82話 激闘!レジェンダリア諸島 カントルナ砦近郊上陸撤退戦 (白龍大帝怒りの咆哮編 3)

アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月4日・午後16時55分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖畔・アルガス公国・モンブラン州・ブラキュリオス湖から東方へ27キロ地点・西方海自派遣支援艦隊・通称・ダバード・ロード王国派遣支援艦隊・略称名・ダバ派遣支援艦隊航行地点にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 ドラグリア白龍大帝国の白龍大帝であるエリノア・ドラグリア白龍大帝が、物見遊山同然で、このパイプ・ライン大河を西へと遡上するダバ派遣艦隊と視察と証してやって来ていた。


 だが、お目当てのダバ派遣艦隊とは出会わず、行く先々の帝国の不穏な気配と情報と危険を考慮しての状況から急遽、後詰め艦隊を編制派遣する事に成った日本と防衛省。


 そして、エリン達は、後詰めとして後続艦隊であるダバ派遣支援艦隊と遭遇する。


 ユキカゼは、各方面から得ていた艦隊編制の情報が、見聞きしていた情報と違うと言うとエリンは「まぁ、同じニホン海軍艦隊なら別に構わないのじゃ」と言ってその後を付けていた。


 その動向を暫く見守る事にしたエリン達は、30人の同行者たる護衛の竜人騎士が同行している。



 その全員が白い肌を持った全長が30メートルから35メートル前後の巨大な白竜へと変身している。


 その周りに居るのはドラグリア白龍大帝国を中心に生息し、同地の白竜人族が保護をしている龍族である白龍族である。



 身長が25メートルから30メートル前後で、人語の理解はできるが喋れない龍族だ。


 かつて龍族と竜人族は同じ種から枝分かれした種族だが、竜人族の祖先の方が、知能と身体能力の進化と進歩に優れた故に、その結果、白竜人族に進化した者達が文明を手にしたのである。


 しかし、枝分かれしても同種に近いので、全ての各地の竜人族達は、それぞれの肌色を持った種族の龍族を同胞として保護して来た歴史的な経緯が有るのだ。



 エリン達白竜人族共に同行する龍族。その通称を白龍族と呼ばれるホワイトハイドラゴン達は、ドラグリア白龍大帝国を中心に暮らし、主に魚や亜龍と呼ばれる中型から下位の種に当たる龍族やその他の大型生物を好んで捕食して居る。



 余程の事が無いと人は襲われる事が無い。


 この世界の龍族は、主に暮らしている縄張り一帯の土地で、一番に強い龍種族に従う習性が有るらしい。



 シベリナの北部側周辺では、エリンが龍族達の縄張りで一番のボスとして君臨し続けて居るので、どの縄張り白龍族も大人しく従っているし、喧嘩を吹っかけるバカは1人も、いや、一匹も居ないのだ。



 その白龍族をエリン達は凡そ150匹は従えて連れて来て居た。



 空に聳える鉄の城である彼の無敵ロボットを米国海軍の部隊規模に、例える言い方をするのならば、鉄の城的なロボットを1機とか5個の空母機動艦隊を引き連れて居るに等しい戦力だろう。



 まぁ、火力に付いてを言うのなら全くの別次元の話と成るが・・・・・・・・・・・・




 その恐ろしい規模の戦力との遭遇にバラン少佐とバン少佐の二人は、真っ青な顔に成っていた。



 ある意味、日本映画が産んだ彼の大怪獣○ジ●と遭遇した自衛隊員または一般市民と全く同じ心境と言えるだろう。



「えっえっえっ、エリノア・ドラグリアだと・・・・・・」



「バラン少佐・・・まままっ、不味いですな。」


「幾ら移動要塞デストロイヤーのデストロイヤー砲と搭載されている兵器群が如何に強力と言えども、あれだけの白竜人族と白龍族共を相手に戦うと成れば、火力不足は否めませんな。」


