169話 勝利の宴 1

アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月20日・午前19時03分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・レジェンダリア諸島・レジェンダリア諸島西部・セイジョン・ローグリア島・セイジョン・ローグリア城・セイジョン・ローグリア城各周辺にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 ブラキュリオス湖のレジェンダリア諸島での激闘は終わった。戦闘の終了と成った日シベ合同作戦軍は、セイジョン・ローグリア城に集結していた。


 アルガス軍の一部の部隊は、現地の駐留軍として荒れ果てたレジェンダリア諸島内の各拠点での後片付けに追われて居る。


 特に40万人近い遺体の山が問題と成ったが、現地を統括している宗教の司祭が呼ばれ、丁重に葬儀が伴われた後に、油をまんべなく掛けてから、ワイバーンの火炎や魔導師の火炎魔法に自衛隊の火炎放射器で火葬されて行く。


 火葬するのは、稀にアンデッドと成る場合が有るからと言われて居るが、ダバ派遣隊は、半信半疑と言った様子で、その火葬する理由に付いての話を聞いて居た。


 自衛隊は、今後のスケジュールの遅れを取り戻す為にも、この地には、補給整備の時間に必要な日数である3日くらいしか滞在が出きない。


 これ等の方法を用いつつ、居残ったアルガス魔導師達の力を持ってしたとしても、遺体の全てを火葬し切るには、恐らく10日以上は、掛かると見込まれて居た。



 日シベ合同作戦軍とダバ派遣艦隊は、午後18時10分に頃に、全ての作戦の終了を宣言する。


 宣言を終えた日シベ合同作戦軍の大半は、セイジョン・ローグリア島の軍港であるロー・デッニッシュ港へと帰投して来て居た。


 全艦隊は補給や整備を18時まで適当な所で切り上げて良いので、作業を時間までに終わらせる様にと通達されて居た。



 この戦いで主だった幹部や戦功が会った人物は、城内に集められた。


 それ以外の者は、部隊単位で用意された場所へと集合して居た。


 各地で集合した部隊達は、其処で何をするのかと言うと、戦勝祝いの祝賀会である。



 移動要塞戦艦デストロイヤー艦隊の攻撃で、城内に一部損害を受けたとは言え、戦火の少ない頃に宴席として良く使われていたセイジョン・ローグリア城の会議室や大広間は無事であった。



 料理を出してくれるのは、常に自衛官等を影で支えて活躍している陸自需品科隊員と海自補給科隊員達と、この戦いに参戦して居る各国の調理師達であった。


 自衛官の隊員が総料理長として指揮を執りつつ、料理を作り上げて行く。


 調理場は護衛艦と陸自で用意した野戦の炊事場である。


 料理はロー・デッニッシュ港で作られた後に、容器に詰められて、各会場へと運ばれる。


 運搬は馬車やトラックで運ばれるが、作業員は交代で行われるので、休憩に入った者達は、港の会場での食事休憩を取る形と成って居る。


 なお、一部の隊員だけ酒が解禁されて居る。


 勿論、飲酒は厳しく制限される形でだ。


 敵勢力が、かなり南へと下がった状態と成った為、明日と今後の作業に支障が出ないと判断された一部の者達だけが、飲酒の解禁対象とされて居た。


 なお、どうしても飲めないと言う者達の為に、後日に各国から今回の戦勝の祝いの品として、上等物のワインが1人1本送られる事に成って居る。


 何でも1本5万円くらいは、するらしいとの話である。



 セイジョン・ローグリア城と各宴会の会場では、料理の準備が整い、匂いに釣られて現われた者達で、ごった返して居た。


 メイン会場であるセイジョン・ローグリア城の大広間で乾杯の挨拶をするのは、日シベ合同軍の総司令を勤めた置鮎一佐である。


 他の会場では、それぞれ指名された上級階級者が音頭を取って居た。


 各国の軍幹部の集まりでも有るので、一部の者達の服装は、礼装で出席をしている姿が見受けられた。


「えー、今日まで約2週間、みんな良くぞ戦い抜いてくれた。」


「碌な合同演習すら儘ならない状況下であり、実戦を通じた共同戦線の中で、強引ながらも各国軍は、良く連携を取れて居たと思う。」


「特に我が自衛隊は、近代戦すらした事も無い国との共同戦線に苦労した部分が多かったが、其処を良くコミニュケーションを取りながら、各国軍との連携を取れて居た事は喜ばしい成果だった。」


