109話 激闘!レジェンダリア諸島 カントルナ砦近郊上陸撤退戦  (闇夜に燃えるカントルナ砦 11)

 アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月7日・午前2時25分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・ レジェンダリア諸島東部・カントルナ島・カントルナ砦・カントルナ砦上空・グリクス地方軍艦隊にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「オバム大佐殿。」


「ニホン・ドラグリアの連合航空隊が、我が方の空挺艦隊に接近しつつ有り、総指揮を執って居るのは、恐らくエリノア・ドラグリア白龍大帝かと思われます。」


 前線副司令官のラオウ・ケビン中佐は、迎撃に出て来たと見られる日本・ドラグリアの連合航空隊の総指揮がエリンだと推測したが、これは全くの誤解だった。


 彼らグリクス地方軍艦隊及びグリクス地方軍団の者達は、皇帝の位に相当するエリンの大帝と言う独特で特異な位の地位から、そう判断してしまって居るのだった。


 更には言えば、日本とドラグリアの両軍は、即席の連合体制であり、完全な連合航空隊を組んでは居ないし、寧ろドラグリア面々は、行きかがり上、仕方なく船に乗せて居るだけで、彼女達は勝手に出撃を決めて、この戦いに挑んで居るだけなのだ。


 この世界での戦争では、前線での軍の指揮権利の順番は、先ずは皇族・王族と成って居て、次に軍権があるのが国軍の大臣に司令長官、上級将校や下級の大尉以上の士官等である。


 他国の元首や将兵が個々の指揮権にて、肩を並べて攻撃を仕掛けて来る等と言う事態は、帝国軍側の者達に取っては、想像の範疇の外に有る考え方なのであった。


 まぁ、彼らの頭の中で、エリン達が日本艦隊であるダバ派遣艦隊と同行して居るのは、単なるエリン本人の気紛れで、戦に参加するのも半ば面白半分な遊興的な行為である事なんて分わかる筈も無いのである。


 それは兎も角として、帝国やその同盟諸外国群は、エリンの事を天災並みにの脅威として、それだけ恐れて居ると言う事なのだ。



「くっ、あの気紛れで快楽放蕩主義なロリババアめがっ!!!」


「何時も何時も面白半分に戦に、ちょっかい出して来おってっ!!何て傍迷惑なっ!!」



 全く持って仰る通りです。


 彼女の母国でも「男でも出きれば落ち着くのでは?」等と影口を叩かれて居ると言われて居た。



 其れくらい暴れて遊ぶのが好きな性分なのである。


 しかし、あの気性を許容出きる男は果たして居るのだろうか?


 何て言われちゃって居る残念なロリ年増であった。


「構わんっ!!全軍の将兵には、死ぬ気で戦えと伝えよっ!!」


「各全艦っ!!全砲門っ!!撃ちかーたよーいっ!!」


「はっ!!全軍に通達っ!!全砲門砲撃よーいっ!!」


「でないと命が幾つ有っても間に合わんっ!!」


「生き残る為になら手を緩めるなっ!!」


「撃てえええええぇぇぇぇぇーーーーーっ!!死ぬ気で迎え撃てえええええぇぇぇぇぇーーーーーーーーっ!!」


 前線司令官のオバム大佐と前線副司令官のラオウ中佐等は、自ら乗船している旗艦である緑色に塗装されているドッコス・ギアレス級空挺戦艦オクト・パレスの前部3連装主砲2門と下部2連装主砲の砲撃を開始させて行く。



ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!


ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!


ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!


ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!


ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!




 宇宙戦艦の姿に酷似している魔導空挺戦艦の一斉砲撃、その勇姿を日本人が目の当たりにしたのなら、その光景は、数多あるSF作品の世界を思い浮かべるだろう。


 その砲撃の中を空挺竜母艦から竜騎士航空隊が、雄々しくそして、勇ましい姿で発艦して行く。


 竜騎士の眼下には、空挺帆船戦艦が200隻を先頭にして、空挺巡洋艦30隻、空挺駆逐艦60隻らが迎撃体勢を取るべく北へと前進して行く。



 空挺帆船戦艦が200隻が東周りに迂回コースを取りつつ、帆船型特有の船体であるが故に、砲門が左右に10門つづ配置されて居る。


 それらの砲門を敵に向けるべく、船隊と船隊を真横に向けられる様に航行して行く。


 準備が整った先頭の戦艦から随時砲撃を開始されて行くのだ。


 逐一報される偵察竜騎士からの報告を基にして、暗闇の敵を捉える為、照明魔法であるライトを撃ち出し、各砲台や遠距離武器や魔法等を敵目標方向へと狙いを定める。


「グリクス地方第一空挺帆船戦艦隊・1番艦隊砲撃よーいっ!!」


「目標っ!!ニホン・ドラグリアの連合航空隊っ!!」


「攻撃はじめえええええぇぇぇぇぇーーーーっ!!」


「てえええええぇぇぇぇぇーーーーーーーっ!!」


ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!


ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!


ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!


ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!


ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!



 グリクス地方第一空挺帆船戦艦隊・1番艦隊の砲撃が凄まじい砲炎を吐出し、そして、砲音を轟かせ、敵へと撃ち掛け始めたのである。


「くくっ、このわしを前にして、良い度胸なのじゃ!!!」


「単にエリンが怖くて、自棄ぱちに成ってるだけなんじゃ・・・・・」


「何か言うたか?」


「はぁ・・・・(自覚が有るんなら私に威嚇しないでよう・・・・はぁーあー、胃が痛い。)」 


 何時も気紛れに付き合う自分の身にも成ってと訴えたかったユキカゼであった。



 ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!


ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!


ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!


ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!


ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!ドドドーンッ!!



 直も激しい砲撃を続けるグリクス地方軍艦隊。


 その中へと突っ込んで行く日本・ドラグリアの連合航空隊の攻撃は、エリンのドラグバスターの先制攻撃を撃ち放ちながら始まった。


「ワシに刃を向けるその度胸に免じて、特別な褒美じゃっ!!ほーれっ!!存分に味わうが良いぞっ!!」


 エリンの巨大な口が開く。バチバチと音を立てて口内は、眩い光りと稲光が弾けている。


 敵に取っての死の光、それがドラグバスターだった。


「ドラグバスタアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーっ!!」



 バシユユュュュュューーーーンっ!!ドドドドドッっ!!ババババッ!!ドッカアアアアアァァァァァーーーーーーーーーーーンッ!!!!


 エリンが手加減して居るとは言え、ドラグバスターの閃光受けたグリクス地方軍艦隊は、丸でSFアニメ作品の高出力ビーム兵器の攻撃を受けたかの様に爆散して行く。


 人ならざる種族特有の人知を超えた強さが其処には有った。


 エリンの攻撃は一瞬にして、100隻は吹き飛んだだろう。


 その光景をわかり易く例えるのなら、とある宇宙世紀世界に登場して来るコロニーレーザー級の光線で吹き飛んだと言えば良い筈である。


 そう、彼の世界のとある少年が言う様なその光は、決して憎しみの光でなく、只、敵を撃ち貫く光なのである。



「うわっ!!いやーっ!!何度見ても恐ろしいっすねっ!!」


「全くですよ。あれじゃ帝国軍の将兵が可愛そうですね。」


 お調子者の柏崎二射とクールでイケメンの速水勝二尉達は、エリンの撃ち放ったドラグバスターの威力と爆散して行く敵艦隊や竜騎士航空隊の様相見て、思わず同情の言葉を口にしてしまう。


「がはははっ!!こりゃ、弾代が浮いて助かるなっ!!」


「サシバリーダーより各機へっ!!」


「大帝陛下が切り開いて下さった通り道だっ!!全機、全力で突っ込むぞっ!」


 神谷一佐が率いる空自航空隊の各機は、エリンの撃ち放ったドラグバスターによって陣形の空白と成っているグリクス地方軍艦隊の前線艦隊の数ヶ所に目掛けて突撃して行く。



ダダダダダダダッ!! ダダダダダダダッ!! ダダダダダダダッ!!


ダダダダダダダッ!! ダダダダダダダッ!! ダダダダダダダッ!!

 

ダダダダダダダッ!! ダダダダダダダッ!! ダダダダダダダッ!!


ダダダダダダダッ!! ダダダダダダダッ!! ダダダダダダダッ!!


ダダダダダダダッ!! ダダダダダダダッ!! ダダダダダダダッ!!



 各機の20ミリバルカン砲が唸りを上げる。



 すれ違う空挺戦艦や竜騎士が駆るワイバーンを次々と討ち貫いて行く。


「ぐはっ!!」


「わあああっ!!」


「何て早さだっ!!」


 運良く避けれられた又は、狙われなかった者達は、後に続くドラグリア勢の白龍人と白龍達によって噛み千切られ、爪で引き裂かれたりされて無残な最後を遂げて行くのだった。


「くそっ、只さえ厄介で最悪な白竜人共だっ!」



「それに加え、ニホン軍の鉄龍が加わると手が付けられんっ!!」



「おいっ!!今度は左から来るぞっ!!」


「全騎散開っ!!」



 仕掛けたのは、速水二尉の部隊である。


「逃がすものかっ!!!」


ダダダダダダダッ!! ダダダダダダダッ!! ダダダダダダダッ!!