「ちっ、仕留めるのに時間を掛け過ぎたか・・・・・・・・」


「ニホン軍は、彼の化物共と結託したとは考え難いですな。」


「確かに、恐らくは偶然に居合わせたと考えるのが妥当だろう。」



「あのロリババアは、気まぐれな暴君で、有名な輩として有名だ。」


「滅多な事では人には手を貸さんし、見ず知らずの輩にも同じ理由で、手助けすらせんのだ。」



「それに此処数年の間、大きな戦に顔を出して居ない。」



「況してや、この様な小さな戦に、首を突っ込むなどとは、有り得んよ。」


 二人はエリンが、この様な遭遇戦、又は紛争程度の戦に首を突っ込む動機が無く、薄いとの結論に至った。


 しかし、二人はエリンが首を突っ込んだ理由が、移動要塞デストロイヤーとその内部に搭載されている兵器群だと言う事には気付かなかった様である。


 ある意味、移動要塞デストロイヤーさえ無ければ、あっさりと撤退が可能だったとも言えた。



 この戦いでのエリン達の参戦と言う事態に至ってしまったのは、彼ら二人とガミトフの戦略が思わぬ誤算と展開を生んだ結果とも言えたのである。



「しかし、惜しい事をしました。」



「あのデストロイヤー砲が上手くニホン海軍艦隊の水上航空竜母艦に命中して居れば、ニホン軍の戦力を少なからず低下させていた物を・・・・・・・・」


「バン少佐。如何やら我らは、時と欲を掻き過ぎた様だ。」



「ここいらで撤退の命令を出せっ!」


「但し、悠々と退きのかないと、あのロリババアは、ドッと攻め立てて来るぞっ!!!」


 バラン少佐は、思わぬ誤算としくじりを反省した。


 話に一区切りが付くとバン少佐は、近くの伝令官を呼び付ける。


「はい。誰か。」


「はっ!」


「直ぐに全ての部隊と艦船及び移動要塞デストロイヤーのギンジェム大佐殿に、例の魔導装甲巨兵とキメラドラゴリアンを盾にして、撤退する様にとお伝えしろっ!」



「これ以上の戦いは、消耗戦に成りかねないともな。」




「分かりました。」




 バン少佐は、伝令官に撤退戦の指示を出したのである。




 移動要塞デストロイヤーのギンジェム大佐の下に来た伝令官は、この戦いの指揮を執っているバラン少佐達の指示要請を聞いていた。



「撤退か・・・・・」



 明らかに不満な表情をしているギンジェム大佐。


 命令系統も所属艦隊も違う彼は、ガミトフ・バイマン中将の指示で動いて居る。



 しかし、ガミトフ中将からは現場指揮官の指示に、従って欲しいと命令されて居た。


「この俺様が、中途半端な戦果と手柄すら上げずに引き下がるのは、癪に障るが、仕方が有るまい。」


「だが、バランもバンも、タダで帰える気は無いと言うのは、実に良い。」


「誠の戦の指揮官とは、その様に斯く有るべきだろう。」



「その点だけは、根性と気概のある奴らだっ!」



「良かろう。例の者共を出させろっ!」



「はっ。一番ハッチ開放。」



「続いて二番ハッチを開放の準備っ!続けて、ファイ少尉とセブリナ少尉を所定に待機させます。」



 此処で帝国軍は、秘密兵器を出撃させる事にした。



 その一つは、かつてダバード・ロード王国の王国南部の鉄の都と王家の渓谷と言う伝説の地にて、古代遺跡を発見した際に発掘された古代兵器であるブラッデイ・サイクロプスと帝国に名付けられた黒き巨人型魔導兵器。


 帝国では魔導装甲巨兵と言う分類に分けられ、現在、発見されている数は100体は有ると言う兵器は、帝国国内で解析と量産と再設計図を下に現在の処、応用兵器の開発が進められて居ると言う話である。



 リナの姉であるレナ・ミーサガ・リンバースが関わった発掘には、この様な兵器の存在が有った為に、レナは追われ、捕らわれしまい。



 彼女の家族と親戚一族の離散を招いてしまうのだった。


 この騒動に巻き込まれたリナに取って溜まった物ではなく。



 リンバース家没落の切っ掛けを作った諸悪の根源とも言えた存在とも言える忌むべき兵器でも有るのだった。



 全長が30メートル近くにも成る巨大人型兵器は、少々無骨な姿をして居る。


 飛行機形態に変形が可能な機体で、搭乗者にも相応に膨大な魔力の保有力と維持と操作性が求められていた。


 しかし、帝国は搭乗可能な適合者を未だに発見出きず、仕方なく魔導錬金術で、強引に身体能力を引き上げられて作られたホムンクルスを使う事にした。



 ホムンクルスと言うのは、ファンタジー世界のゲームやラノベやアニメ等の作品に馴染みが有る人ならピンと来る物だが、知らない人の為に分かり易く説明をすると、SF世界風に言えば、クーロン兵器、又は強化人間と言う存在だ。


