92話 激闘!レジェンダリア諸島 カントルナ砦近郊上陸撤退戦  (グリクス地方奇襲戦 8)

 アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月6日・午前1時50分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖畔南部地域・グリクス地方・ローラーナ帝国・ローラーナ帝国領・グリクス地方州・グリクス地方軍団・グリクス地方西方戦線区・グリクス市・グリクス要塞から西へ凡そ、60キロ付近・グリクス第7要塞近隣から13キロ地点・日シベ合同作戦軍第一部隊にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



最初に仕掛けたのは87式偵察警戒車と89式装甲戦闘車の計4両だった。


敵輸送部隊の西側から南に回り込んで、休息野営地へと突入し、その野営地中央部へと進出する。



そして、南から射撃しつつ、北上を始めて行く。



 87式偵察警戒車が、敵歩兵部隊に向けて、25mm機関砲を撃ち込む。


 ダダタダダダッ!!!ダダタダダダッ!!!ダダタダダダッ!!!


 ダダタダダダッ!!!ダダタダダダッ!!!ダダタダダダッ!!!


 ダダタダダダッ!!!ダダタダダダッ!!!ダダタダダダッ!!!


 89式装甲戦闘車は7.62ミリ機関銃を撃ち込みながら周囲の帝国兵を牽制しつつ、重騎竜種と呼ばれている竜種で、額に3本の角が有るトリプトドンと言うトリケラトプスに似ている竜の部隊の背後からトリプトドンに向って35ミリ機関砲を撃ち込む。


「トリプトドンタイプを確認。35ミリ機関砲、撃ち方よーい・・・・撃てっ!」



ダンダンッ!!!ダンダンッ!!!ダンダンッ!!!ダンダンッ!!!


ダンダンッ!!!ダンダンッ!!!ダンダンッ!!!ダンダンッ!!!


ダンダンッ!!!ダンダンッ!!!ダンダンッ!!!ダンダンッ!!!



「命中、3騎撃破を確認っ!」


「乗員っ!!降車開始っ!!」


 89式装甲戦闘車の後部ドアが開いて8名の自衛隊員が現れた。


 全員が89式装甲戦闘車を盾代わりにして、89式小銃で攻撃を開始した。



 普通科隊員の第一分隊長の指示の元で、敵部隊に対して、的確に攻撃を加えて行く。


 一方の其処から3百メートルほど下がった先では、帝国輸送隊の運搬を担当して居る運搬歩兵らが、自衛隊による突然の奇襲にも関わらず、必死で応戦して居た。


 馬車を倒しつつ金属の盾を張り巡らして弓矢で応戦して居るが、攻守共に全然、歯が立たなかった。


「伝令だっ!!伝令を出せっ!!!」


「何処でも良いっ!!早く近くの味方に報せるんだっ!!!」


 馬や護衛で来ていた飛竜を使って、近くの砦や要塞に救援を出そうと試みたが、それを見逃す陸自隊員らでは無い。


「こちらニンジャ01、敵に動き有りっ!!」


「飛竜騎士隊の一部から、上空へと飛び立つ動きが有るっ!!」


「第一87AW部隊だっ!!了解したっ!!」


「此方も間も無く予定位置に着く。」


「こちら東地一尉だっ!!騎馬の方は、家の隊から3機回すっ!!」


「残った機体で飛竜騎士隊に当たる。」



 東地一尉は素早く、AH-1S戦闘ヘリコプター(コブラ)7機を二手に分ける事にした。


 UH-1H 多用途ヘリコプター2機と海自のSH-60J/K哨戒ヘリコプターを合わせて3機が帝国陣地へと飛来し、更なる混乱に陥れる。



 ヘリのドアに備え付けられた機関銃と乗り込んでいる隊員たちが持って居る小銃から銃弾の雨が地上へと降り注ぐ。



 序でのオマケと言わんはがりに、手榴弾を投げ付け帝国兵を吹き飛ばして行く。


 地上では96式装輪装甲車と87式自走機関砲2両が南方地点へと現れると、87式自走機関砲2両は、東の飛竜騎士隊へと35ミリ高射機関砲を砲撃を開始する。


ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!


ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!


ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!


ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!



