171話 フローレイティア第二商船艦隊との合流 1

アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月23日・午前10時30分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・レジェンダリア諸島・レジェンダリア諸島西部・セイジョン・ローグリア島・セイジョン・ローグリア島水域・ロー・デッニッシュ港及びグラブンメイル湾港要塞・ダバ派遣艦隊及びダバ支援艦隊停泊地にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 ダバ派遣隊は、日本政府が用意した追加の補給物資を満載したフローレイティア輸送商船商会の第二商船艦隊との合流が間も無く果たされ様として居た。


ダバ派遣隊は、この戦いに措いて、弾薬の総量の7割近くを消費し尽くして居た。


 その補給物資の輸送運搬を行なう為に、紅葉の肝煎りの紹介先として、兼ねてから日本政府と取引を始めていた、紅葉の年上の親友たるシェスカの家が、営んで居る武装輸送商船商会の艦隊である30隻の魔導空挺艦隊が、合流予定地点であるレジェンダリア諸島西部に在る。


ロー・デッニッシュ港及びグラブンメイル湾港要塞へと急いでいた。



「リゼット商隊長っ!」


「間も無く日本国自衛艦隊との合流予定であるセイジョン・ローグリア島・ロー・デッニッシュ港及びグラブンメイル湾港要塞に入ります。」


「分かった。軍港のアルガス公国軍の指示に従って、事故の無いようにな。」


「はっ!」


 フローレイティア輸送商船商会の第二商船艦隊・商隊長を預かるリゼット・ダッカーヒルンは、年齢23歳である。


 彼女の家は代々フローレイティア輸送商船商会で活躍している家系で、商会内では第二商船艦隊を任されている人物である。


 生真面目で責任感の強いクールな性格。すらりとした細いスタイルと銀髪のショートカットで、凛々しい顔立ちをして居る。


 フローレイティア家の当主たるシェスカも信頼を置いて居る人物で、彼女の扱う艦隊から日本の技術力を使った船体改装を請け負う会社に、以下の重工業会社が名乗りを上げていた。


 三葉重工・三葉造船重工・カワカミ重工・上州十字星重工業株式会社(現スバル星重工業株式会社)。


 モトダ技研工業。常陸那珂製作所・・・・等々を含めた日本国が誇る数多くの重工業と造船会社と航空機関連の会社は、日本政府の要請を受けて名乗り上げていた。


 各社は共同で、各地の港に置かれて居る造船ドッグにて、西からやって来たフローレイティア輸送商船商会の魔導船体の改修と補修工事を請けさせて貰って居た。


 また、各地の工場では、改修に伴う船体の補修や付け替えに必要な新しい部品の製造も始まり、冷え込んでいた日本国内の重工業の工場に取って、これがある種の日本政府御用達指名による特需景気と成って居た。



 フローレイティア第二商船艦隊は、自社での仕事の都合も有るので、電子配線関係やレーダーに通信機、機関砲等を優先的に改装が終了と成り、第一次改装を終えて、仕事復帰したばかりの船団だった。


 しかし、それだけを終えて大陸の請負の仕事に戻るのは些か勿体無いと言えた。


 其処でフローレイティア輸送商船商会は、日本政府に対して通商交渉を試みたのである。


 日本での交易品を買い付けたり、各種の取引の商談をしたいと申し込んだ。


 すると日本政府は、他の業務も併せて引き受けて貰えるの為らばと、通商貿易の許可を出したのだった。


 これが我が国に措ける異世界商社に対する初の通商交易往来の許可状が出された出来事だった。



 まだ、コヨミ皇国の万代藩の伊達愛海とその彼女が自営業を営んで居る伊達商会。


 嶋津家の南西国藩と藩内の商家が認可申請を申し込んだばかりである。


 この二地域は、外交上の迷惑料代わりとして、今は経産省と外務省で許可証の審査が成されて居る最中だった。


 一方のラクロアナ王国も思わぬ形で、通商が始まろうとして居る。


 それは食料貿易として、国交開設よりも先駆けて許可証が発行されようとして居た。

 


 レビル国王の札幌市への入院移送の一件で始まった日本とロシアと関係から、食料貿易に限っての許可が下りて居たが、フローレイティア輸送商船商会の方が早かったので、日本へ貿易権の獲得一番乗りを惜しくも逃して居た事に成る。



