121話 イツクシマ作戦の行方 4
アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月11日・午前10時47分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・レジェンダリア諸島・レジェンダリア諸島南西部方面・セイローグ島・セイローグ聖堂砦・セイローグ聖堂砦待機所及び護衛艦あかつき艦内にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
レジェンダリア諸島の南西部に在る全長約47キロの島に、旧時代の戦争で倒れた英霊達の慰霊場所として建てられたセイローグ聖堂が在った。
この聖堂は、アルガス公国・レジェンダリア諸島とローラーナ帝国・グリクス地方州 言う軍事防衛と地理的な要所としての要件を満たして居る事から、ローラーナ帝国との戦いが間じかに迫って居るアルガス公国に寄って、守りを固めるべく、聖堂の砦化が進み、その様相は聖堂砦と化して居た。
此処の港に駐留し、南部からの侵攻を防ごうと南方方面警戒中の艦隊であるダバ派遣艦隊の第3艦隊。
それを率いるのは、海自の洲崎綾奈二佐以下、日シベ合同作戦軍が、総勢凡そ6千人の兵で守りを固めていた。
護衛艦は以下の通り。
旗艦・護衛艦あかつき・ひびき・すずかぜ・いかづち・いなづま・うらが型掃海母艦うらが。
この掃海母艦うらがが第三艦隊として同行して居るのは、水上防御として機雷の設置と物資運搬と貯蔵とそれらを守るのに、主砲を持って居り、いざと言う時に自衛が出きるのに適して居たからだった。
この地の防衛作戦の指揮を執るのに洲崎綾奈二佐が選ばれて居たが、海自を含めて全体の指揮を執るのは一佐以上か幕僚クラスが通例である。
しかしながら、日本国内の防衛と国内での諸般の事情から本土を離れらない幕僚とアースティア世界の戦争が長引く事を見越した防衛省内の幕僚と幹部は、其処で一計を案じた。
それは引退を間じかに迫っている経験豊富な人材を派遣するよりも、若手の将来を見越して、経験を多く積ませようと特別な配慮で選抜された人員で構成されて居る。
その監督役として、日本国内の報道では、勝手に自衛隊大陸派遣隊司令部三将と言うあだ名で呼ばれ、コヨミ皇国では日本国の三将軍の1人と目される人物。
池田秀三空将補が、空自派遣隊の特別司令官と兼任職で派遣されて居るので、全くの無秩序でも無いのである。
これは丸で某有名歴史小説を原作とした日露戦争での旅順要塞攻略に手こずる乃木希典を助けるべく児玉源太郎が助けにやって来た様なワンシーンを彷彿させる采配であった。
我が国の自衛隊は、この世界に来るまで戦後と成って居る国々への復興支援と治安維持活動以外で、戦闘地域とそれに近い状況での活動しかした事が全く無い国だった。
現時点で第一次龍雲海沖海戦と第二次龍雲海沖海戦以外で、本格的な戦争を知らないのは、どの幹部も隊員等も変わらない。
自衛隊に取って済し崩しに、実戦へと巻き込まれながらの経験を積むの事は、如何なる胸中であろうか?
その他の内訳には、スミレイン・デコモリン少佐以下、二千の聖天使騎士。
アルガス公国軍からは、アルガス公国騎士団から抽出した4千人。
陸自隊員が200名と滞空火器として、12.7ミリ重機関銃を30丁をセイローグ聖堂砦の要所に土嚢と防塁を築いて配備されて居る。
そして、日シベ合同作戦軍は、本格的な反攻作戦に備えて、本隊軍では下準備を進め、その他の要衝では、一週間もの間を見張りと警戒に費やす暇を持て余して居た状況下に在った。
「暇ですね。」
「気が抜ける様な事を言わない。」
「それは分かって居ます。」
「此処は平和かも知れないけれど、他では警戒して居る日シベ合同作戦軍が、グリクス地方軍団の偵察警戒警備部隊と交戦して居る所も多い。」
「レーダーや哨戒部隊との通信には、気を配りなさい。」
「済みません。」
「まぁ、貴方の言うとおり、此処まで何も無いのはね・・・・・・」
旗艦である護衛艦あかつきでは、暇な一時を艦橋で過ごして居たある隊員がぼやく。
戦時体制と成って居る中では、全く以って不謹慎な事だが、気を張り過ぎて居ても良い働きは出きない。
それ程の平和な時が日本では流れて居たのである。
正に嵐の前の静けさ、ある意味、それは不気味な雰囲気が流れて居るとも言えた。
レジェンダリア諸島での戦いの敵主力は、東から中央へと向かうコースを取っており、日シベ合同作戦軍は攻めかかって来た、グリクス地方軍団の追撃隊を撤退に追いやって居る。
その後は、時より現れる偵察部隊や威力偵察での任務で、両者は日シベ合同軍と激突して居る。
自衛隊の思わぬの強さとエリンの力に恐れを抱いて居るグリクス地方軍団の進軍速度は、兵力差が在りながらも、自軍の損害を恐れて、完全に勇み足となり、一時的に麻痺状態へと陥って居た。
これは日シベ合同作戦軍に取って、思わぬ嬉しい誤算と成ったのであった。
だがしかし、ダバ派遣艦隊の第3艦隊が、せ万が一に備えて、折角南方から侵攻に対して防備を固めて居たが、肝心のグリクス地方軍団は、軍団本隊や別働隊を南部方面へと向わせる事はして来なかったのである。
