93話 激闘!レジェンダリア諸島 カントルナ砦近郊上陸撤退戦  (グリクス地方奇襲戦 9)

 アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月6日・午前1時50分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖畔南部地域・グリクス地方・ローラーナ帝国・ローラーナ帝国領・グリクス地方州・グリクス地方軍団・グリクス地方西方戦線区・グリクス市・グリクス要塞から西へ凡そ、60キロ付近・グリクス第7要塞近隣から13キロ地点・日シベ合同作戦軍第一部隊にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 日本の自衛隊を主力とした日シベ合同作戦軍第一部隊に、背後を突かれたローラーナ帝国軍・重騎竜隊は、背後をフレイムランドドラゴンと呼ばれる竜に守らせている。


 そのフレイムランドドラゴンは、超高温の火炎放射を吐きながら87式偵察警戒車と89式装甲戦闘車の4両と共に行動している普通科隊員達をジリジリと追い詰めつつある。


「椎名三佐、各隊員配置が整いました。」


「了解した。」



 16式機動戦闘車と10式戦車と普通科隊員らは、敵の重騎竜隊の位置に対して、散らばる様にして包囲して居た。



 その距離は、約1200もの近距離まで迫っていた。


「撃て撃てっ!!!数で押し潰せっ!!!」


「「「「「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!!」」」」」


 重騎竜隊に所属する全ての騎手や兵士。


 砲兵らが怒号を叫び上げながらも、陸自戦車隊へと前進して来る。


 バウッ、バウッと砲撃音が、魔導砲台から淡い青と白の混じった炎の砲煙を次々と繰り出していた。


「こちら東地。南部の方は、あらかた片付いた。」


「今地上の普通科隊の連中は、アルガス軍と一緒に捕縛した捕虜を見張って居る。」


「今から其方へと援護に向う。」


「此方は87AW(87式自走高射機関砲 )隊、我々も東回りに向う。」


「了解っ!!これで此方の包囲は完成した。」


「総攻撃よ!!各隊っ!!撃ち方よーいっ!!!」


 陸自普通科隊員らは、それぞれの配置に就いて居る場所で、武器を構える。


 彼らが持って居る物は何れも対戦車用携帯の武器だ。


 使用して居る装備は、01式対戦車誘導弾、84ミリ無反動砲、87式対戦車誘導弾、110mm個人携帯対戦車弾等である。


 また、迫撃砲は81mm迫撃砲を使用し、敵の進行速度更に削ぐのである。


 敵をギリギリまで近付かせて討ち取る。


 ローラーナ帝国軍者達が思いも由らない戦法、それは戦国時代に、日本の鹿児島地方で独自に発展させて、九州を手に入れんとした島津家が度々使って来た切り札戦法である釣り野伏せである。


 この戦いに参加している少数精鋭の自衛隊にピッタリの戦術であり、密集して突撃をして居る軍隊に取っては、一溜まりも無い一撃を喰らわせられる戦法と言える。


かつて戦国時代の終盤の時代に島津の家の者たちは、この戦法で少ない寡兵で数倍の兵力を意図も簡単に撃ち破った実績を作り、鬼島津と島津義弘と言ったその名をと共に、畏怖と異名の奮戦ぶりを称えられて居た。


「それえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!!一気に畳み掛けろおおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーーーーっ!!!!」


「「「「「ブモオオオォォォォォーーーーーーッ!!!」」」」」



 トリプトドンは咆哮し、敵へと突撃する。


 ローラーナ帝国軍の重騎竜隊長は、常に散発的に撃って来て居る74式車載7.62mm機関銃や89式小銃。


 5.56ミリ機関銃の攻撃しかして来ない隊員らに対して、少数による奇襲部隊だと推察。


 数に任せれば勝てると判断し、一斉突撃を敢行して来て居た・・・・・筈であった。




「今だっ!!各車、各員告ぐ、撃てえぇぇぇぇぇーっ!!」


 