「そして、各国の勇士の勇敢なる戦い振りにも、敬意を表したい。」


「近代化が進んでしまって居る我々に取って、既に忘れ去られた戦い方だったと言えるが・・・・・・・」


「その勇敢な戦い振りは、絵物語や我が国の祖先達の姿を垣間見た様であった。実に見事と関心させられる姿だった。」


「置鮎さん。そろそろ・・・・・・」


 井上一佐が苦笑しながら乾杯を促した。



「ああ、長すぎたな。」


 置鮎一佐は、こう言う宴席での挨拶は、何故か長く成ってしまうもので、嫌だな物だと思って居たが、いざ、自分でやる側と成ると、知らず知らずのうちに自分でも長話に成って居る事に苦笑してしまって居た。



「兎も角、帝国軍の北侵を防ぎ、この度の勝利を祝して、乾杯いいいぃぃぃーーーーーーっ!!!!」




「「「「「「「乾杯いいいいいぃぃぃぃぃーーーーーーっ!!!!!」」」」」」」



 並べられた料理は、香草や塩胡椒を使った簡素な作りをして居る地元料理や、自衛官である陸自需品科隊員と海自補給科隊員ら有志による地球で代表的な料理の数々が並べられていた。


「ふぅ、やっと終わった。」


「まあまあ、今日は久し振りに飲みましょう。」


 日本を出て以来、全く口にていないアルコール類。


 井上一佐は、農産物商会・シュヴァインハウス製の赤ワインをグラスに注いで行く。


 ワインは護衛艦の冷蔵庫や魔法等で作られた氷で、良く冷やされていた。


「おいおい、行き成りは困るよ。1人2杯程度までって、決まりなんだぞっ!!」


「まぁまぁ、余り長い間口を開けて置くと、この手の上等物のワインって奴は、いとも簡単に品質が下がってしまいますからね。」


「さっさと飲まないと勿体ない。」


 置鮎一佐は、楽しみは最後に取って起きたい性格らしい。


 他の幹部達も久し振りの酒類を楽しんで居る様子だ。



「楽しんで居ますかな。」



「ビダイン団長。ええ、楽しませて貰って居ます。」


「何の何の。これ等は我が国の公王陛下からの差し入れ物です。」


「この戦でご苦労された貴方がたが、とてもお楽しみだったと言うお言葉を言って居たと聞かれれば、陛下も喜ばれるでしょうな。」


 今回の戦勝祝いの経費は、ブレックス・ファーミラ公王の申し出で、アルガス公国が負担する事に成っていた。



 戦いの終結が近いとの報告を聞き付けたブレックス公王は、レジェンダリア諸島に向けて、慰労の意味も併せた大量の食材と各種ワインが運び込まれて居た。 




「それに日本の料理は、どれも美味しい物ですな。酒が良く進む。」


「あっ、その中の料理はですね。和食と日本洋食以外は、外国の料理を元にして居ますので、正確には日本料理とは違うんですけどね。」


「いえいえ、そうだとしてもです。」


「このような荒れ果てた戦地では、これほどの料理が振舞うなんて事は、これまでは有り得なかった事ですので・・・・・・」


「もし在ったとしても、今日のような戦勝の祝賀くらいでしょう。」


「我が国では、地球世界に措いての先の世界大戦による敗戦中で、厳しい戦いによる敗北に次ぐ敗北を繰り返して居る中で、将兵がとてもひもじい想いをさせた事を物凄く後悔して居ました。」