「三機撃墜。」


「すげーな速水。お前の操縦は、この世界でも天才的なテクだ。」


「ホンとだよ。」


 

 柏崎二射と長谷川一尉の二人が、実戦でも決してブレる事の無い活躍と腕前を見せ付けている速水二尉を誉め称える。 


「誉めて貰えるのは光栄ですけど、そっちにワイバーン8機向ってますよ。」


「柏崎っ!!左側4機任せたっ!!俺は右側を受け持つっ!!」


「了解っ!!」



 それぞれの隊が抜群の連携を取りつつ、空自とドラグリア隊は、圧倒的なスピードを活かした乱戦へと縺れ込む。


「やれやれ、あれでは我々の獲物の取り分が随分と減ってしましいましたね。」


「では大物に脅しを掛けつつ、2・3艦程度なら大型艦を撃墜して構わんだろう?」


「やれやれ、池田さんも相変わらずだな。」


 池田空将補は、元部下である柴本幸弘一佐・塩谷光三一佐を引き連れて、F-2の機体性能が得意とする対艦攻撃を仕掛ける事に決めた。


 実はこの攻撃を行う理由は、何故かと言うと、敵の方がが多すぎて、正直言ってアリが像の足に群がって齧り付いているに等しい。


 仕掛けて居るのアリ側は、グンタイアリ並みに強力な強さを誇って居ると言える。


 そんな理由から来る攻撃で、少数で指揮官への牽制と威圧を仕掛ける事を狙っての戦艦への攻撃であった。



「オバム大佐、大変でありますっ!」


「どうした?」


「青い鉄龍5騎、西方向より本艦へと接近中。」


「東方向からもエリン大帝と7騎の白竜人が接近中です。」


「ええいっ!!くそっ!!!最悪の事態だっ!!!」


「何でも構わんっ!!!徹底的に撃ち掛けろっ!!!」


「最早っ!!我らが生き残る事は、運を天に任せるしかないっ!!!!」


「撃て!!撃てっ!!撃ちまくれっ!!!!」


「矢を射掛けろっ!!!」


「我らはファイヤーボールだっ!!!」


 オバム大佐の指揮下に有る魔導空挺戦艦隊は、空自航空隊とエリン等への必死の抵抗を試みた。



 だが、青と白の二つの物体群は、彼らの必死の攻撃をヒラリとかわしながら懐へと迫って来て居た。


「くっくっ、池田の小僧め。面白そうな手口よのう。」


「実に楽しそうなのじゃ!!」


「どーれ、このわしも混ぜて貰うぞっ!!!」


 エリンは池田空将補の動きを見て、グリクス艦隊中心部への攻撃が、どう言う意図のに有るのかを悟り、それに同調する。


 しかし、その賛同し、行動に同調する理由は、単に面白そうだからだった。


 だが、二人のこの行動は、オバム大佐達に少なからず心理的な重圧感と威圧感に苛まれ、その胸中は恐怖へと追い込まれて行くのだった。


「ほう、良い読みだなっ!!」


「流石は大帝にして、年の功だっ!!」


「各機ターゲットロックっ!!」


「「「FOX1!」」」


 ピーーッと言うロックオンが鳴り響くと同時に対艦ミサイルをオバム大佐の直営艦隊周囲辺の魔導空挺戦艦群へと向けられる。


 ゴオオォォォーーーっと言う噴射口から噴射炎と煙を吐出しながら、狙い定められている目標へと突っ込んで行く。



「右舷の空挺巡洋艦イルデ、アルデ、ウルデ、大破っ!!!」


「高度を維持できない様子。各艦が落下して行きますっ!!」


「更に左舷のカルバ、キルバ、クルバがエリン大帝率いる一隊が放ったドラグバスターにより、消滅しました。」


「くそっ!!化物共め・・・・・・」


 オバム大佐は冷やりとした汗を掻きつつ、恐怖と動揺に満ち溢れている顔で艦橋から悪夢の様な戦場の光景を見せ付けられていた。



「水上艦隊並びに地上部隊も苦戦の様子。お味方にも多大なる損害が出て居るとの事です。」


「まだだっ!!まだ損害が2割程度だっ!!!この程度で、退く訳にはいかんっ!!!」


 

