172話 フローレイティア第二商船艦隊との合流 2

アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月23日・午前10時15分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・レジェンダリア諸島・レジェンダリア諸島西部・セイジョン・ローグリア島・セイジョン・ローグリア島水域・ロー・デッニッシュ港及びグラブンメイル湾港要塞・ダバ派遣艦隊及びダバ支援艦隊停泊地にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 リゼットはフローレイティア第二商船艦隊の代表として、ダバ派遣艦隊司令官の居る。


ヘリ搭載型護衛艦いずもへとやって来ていた。


 いずもに到着した彼女は、海自衛隊員の案内を受けて、ダバ派遣艦隊司令官である置鮎一佐の居る艦長室へと、通されたのだった。


「フローレイティア輸送商船商会、フローレイティア第二商船艦隊・商隊長リゼット・ダッカーヒルンです。」


「補給物資をお届けに参りました。」


「受け取り確認の受領書をお持ちしましたので、サインと判をお願いします。」


「ダバ派遣艦隊の司令官、置鮎一佐です。こんな遠い所まで有り難う御座います。」


 艦長室に置かれた机で、事務仕事に追われて居た置鮎一佐だったが、来客が来ると直ぐに彼は、リゼットを出迎える為に立ち上がり、敬礼をし合った後に、近付いてお互いに握手を交わす。


 リゼットが書類を手渡すと中に書かれて居る補給物資の一覧表を一通り見て、リゼット顔を見た。


「確かに、ですが、これだけの量です。」


「一通りしっかりとしたチェックをしてから、受け取りのサインと判を押した書類をお渡し致しますので、お時間の方は?」


「はい。構いません。私の方も、此処での荷降しが終わるまで、足止めですから。」


「それに皆様の船での生活や戦で出た、廃棄物を受け取って、日本にとんぼ返りと成りますので、お気に為さらずに・・・・・・」



 フローレイティア第二商船艦隊は日本に戻る予定と成って居た。


 アルガス公国内の港で補給を済ませた後に、そのまま日本へと向かうらしい。


 それも日常生活と戦闘で出てしまった廃棄物を持ってだった。


「そうでしたか、てっきりガイダル島に出来た、ごみ処理施設で仕分けしてから日本に向かうと思って居ましたが・・・・・」


「それだと銃砲弾類の空薬莢やその他のゴミ類などがお邪魔でしょうとの事でして、それを気遣われて居る日本政府は、我々に往復の便での輸送仕事を依頼されて居ますので・・・・」


「それと日本国政府からもう一つ請け負っています。」


「後片付けの一部は我々で引き受ける事に成りましたので、あなた方は本来の目的地に向かって下さい。」



「助かります。此方の方も、此処からの出発は、3日か4日程度の作業日程を終えてからの予定をして居ます。」



「こちらも精神誠意お仕事を頑張らせて頂きます。」



 日本政府も送れた日程を取り戻すべく、気を使ってくれて居るらしい。


 戦場と成ったレジェンダリア諸島の清掃で、如何しても放置して残せない物の処理を国内へと持ち帰り、国内で廃棄物の処理をする様だ。



 これは環境保護と軍事機密の観点からのやむ終えない理由からだった。



「休憩時には、此方で食事もご用意さて居ます。」


「ご休憩時間を指定して貰えれば、何時でもお出ししますので、お近くの大型艦へといらして下さい。」


「助かります。海自艦の食事はとても美味しいですからね。商隊の者達も喜ぶでしょう。」



 置鮎一佐は、作業で奮闘してくれて居るリゼット達の為に、食事の提供をする予定で居た。



 その話にリゼットは喜ぶ。


 何故なら何度か、そう言った機会に恵まれて居たからだった。


 リゼットは海自艦との輸送仕事を請け負う課程で、出会った先の艦長達から歓迎を受ける形で食事をご馳走に成って居た。


 その時に食べた料理の味が忘れられず、別の艦では同じ料理でも、盛り付けや味付けに、内容が微妙に違うと言う話を聞き及んで居たからだった。


 特に2度ほど食べた事の有る海軍カレーは、どれも別物だったとの感想を言って居た。


 彼女はそのカレーが出て居ると言う艦をこの仕事の間に、ハシゴしたと言うマニア振りだったと言う。




 うらが型掃海母艦うらがは、本来ならダバ派遣隊の物資運搬やはやぶさ型ミサイル艇の物資補給の支援を目的に借り出されただけの護衛艦である。


 自衛用の76ミリ単装連射砲が装備されて居る事も有って、この世界で起こりうる想定外の戦闘での支援火器の頭数としても期待される形で、こんな西方の土地にまでやって来ていた。


