104話 激闘!レジェンダリア諸島 カントルナ砦近郊上陸撤退戦  (闇夜に燃えるカントルナ砦 6)

 アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月7日・午前2時35分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・ レジェンダリア諸島東部・カントルナ島・カントルナ砦付近にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 ダバ派遣艦隊のイツクシマ作戦遂行の為に編制された海自第一艦隊は、はやぶさ隊を先頭にしつつ、くらま・あしがら・ちくま・とね・しらつゆ・きりしま・しぐれ等が単縦陣隊形で突き進んでいる。


「石井3佐っ!!!はやぶさ隊っ!!!突撃せよっ!!!」


「了解っ!!」


 石井3佐は、彼が指揮して居るはやぶさ隊7艇の船速を最大にする。


 はやぶさ隊7艇は、エンジンを響かせながら全速力で、正面敵艦隊の真横を通り過ぎようと突き進んで行く。


「おっ、おいっ!!!あれ見ろよっ!!!」


「んん?なぁ、俺の目は可笑しく成ったのか?」


「先頭の小型船と遠くの大型船の大きさが変に見えるのだが・・・・・・・」


「馬鹿者っ!手前の船は近場だっ!」


「こっちに近く付いて居るんだろうがっ!」


「ですが、艦長殿。あの手前に在る船の船足が、やけに速過ぎやしませんか?」


「そんな事は、どうでも良いんだよっ!!!」


「さっさと魔導大砲に砲弾と魔鉱火薬、大砲に砲弾と火薬とを詰めて撃つ用意をしろっ!!!」


 とあるグリクス地方艦隊の帆船戦艦の一隻を含めて、この様なコントめいたやり取りが見受けられていた。


 其れほどまでに、はやぶさ型ミサイル艇の船速は、物凄く速過ぎるのであった。


 何せ、はやぶさ型ミサイル艇の船速は44ノットも有り、時速にして凡そ80キロメトールが出せるのだ。


 この異世界の人々からすれば、有り得ない速度なのだった。


「各艇へ。右舷敵艦隊へ、撃ちーかたーよーい。」


「了解っ!右舷敵艦隊、撃ちーかたーよーい。」


「攻撃はじめっ!」


「了解っ!攻撃開始っ!撃ちー方はじめっ!」


「てーっ!」


 はやぶさ隊は、先陣を切って攻撃を開始する。主砲である62口径76mm単装速射砲が火を噴くのだ。


ダンダンッ!!! ダンダンッ!!! ダンダンッ!!! ダンダンッ!!!


ダンダンッ!!! ダンダンッ!!! ダンダンッ!!! ダンダンッ!!!


ダンダンッ!!! ダンダンッ!!! ダンダンッ!!! ダンダンッ!!!



「わわわわっ!攻撃が来るぞおおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」


 慌てるグリクス地方艦隊の兵士達。


 負けじと反撃の為に撃ち返すが、はやぶさミサイル艇には中らず、爆散する各種の戦艦達。


「何て、速度だ・・・・・・・」


「はっ?!・・・・・・・あの旗は?」


「まさか・・・・・」


「直ぐに報せを出せっ!!」


「現れた敵艦隊は、ニホン国軍だとなっ!!」


「はっ!!」


 グリクス地方艦隊の外周部に居た1つの艦隊を統括して居たある司令官は、作戦会議で知り得たニホン国なる謎の異世界国家の情報。


 その二ホン国がアルガス公国に加勢して来る可能性が高く有るとグリクス地方軍団の総司令官であるガミトフ・バイマン中将が警戒を促して居た。


 その国旗と軍旗が太陽を模して居るらしいとの情報も同じく知らされて居た。


 はやぶさ隊には、日の丸の日本国旗と海上自衛隊旗たる朝陽旗の二つが掲げられて居るのを見て、突如として現れた見た事も無い未知の鋼鉄の艦隊は、ニホン国軍の物だと判断する。



 レジェンダリア諸島侵攻作戦の前線司令官のオバム大佐は、緑色に塗装されて居るドッコス・ギアレス級空挺戦艦オクト・パレスにて、ある報せを受け居た。


「何?ニホン国軍が現れただとっ!?」


「はっっ!その通りでありますっ!!」


「第16駆逐帆船型戦艦隊の司令官の報告に由れば、北部より迫り来た14隻の敵艦隊は、何れも鋼鉄で出きて居ると思われ、その撃ち掛けて来た大砲は何れの砲門も百発百中の命中率を誇って居るとの事。」


「これまでの二ホン国軍と我が帝国軍が交戦した経緯や各方面から集めた様々な情報から、迫りくる敵艦隊は間違い無く二ホン国海軍である思われます。」


「その証拠に、何れの艦にも太陽の旗を掲げて居ます。」


「そうであるか・・・・・」


「成らば、全竜空母から竜騎士航空隊を出撃させよっ!!!」


「逸早く制空権を我が軍が手に入れるのだっ!!」


「敵艦隊には、艦隊砲撃を撃ち捲れっ!!!」


「中らずとも良いっ!!兎も角、我が方艦隊に対して、敵艦隊を決して近付けさせるなっ!!」


「ははっ!!」


 オバム大佐の判断は早くかった。


 日本の海自艦隊の方が、速射性に優れていて、更には射程が物凄く長いらしいと報告を受けて居たからだ。


 更に海自艦隊の艦艇数のも少ない事から、如何なる犠牲を出したとしても、弾切れを狙った方が有利かもと微かに想像しての判断でも有るのだ。



 オバム大佐が、ダバ派遣艦隊の来訪の報告を受けて居た丁度似た様な時間の頃合の時。



 ダバ派遣艦隊のイツクシマ作戦・第一艦隊の先鋒である護衛艦くらまも攻撃に加わろうとして居た。


「一番、二番主砲っ!!!撃ちー方始めっ!!!」


「了解っ!!攻撃開始っ!!撃ちー方はじめっ!!!」


「てえええええぇぇぇぇぇーーーーーーーっ!!!」



 ドンドンっ!!ドンドン!!ドンドン!!ドンドン!!