 87式自走機関砲に敵陣地へと突撃砲撃をさせる等、本来の用途に反するが、水平撃ちでも、その威力を遺憾なく発揮する高性能な機関砲を有する車両である。


地球では対空主力兵装の殆んどがミサイル兵器や、扱い易い牽引移動式固定機関砲塔が当たり前に装備されており、日本では演習以外では最早、お荷物と揶揄されて居た装備である。


 しかしながら、ウクライナ戦争に措いては、ドイツ軍からの兵器供与で対空機関砲車両であるゲパルト自走対空砲50両が対ロシア軍のヘリコプター部隊の対策として譲渡されて居る事も在り、ヘリコプター兵器などへの対抗策として、まだまだ使えると専門家言って居るが、何所までロシア軍に対抗が出来るのかは未知数とも言えた。


 また、アメリカ合衆国内で行われた陸上自衛隊との合同演習では、87式自走機関砲の性能が判らずに居たアメリカ陸軍の戦闘ヘリコプターは、対処の仕方が判らずに、陸上自衛隊部隊のへの攻撃を躊躇うと言う場面も有ったらしい。



 最早、時代遅れに等しい自走砲台車両と成ってしまって居る同車両だが、地球世界でも、このアースティア世界でも、まだまだ使える戦闘車両の一つであると言えるのかも知れない。

 


「3騎飛び立ったぞっ!!」


 海自の哨戒ヘリからの通信だった。


「逃がすなっ!撃てっ!撃てっ!撃てえええぇぇぇーーーーーーっ!!」


「車長、暗視装置の制度が上がって居るとは言え、地球や日本本土での演習とは違い。深い暗がりのせいで、射程距離が読み難いで有りますっ!」


 87式自走機関砲の1号車の車長が、大声で砲手に撃てと命令するが、聊か目視で射撃には、夜の暗闇が邪魔をして居た。


 87式自走機関砲は改修を繰り返して、今日に至る。赤外線暗視装置の改修も受けて居るが、一号車の射線の先では、照明弾や照明魔導弾が少しばかり足りて居なかったのだった。


 其処にアルガス公国軍・魔導師小隊から通信が入る。


「こちらアルガス公国軍、魔導師小隊だ。貴隊の元に照明魔法ライトを放つっ!!」


「支援感謝するっ!!」



「照明魔導弾の支援が行われるのと同時に、撃つぞっ!!!」


 照明魔法弾のライトが12発が、87式自走機関砲隊の射線上に撃ち放たれた。


「今だっ!!目標ワイバーンタイプっ!!距離1000っ!!照明魔導弾の支援が有り次第っ!!撃ち方っ!!始めっ!!!」


ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!


ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!


ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!


ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!


ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!ズダダダダダッ!!




 87式自走機関砲に搭載されている捜索レーダー・追随レーダー射撃統制装置が一体化して居るので、目標を素早く発見し、攻撃を加え撃ち落して行く。


 アルガス公国軍・魔導師小隊の支援も有って、見事な連携攻撃をしてのけた。


 流石はガンタンクともハエ叩きとも言われる戦闘車両である。


「目標命中。撃破した。次だっ!」


 砲塔後部に添え付けられて居るレーダーから、ワイバーンと言えども、それから逃れるには、相当に苦労するだろう。



87式自走機関砲の1号車の車長は、次の獲物へと砲台を向けるのだった。



 パタパタパタパタと音を立てながら、コブラ部隊や哨戒ヘリから逃れようと騎馬隊が必死に成って、戦わずに近隣の味方へと救援を求める為に、ある程度、纏まった集団でバラバラに逃げ惑って居た。