 所がレジェンダリア諸島で、ダバ派遣艦隊とグリクス地方軍団は衝突してしまう。


 如何にか勝ちを得たダバ派遣隊は、日本政府からある指令を受けていた。


「再侵攻されると、何かとめんどくさいんで、ブラキュリオス湖南部一帯に機雷を施設してくれ」とね。


 随分と勝手な事と思うが、防衛省もそして、交援省大臣である竜史も一緒に成って進めた提言らしいのだ。


 ダバ支援艦隊に追加で随伴派遣されて居るぶんご型掃海母艦3隻の役目が、機雷敷設が目的の派遣で、補給物資の運搬はオマケだったりする。


 合流したうらが型掃海母艦うらがと、ぶんご型掃海母艦ぶんご・くなしり・しゃこたんの4隻は、レジェンダリア諸島の東西に二手に分かれて、ブラキュリオス湖南部一帯に機雷をばら撒いて居た。



「これが我が国で10年前に採用されて居る20式機雷です。」


「この突起して居る部分に船体が触れると爆発する仕掛けと聞き居ている。」



 掃海艦隊の旗艦のうらがの後部格納庫内で、海自一尉の隊員から説明を聞いて居るのは、アルガス魔導師団を率いているレイダー団長だった。


 20式機雷は2020年度の装備更新で調達購入が決まった機雷で、主に日本列島の近海で有事の時に使用される目的で調達して居たの装備であった。


 しかしながら、そんな装備が異世界の異国内の湖で仕様されるとは、もしもの備えで持って居た物が、意外な事で使われたのだった。


 全く先々の事に関しては、何が起きるか分からない物だ。


 先の戦いでも使用されて居るが、その時は視察する暇すら無かった為に、今日初めて実物を直接見る事が出たのだった。


「はい。この突起部分に、ある程度の強い力が加えられますと、船体に穴が開くほどの大爆発が起きます。」


「ですのでレイダー団長殿、これらが仕掛けられて居る東西のブラキュリオス湖南部一帯の水域での船舶の往来は通行止めと成ります。」


「この事を周知徹底して頂きたいのです。」


「事前の説明でも有ったが、水上船と陸上浮遊船は確実に沈むのだな。」


「はい。威力こそ多少は抑えられて居ますが、この世界の魔導船は水陸共に水上の上を航行して居ますので、軍艦以外の船に被害が及ぶのは、後々我が国を含めて大事に成り兼ねないのです。」


「確か以前、日本が居た世界では、機雷と地雷と言う仕掛け爆弾の類は、非戦時下では邪魔でしか無いとの説明を聞いた。」


「確かに、それは理解出きる事だが。何の関係の無い物が、船や手足を失う羽目に成るのは、どの世界でも忍びない。」


「それに我々とて戦争して居るが、何所の国の民だろうと戦に無関係の民間人を巻き込む気は無いのだ。」


「この地域での機雷の仕掛けに付いては、周知徹底させる。」


「ローラーナ帝国とて、此処に罠が有るぞと言って居るヶ所を無理攻めするほど愚かではない。」


「我が公国は、守り辛いレジェンダリア諸島の防備が少しでも良く成れば、他の地域に睨みを効かせられるしな。」


「今回の件も大変に有り難い処置だと感じて居る。」


 今回の戦いでの教訓からアルガス公国は、日本から機雷と対車両用の地雷を優先的に輸入しようと試みる事と成った。


 この二つが有れば、少なくとも帝国軍の陸上と水上からの侵攻が防げるとの考えに至ったからである。



 さて、物見遊山でパイプ・ライン大河まで日本艦隊、即ちダバ派遣艦隊を視察しにやって来ていたドラグリア白龍大帝国の大帝たるエリン。


 彼女は十分にダバ派遣艦隊の様子を堪能し、飛び入りで参加した戦で、好きなだけ暴れられて、宮廷での政務や窮屈な暮らしでの過度なストレスを解消し、スッキリしていた。


 エリン達は、セイジョン・ローグリア城近郊の野営地を宿営場所として居た。


 本国とも連絡のやり取りを怠って居ないので、祖国が急に困ったりする事態は早々は無い事だろう。


 まぁ、エリンが国家元首と成ってから300年以上もの月日が過ぎて居る。


 彼女の自由な性格から来る自由な行動での国抜けや城抜けは、国を治めて居る大臣や官僚達は、最早手馴れた小事と言える日常的な物だった。


 今更なので、国内外の大騒動でも起こらない限りは、国元の閣僚や各省庁の管理用たちも黙って大帝たるエリンのやりたい様に好きにさせていた。


 大帝が動かない事が平和なんて言葉が、この国は有ったりする。


 それだけエリンが信頼と威厳があり、自由な性格が国民と同胞達から愛されて居る証拠とも取れるれていた。


「さぁて、そろそろ帰えるとするかのう。」


(ほっ・・・・・)


 エリンの古い友人にして、ドラグリアの将軍でもあるユキカゼは、エリンの帰えるかなと言う一言にホッと安堵していた。


(やっと帰える気に成ったか、やれやれエリンの我が侭に付き合わされる私の身にもなった欲しい。)


(やっと、この自由人が始めた長旅から開放されるぞっ!)