 ドンドンっ!!ドンドン!!ドンドン!!ドンドン!!


 ドンドンっ!!ドンドン!!ドンドン!!ドンドン!!


 ドンドンっ!!ドンドン!!ドンドン!!ドンドン!!


 ドンドンっ!!ドンドン!!ドンドン!!ドンドン!!



 主砲である127ミリ単装砲2基の砲音が夜の戦場に響き渡る。


 しらね型護衛艦の2番艦であるくらまと1番艦のしらねは、現実の日本国ではいずもとかがの就役に合わせて退役と成って居たが、この世界の日本国では、様々な理由と周辺国との軍事的な緊張などの事情から、はるな・ひえいと共に退役が遅れ、練習艦艇として使われて居た。


 特にしらねとくらまは、現役と練習艦の護衛随伴として任務を交互にして居ると言う特殊な事情も抱えていた。


 まぁ、何カ国かの某国とかが、色々とキナ臭い動きと軍備拡張路線を続けて居たので、必然的に自衛隊の装備特に海自と空自の戦力増強は急務と成ってしまっていた。


 旧型艦艇は延命工事を行い、新型艦艇が出揃うまでの繋ぎとして、ギリギリの運用状態を維持する為に使用され続けて居た訳である。


 本当なら戦場すら見知らぬままに、耐久試験と言う名の水没処分が待ち受けて居る運命だったのだが・・・・・・・・


 それなのに何故か、異世界と言う戦場に出撃すると言う事態に成り、日の目を見る事と相成ったのであった。


「くらま、お前も平和な世であれば、静かに去るのも良いだろう。」


「しかし、お前はこんな戦乱の世界に来てしまったのだ。」


「戦わずして退役なんて事は、役立たずの税金の無駄遣いだし、お前もお荷物呼ばわりは嫌だろう。」


「さぁ、今こそ、そのお前に課せられ役目を果たす為にも、思う存分暴れてやろうじゃないか。」


「しらねが日本で踏ん張って居るんだ。俺達も負ける訳には、いかんだろう。」


 くらまの艦長は、本当に退役間じかだったはるな型としらね型の護衛艦の艦長を歴任して居る人物で、両護衛艦に対して、とても愛着も有った。


 これが平和な日々か続いて居たのなら、喜んで退役の式典で、ご苦労様、お疲れ様でしたと心から言えただろう。


 しかし、此処は異世界で、しかも異世界大戦の真っ只中。その戦乱の暴風の魔の手は日本にも及んで来て居るのだ。


 それは地球世界では選択肢として在った戦わない又は、戦いを避けたり先送りすると言う選択肢は無く。


 戦わないと生き残れないと言う理不尽な選択肢しか選べない事実。


 古き古狼たる旧式の護衛艦達は、最後のご奉公の覚悟として、活躍させようと意気込んで操艦して居る海自隊員共に、この大戦に挑もうとして居た。


 それに続く、あしがら・ちくま・とね・しらつゆ達も目標が見えて来ると、砲撃を開始する。


「今だっ!各艦くらまを先頭にして、右舷に回頭せよ。」


 三石二佐は、艦隊をはやぶさ隊と切り離して、右へと回頭させる。


 日シベ合同作戦軍は、グリクス地方艦隊が、凡そ1200隻以上と、レーダーと哨戒機での偵察飛行及び人工衛星からの情報で得ていた。


 どの道、大艦隊である事には違いないので、出きうる限りグリクス地方艦隊とグリクス地方軍団をかく乱をさせ様として居た。


 その作戦目的は、カントルナ砦からの友軍の撤退である。



 そして、敵をレジェンダリア諸島の置く深くまで誘い込み、その全てを一網打尽にするのが作戦成功目標であるのだ。



 それを達成する為にも、敵に中途半端な撤退をして貰っては困るのだ。向って来た敵は少数。


 寡兵で挑みに、大軍に一当てしながら砦の味方を撤退させるのが目的である。


 そして、それを追撃し撲滅をするのがグリクス地方軍団。



 幾ら敵方が足掻き、数で勝るグリクス地方軍団は、味方に多大なる犠牲を強いてでも上手く行けば、必ず勝てるんだと、何遍でも自分達に言い聞かせて貰うのだ。


 そう、それが誰もが考え思い描いて居る筈の勝利への道筋の常識だとね。


 簡単に言えば、周囲の空気を誰もが読み合って居ると、誰もが危険や異常だと言えなく成る物だ。


 そう、先の大戦で、我が国、日本国が大日本帝国と名乗って居た頃の様にね。


 まぁ、日本に限らず、主流と成っている常識に反論や異論なんて言えば、必ず主流派閥に淘汰されるは、珍しい事でも無いんだけどね。



 それは兎も角、戦場では、そんな当たり前に囚われ続けた、いや、妄執に成ってしまうのは、とても危険なのだ。


 そして、其処から抜け出すのは容易では無いからだ。


 そんな戦略を打ち出す指揮官や大将に軍師は、真っ二つに好き嫌いな人物の派閥が分かれると言えるだろう。


 何せ、人を嵌めて、貶めるのだから、その手の人物を理解して居る物好きにしか好かれないと思う。


 双方の主力艦隊の距離が15キロをに迫った地点での海自艦隊の右舷への回頭をして行く。


 その行動に首を傾げるグリクス地方艦隊の各指揮官や艦長、司令官などの軍幹部達。

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