 その所業は人口的にニ●ー○イ●作り出そうとしている某連邦組織の強化された兵士と同じ存在と言える。


「ファイブル・ムーラ・ザーメ少尉。」


「これから我が艦と味方艦隊は撤退する。」


「総指揮を執って居るバラン少佐から、全軍の撤退の援護を支援しろとの命令だ。」


「ふっ、了解した。」


 ファイブル・ムーラ・ザーメ少尉ことファイ少尉は、白く長い髪を紐で縛ると、鉄で出きている兜を被る。


 他にも着込んで居るのは、薄い鉄板や魔物の外部皮膚組織や骨格の素材を用いた鎧で、ロボットアニメでお馴染みのパイロットスーツとも言える代物だった。



 彼女は魔導錬金術の魔導生体研究の一環で研究して作られた魔導生体兵器だ。


 元々は兵士をもっと有効的に、強力な肉体の兵士を増やせないかと始められた下種な兵器計画だった。女性固体が造られたのも理由が有る。


 男性タイプを種馬に、女性タイプ兵士にして居る。


 長い研究の結果、女性タイプの方が、何故か魔力値が高く強力な戦士に育つ事と次世代を生み出す効率的な事から女性タイプを多く量産して居るらしい。



 まぁ、影の噂では主任研究員の趣味とも言われて居るらしいが・・・・・・・・・・


 一方の男は一般兵士をしている人間よりも強い程度で、量産兵士として使われ、戦えなくなる直前まで使い潰れされ、最後には種馬にされて居るらしいとの事だ。


 しかし、このホムンクルスは、まだまだ、問題も多く残っており、古代の科学国家の遺跡から発見された生体研究の資料の模倣から研究計画がスタートして居る。


 今の所、大規模な量産はされて居ないのだ。


 他にも生ける死体を作り出す死兵たるネクロマンサー計画と言う物も有るらしく。



 黒すぎる無法研究計画の噂は尽きる事も無いのである。



 もう一つ兵器は、キメラドラゴリアンと言う生物兵器だった。



 これは、数多の竜人族と龍族の遺体や捕らえた者達の細胞組織を素にして作られて居る生体兵器である。



 その1人であるセブリナ・ムーラ・ザーメと名付けられ少尉扱いの軍人として、移動要塞デストロイヤーに搭乗させられて居た。


 何れもムーラ・ザーメと言う苗字を与えられているが、ムーラ・ザーメ帝国立兵器研究所の開発であり、出身と言う意味で有り、便宜上と書類的な観点から付けられている苗字だった。


