103話 激闘!レジェンダリア諸島 カントルナ砦近郊上陸撤退戦 (闇夜に燃えるカントルナ砦 5)
アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月7日・午前2時33分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・ レジェンダリア諸島東部・カントルナ島・カントルナ砦にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
オバム大佐がカントルナ砦周辺の罠に掛かり、砦を攻めあぐねて居る頃。
石井三佐が率いるダバ派遣艦隊所属のはやぶさ型ミサイル艇隊のはやぶさ・わかたか・おおたか・くまたか・うみたか・しらたか・とんびの7艇が、物凄い勢いでカントルナ砦港水域に迫っていた。
その後方には、この戦闘に加わるべく、ダバ派遣艦隊の第1艦隊として編制された護衛艦隊のくらま・あしがら・ちくま・とね・しらつゆが現れる。
其れに加え、第2艦隊から合流させた、きりしま・しぐれが後に続く。
旗艦の護衛として残した2艦だったが、援軍の派遣を知り、間も無く到着するとの事で、出し惜しみする事を止めての全力出撃と成って居た。
南方方面警戒の艦隊としてレジェンダリア諸島の南西4キロ付近で警戒大域させている第3艦隊。
旗艦を護衛艦あかつき・ひびき・いなずま・すずかぜ・いかづちに加え、攻撃出きる護衛艦の不足から、76ミリ単総砲1基を持って居るうらが型掃海母艦・うらがも作戦に加わる。
第1艦隊の旗艦ひゅうが型ヘリコプター搭載護衛艦・ひゅうがと第2艦隊兼総旗艦であるいずも型ヘリコプター搭載護衛艦・かがの2艦は水上基地として、カントルナ砦の北西2キロ付近にて待機し、出撃して行くヘリ部隊の支援に当たって居る。
そして、間も無くやって来る筈のダバ支援艦隊と合流し、しょうかくとずいかくが到着次第、万全の体制が整うと言う訳である。
第1艦隊が突入し、弾薬が続く限り戦い、撤退すると、援軍の第4艦隊が投入される。
その第4艦隊の旗艦は、護衛艦あさひとして、はるな・ひえい・じんつう・あさゆき・まつゆきが投入される。
この戦いの前に、攻勢へと出て行く為の艦艇不足から戦闘に及び腰だったダバ派遣艦隊。
だが、ダバ派遣支援艦隊の派遣と合流が、彼らの行動を起こさせるのに十分な戦力の充実が為される事で決戦に至る道筋が出来上がる事と成ったのである。
「こちら井上。間も無く配置完了する。」
「了解。はやぶさ隊及び第1艦隊は間もなく現着する。」
置鮎一佐は、ヘリコプター搭載護衛艦・かがの艦橋で、陸自全部隊と海自全艦隊の動きを注視して居た。
第1艦隊の旗艦であるきりしまの艦長にして、特別編制体制艦隊の司令官である三石琴実二佐は、実に旧海軍以来の83年振りに行われる夜戦に挑もうとして居た。
その表情は、とても緊張感ある顔付きで、この任務に当たって居た。
本来なら海自の司令官と成るのは一佐以上が通例である。
しかし、この度の派遣艦隊には、艦長や艇長、補佐等を勤める事が多い三佐以上の階級の若手幹部が多く派遣されて居た。
その目的は、これから巻き込まるであろう異世界大戦に措いて、数多くの艦長達等の育成が急務と考えられて居たからだった。
日本政府及び防衛省では、異世界大戦に巻き込まれる事を前提に、西方派遣に向かう人材は、多くの若手幹部や隊員を送り込んで、実戦で得られる多くの戦いのノウハウを叩き込もうと言う目論見である。
三石二佐も海自の将来を期待された、そんな女性若手幹部の1人だった。
「三石二佐、間も無く戦闘現場水域です。」
「良し、全艦隊へ通達っ!」
「対空・対水上戦闘よーい。対空警戒厳と成せえええええぇぇぇぇぇーーーーーーーーーっ!!」
「了解っ!対空・対水上戦闘よーい。」
「対空警戒厳と成せえええええぇぇぇぇぇーーーーーーーーーっ!!」
ダバ派遣艦隊の全艦隊のラッパ手が、何故か同時刻に軽快な戦闘開始のラッパを鳴らす。
その音色は、会心の音色であり、とても素晴らしい物だったと言う記録が残されている。
「これより、我々は旧海軍以来の・・・・・第二次大戦後、初の夜戦に突入する。」
「全艦隊っ!突撃隊形成せえええええええぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーっ!!」
全艦隊が、はやぶさ隊を先鋒隊として、一列に突撃を開始して行く。
「全部隊の準備整いました。」
「分かった。陸自各隊とアルガス公国軍へ通達。」
「イツクシマ作戦開始っ!」
「カントルナ砦へと突入し、味方部隊を救出撤退をさせよっ!!」
「了解です。」
「此方かが総司令部より、各隊各艦隊へっ!」
「イツクシマ作戦を開始する。」
「各隊っ!攻撃開始っ!!命令指示書に従い、各所目標へと突入せよっ!!」
「それと・・・・この曲を掛けてくれ。」
「これは・・・・・・?」
置鮎一佐が通信士の隊員に手渡したのはCDであった。
「あのー、これって・・・・」
「高見君が餞別だって送った奴らしい。」
「何時の間にか、このかがの艦内に置かれて居たらしいな。」
「出発前に船務科で預かって居たらしいが・・・・・」
「これって、アレですね。」
「ああ、防衛省と自衛隊が、西映株式会社での怪獣映画に措いて、散々撮影に付き合って来たしな。」
「今じゃ、どの音楽隊でも演奏してるアレだな。」
「これって・・・・完全に趣味じゃないですかっ!」