「ですので、自衛隊創設を気に食の改善をする事に力を入れて勤めて居ます。」


「ほう、詰まり食事の満足感を満たす事で、軍の士気を維持させて行く事が狙いですな。」


「仰る通りです。」


「それは即ち、補給路の徹底した確保を意味して居る。」


「我が国でも見習うべき点に見受けます。」



「補給路を途絶えさない。それをやるには、とても難しい事で、簡単には成せない事だ思いますよ。」


「そうですな、それを成すには、軍だけではなく国内のあらゆる者達との協力関係が必要に成るでしょうな。」




 宴席の中でビダイン団長は、将来の軍隊に一番に必要な政策の一旦を自衛隊に見た様であった。


 後にこの事が切っ掛けで、シベリナ各国軍隊で出される料理には、日本式料理が多くなったと言う。


 それは将兵に出す料理が、とても進んで居る日本国に習い、その姿を真似たからであったのだった。


 日本がイギリス海軍を真似たやり方を、今度は異世界各国軍が模倣する歴史の始まりが此処でも見受けられるのだった。



 その頃、同じ会場で食事をしていたリナ達は、供に宴会を楽しんでいた。


「「「かんぱーいっ!!!」」」


 白ワインを片手に、乾杯をし合う三人。この世界では、成人とされる年齢が18歳である。


 飲酒に関しては、各自の自己責任の最良内で、18歳から出きる慣習と法律が有るのだ。


 リナ19歳で、クリスとハンナが共に18歳である。


 アースティア世界慣習成人の年頃に成ったリナは、気が付くと飲酒をさせられて居た。


 飲ませた犯人は師匠にして、ドラグリアの暴君にして、ロリババアの異名を持って居るエリンである。



「クリス、アンタ飲めたんだ。」


「一応、私は騎士家系で卿を持って居る家柄だぞっ!」


「下級とは言え家同士や軍での付き合いも多い。飲める年齢に成ったら窘めと回りの大人達から言われて居るからな。」


 余程体質に合わないと理由が無ければ、酒を飲む事の多いのが上流階級だった。


 クリスも軍に席を置く様に成り、18歳を過ぎた辺りから三つくらいの宴席経験の中で、なんとか飲める様には成って居た。


「お前こそと言いたが、飲める原因は・・・・・エリンさまだろう?」


「あったりーっ!!成人に成った途端に、このあたしの祝いだ、飲め飲めってね。あたしの事を吞む口実の出汁に使って、単に自分ががぶがぶとがぶ飲みして居るのよっ!!


「はぁ~、全く困ったお方よねっ!」


「はぁ、全くだな。ホンとあのお方らしい。」


 暴君との付き合いも大変だなぁ・・・と呆れているクリスだった。 



「で・・・ハンナは・・・・・」


 クリスはハンナをチラリと見ていると、ヘリ搭載型護衛艦かがの食堂責任者である赤坂給養員長(1等海曹)がハンナの為に特別に作られたと言う分厚いハンバーグ。


 それとかが自慢のデミグラスソースレシピで作られたビーフシチューが並べられ、コシヒカリのご飯が山盛りである。


 ハンナが気に入ったこの2品は、カレーライスと並んでかがでは、自衛官と民間人が一番料理と豪語して指名するくらいの人気メニューらしい。



 その昔、カレーばかりが有名なのもなぁーと試行錯誤していたかがの先代の給養員長が始めたらしく。


 海軍祭りや基地際で異なる洋食料理を出したら、評判を呼んでしまったのが切っ掛けらしい。



 まぁ、そうなると各地の腕自慢の給養員長の方々も、維持を張りたいらしく。


 あっと言う間にその動きは広まり、以来海自洋食コンテストが何年かに一度は行われる事と成った。



 防衛省も悪乗りして自衛隊の広報活動に繋がる成るからと、大会を推進しちゃうから困った物である。


 最終的には防衛大臣杯と言う大会へと発展して居たりするから、どう言う感想で答えたら分からない始末である。


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