91話 激闘!レジェンダリア諸島 カントルナ砦近郊上陸撤退戦  (グリクス地方奇襲戦 7)

アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月6日・午前0時30分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖畔南部地域・グリクス地方・ローラーナ帝国・ローラーナ帝国領・グリクス地方州・グリクス地方軍団・グリクス地方西方戦線区・グリクス市・グリクス要塞から西へ凡そ15キロ付近・はやぶさ型ミサイル艇隊地点にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 ダバ派遣艦隊とアルガス公国軍によるに陽動奇襲作戦が開始されて約1時間が経過して居た。


ダバ派遣艦隊の別働隊として動き始めていた石井竜三3佐が率いる。


 はやぶさ型ミサイル艇隊の7艇は、ブラキュリオス湖のレジェンダリア諸島を東回りする形で航行しつつ、敵地たるグリクス市とグリクス要塞から凡そ15キロの地点で無灯火で待機地点へと向って居た。


 グリクス市とグリクス要塞から6キロ付近には、シャッポロ川が流れて居る。


 このシャッポロ川は、ブラキュリオス湖から分かれるパイプ・ライン大河の支流大河の一つである。


 その終着地点には、旧シャッポロ王国領にして現帝国東方領たるシャッポロ州の州都であるオタル市の東から4キロの地点を横切ってシャッポロ湾へ行き着き、その先に在る龍雲海へと流れ出ていた。



 石井3佐達は、とある者達をはやぶさ型ミサイル艇に乗船させて居た。


 その者達とは、ヨハンナ・リリロッカ・ヨシカーナことハンナとアセリナの聖天使騎士12名をそれぞれ分乗して、乗船をさせながら移動をして居たのであった。


「はあ~、何で我々が・・・この様な任務を請け負う羽目に・・・・・・・・」


 石井3佐は、正に自分達が貧乏くじを引き当てた状態だった。


 それもその筈、色物同然キャラであるハンナと聖天使騎士12名のお守りを日シベ合同軍の本隊から押し付けられ様な感じだったからだ。


後ろに目をやると、きゃっきゃ、和気藹々の翼人族たるアセリナ族の女性達が、意味不明に近い中二言語を喋りながら会話をしていた。


「うおおおぉぉぉーーーっ!!早いっ!!早ーーいーーっ!!」


はやぶさ艇の速力は44ノット、時速にして81キロにも成る。


 今の航行速度は、全速力では無い物の科学的な動力船と違って、その国力が低く、多くの船が船足の遅い帆船や速力が30キロ以下の魔導力船が当たり前のこの世界では、はやぶさ艇の速さは、彼女達に取っては未知の早さの世界と言えたのだった。


「まぁまぁ、艇長。我々の船に宇宙戦艦並の高出力ビーム砲台が増設されたと思えば・・・・・・・」


「少しはマシだと・・・マシだと・・・マシだと言いたいですね・・・・・・・」と副艇長は、遠い目をしながら、慰めにも似た感じで、言い訳染みた事をのべて気を紛らわせて居たりする。


 石井艇長には、その宇宙戦艦の例えに、宇宙世紀ロボットの母艦や超時空要塞戦艦、果ては宇宙戦艦ヤ○ト等の長距離高出力エネルギー砲台が想い浮かび上がったのだった。


 だが、何れの作品の宇宙戦艦の高出力ビーム光線砲台も連射がし辛く、使え難いと言う欠点を抱えた兵器だと言う結論に至る。


 せめて通常ビーム主砲か副砲くらいならば、まだ使えたと思えると言えたりするのだから、厄介な御守りを押し付けられたと溜息を漏らしてしまう部隊の面々なのであった。


「お前は、個体差の有るビーム砲台が本当に使えると思うのか?」


「いやーっ、それを言われると・・・・・・・」


 石井は、副艇長に冷静なツッコミを入れてやると周囲の隊員達は、知らんかして居た。


 誰もが始めて接した本物の亜人族。


 その扱い辛い他国の亜人にどう接すれば、そして、彼女達の能力をどう扱えば良いのかを未だに決め兼ねて居たのだった。



「兎に角っ!置鮎一佐の指示通りに、敵に動きが有れば、彼女達を前線へと送り出して、グリクス要塞を牽制するぞっ!!」


「ですが艇長・・・・その作戦が本当に上手く行けば言いのですが・・・・・・・」



 その置鮎一佐がハンナや同行して居るアセリナ族の女性達を秘密兵器と言い切ってそり場を取り繕ってしまい。


 この様な作戦配置の人事と成ったのはお分かり頂けるだろうか?


 決戦兵器当然の彼女達は、奇襲に措ける敵陣地への砲撃か、野戦と夜戦、それに空戦での戦い出ないと、全く以って使い物に成らないからだった。



「不安なのは、皆同じ気持ちだから分かる。」



「だがな。そんな事を部隊の全員が、気にするだけ野暮ってもんだろう?」



「まぁ、いざと成ればミサイル艇の主兵装である対艦ミサイルを撃ち込んで、この場からおさらばするまでだ。」


「彼女達を無理に使う必要は無いよ。」


「そうですが・・・・・」



 副艇長は後ろで控えているハンナ達をチラリと見ていて、自分もあれ系のオタクだったら、どんなに気楽で楽しめたのになぁ~と、作戦に望むで上での不安の紛らわし方を模索して居た。


 所属する部隊に同行する事に成った味方が、一発から数発程度しか撃てない使えない携帯兵器を持った者達を引き連れての初の実戦に、不安と緊張で一杯であるはやぶさ型ミサイル艇部隊の隊員の面々だった。


