79話 激闘!レジェンダリア諸島 カントルナ砦近郊上陸撤退戦 (空自の青い彗星編3)

アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月4日・午後15時58分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖畔・アルガス公国・モンブラン州・ブラキュリオス湖から東方へ27キロ地点・西方海自派遣支援艦隊・通称・ダバード・ロード王国派遣支援艦隊・略称名・ダバ派遣支援艦隊航行地点にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 航空護衛艦しょうかくとずいかくの2艦は、第二次大戦後70年経ってから東アジア地域情勢の変化に伴って、日本国が試験導入を決めて建造した実質的な空母であるしょうほう型軽航空護衛艦しょうほう、ほうしょうに続いて、日本が本格的に空母を復活導入させた航空護衛艦である。



しょうほう、ほうしょうの2艦は、西の某国の等の国々を欺く為に、軽空母兼ヘリ空母としての兼用であると世間に発表して居た。


 同時にいずもとかがも次世代戦闘機たるF-35の導入に向けて、離着陸出きるように改修案が計画された。


 更に試験的に離発着艦の訓練と独自に艦載機の開発及び現有機の改修を目的にF-4ファントム・F-15J改・F-2の改造し、本格的なF-35の導入まで繋ぎにする計画が立てられて居た。


 先ず最初に航空護衛艦を導入に際して、壊れても惜しくない退役が間じかに迫って居るF-4・ファントムを改修試験機として改造する事を防衛省は、2000年代半ばに計画を決定し、空母艦載機導入計画を始めたのである。


 これはしょうほう型が試験艦として建艦され、例え空母導入計画が頓挫しても、ヘリ空母として使えば良いし、それに際して犠牲と成る機体は、退役が間じかのF-4ファントムとF-15J改数機程度と成る。


 現用し続ける予定のF-15Jの一部の改造費用の損失は少し惜しいが、研究目的を名目にするのなら我慢が出来るだろうと考えられた。



 その後、兼ねてから噂されていた某隣国が、とある国からの空母購入と建艦計画が本格的と成った為に、日本も已む終えずに航空護衛艦の導入に正式なGOサインが内閣と国会で議決で決定されたのであった。



 航空護衛艦しょうかくとずいかくから飛びったF-18J改は、総勢20機。新設された海自航空隊であり、海自初の戦闘機専門部隊である。


 創設に当たって空自からの移籍や空自と海自の飛行訓練学校からの応募を募ったりして、設立した部署で、その第一期生から選抜して、この外征に派遣されて来て居る。


 その指導の為に、空自の森川知之一佐と辻村耕次一佐の両名を第二次龍雲海沖海戦後、佐世保に航空護衛艦あかぎの帰航後に、西方へと派遣する予定だったが、航空護衛艦あかぎの飛行甲板が戦闘で傷付くと言う事態に陥ってしまう。


 その代わりに神谷一佐らの派遣が決まったが、万代港の基地に着くと燃料補給後に、空中給油機を3機と池田空将補を伴っての出撃が言い渡されていた。



 西に不穏な動き有り、その対応を迫られた日本政府は準備と休息が整い次第、直ぐに神谷一佐らの派遣を決めた。



 神谷一佐等は、万代基地を飛び立つと、派遣予定先である航空護衛艦しょうかくとずいかくへと合流を急いだ。


 そして、間も無く到着と言う時に、ダバ派遣支援艦隊に向って敵機が襲来して来て居ると言う事態と成る。



 今戦況は油断を許されない状況の中、初の実戦をしなければ成らない海自航空隊面々が、それぞれの思いを胸に大空へと羽ばたく。


「航空護衛艦しょうかく、海自第一航空隊、全機発艦完了。」


「同じく、ずいかくの海自第二航空隊も全機発艦完了です。」



 航空護衛艦しょうかくのCICから通信が入る。



「航空護衛艦しょうかくのCIC。」



「各艦の哨戒機の偵察により、敵艦隊の艦種は資料を照合の結果、空挺戦艦七隻と空挺竜母と思われる。」



「レーダーに映る機影は、凡そ200機前後。」



「海自航空隊の各パイロット等は、我が方の空自航空隊の補給整備が完了するまで、迎撃に徹せよっ!!!」


 通信士から全体命令が言い終わると、艦隊司令の小沢一佐が命令の趣旨を伝える。


「残念ながら、対艦ミサイル等をこの場で多く消費する訳にはいかんっ!!!」


「それに民間輸送船には、多数の民間協力者と多くの車両や補給物資が積まれて居る。」



「これ等に被害が及ぶ事は、絶対に有っては成らない。」



「迫り向って来る敵機を迎撃し、力の差を見せ付けて、諦めさせるのがベストだと言わざる終えない。」



「我々の目的は、この進み行く先で、我々を待って居るダバ派遣艦隊の支援だっ!」



「それに・・・間も無く始まるであろうブラキュリオス湖での戦いに、急ぎ向わなければ成らないのだ。」


「厳しい条件下での戦いを諸君らに強いらなければ成らないが、この戦いに参加する隊員全員の奮闘に期待する以上だ。」


 小沢一佐が通信を言い終わると、敵に新たな動きが見られた。


 民間輸送船は、何としてでも、守り抜かなければ成らない。



 第二次大戦中に軍部の無策な方針と希望的な船舶の損耗率に加え、水増しの改ざんされた書類のせいで、多くの船舶会社の船乗りが犠牲と成ってしまった史実がある。


 だが、現代の日本でも有事には、自衛隊の車両や補給物資を民間船で運ぼうとする計画がある。



 しかしながら、平時に輸送船が殆んど必要が無いせいか、建艦し、維持して行こうとするコストに目が取られて、肝心の戦時に民間船を巻き込まない様にとの考えが無い様にも見える。