 カントルナ島の上空は、乱戦状態に入っている。


 優勢は完全に日本・シベリナ連合側に有った。


 兵力の数の優勢は、ローラーナ帝国・グリクス地方軍に分が有る。


 だが、兵器の質と特異的な能力を持っている白竜人族が居る日本・シベリナ連合同軍に、戦局の主導権を完全に握られて居る状態だった。



 オバム大佐は、従来の戦争の仕方から来る戦場での有り方から算出した戦術と戦略の判断をして居る。


 一方の日シベ合同作戦軍は、日本が提供して居る現代戦での不可欠な科学装備と何百年分の戦争の歴史から来る最新から古典的な戦い方までの膨大な情報を有して居た。


 この事が、戦いの趨勢を分けて居たと言えた。



 詰まり、日本側の各種道具等の提供物の貸し出しと情報戦がチート過ぎた訳なのだ。


 この差は非常に大きく、この実力差を如何にかしようとも数年程度で埋まる実力差では無いのだった。


「オバム大佐、偵察竜騎士隊から報告です。」


「新たに北から敵艦隊を確認っ!!」


「国旗と軍機の何れも太陽旗に鋼鉄艦隊っ!!」


「新たなニホン艦隊ですっ!!それも7隻との事ですっ!!」


「ちいっ!もう、来たのかっ!?」


「恐らくその艦隊は、数日前にバラン少佐とやりあった艦隊だっ!!」


「では、二つのニホン艦隊は、今し方に合流したと言う事ですね。」


「ぐっ、どうする・・・・・」


 其処へ彼らにも朗報が入る。


「後方よりドッコス・ギアレス級空挺戦艦オクト・ガレオンを確認。」


「その他多数の艦影を見えたとの報告が入りました。」


「後方から更に多数の竜騎士航空隊が接近して居ります。」


 後方の見張りからの朗報とは、グリクス地方軍の本隊が現れたとの知らせだった。


「ガミトフ閣下だっ!!皆者っ!ガミトフ閣下が参られたぞっ!!!」


「踏ん張れっ!!大勢を持ち直せっ!!」


「ガミトフ閣下の御前で、見っとも無い姿を晒しては成らんっ!!」


 オバム大佐は、指揮下に有る全軍に向けて奮起する様に促す。その動きに逸早く反応した者達が居る。



「むむっ!?池田!!」


 エリンは、池田空将補に状況が変わったと手短に伝える。


 池田空将補も「その様ですな。」と答え、戦局が変化したと同じく悟ったのだった。


 池田空将補とエリンの両名は、この戦場に漂う動きと雰囲気と自らの感で、何かを悟ったらしい。


 両署は直接に通信は出きなくとも、何と無く通じ合っていた二人。


 池田空将補は、直ぐに無線で現場指揮官である神谷一佐に言う。


「神谷。そろそろ潮時らしい。直ぐに全機を引き上げさせろっ!!」


「??引き上げ?・・・・・・」


「ああ、成るほど・・・・・了解っ!!!」


 神谷も悟ったらしい。


 池田空将補とエリンの両名は、これ以上は相手を追い詰め過ぎと判断したらしい。


「こちら池田だっ!!置鮎一佐っ!!我々は、もう一中てをしたら、撤退する。援護を頼む。」


「ブラキュリオス湖上空で警戒監視中の偵察機から報告が有りました。敵の援軍、又は後続軍がやって来たようですね。」


 置鮎一佐も上空を警戒中の各偵察機からの偵察報告で、敵の動きを分析し、風向きが変わったと結論付けていた。



「そうだ、これ以上の交戦は、相手の方に踏ん張られると、とても厄介だ。」


「この戦いは当初から色々と此方側の方が有利だが、時として、戦場での勢いと言うは、厄介と言える。」


「窮鼠猫を噛むと言う奴だよ。だから撤退の援護を頼む。」


「流石は国際合同演習で、米軍・ロシア軍・中国軍を手玉に取った池田さんだ。」


「ちょうど今、此方も各地で、撤退体勢に移ろうとして居る所でしてね。」


「三石の奴も援護を受けて撤退に入る所ですよ。」


「本作戦に参加している全自衛隊及び合同軍各位へ、こちら特科大隊指揮所。」


「MLRS及び88式地対艦誘導弾の発射準備完了。何時でも攻撃可能です。」


「こちら前線指揮所、了解。指示を待てっ!!」


「置鮎一佐、準備が整った。」


 其処に井上一佐から特科大隊の虎の子の準備態勢が整ったとの報せが届く。


「池田さん、本作戦での此方の手札は全て揃いました。」


「援護しますので、直ぐに撤退をっ!」


「了解した。神谷っ!撤退命令だっ!」


「サシバリーダーより各機へっ!!各隊は切の良い所で順次撤退するっ!!」


「殿は俺と池田隊で行う。」


「「「「了解っ!!!」」」」



 空自航空隊は、海自艦隊の援護を受けつつ撤退を始めて行く。


 エリンも殿隊の撤退時に、ドラグバスターで威嚇援護しながら、竜騎士航空隊を撃破し、相手を怯ませた。


 それを追う度胸のある者は僅かであった。


 戦場はいよいよ、最も難しい撤退戦へと移って行くのであった。



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