 主にして自由奔放な友人の我が侭旅から開放されると、心から喜んでいたユキカゼ。


 たが、この手の展開で心の中で万歳三唱を叫び、小躍りをするとその後の展開が、喜んで居た本人に取って意に沿わない残念な結果に終わるのは、古今東西のお話では、お約束な展開と言えた。


 ユキカゼが、ホッとしながら、帰国と我が侭な主からの開放を喜んでいた其処へと、バサバサと羽を羽ばたかせる音が響き渡る。


「おおっ、お前達か?久しいのう。」


「バーネッドの奴は元気か?」


「おーおー、そうかそうか相変わらずの美食家じゃな。それで今日は何用か?」



 バァーネデリア・レッドグリアとは、西方のリユッセル北欧同盟領域内の北方の地に在るレッドファイヤーズドランゴン族、別名赤竜人族が支配しているファイヤーランド亜大陸を統べている女性にして、赤竜人族長の事である。


 その姿は全身が燃える様に真っ赤な巨体を持った龍の姿をして居るが、人型に変身すると褐色の肌に、炎の如く真っ赤なストレートロングヘアーと髪を靡かせて、クールな顔立ちをして居るお嬢様風の女性の姿をして居る。


 性格はキツイ性格をして居るが、美味しい食事には、ともて目が無いらしく、世界中の彼方此方の地域で料理を食べ歩くのが趣味だとか。



 彼女の治めて居る土地は火山地帯で、普通の生き物が住む事は先ず無い土地であった。其処には莫大な財宝を所有して居るとの評判が立っていた。


 愛称はバーネッド呼ばれ、世界の人々からは畏怖のと尊敬の言葉を込めて赤龍帝と呼ばれて居た。


 そのバーネッドが眷属である赤龍族を使者として、エリンに送って来たらしいが、ドラグリア白龍大帝国に向う途中で、お目当てのエリンを見掛けたので、声を掛けて来たと言うのである。



「むむっ!?なになになるほど、なるほど・・・・・・」


「あっ、あのー、エリン。バーネッド様は何と仰せで?」


「まぁ、落ち着いて聞け。」


 ユキカゼは、なーんか嫌な予感がしつつも、勿体ぶって言うエリンの調子に合わせながら、別の答えが出るのを少しだけ期待して、聞こうとして居た。



「バーネッドの奴が、久し振りに飲もうって言うから、行くと答えたのじゃ。」


「のんびり船旅をしながら西へと向うのじゃっ!」


「なぁに、置鮎の小僧共には西に用が有るから、序でに同行するとでも言って置けば良い。」


(この人、旅の寮費の一部をニホンに集る積もりだ。)


(今度は視察でも何でも無い。只の飲み友の家に遊びに行きたいだけの旅だ。)


「何でも月からクロの奴も、遊びに来て居るらしい。今から楽しみじゃ。」


「くっ、クロ様って・・・・・・」


(あの無口で、何を考えて居るのか全然分からない黒龍人族の長の方だったわよね?)


(普段は天空の果ての先に在る月と、その周辺の古代遺跡に一族と共に引き篭もっていらっしゃるって聞くけど。)


(それが、どうして今頃?) 


 クロとは、黒龍人族の長で、クローディア・ルナルノワールの事である。


 黒龍人族とその眷属たる黒龍族達は、先の古代大戦での戦いの後に、人間達が放棄した宇宙の設備地域を勝手に占拠して、住み着いてしまっていた。


 龍人族と龍族達は、特殊魔法を用いて宇宙空間での活動も平気らしく、中でも黒龍人族と黒龍族達は、好んで宇宙暮らしを始めた。


 何せ元々は地中で、ひっそり暮らすのが好きだったらしく、酸素の薄い場所での引き篭もり生活が大好きな種族だったりする。


 彼らは地上での戦争がとても五月蝿く、鬱陶しかったと言う理由で、生活の場を宇宙へと求めたらしい。



 それに古代文明遺跡とは、月面基地や宇宙コロニーと言う建造物の事で、その設備を代々大事に使って、食料や水ほ賄って居る。


 それでも足りない時は、地上まで下りて、必要な物を調達して生活をして居る竜人族達であった。


 色々と面倒な生活だが、元々少食な引き篭もり生活を送って居たせいか、のんびりマイペースな性格でも有るので、全然気にして居ないらしいのだ。



 エリン達は、引き続きダバ派遣隊をタクシーか観光バスの代わりにして、西方へと動向すると決めのだった。


「どの道、帰国は遠退くのね。とほほ・・・・・・・」


 ユキカゼの災難な珍道中は尚も続いて行くのであった。

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