 例え民間船の操船が自衛官であっても、魚雷やミサイルで簡単に沈む様な船での輸送は避けるべきだろう。


 しかしながら現実でもこの世界の日本でも、輸送船や揚陸船の数を増やしても手が足りないのも事実だった。


 結局は戦時、詰まりは現実に事が起こらないと、丁度良いと言う目標値の目安は中々分からない物だ。


 特に国防のみを前提にして来た自衛隊と言う組織が、異世界で世界大戦をして居る世界で、どの様な対応をして行くのかが、これから問われて居ると言う事になるだろう。



「小沢一佐、敵機及び敵艦隊に動きあり、敵航空隊が真っ直ぐに向って来ます。」



「艦隊も距離を取りつつ、遠巻きに味方を支援する様な進路を取ると思われます。」

 


「あさひ、しらぬいに通達っ!各艦対空防御に穴が出ない様に、徹底して支援防御徹せよっ!!!」 


 艦隊陣形は輪形陣で、次の様な陣容に成って居る。


 先鋒に護衛艦はるな あさひ。


 右翼まつゆき、おおよど。


 左翼にあさゆき じんつう。


 中央に試験改修艦あすか 航空護衛艦しょうかく ずいかく。


 補給艦まみや いらこ あかし。その後方に修理ドッグ艦いとじま わかまつ。


 三葉自動車運搬船3隻 豊川自動車運搬船3隻 追浜自動車産業運搬船3隻 友住商事貨物船2隻 四井物産貨物船。



掃海母艦ぶんご、くなしり しゃこたん。


殿は護衛艦ひえい、しらぬいである。  


 なお、試験改修艦あすかは、平成四年に建艦された評価試験用の護衛艦であるが、異世界転移と言う事態と対帝国との防衛の為に急遽、延命使用の改修と武装の装備を施しての参加である。



 防衛省と日本政府では、今後、海自の育成に措ける練習艦は、現役艦を用いる方針である。


 もう、待った無しで戦争に突入してしまって居る状態では、退役練習艦と練習艦ですら、即改修して戦力に組み込まなければ成らないほどに、事態は切迫して居た。



 今まで防衛一筋で貫いて来た日本は、防衛の為に外征を視野に入れて動き始めている。その原因の最も大きなものは帝国だ。


 そして、交援省が中心と成って行って来た大陸での情報収集活動の結果、話し合いが通じるのか、如何かも怪しいとの見解も起因して居たのである。


 最早、日本国は、この異世界での大戦から逃れられず、知らんかも出きない状態であると内閣での国家安全保障会議では結論が出始めていた。



 国会内で帝国との講和をと主張して居るのは、与党と対立し、別の提案をして違いを有権者と野党支持層に向けて、アピールしている一部の野党だけだ。



 しかし、一部の野党が主張している講和は、あくまで政権奪取を睨んだ政争道具としての考えからだった。




 その一部の野党に擦り寄る様に近付いて居るのは、反戦平和団体シールド者達と言う黒い噂がある者達。



 過激な反戦平和主張を掲げるシールドは、自衛隊の解散や防衛省の解体、果ては警察と海保の非武装化をし、この日本国を非武装な国にして、他国との係争は外交交渉による話し合いすると言って居る。



 他にも和平交渉には、多額の賠償金の負担と小さな島や領海の譲り渡し、平和を妨げた人物の逮捕や当事国への引渡しをするべきと考えると言った過激で排他的主張と危険な思想を持って居る反戦平和政治思想団体だった。


 日本の戦後から続く戦争アレルゲンの権化とも言える反戦平和団体は、幾つもの新たな組織や活動家らを吸収したり、物別れして衰退を繰り返して来た団体たが、いざ、戦争と成しまった現在、急速にその勢力を伸ばして来て居た。



 やはり、我が国は、何時の時代に成っても極端な民族らしい。



 本当に危なく成らないと真実から目を逸らし続ける性分の様だ。今は戦わなければ、生き残れないのに、これまで大切に守って来た伝統的な仕来りや古びた物を大切にして、新しい事に挑戦する事を恐れ、間逆の事を主張をし、挑戦者達を罵倒して蔑む事をする。



 特に酷かった幕末の江戸幕府と徳川政権や太平洋戦争時の軍部や内閣も、古い発想に拘り、全てを台無しに成る寸前にまで追い込まれないと事態を変化させようとは試みる事はしたく無いと言うのが日本人と言う連中で、本当に全く困った民族なのである。