 彼らは、置鮎一佐の命により、明け方までグリクス市とグリクス要塞にいる帝国軍のグリクス軍団の本軍への牽制である。


 そして、扱いの難しいアセリナ聖天使騎士達の特徴と特性を生かした派遣作戦と成っていた。(体裁の良い、厄介払いとも言う。)


 仮に見つかっても、撃つぞ、撃つぞ、近づいて攻撃して来たら撃つぞと、使ってはイケナイ秘密兵器みたいに、相手を牽制していれば良いし、逃げ足の速いはやぶさ型ミサイル艇ならば、そのまま牽制しながらスタコラサッサと速攻で逃げられると言うわけだ。




 アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月6日・午前1時30分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖畔南部地域・グリクス地方・ローラーナ帝国・ローラーナ帝国領・グリクス地方州・グリクス地方軍団・グリクス地方西方戦線区・グリクス市・グリクス要塞から西へ凡そ、60キロ付近・グリクス第7要塞近隣から13キロ地点・日シベ合同作戦軍第一部隊にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 ヨハンナ・リリロッカ・ヨシカーナことハンナと、アセリナの聖天使騎士12名を同行させて居た、はやぶさ型ミサイル艇隊の7艇が、ブラキュリオス湖のレジェンダリア諸島を東回りする形で航行しつつ、敵地たるグリクス市とグリクス要塞から凡そ15キロの地点で無灯火で待機をして居た同じ頃事である。



 陸自第1小隊とアルガス公国軍・第一上陸小隊との合同部隊たる日シベ合同作戦軍第一部隊は、陸自のOH-1・偵察ヘリと海自のSH-60J/K哨戒ヘリコプター・哨戒ヘリと87式偵察警戒車4両と偵察用オートバイ等を使い。


 偵察警戒で連携しつつ、部隊を前進させて居た。


「サザッ・・こちら偵察隊RCV1より各隊に告ぐ。」


「本隊より西側に4キロ地点に3千人の帝国軍輸送部隊を発見した。」



「数は凡そ4千人前後と思われる・・・サザッ!」


「此方RCV4だ。」


「西側からも同じ地点で確認した。どうも北側を警戒して居る様だな。」


 通信機器の位置によっては、聞き取り辛い所も出て居る様で、稀に電波が悪くなる時が有るらしい。


 原因こそは分からないが、シベ合同作戦軍第一部隊の者達は、取り敢えずは、機器の故障では無いらしいので、そのまま予定通りに作戦を決行すると決めた。


「ザザッ・・当然だろう。」


「南に貨物馬車や貨物竜車が並んでる。300メートルくらい離れてな。ザザッ!」



「こちら東側の偵察中のオートバイ隊だっ!」


「東に輸送部隊に随伴して居ると思わしき、護衛の飛竜騎士隊20騎を確認した。」


「恐らく伝令も兼ねて居ると思われる。」


「ザザッ!で、どうしますか?・・・・・」 


『指揮者ヒトマル一号車より各員へっ!こちらも状況確認した。そうね・・・・・』


 椎名三佐は少しだけ状況を整理する為に、考え込んで居た。


『RCV(87式偵察警戒車 )・89FV(89式装甲戦闘車 ) の各車は南に回り込んで目標を追い立てて、輸送部隊と分断させつつ、私達ヒトマル隊とMCV隊(16式機動戦闘車 )で真正面から大型竜兵器と対峙、殲滅します。』


『それと87AW(87式自走高射機関砲 )とWAPC(96式装輪装甲車)。』


『それにコブラ隊とヒューイ(UH-1H 多用途ヘリコプター)2機と海自哨戒ヘリは南に向かい。』


『帝国軍輸送部隊と眠り扱けている護衛の飛竜騎士隊20騎を叩いて貰います。』


『強襲の指揮は、大塚一尉に一任します。」


『東地一尉は87AW(87式自走高射機関砲 )と共同で絶対に飛竜騎士隊を空に上げず、逃さず殲滅してせよ。』


「「了解。」」


『クリス少佐は、戦闘終了後に、帝国輸送部隊の物資確保と捕虜と成った兵士を自衛隊員らと共に縛り上げる事後処理作業をお願いします。』


「了解しました。」


『各車各隊、状況開始っ!』


 各隊の車両は一旦、合流し、定められた地点へと移動を始めた。



 そして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「こちら偵察隊RCV1。指定地に到着。」


「WAPC準備良し。」


「こちらヘリ各部隊。何時でも行けます。」


「こちら前面ヒトマル隊各車準備良し。」


「椎名三佐、攻撃準備完了しました。」


『各隊総員、狩りの時間だ。』


『照明弾、照明魔法弾を撃ち上げろっ!!』


 偵察用オートバイに乗る隊員らは、西側から一斉に30式携帯無反動砲から照明弾を撃ち上げた。


 同時にクリスの隊に随伴して居た、10名の魔導師らがライトと言う照明魔法弾を撃ち放った。


『各隊っ!前進っ!突入開始っ!!!』



 闇夜に眩い光が輝く中を椎名三佐は合同部隊に攻撃命令を出し、ブラキュリオス湖畔紛争の本格的な戦いの幕が開けたのだった。



「何だっ!?」


「おいっ!!!ありゃっ!照明魔法弾のライトだっ!!!」


「てっ事は・・・・敵だっ!!てっ敵襲ううううぅぅぅぅぅーーーーーーーーっ!!」


 帝国軍の輸送大隊は、暗闇の中での突然の爆発音と眩い光に、驚き動揺する。


 その中で冷静な者は、大慌てで声を荒げて周囲に危機を報せるが、その時は既に遅し、自衛隊自慢の兵器群が、帝国軍輸送大隊内が居る野営地へと突入始めたのだった。

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