100話 激闘!レジェンダリア諸島 カントルナ砦近郊上陸撤退戦  (闇夜に燃えるカントルナ砦 2)

アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月7日・午前1時45分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・レジェンダリア諸島東部地域・カントルナ島・カントルナ島南東部浅瀬にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




 グリクス地方軍団に所属するグリクス地方艦隊は、ジャイアガル島・ジャイアガル軍港基地を僅か1時間で制圧に成功する。


しかしながら、制圧した基地の中と言うのは、誰も居ない蛻の殻であり、制圧と言うよりも、対象の施設を無傷での奪取した形であっただけと言えた。



 そして、制圧を行ったグリクス地方軍団の兵士らは、多大なる犠牲者が出てしまって居た。


 ジャイアガル基地司令官は吐き捨てる様に、基地を只では、くれてはやらんとの言葉通りに、日本国陸上自衛隊から提供された高性能爆薬による基地施設の爆破と言う嫌がらせをしての撤退だった。


 その仕掛けは、施設の重要な区画や司令室にセンサー式や釣り糸でのトラップ式爆薬を設置して、ドカンと豪快に吹き飛ばすものである。


 ジャイアガル基地司令官は、撤退には依存は無いが、何か嫌がらせか置き土産をしてやりたいと、数日前に作戦の内合わせ来ていた陸自隊員に、何か無いかと聞いた。


 其処でセイジョン・ローグリア城からジャイアガル基地に援軍として訪れていた陸自隊員らは、上官である井上一佐と供に、ブービートラップなら如何だと言った。


 しかも不適な笑みを浮かべながら「盛大にな。」と付け加えた上で、策の立案を問い合わせて来た陸自隊員等に、トラップの内容と仕掛け方を任せる算段となったのである。


 丁度同じ頃に、カントルナ砦にも同じ様なトラップを仕掛ける予定だったので、チョットだけ手間は掛かるが、其処は物の序でにと言う事に成ったのであった。


 しかし、仕掛ける爆薬の威力を増す為に、粘土の様に良く捏ね上げなければ成らず、その作業を手伝っていたアルガス公国軍の兵士の者達と陸自隊員らは、その作業中、周囲から白い目で見られていたりする。