「彼が言うには、10年以上前の自衛隊の活躍して居る小説では、ワーグナーの曲を鳴らしたり、Uボートの曲を掛けたりと、敵に対して混乱と威圧感を与えて味方の士気向上にも大変効果的だと書かれて居たと言って居たな。」
「是非、この世界でも、実際に試してみたいとも置き手紙に書かれて居たよ。」
「それでこの曲なんですか?」
「ああ、どうせなら国内の有名で、自衛隊に縁の深い曲が良いだろうと置き手紙に書かれて有ったよ。」
二人は呆れていたが、言われた通りに音楽を流す。
すると彼の怪獣映画の如く、各自衛隊の隊員らは、流れてきた軽快な行進曲の音楽に聞き入ると、リズムに乗って軽く頭を振って居た。
流したのはフリ○ートマーチ・○○大戦争マーチ・○フォースマーチと名で知られている歴代の自衛隊の出撃シーンに使われる行進曲で、あの名作怪獣映画の自衛隊や防衛軍が戦うシーンでも使われる名曲の行進曲である。
曲に合わせるかの様にして、各部隊らは整然と突き進んで行く。
困惑して居るのは、同行しているアルガス公国軍とリナやハンナである。
「何なのこれ?クリス、何か聞いて無いの?」
「さぁ?・・・・・」
「うおおおぉぉぉーーーーーっ!!!!何だこれっ!!!!」
「物凄くカッコいいぞおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーっ!!!!」
一時的に困惑したハンナだったが、戦場に流れて来る曲が、物珍しく且つカッコイイらしく。
物凄く気に入り、とても興奮してしまって居た。
アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月7日・午前2時33分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・ レジェンダリア諸島東部・カントルナ島・カントルナ砦にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「「「「「そーれっ!!そーれっ!!そーれっ!!」」」」」
「「「「「そーれっ!!そーれっ!!そーれっ!!」」」」」
「「「「「そーれっ!!そーれっ!!そーれっ!!」」」」」
カントルナ砦の南門と東門をグリクス地方軍団の破城槌が門を突き破ろうと叩き付けていた。
「「「「「そーれっ!!そーれっ!!そーれっ!!」」」」」
「「「「「そーれっ!!そーれっ!!そーれっ!!」」」」」
「「「「「そーれっ!!そーれっ!!そーれっ!!」」」」」
「そーれっ!!そーれっ!!そー・・・ん?」
「なぁ、何か聞えて来ないか?」
「何言ってんだ、これ重いんだぞっ!」
「早く手を動かせよっ!」
「いや、何か音楽みたいな曲の音が・・・・・・・」
「こんな戦場に、たくさんの楽器を持って演奏か、そいつは豪勢な輩も居たもんだ。」
「冗談も大概にしろよっ!!」
「そんな酔狂な輩が居るのなら、変わり者か金持ちの貴族さまくらいだろうよっ!」
「いや、だかーらっ!!耳を済ませて見ろよっ!!」
「んん??」
砦の城門前で踏ん張るグリクス地方軍団のとある兵士達に、軽快で勇壮な音楽が、戦場に吹き荒れる風に乗って僅かだが、聞えて来て居た。
其処に・・・・・・大きな爆発音と赤い炎と噴煙が見えたのである。
「何だ?どうした?」
「爆発か?」
「確か・・・・・後ろじゃないか?」
「おっ、おおい。見ろよ、あれ・・・・・・」
彼らの後方、ブラキュリオス湖の水上のでは爆発が見えた。
それも一つや二つではない。幾つもの爆発が起きて居たのである。
「どうしたんだ?」
「何が起きてるんだ?」
其処へ、バタバタと謎の奇怪な音が砦上空に響き渡る。
「ありゃっ!何なんだよ?」
「わっ、分からねぇよっ!」
「空飛ぶ風車か?」
「何だよそりゃ?」
「構うな城門をぶち壊せっ!!」
「「「「「うおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!!!」」」」」
グリクス地方軍団の兵士らは、妙な物体が現れ、謎の音楽の曲に混乱を来して居たが、直も攻め続ける事にした。
そして、砦内部では、緑色の斑模様の兵士達が降り立って居る事に、城外の帝国兵士達は、気にも留めて居ない様子だった。
7分くらいで内部では、自衛隊の部隊配置の割り振りが終わると、薄暗い暗闇の中では、明かりとなる光は、松明の光だけである。
その松明が煌々と薄く光り輝く中を陸自隊員の89式小銃が不気味に黒光りをしている銃口を獲物であるグリクス地方軍団の兵士に狙いを定めていた。
「各小隊準備ヨシっ!!」
「中隊長、各隊の攻撃態勢が整いました。」
「よしっ、撃ち方よーい。」
ガチャガチャ、ガチャリと音を小さく響かせ、弾薬の最初一発が装填されて行く。
隊員達は、89式小銃の安全装置をアからレへと解除させる。
砦内からも彼の行進曲とヘリのローターの機械音や海自艦隊の砲撃音が響いていた。
もう直ぐ砦に駆け付けた各隊に、最初の攻撃命令が下され様として居る中、各隊の陸自隊員達にも緊張が走し出す。
「撃てえええええぇぇぇぇぇーーーーーーーーっ!!!!」
中隊長が攻撃命令を下すと、一斉に陸自の全隊員らは、89式小銃を撃ち放ち、辺り一帯では、銃声の連射音と弾が弾き出される薬莢の金属音が響き渡る。
ブラキュリオス湖畔紛争の中でも、最も長い一日が始まり、戦いのゴングの音は、連射される小銃の銃声音によって始まりを告げたのであった。
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