 セブリナ少尉は、彼女を監督している者達の間では、ブリナと呼ばれて居る。



 それ以外では呼び捨てで物扱いだった。



 性別は竜化変身をさせる都合上、女として作られて居る。


「セブリナ少尉、お前にも出張ってもらう。」


「相手はドラグリア白龍大帝国の白龍大帝、エリノア・ドラグリアだ。」


「必ず倒せとは言わないが、倒す気で戦わないと殺ろされるだろう。」


「だから全力で、あの白き怪物を倒す積もりで行って来い。」


「了解・・・・・その為に私は此処に居る・・・・・」



 無口で無表情な生体兵器は、着ていた白いワンピースの布地を脱ぎ捨てると、スレンダーなスタイルの裸体姿を晒しつつ、魔動力昇降機の上に立つ。


 見た目の年頃は、16歳位で身長160センチの背丈と幼い顔立ちに鋭い殺気がに満ちた眼つきに成る。


「一番ハッチ開放。」


「続いて二番ハッチ開放。」


「魔動力昇降機を稼動、上部甲板へと上昇させます。」



 移動要塞デストロイヤーの甲板上層部に赤と黒のカラーリングの飛行兵器が姿現し、続けて160センチの少女が現れた。



「グルルルルっ、現れよったな。下種兵器がっ!」



 エリンは現れたキメラドラゴリアンに対して敵意を剥き出しにする。



 当然だ、彼の生体兵器の開発の裏では、どれだけの同胞の命と遺体が使われて居るのかを思うと虫唾が走る思いだからだ。


「ブリナ・・・・刃向う敵を殲滅する・・・・・・」


 外へと出たブリナは、鋭い目を赤く染まると前のめりの体制に成り、心臓と鼓動が高まって、ドックン、ドックンと激しく動いている。



「はぁはぁはぁはぁ、ううっっ、ああっ、ああああぁぁっ!」


 全身の細胞や血管が熱く成って背中にはメリメリと羽が生えて行く。



 徐々に身体か巨大化を始め、手足が鋭い爪を持った物へと変化していた。



「はぁはぁ、あああっ、はぁはぁはぁ、あぐぁっ、あアアアアっ・・・・・ググググっ。」


 声色は少女らしい声色から濁った物へと変化し、背丈が30メートルに達するとまだ残って居る女性らしい姿からゴギゴキ、バリバリと激しい骨格と細胞の変化の音を立てて一気にその姿が変わるのだ。


「グガガガアアァァァァーーーーッ、ギャアアアアアァァァーーーーンン!!!」


 雄叫びと共に完全に変身を終えると、灰色の肌を持った全長が38メートルの竜の姿へと変身を遂げてたのであった。


「グルルルルッ。」


「ガルルルッ。」



  遠巻きにして、吼え合う二人。



「ブラッデイ・サイクロプス。出るぞっ!」



 ブリナが変身を終えると発進準備を整えたファイ少尉は、飛行機形態のブラッデイ・サイクロプス共に空へと飛び立った。



「うーむ。何だか戦いの状況が、丸で怪獣映画やロボットアニメの様な展開に成ってしまったな。」


 小沢一佐は、目まぐるしく変わるアニメオタク世界的な展開に、もう付いて行けないと言った感じである。


「しかし、ある意味、彼女らは強力な助っ人ですよ。」


「本省や外務省、交援省経由の情報では、白竜人族で竜に変身が出きるのは女性だけで、何れも凄まじい戦闘力を秘めて居るとか。」



「まぁ、強くて頼もしけば、何でも良い。」


「それよりも、この危機的な戦闘状況を何とか切り抜けねばならん。」


 小沢一佐が、しょうかくの副長と今後のやり取りをして居ると、其処へエリンが声を掛けて来た。


「オザワ司令官。」


「はい。」


「あの大型兵器とキメラドラゴンと呼ばれる生体兵器は、わしとユキカゼに任せよ。」



「お主らの艦隊は、後方にいる帝国本隊と移動要塞戦艦デストロイヤーを討てぇいっ!!」



「後衛のお主達の艦隊の守りは、気にするでない。」



「居残る白竜人騎士と白龍たちらが、鉄壁に守って居るからの。安心せいっ!!」


「了解です。」


 エリンからの作戦提案に大して、小沢一佐の反応と決断は早かった。


 直ぐに部下達に、命令を発した。


「しょうかく、ずいかく両艦の各空自航空隊は、誘導弾発射後に、すぐさま発艦せよ。」



「全砲門は迎撃体勢へっ!」


「はっ、しょうかく、ずいかく両艦の各空自航空隊は、誘導弾発射後にすぐさま直ぐに発艦せよ。」


「全砲門は迎撃体勢へ移ります。」



「続けてSSM及びシー・スパロー撃ちーかーたーよーい。」


「了解。SSM及びシー・スパロー撃ちーかーたーよーい。」


「撃てえええぇぇぇぇーーーっ!!」

 

 小沢一佐の発射命令の一言で、各艦のCICで命令を受けている砲雷長達は、一斉に誘導弾の発射を命じる。


 すると各護衛艦から一斉に、各種新旧のミサイルが撃ち出されて、指定された目標へと飛び立って行った。



「者共っ!あの鉄槍が命中したらドラグバスターを放てっ!!手加減無用ぞっ!!」


 エリンは部下と引き連れて居る白龍達に、ドラグバスターなる物を放てと命じた。


 ドラグバスターとは、白龍人族と白龍族の固有攻撃能力の一つで、所謂、口から撃ち放たれる強力な破壊光線と言った物である。



 その威力は、帝国魔導艦なら粉微塵に吹き飛ぶ威力を持ち合わせている。



 護衛艦などを相手にしたとしても良くて半壊。打ち所が悪ければ撃沈は確実だろうと言う威力を秘めている。



 ダバ派遣支援艦隊とエリンらは、この戦いに勝負を付けるべく、一気に攻勢に出たのであった。

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