 とても臭いと・・・・・・・・・・


「・・・・して、将兵達の被害は、如何ほどだ?」


「はっ、凡そ3千人が殺られまして御座います。」


「まさか・・・・・占拠してきた敵兵を基地ごと吹き飛ばすとはな・・・・・・」


「はい。基地に突入し、内部を調べた結果、物抜けの殻。」


「突入部隊の者達は、とんだ拍子抜けと後続部隊の兵らと共に笑ってしまいました。」


「その後、オバム大佐殿等をお迎えし、この基地をレジェンダリア諸島制圧の為の物資の中継地点と前線司令部としても使おうとして居たのですが・・・・・・・」


「よもや、爆破して我らに大打撃を与えるとは・・・・今までのシベリナ王国連合の戦いからは、想像も出きません。」


「もしや・・・・・・これはニホン軍の入れ知恵であろうか?」


 オバム大佐は、この様な戦術を用いた策を考えた者達は、日本ではないかと考えに至る。


 原始的なトラップなら彼らも思い付くが、此処まで大掛かりで大胆な罠を仕掛ける事は、アルガス公国では、先ずは無理だろうとの結論に至るからだった。


 そして、それらを踏まえると、今回彼らを苦しめ、手の込んだ罠に嵌めたのは、自ずと日本に行き着くのではないかと、疑う事にも納得が行く答えと言えたからであった。


「それは分かりません。」


「ですが、我らも良く使用する火薬等の爆発物を使った形跡は、見当たり増せんが、仕掛け自体は珍しくなく、我らも狩などに使用するトラップが使用されて居ります。」


「其れに加え、独特の異臭や見た事も無い装置の残骸も発見されており、これ等の仕掛けが爆発の元凶だ思われます。」


「それらを踏まえた形跡を見るに、仕掛けた首謀者が日本である可能性は有り得るかと・・・・・・」


「それらをムーラ・ザーメ帝国立兵器研究所などの国立研究機関に回して分析は可能か?」


「それは難しいと思われます。」


「発見されたカラクリの物体は、全て原型の一部を留めて居るだけで、ガラクタ以下のゴミ同然と成って居ります。」


「ですので、解析の究明は不可能かと思われます。」


「万が一原型を留めて居たとしても、物体その物の解除事態が不可能と言えるでしょう。」


「それに例え、罠を見付けても解除は不可能です。」


 トラップに使われて居る器具は、成るべく機密保持の為に、爆破と同時に破壊される様に仕掛けが施されていた。


 日本政府や防衛省も、自衛官達に自国の技術に関する機密性を保つ様にと、仕掛けトラップの機材を使い捨てる時には、粉々に粉砕される様に仕掛ける事を義務付けて居る。


「ふむ、其処まで考えられるとはな・・・・・仕掛け罠に触れば、その場でドカンか?」


「はっ!みすみす敵の罠に掛かるのは得策と言えませぬ。」


「それに技術解析すら出来ない様にする徹底振り、油断できん連中だな。」


「それに加えて、何んとも歯がゆいな結果だ。」


「ですが、このまま軍を基地に駐留せつつ、建物には入らないと言う形なら、安全と推察します。」


「敷地全体に、仕掛けが無いとも言い切れんぞ?」


「その心配は少ないと見ています。」


「それだけの罠を仕掛ける時間が無かったのではないか?とも推察しても居ります。」


「なるほど、一理ある。」


「成らば、進軍を続ける。基地内の敷地から少しでも距離を取りつつ、直ぐに後続軍を上陸させ、北進を続けさせろっ!」


「ははっ!」


 オバム大佐は、部下で前線副司令官であるラオウ・ケビン中佐に命じて、進軍準備を進めさせ、侵攻作戦を継続を命じた。


 遠くでは、魔導陸上揚陸艦50隻から、帝国軍の主力兵器であるフレイムランドドラゴンやトリプトドンに加え、魔導機兵・イースト・エンペラルと言う黒い西洋風の騎士甲冑の姿をしたロボット部隊が上陸をして居る。


 武装も様々だが、一般兵が乗り込む機体の武装は槍か剣で、左手には盾が装備されて居る。


 見た目が尉官クラスの機体と違って、小ざっぱりとして居る下級兵士が着込む鎧の姿機体をして居ると言えば、想像が出きるだろう。


 魔導機兵は、マジックステッキと言う魔法の杖以外の飛び道具の武器が無いのである。


 それなので、自衛隊相手に戦うと成ると射程距離と砲弾の威力格差から、苦戦処か全滅も有りえるのである。


 それすら全く知らずに彼らは投入できる魔導機兵戦力の殆んど注ぎ込んでいた。



 帝国軍のグリクス地方軍団は、いよいよレジェンダリア諸島制圧作戦の第一歩へと進み始めたのである・・・・・



 アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月7日・午前2時03分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・ レジェンダリア諸島東部・カントルナ島・カントルナ砦にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 グリクス地方軍団に所属するグリクス地方艦隊の陸上部隊は、上陸させた魔導陸上戦艦30隻。魔導陸上揚陸艦50隻。


 主力兵器であるフレイムランドドラゴンやトリプトドン。


 魔導機兵・イースト・エンペラルと共に、15万の軍勢をジャイアガル島・ジャイアガル軍港基地から北進させて行く。


 残るグリクス地方艦隊は、一部の艦隊を防備に回し、ドッコス・ギアレス級空挺戦艦1隻。


 アレキ・サンジェルス級魔導空挺戦艦6隻。


 空挺竜母艦20隻。空挺重巡洋艦8隻。空挺巡洋艦15隻。


 空挺駆逐艦30隻。空挺帆船戦艦が150隻。帆船戦艦300。帆船輸送艦500隻。



 合計で1030隻もの艦隊を東回りで、カントルナ島・カントルナ砦へと向わせて行く。



 万全の態勢と豪語して居るオバム大佐。



 自ら前線に出て指揮を執って居た彼の前に作戦目標であるカントルナ砦を視認する。



「者共っ!蹂躙せよっ!掛かれーーーーっ!!」


 オバム大佐は、攻撃命令を下し、兵達は声を高らかに鬨の声を上げて進軍して行くのであった。


「「「「「うおおおぉぉぉーーーーーーーっ!」」」」」


 グリクス地方軍団は、陸と水上から周囲7キロしかないカントルナ砦へと攻め掛かる。



 最早、このカントルナ砦は風前の灯と言えた。


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