 周囲には、海自の哨戒ヘリがサーチライトで騎馬集団を照らして居る。


 哨戒ヘリに乗り込んで居るアルガスの魔導師がライトの魔法を地上に撃ち放った。


「よーしっ!!丸見えだっ!!しっかし、魔法って奴は便利だな。」


 東地一尉は、丸見えと成った正面真下に見えた騎馬隊集団に向けて、20ミリ機関砲を撃って行く。



 騎兵集団は、追い詰められながらも、馬ごと磨り潰す様に討ち取られて行くのだった。


「くそっ!!何てっ!化物だっ!!!」


「逃げどもっ!逃げどもっ!しつこく追って来るぞっ!!!」


「爆発っ!?」


 コブラが撃ち放ったのは70ミリロケット弾こと、ヘルファイヤーで有る。


 その数、16発。



 その16発のロケット弾が一番に遠くに居た集団に襲い掛かった。


 600人は居た騎馬隊は、既に3百人まで、その数を減らして居た。


 ズドーン!!とある一隊の上を通り過ぎたロケット弾を見た騎士は、度肝を抜かれてしまう。


「ばっ、馬鹿なっ?!」


「先行していた1587騎馬隊・100人が、一瞬にして全滅だとっ!?」


「何だっ!あの馬鹿げた強さの兵器はっ!?」



 コブラの放った一撃は、1585騎馬隊と言う、生き残って居た騎馬隊の一隊である100名の肝を潰して行く。



 コブラ隊は、更に攻勢を強めて、たったの15分程度で同地の帝国軍輸送隊を警護していた騎兵隊を全滅してのけたのだった。



 戦場北部では、戦いが終盤への序章が始まろうとして居た。



「モオオオオォォォーッ!」


 約300体は居る重騎竜種のトリプトドンは、額に大きな角を3本ほど生やしている陸上竜種の一つで、大きさが約35メートルから40メートルと言われている。


牽引式魔導砲台を引き連れて、帝国軍の重騎竜隊の隊長は、300騎を一旦、北進させて、背後に居る敵に備える為に陣形の建て直しを図ろうと部隊を前進させて居た。


「隊長殿、あれを・・・・・」


 副隊長して居る者が、正面に異様な姿をした甲獣を見付けた。


「むう、あれは後方に現れた甲獣の別種か?」


「分かりませぬ。」


「しかし、人の姿が見えぬ様子。」


「それに、人の気配すらも・・・・・・・・」



 帝国軍の重騎竜隊の前に立ち塞がるのは、陸自の16式機動戦闘車2両と10式戦車3両である。


「目論見通りね。」


 椎名三佐は、目標が作戦の目論見の予定通りに現れた事に安堵しつつ、戦闘態勢に移行した。


「だが、あれは敵である事には違いない。」


「アルガスかアセリナか、はたまたダバ・ロードの新型兵器かは知らぬが、数に任せて押し潰してやれっ!」


「了解っ!!200騎は魔導砲台を外し、突撃陣形を組めっ!!!」



「残りは、300門の魔導砲台を持って砲撃せよっ!!!」


 帝国軍の重騎竜隊は、200体に引かせていた魔導砲台を外しつつ、陣形を整えて行く。


 更にその後方では、フレイムランドドラゴンと言う陸上火竜種10匹がブレスフレアと言う口から吐き出される火炎放射で、相対して居た87式偵察警戒車と89式装甲戦闘車の4両との攻勢を阻んで居る。


「ぜんったーいっ!!突撃いいいぃぃぃーーーーーーっ!!掛かれえええええぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーっ!!!」


「支援砲撃開始っ!!!撃てえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」


「モオオオオォォォーーッ!!!」


「モオオオオォォォーーッ!!!」


「モオオオオォォォーーッ!!!」


「モオオオオォォォーーッ!!!」


「モオオオオォォォーーッ!!!」



 トリプトドン200体が、一斉に大地を揺るがすほどの牛の鳴き声に似た雄叫びの咆哮を上げつつ、16式機動戦闘車と10式戦車に向けて突進して来た。


「椎名三佐っ!!敵目標は200騎は居ると思われますッ!!」


「来るわよっ!!!各車っ撃ち方よーいっ!!!」


「椎名三佐、こちら追い込み部隊のRCV1だっ!!」


「89FV1と共に、フレイムランドドラゴンタイプと対峙して居るっ!!」


「それと、敵ドラゴンからは、物凄い高温の火炎放射攻撃を受けて居る。」


「こっちも、ちょうど獲物が向かって来た所よ。そっちは?」


「何とか回避して居るが、RCVの火器では傷程度しかダメージが無いっ!!」


「89FVの誘導弾の使用許可をっ!!」


「もう少しだけ耐えて、挟撃に持ち込めば、その時に判断するっ!!」


「場合によっては、コブラを何機か回す様にと、東地一尉に要請しなさいっ!!」


「了解っ!!」


 89式装甲戦闘車の隊員達は、フレイムランドドラゴンに対して車両に装備している79式対船艇対戦車誘導弾の使用許可を求めたが、決戦前に弾薬数の残りを気にして迂闊な使用を控えていた。


「今は我慢の時よ。」


 16式機動戦闘車と10式戦車の能力を持ってすれば、300騎の数など射的ゲームの様に撃破など容易で、簡単で有るのだ。



しかし、味方の車両は少なく、弾数にも限りが有るのだ。


 其処で砲撃の爆発による衝撃波や吹き飛ばされた死体による打撃で周囲の敵も更に吹き飛ばすと言う手段を取る事にした。


 その為に椎名三佐は、成るべく重騎竜隊を纏まらせる様にして、己の射程内に入る様に仕向ける必要が有ったのだった。


 今、目の前の敵を撃ち破れば、この戦は、完全に勝利したも同然である。


 それまで各隊員は、奮戦せねば成らないのだ。


 

 第一合同部隊の最も主力たる16式機動戦闘車と10式戦車の5両は、重騎竜隊に照準を合わせた。


 今、正にその火力たる105ミリライフル砲と120ミリ滑空砲が、初めて実戦使用され様として居た。



 その威力性能の力は、如何に・・・・・・・・・・・


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