 フローレイティア輸送商船商会は自衛隊と防衛省との関係から許可が早まり、次にラクロアナ王国は地球系転移国家群の食料問題から許可が為されて居る。



 コヨミ皇国の許可申請が、やや遅いのは、日本が物産の取り引きの貿易の分野では、慌て居ないだけで、そろそろサミットが始まる1月前には許可が下りる予定の筈だった。


 日本とコヨミ皇国で初期の取引は、検疫等が行われるだけの日本からの一方的な荷下ろしされるだけで、その目的は現地へと仕事に来て居る官民の人々が、使う様々な物資が有るだけであった。


 その余剰分スペースで、運ばれて来た民生品を伊達家が、認可して居る商家へと交易品として卸して居た。


 これはあくまで試験的な意味と迷惑を掛けて居る伊達家への配慮だった。


 嶋津家と南西国藩とも同様の試験貿易が行われて居た。


 他の国は東京サミット後に、国交開設が成されてからの貿易が、開始される予定と成って居た。


 そのフローレイティア第二商船艦隊は、第一次改装を終えた直後に、オローシャ帝国政府を経由し、次に在オローシャ帝国・コヨミ大使館を経由。


 最後に日本政府を通じて、本国に有る商会本社から飛び込みの仕事を請け負う事が決まる。



 その内容は、ダバード・ロード王国へと向って居る海上自衛隊艦隊の補給物資の積荷を新潟港で受け取り、輸送する内容であった。


 新たな依頼を遂行するべく、リゼットは自分の指揮する艦隊を新潟に集結させる事が決まった。



 

 同時にフローレイティア第二商船艦隊へと荷とその積荷を管理させる人材を届けるべく、日本国内の輸送会社や自衛隊も当然ながら動く事と成る。


 この事でかなりの公的資金が動き、それによって日本国内経済が潤うと言う嬉しい誤算が生まれた事も付け加えて置く。



 フローレイティア輸送商船商会とは、オローシャ帝国の東方の州で、フローレイティア家が管理統治をして居るフローレイティア州を中心に商船活動をしており、その家柄は軍人貴族系の流れを組む商会である。


 古の昔フローレイティア家は、宇宙船艦隊で大宇宙を飛び回る大商会だったと言う話が伝わっていた。


 今現在使って居る魔導空挺艦の全ては、その艦隊の生き残りだと言われている。


 その艦の整備と改修作業を請け負った日本国内の重工業各社達は、その技術力の高さに舌を巻いて驚愕の声を上げていた。


 そして現在、彼らの日本近海で始めている主な新しい仕事は、危険で行きのし辛いユーラシナ大陸の内陸部とパイプ・ライン大河近郊を通っての物資輸送、後の世に言う日本航路の開拓事業であった。


 輸送艦隊が仕事で、日本に立ち寄ったその序でに、日本国内で買い付けられる日用品や工芸品等を積み込む事が、彼らの新しい事業と成って居た。



 これが今や大当たりをして居た。


 何せ、試験貿易で日本製品を買える様に成って居のは、コヨミ皇国の万代市港と加古島市港だけである。



 フローレイティア輸送商船商会に続いて、第二の許可が取れたばかりラクロアナ王国は、寄港地としてニュウヤーク市、ゼングリラ市、ロウデニィオン市等の港町を指定して居た。


 ラクロアナ王国は異世界国家との交易地として、日本国を始めとした各国との調整を進めて居た。


 先に述べたが、今の所は生鮮食料品と加工食品が優先されて居た。


 引き続きラクロアナ王国・外務省は、二ホンとの本格的な貿易に向けての地ならしを急いで居た。   



 同国は次の貿易取引品として、日本国内でも取引がし易く、この転移騒ぎで国内需要が途絶え始めていた伝統工芸品の輸入を考えていた。


 日本の伝統工芸品は、飾る物ばかりではなく。生活日用品も多く造られて居るので、ラクロアナ王国各階層の消費者達に取っても、需要が多く見込まれて居た。



 また重工業品の取引は早くしたいが、国内の各種準備が整うまでは取引が難しいので、貿易開始までの道のりは遠いと言えた。



 さて、フローレイティア輸送商船商会の話に戻るが、フローレイティアの商会が進んで買い付けた物は、日本国内でも大量に消費するだけの工業製品として製造された既製品を買い付けていた。


 日本政府は貿易を許可するに当たって、産業廃棄物に成り難い物のみの販売が許可されて居た。


 貿易品目としては、日用・生活雑貨・加工食品・玩具・手動式の移動車両(自転車や荷車)。ホームセンターで売られて居る様な金属道具類(大工道具・農用器具類でエンジンが無い物とプラスチック類で無い事)。

