長にお伝え下さい。」


「分かった。お客さん用の建物の位置は知って居るな?」


「今から族長をお呼びして来るから、貴方達は暫く其処で待つ様に・・・・・・・・・・・」


 取り次ぎ役を務めている小妖精は、族長を呼びに立ち去ると、視察団は外からのお客様用の建物のが立てられて居る地区へと移動する。


 視察団一行は60坪程の土地に建てられた一軒の家へと上がり、族長が来るの待つ事と成った。


 ソララ・二ルポとは、藍色セミロングヘアーをしたフィギュア人形に近い背丈をして居る小妖精族で、歳は推定年齢で35歳前後と思われるが、小妖精族は年を取っても幼く、又は若く見える容姿をして居るので、見た目通りの年齢とは限らないと言える種族なのだ。


 やや、口が悪いが、根は優しいと言うツンデレさんな性格をして居る人達であった。


「ふあああっ、気持ち良く昼寝して居たのに、これだから外からの人たちと言うのは・・・・・・」


「あのー・・・・・」


 総務省のコロロッポ諸島県担当として派遣された、女性職員が申し訳なさそうに言う。


「何よっ!!」


「此処には男性も居ますので、せめて公の場だけでも服を・・・・・」


「あら、巨人化変身するからって、服を脱ぎっぱなしにしたままだったわね。」


 ソララは、ツイうっかりと人間サイズの服を着忘れてしまったらしい。


 彼女達は普段から服を着る習慣がちゃんと有る。


 小妖精族の服装は地域ごとに違うが、コロロッポ諸島ではビキニ風の服が民族衣装とされて居た。


 だが、島内は海獣妖精人族と海獣人族以外の人々以外は暮らして居ないので、滅多な事ではお客の応対をする為に、人間体サイズへの変身が行われ事は殆んど無い。


 だが、転移災害によって日本国の南鳥島の領海と接続してしまい。


 気象庁が設置した南鳥島気象観測所と海上自衛隊が設置した海上自衛隊硫黄島航空基地隊の南鳥島航空派遣隊、更には転移災害によって増員され事に成った海上保安庁の保安隊員等と接触した事で状況が一変してしまう。


 同諸島は女性の園とも言うべき楽園であり、男が島内に入る事は、これまでの島の歴史中では有り得なかった事なのだ。


 それが各省庁の30名の職員が、日本国政府の調査命令で交援省から派遣された調査団員20名の派遣を待ってから日本国南鳥島未開地方調査団を組んで調査を開始したのが、コロロッポ諸島に初めて外部の男性が入って来た出来事である。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る