 

 ダバ派遣支援艦隊は、防御に徹するべく、海自航空隊のF-18J改、総勢20機を発艦させ、入れ替わりに神谷一佐らが率いるF-15J改・F-2併せて総勢50機を補給の為に収容するだった。



 一方の帝国のグリクス地方軍団所属の18・19・20飛竜航空隊は、壊滅的な被害を受けていた。




 大空を待って居た300騎も居た筈の飛竜航空隊は、自衛隊と戦って生き残ったのが、僅か30騎のみである。



 バラン少佐はグリクス地方軍団の第9艦隊と合流し、戦力の建て直しを図って居る。


 しかしながら、彼自身も愛騎であるアッジマーグが中傷を負っていたて出撃に耐えられる状態では無かったのだった。



 バラン少佐は、帝国空軍所属・第9空挺艦隊を指揮しているバン・グッター少佐と共に、日本軍に対して撤退戦を兼ねた再度攻撃の準備を空挺戦艦ズィードルンの艦橋で話し合って居た。



 空挺戦艦ズィードルンを含む空挺戦艦は全長180メートルある。


 何れも見た目が日本のアニメで見掛ける様な宇宙戦艦の姿と酷似して居た。


 後に続く空挺竜母は200メートルくらいで、姿形も現代空母が空を飛んで居るかの様であった。



 帝国の現用兵器は、統一性が殆んど無い。


 600年以上前から有る兵器の劣化コピーや発掘兵器を改修し、使える状態にして、運用したりコピーしたりして運用して居るからだった。


「やはり、負傷して居る兵や飛竜などは、最寄の基地へと引き揚げさせるべだろう。」


「はっ!その通りに手配を居たします。しかしながら、ニホン軍は聞きしに勝る軍でありますな。」


「この状態では負傷して居る者達は、足手まとい所か、下手をすれば、収容して居る艦と共に犬死と成るでしょう。」


「良し、最低限の空挺竜母を残し、負傷した物を空挺竜母で撤退させるか。」


 二人は空挺戦艦七隻と空挺竜母が五隻の内、空挺戦艦一隻と空挺竜母一隻に負傷兵と負傷した飛竜を乗せて撤退させたのだった。


 バラン少佐も愛騎であるアッジマーグを預けて、バン少佐のる空挺戦艦ズィードルンに乗り込み、戦闘での指揮を執る事と成った。



 これ等両者の戦闘を遥か高み、上空高度5千メートルから眺め見ていた者達が居た。


 自衛隊と帝国軍が戦って居た高度は、凡そ高度1500メートル前後位である。



 遥か上空で戦いの成り行きを見届けていたドラグリア白龍大帝国の白龍大帝であるエリノア・ドラグリアことエリンは、両軍の白熱した戦いに興奮していた。


「いやー、中々面白い戦じゃったのうーっ!」


「そうね。」


「ニホン軍の一方的な優勢と見て居たけど、帝国側の指揮官も負けては居なかったわね。」



「帝国側と日本側の両者共に現れた友軍は、何方も当初から予定して居た物だったみたいだった様ね。」


「その様じゃな。両者に取って互いに奇襲し合う成り行きは、誤算とも見て取れるのう・・・・・・」


 ユキカゼは帝国側の軍勢の動きを良く見ていた。


「そうだけど、ニホン軍の兵器の性能が良すぎて、帝国軍の友軍が奇襲的な攻撃が間に合わなかったのが、帝国軍の誤算だったと思われるわね。」



「その様じゃのう。」



「しかし、青い鉄鳥の先陣を勤めて居た者は只者では無いな。」



「ええ、帝国軍指揮官の敵将の位置を特定するのが、早かったわね。」



「わしの見立てでは、あれは恐らく二ホン軍指揮官の勘じゃな。」


「レーダーなる探知装置があるとの報告を聞いて居たけど、それだけで帝国の敵将を位置を特定して真っ先に狙い討つのは、誰にでも出きる事では無いと思うのよね。」



「機械に頼って居るだけでは無いとワシの勘が言って居るのじゃっ!」



「平和な異界の国の中に、彼の様な武士(もののふ)が居るとはのう。」


「さぁて、お次はどの様な展開が見られるのか。かかっ、楽しみなのじゃっ!」


「ニホンと帝国、両者は互いの手の内を晒し合った。」


「ニホンは多くの輸送船らしき船を抱えて居る。」


「迂闊に攻勢に出るのが難しい状況ね。」


「一方の帝国は、ニホン軍の兵器の高性能差に舌を巻いて居るわ。」


「攻勢で取れれる手段も限られて居るわ。あっ!?動いたわ。」


 バラン少佐率いる帝国軍は、一部の部隊を退かせて、居残った部隊で、攻勢に出て行く。


 もう一方の自衛隊側は、味方機の補給が終わるまで防御に徹する動きが見られた。



 エリン達は、戦闘の成り行きを正に高見の見物と洒落込んで居ると言えたのだった。


 エリン達は、息を呑んで戦いの行く末を見守り続けて行く。


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