 

 菓子類(紙製品の袋を使用もの)文具類・伝統工芸品・書籍(簡単な学術書と小説類のみ・旅行雑誌類も含む)


 酒類・医療品(生理用品・マスク綿棒・爪切り・石鹸・国内の薬局で販売が許可されて居る医薬品類で風邪薬・胃腸薬・傷薬・湿布類等々)飲料水(ジュース・コーヒー・お茶類等々全て瓶製品として販売。)


 食品・飲料水・化粧品を含めた容器を使用して居る商品は、各商品の専用容器を販売し、量り売りする事が新しい貿易法として定められて居る。


 かつて地球世界での産廃処理に困る様な商売方法をこの瀬下会では一新し、全く新しい流通商法を組み直そうと日本政府と経済界は必死に成って新体制へと移行して行く積りなのだった。

 

 フローレイティア輸送商船商会が貿易を行うと聞き付けた日本国内の商社マン達が、許可されている品目内に目を通し終えると、大挙して新潟港へと押し寄せ、売り込み合戦が始まったのであった


 予想外にも、そんな大騒動と成ったしまったが、元々日本政府もそれを止める気も無いし、フローレイティア輸送商船商会側からすれば、船体改修をするだけで終わって帰国するのも嫌なのだ。


 目の前に良い商品が有るの国なのに、何も交渉と商談もしないままに、手ぶらで帰るのも燃料経費の無駄と言われれば、仕方が無いと言わざる負えない。



 国内の景気対策と永続的な取り引きも将来の視野に入れて、環境破壊に成る様な容器や梱包材を使用したと言う非常に厳しい審査条件をクリアしている製品以外の呑みの取り引きを条件に貿易を始める両者。


 そして、日本国と貿易拡大で、フローレイティア輸送商船商会は日本国へと向かう船便の数を増やすべく、フローレイティア輸送商船商会の商会と裏事情が取れて居る船の行き来も日本国政府は、認め始めたのである。


 但し、フローレイティア輸送商船商会が関係商船商会の面倒をしっかり見ると言う条件と使用する港は指定港のみで、福岡市と新潟市と青森、函館と小樽が指定されていた。


 しかしながら、これにはちゃんとした理由がある。


 国内には転移災害に伴って、定期便の船が数多く余って居る所が、多いのだ。


 それも大都市の港と成ると尚更である。


 そんな理由から福岡市と新潟市で大きな荷物や大量の物資の荷揚げ作業を賄いつつ、青森や函館と小樽の港で小物を扱う形で、フローレイティア輸送商船商会との事が落ち着いたらしいのだった。



 この貿易でフローレイティア輸送商船商会は、日本との接点を得たと共に、その後の世では、一大企業と躍進して行く基盤を得たのであった。



 アースティア大戦の戦後には、日本国に営業の業務関連の本社を霧野市に置き、戦時中には日本政府との取引が頻繁に成った事から、赤城山の麓に空挺艦の離発着空港を整備させ、その利便性を高めたのであるのだが・・・・・・・・・・



 その事は有る男とのややこしい男女関係が有ったせいと言われていた。


 それも多数の女性とのめんどくさい関係だった。


 その話に付いては、後々に語る事にして、フローレイティア輸送商船商会は、オローシャ帝国を本拠に、西はユールッハ地方・リユッセル北欧同盟の本拠であるアルビオン王国。


 東はコヨミ皇国を行き来して居た。


 だが、最近に成って日本国を中心とした地球系国家群の転移に伴い日本国の港への入港許可が5月の半ば位から得られて居た。


 日本政府は、シェスカとフローレイティア輸送商船商会が手伝った一件であるガイダル諸島への護送輸送の取り引きに付いて、とても良い働きをしたと評価して居たのである。



 今では改修された同諸島には、ダバード・ロード王国と日本国との共用航空基地と成ったガイダル諸島との定期運送を任されるまでに成っていた。



 紅葉の紹介で始まったこの取り引きは、シェスカとフローレイティア輸送商船商会に新たな販路と航路を齎して居た。


 今では日本製品の買い付けの代理業務まで引き受ける程の独占状態と成っており、船数が足りない状態へと陥るまで業績を伸ばして居た。


 シェスカは、何れライバルが日本にやって来る前に、日本での経営と利益の基盤を磐石にする積りで居たが、それでも人手や船が足りないのだ。


 シェスカの手元には12艦隊が有るが、フル稼働しても間に合わなく成って来ており、とても困って居るのだった。



 其処でシェスカは、自分の元々の商船航路と日本交易船路の維持の為に、フローレイティア輸送商船商会と古い付き合いの有る商船商会や自分の所の商会から独立した商会長に声を掛けて、新たな航路やそれまで維持して居た航路の維持に努めていた。