 16式機動戦闘車と10式戦車は、一斉に砲塔から弾頭を撃ち放った。


 その周囲からは、様々なタイプの対戦車誘導弾と81ミリ迫撃砲が撃ち放たれた。


 対戦車用誘導弾の装備を統一して居ないのは、政府からの評価試験も任務の一つと訓示さて居るからである。


 陸上自衛隊の車両装備の兵装は、取り敢えず通じると予測されて居る。


 その根拠とは、海上自衛隊の護衛艦と航空自衛隊の戦闘機の装備による攻撃が通じて居る事に由来する。


 この日本近海での二度の戦いで、自衛隊側の装備の威力と優位性が実証されては居るが、他の様々な陸自携帯装備の実績は、まだだった。


 今後この世界の大陸国家等に対して、どの程度の威力の防衛装備を売り込むにしても評価試験は必須で有ると言えた。


 日本政府は、この戦いの対亜竜戦部隊戦に措いて、どの程度通じるかの実証試験運用を確認をするとの決定をして居る。



 それに付いての意見の参考監修に、自衛隊幹部や生物学者、竜史も関わって居る。


 彼は専門家らに、今使って居る装備は初戦の間だけは、問題無いと思うと竜史は言って居る。


 今後も万が一の事態に備えて、装備の生産調達、改良に開発は早期に整えて行くべきだとも付け加えていた。



 密集している重騎竜隊の方から、ズドーンと言う音が響くと、着弾地点周辺のトリプトドンは吹き飛ばされた。


「なっ・・・・・・・・」


「何が起ったんだ?」


「報告っ!!トリプトドン計40騎が、騎乗者と共にふ、ふふっ、吹き飛ばされましたっ!!」


「なな・・・なっ!何だとっ!・・・・・」


 重騎竜隊の隊長は、無事だった部隊の下士官の報告を聞いて絶句する。


「「「「「グモオオオォォォッ!」」」」」


 生き残ったトリプトドン達も仲間を殺られた事に動揺して悲痛の叫び声を上げて、恐怖から後ずさりをしつつ、立ち所に怯んで行く。


「初弾の全弾命中を確認っ!!」


「全ての個人携帯装備及び車両砲弾の効果を目視で確認っ!!」


「良しっ!続けて撃てっ!!!」


 バウッっ!!また砲煙が上がった。


 16式機動戦闘車と10式戦車は、更に攻撃を仕掛ける。



 今度は、前進射撃である。車両は微速前進をしつつ、次々とトリプトドンを撃ち貫く。


「怯むなっ!魔導砲っ!撃てええぇぇぇっ!!」


 帝国軍の重騎竜部隊の者達は、トリプトドンに牽引させていた牽引式魔導砲を数に任せて16式機動戦闘車と10式戦車の併せて計5両に砲撃を開始する。


 すると300門は有る砲台がの内の約半分が16式機動戦闘車と10式戦車の車体に命中する。


「おおっ!やったぞ!」


「高が少数の戦力如きで、我らに向って来るとは、浅はかさ過ぎる。」


「そうだぜっ!!折角の新兵器をダメするとは、何処の蛮族国か弱小国かは知らぬが・・・・・・」


「我が帝国軍を舐めおってっ!」


「良しっ!残った敵兵を弄り殺しするぞっ!!!」


「「「「「うおおおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーーーーっ!!!」」」」」


 帝国兵達は、16式機動戦闘車と10式戦車を討ち取ったと誇り、喚声の声を上げた。



 だが、しかし・・・・・・・・・・・・


「おっ、おいっ!!」


「見ろよ。あれ・・・・・・」


「むうぅぅ・・・・・・」


 土煙と炎の中から薄汚れて現れた16式機動戦闘車と10式戦車が、何事も無かった様にして、悠然と走行を続けていた。


 バウッ!!また砲弾が撃たれた。


 周囲からは第二・第三派の対戦車ロケット弾が撃ち放たれる。


 そして・・・・・・・・・・・・・


「此方は鎮西リーダーより、コブラ部隊各機へっ!!」


「火トカゲを料理するぞっ!各機誘導弾っ!発射よーいっ!撃てえええええぇぇぇぇぇぇーーーーーっ!!」


 東地一尉率いるコブラ隊は、一斉にフレイムランドドラゴン10匹をTOW対戦車ミサイルで攻撃する。


「キシヤャャーーンッ!!!キシャウオオォォォォーーーーーーンッ!!!」