なのでダバ派遣隊司令官である置鮎一佐は、南部での活動を防護と警戒をしつつ、米軍から提供された対装甲車向けの散弾式地雷やセンサー式爆弾の設置。
そして、機雷設置を命じる事と成る。
機雷は万が一の為に持って来た陣地防衛装備として米軍から提供された物を使用して居る。
海自は今まで機雷なんかを積極に設置する機会には恵まれず、何方かと言うと太平洋戦争に措いて旧日本軍が本土防衛の為に設置した旧型機雷の除去をする事に従事して居たが、まさか異世界にやって来て事で、除去作業の対象だった機雷を友好国の為に設置する事に成ろうとはと、複雑な想いが過ってしまう海自隊員たち。
それだけ我が国は、とても平和な時代が続いて居たが、これからは必要な装備に成ると見られて増産体制を整えつつ、配備計画と輸出計画を進めて居るらしいとの事だ。
陸自でも対戦車地雷は自衛隊にも有るが、対人地雷以外のこの世界特有の対兵器用の地雷に付いても配備と増産の検討が始まって居ると共に、地雷設置ルールの国際法の提案検討も議論が始まったと言う。
地雷や機雷に関する国際ルールが在るのは、地球系転移国家群だけなので、それを反帝国同盟諸国にまで広げる事も、これから考えて行かなければなず、何れはそれをアースティア世界の全ての諸国に広げて行くのが日本国政府と交援省としての計画と成って居た。
さてイツクシマ作戦が始まって5日目の昼の事である。
レジェンダリア諸島へと攻め入って来たグリクス地方軍団は、一向にセイローグ聖堂砦には、攻め掛かって来る気配が無い。
「ん?」
「如何した?」
「レーダーに感あり、艦種識別反応は、この大きさからして恐らくは空挺と思われます。」
「電子資料と照らし合わせて照合すると、戦艦級1。巡洋艦級20。駆逐艦級20と思われます。」
「我がダバ派遣隊の本隊との交戦した時に比べて、少数ですが60騎もの竜騎士隊が飛来して居るのも確認。」
「相対距離は、約14キロの距離、会敵予想時刻は、凡そ40分程に成ります。」
ダバ派遣隊では、独自に即席の敵の識別プログラムを組んでいた。
しかし、ハッキリと識別されるのには、日本で開発研究するしか無いだろう。
其処へ識別をハッキリとさせる報せが入る。
「こちらひびき所属の哨戒機です。」
「セイローグ島・セイローグ聖堂砦から10キロ付近を哨戒中に、突如として敵部隊を発見。」
「恐らくですが透明化魔法であるイリュージョンの使用して居たと思われます。」
「此方かの相対距離は、4キロ程度で有ります。」
「姿を現した空挺艦隊は、東からセイローグ島・セイローグ聖堂砦に低空飛行で接近中。」
「しまった。敵も防衛監視網の小さな穴を探り中てて来たわね。」
「試行錯誤した来たと言う訳ですか?」
「可視光迷彩魔法のイリュージョンの使用をされるとレーダーに捕らえ難い特性が有ったわ。」
「ワイバーンの低空飛行はレーダーには、とても移り辛いし、魔導船は未知の金属を使ってる場合も有る。」
「自衛隊の装備が、それらの使用へと合わせるは、其れなりの時間が掛かるわ。」
第二次龍雲海沖海戦にて、ドラグナー皇国のヴァロニカが取った戦術も低空飛行使った方法取って居た。
最も彼女は直感で、その手段取ろうと言う考えに至った訳だった。
可視光迷彩魔法のイリュージョンには、レーダーに薄っすらと映る特性を持って居て、核心と言う直感でないと見当てるの事は至難の業と見られて居た。
この世界に少しでもステルス特性を持った魔法が有ると言う事実に防衛省は、頭を悩ませて居るらしい。
今回は哨戒機に驚いたグリクス地方軍艦隊の一隊が、ビビって勝手に馬脚を露わにしたと思われる。
何とも間抜けな話だが、敵も多少はやる様であった。
目立つ戦闘機械より生き物や未知の兵器は、レーダーに写るが反応が鈍い場合が有るらしい。
無論、自衛隊側も哨戒を怠っては居ない中での警戒網突破を図る敵にも、最たるものが有った。
「数にものを言わせて、探り当てる。古典的な手口でかが、こうもあからさまにやられると成ると、面倒ですね。」
「そう言えば、我が国の本土の位置をそれで割り当てたらしいですよ。」
「でも何で、姿を現したんだ?」
「ギリギリまで粘れば良い物を・・・・・・・・」
「恐らく敵が姿を現したのは、哨戒機のヘリに見付けられたと勝手にビビったのでは?」
「なるほど、それは有り得るな。」
「敵は先の我らとの戦いで、こっ酷くやられて居るから、我らの科学技術兵器に恐れを抱いた筈だ。ビビったと言うのも、在り得るかも知れない。」
「それは兎も角、連中には数の利が有るわ。」
「それに物を言わせて、当たりを引く。」
「地球じゃ社会主義貧乏国が形振り構わずにやるか、国家の金持ち位しかやらないわよ。そんな手は・・・・・」
「ですが、近年ではロシア軍がウクライナ戦争での負けを覆そうと無理やりな徴兵と兵力増員と言う形でやり返しましたが、結局の所は失敗しました悪い例題です。」
「それし兎も角として、それよりも戦闘配置に就くわよ。」
「総員戦闘よーいっ!!第一警戒態勢へっ!!警報発令っ!!!」
「了解っ!!」
「滞空対艦戦闘よーいっ!!各員配置に就けえええぇぇぇーーーーっ!!」
洲崎二佐は、冷静に粛々と命令を発したのであった。
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