 一方の日本の商船や輸送船会社達は、比較的安全な近海と南方海域との取り引きで会社経営を維持して居る状態である。



 今の所は綱渡り状態だが、サミットが済めば、もう少しだけマシに成ると言われている。

 



 新潟港を出発したフローレイティア第二商船艦隊は、コヨミ皇国の賀谷野藩・賀谷野市・賀谷野港を経由して、パイプ・ライン大河を西へと進む。


 行く先々の航路では、大した騒ぎも無く、ダバ派遣艦隊と合流しようとして居た。



魔導空挺戦艦12隻と魔導空挺輸送艦18隻から成る艦隊は、湾内を管理して居るアルガス公国軍のワイバーンに乗騎している騎士の誘導案内で、指定された場所に着水して行く。



「全艦着水完了。」


「良しっ!各艦機材を下ろして、積荷を管理して居る自衛官達と協力しつつ、荷降しと積み込み作業に掛かれっ!」


「はっ!」


「私は自衛隊の艦隊司令殿と各艦隊の代表者達の所へ挨拶周りと受領書を届けて来る。」


「何か有れば、使いをかが・ひゅうが・しょうかくの何れかに出してくれ。」


「はっ!後はお任せ下さい。」



 リゼットは、挨拶回りと受領書出しに向かう為に、主な指揮官達に会いに行くのだ。


 こう言う細かい余念が無い気遣いも、今後の仕事に繋がるので、フローレイティア輸送商船商会の良い言われる理由の一つだっりするのだった。



 フローレイティア第二商船艦隊の各艦には、陸海空の自衛官達が乗船して居るが、最も多いのが陸自の施設科隊員。


 続いて海自隊員が居るが、各分野の専門知識持った人材と補給整備に必要な人材が派遣されて居て、弾薬部品類の管理が主な仕事だった。



 同じく派遣されて居る空自隊員の者達も、似た様な分野の理由で、やって来て居る者達ばかりだった。


 ホークリフトに大型クレーン車や牽引式トラック等の車両群が次々と下ろされ、近くにはクレーンが付いて居る修理ドッグ艦いとじま・わかまつ。


 それに補給艦まみや・いらこ・あかし等が現れ、同じ様な機能を備えている民間船と共に、ミサイルや砲弾が空に成りつつある護衛艦の弾薬庫へ補充作業を開始する。


 本来なら設備の整った場所で補給作業をすべきだが、此処は異世界で便利な設備の充実して居る港は、転移して来た地球系国家軍以外を除いて全く無いのだ。


 それなので今は、用意が出きる道具や器具を利用しつつ、工夫して作業をして行くしかないのだ。



 遠くでは陸自各車両部隊が輸送艦への積み込み作業が始まって居る。


 身振り手振りで、各車両を振り分け、ワイヤーでの固定作業にも余念が無い。



「ふーっ、これでやっと本来の任務が果たせるな。」


「全くですよ。グリクス地方軍団との紛争のせいで、こんな所で、約2週間弱ほどの足止めを喰らって居ますからね。」


「これでローラーナ帝国とやらも、大人しくしててくれれば良いんだがね。」


「流石にもう懲りて居るでしょう。」


「本国からの話では、ダバ派遣艦隊が出発した後で、航空護衛艦あかぎを中心とした護衛艦隊と艦隊決戦をしましたからね。」


「民間船救出作戦を含めれば、正面から自衛隊と戦って3度も大敗を喫して居ます。」


「これでもう一度なんて言う事に成れば、ローラーナ帝国の国土防衛に完全な穴を作る事に成る筈です。」


「でもなぁ・・・専制主義国家と言うのは、面子が大事って言うのが国是だからなぁ・・・・・・・」


「そりゃ、そうですけどね・・・・・そればかりは、祈るしか無いですよ。」


 作業しながら愚痴る陸自隊員達は、これ以上の面倒な騒ぎは勘弁して欲しいと天に祈るばかりだった。

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