 フレイムランドドラゴンは、断末魔の叫びと共に、7匹が討ち取られた。


 討ち取られたフレイムランドドラゴンは、唾液と脂肪に含まれる油成分の分泌液に引火して、自らの巨体な身体を焼かれて行く。


「キシヤャャーーン!!」


「おいおい、怪獣映画かよっ!?」


「ああ、丸で特撮モノを見て居る様だなっ!!」


「くそっ!!あれだけ撃たれても、倒れないのかよっ!」


「いや、腕や足が片方だけぐっだっりして居るぞっ!!攻撃は効いて居るっ!!」


「ああ、単に適当な場所を狙って撃っただけだったが、相手は動いて、多少は考えて行動して居る生物だっ!ロックオンが正常でも予想外の事は有り得るぞっ!」


 平均身長が33メートルも有るフレイムランドドラゴン。


 その生き残った固体の生命力の強さに、対峙していた87式偵察警戒車と89式装甲戦闘車の4両に乗っている隊員達は、特撮映画モノ世界に迷い込んだ様だと、各々通信で述べて驚愕して居た。


「87AW(87式自走高射機関砲 )隊より89FVへっ!止めを刺すぞっ!」


「了解っ!そちら右側の一番弱っている固体を狙ってくれっ!」


「椎名三佐、こちら89FV隊、誘導弾の使用許可願います。」


「了解っ!!誘導弾の使用を許可します。」


 許可を受け取った89式装甲戦闘車2両は、右側の79式対戦車誘導弾発射装置の発射口が開く。


「89FV1っ!目標っ前方の中央のフレイムランドドラゴンっ!!」


「89FV3っ!目標っ前方の左のフレイムランドドラゴンっ!!」


「「撃ち方よーい。撃てえええぇぇぇぇーーーーっ!!!」」


 2両の79式対戦車誘導弾発射装置から爆炎と白煙が暗闇中で一条の明りと成って照らされ突き進んで行く対戦車誘導弾は、吸い込まれる様にフレイムランドドラゴン撃ち抜いた。


 「2匹共に命中撃破。」


 流石の巨体を誇って居るフレイムランドドラゴンも心臓を撃ち抜かれては、一溜まりも無い。



 誘導弾を喰らって爆発した身体の上半身は、粉微塵に吹き飛んで居た。


 その周りには、ドラゴンの血の雨が降り注ぐ。




「87AWっ!目標フレイムランドドラゴンっ!!うちかーたっ!!始めっ!!」


 ダダダダダダダダッ!!と言う轟音が、フレイムランドドラゴンをバラバラにするまで鳴り響いて居た。


「目標撃破っ!!」


 こっちは肉片が更に後方へと血の雨と肉の塊が吹き飛ぶ形で降り注ぐ。



「こちら指揮者の椎名三佐です。」


「先ほど最後の一匹を撃ち倒したわ。」


「これより敗残兵の掃討戦に入ります。」


「降伏して兵に関しては、一ヶ所に集めて縛り上げ、此方の目的達成までアルガス軍と合同で見張る事とします。以上。」



 椎名三佐の通信が終わると散発的な銃声音が聞え、第一合同部隊は掃討戦に移行し始めた。


「良し運べっ!!」


「はっ!!」


 第一合同部隊に同行して居たクリスは、アルガス軍の輸送部隊を指揮して、第一便を送り出していた。


「しかし、物凄いな。」


 クリスは目録を付けて行く中で、その内容に驚く。


 武具類が2千人分、食料が2千人分、金銀銅の貨幣が、日本円で凡そ千五百万円相当くらいは有るらしい。


「決して多いとは言えないが、他にも複数の輸送隊が似たような物資輸送をして居ると思うとゾッとするな。」


「リナやハンナ達は、上手くやって居るだろうか?」


 クリスは初めて共にする同じ戦地の親友達に想い馳せていた。


 まだ、全員では無いが、供に戦おうと言う誓いをようやく果たせた思いが彼女の心を熱く高揚させ、感激して居た。


 第一合同部隊による帝国軍の輸送大隊への強襲作戦は、一先ずの成功を収めた。


 丁度、同じ頃、第二合同部隊も、天才大魔導師であるリナ・ミーサガ・リンバースを中心にして、大暴れを開始していた。



 それはローラーナ帝国軍の将兵らに取って、天才と言う言葉が、天災と言う言葉に変わってしまい。


 天災魔導師に襲われると言う災難と成ってしまうのであった。


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