78話 激闘!レジェンダリア諸島 カントルナ砦近郊上陸撤退戦 (空自の青い彗星編2)

アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月4日・午後15時25分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖畔・アルガス公国・モンブラン州・ブラキュリオス湖から東方へ27キロ地点・西方海自派遣支援艦隊・通称・ダバード・ロード王国派遣支援艦隊・略称名・ダバ派遣支援艦隊航行地点にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



グリクス地方軍団所属の18・19飛竜航空隊は、真っ直ぐに、ダバ派遣支援艦隊に対して飛竜の口から放たれる火炎弾の攻撃による強襲を掛けるべく果敢に突撃を開始して来て居る。



「各小隊・隊長騎へっ!!連携して、ニホン艦隊へ攻撃開始っ!」



 手綱をしっかりと引きながら竜騎士達は、飛竜の雄叫びと共に、獲物たるダバ派遣支援艦隊の各護衛艦へと、立ち向かって行く。


 それを迎え撃つ各護衛艦は、全ての砲塔や兵装を空から向かって来た、飛竜航空隊へと照準を合わせていた。




 其処へ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




「サシバリーダーより各機へっ!!アタァァァーーーックっ!!」


 神谷一佐が率いる空自の第9航空団那覇基地所属のF‐15J戦闘機30機で、101小隊、202小隊、303小隊、404小隊、505小隊、606小隊らが散開しつつ、一斉に04式空対空誘導弾AAM-5を計30発を撃ち放った。



「報告っ!敵の奇襲攻撃により、我が方は30騎もっ!撃破されましたっ!」


 18・19飛竜航空隊所属のそれぞれの隊長は、副官からの報告で、一瞬にして2分隊分の竜騎兵を討ち取られしまう。


 その数は全部併せて30騎の竜騎士が撃墜されたとの報告に際して、驚愕の表情を表した。


「更に敵騎が接近っ!!」


「げ、げっ、迎撃態勢っ!!!」


 18・19飛竜航空隊を指揮して居る各隊の隊長達は、すぐさま新たな敵の迎撃態勢を取ろうとしたが、敵機のF-15戦闘機の余りにも早すぎる速度に、対応する事が間に合わず、瞬く間に接近を許してしまう。



 更には、すれ違い様に20mmバルカン砲を撃ち込まれた。


「更に30騎撃墜っ!」


「くそおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーっ!!」


 帝国側の周囲の味方は大混乱に陥りつつあった。其処へ更に・・・・・・・・・


「今だっ!各艦主砲っ!撃ち方はじめっ!」


 艦隊司令の小沢一佐は、Fー15戦闘機が過ぎ去った後を突いて、ドンドンと音を立てて、護衛艦の各艦から主砲が18・19飛竜航空隊に撃ち込まれた。



「敵艦発砲っ!」


「あああっっ!!」



「何なんだっ!!あの発射速度と命中率はっ?!」



「くそおおおぉぉっ!これじゃ、近付く事すら、出きないじゃないかっ!」



 第18飛竜航空隊の隊長は、ニホン海軍戦艦の鉄壁の対空防御力に、舌を巻いて居た。



 一方のバラン・ビルダーク少佐は、翼竜種のカマデラノドンであるアッジマーグと言う名の愛騎に跨りながら、竜騎兵100騎の直営騎部隊の護衛を受けつつ遠巻きに戦況の成り行きを見守って居た。


「うーむ・・・・・・・・」


「バラン少佐!先鋒隊のお味方が、10分も経たずに、その半分が討ち取られて居ますっ!」


「まさか此処までの戦力差がるとはな・・・・・・・・・・」


 バラン少佐としては、予想外としか言い様が無いかった。


 聞きしに勝る錬度と強さであるニホン戦艦と鉄龍は、まるでシャチが獲物を狩るが如く、ローラーナ帝国軍の飛竜航空隊を圧倒して居た。



数としては、例え帝国の竜母艦を相手にしても十分な数をぶつけた積りであったが、質に措いてニホンの兵器が圧倒して居たと言う事なのだろう。



「バラン少佐殿っ!北東の方角から騎影を確認っ!」



 副官であるゲイツ・キャパルバル大尉が、何かを視認したらしい。



「敵だな。全騎っ!!迎撃態勢へっ!」



 バラン少佐は第20飛竜航空隊に命令で迎え撃つ態勢を整えさせた。



「さて、見せて貰おうか。ローラーナ帝国軍・竜騎兵航空部隊の実力とやらをっ!!」



 バラン少佐が率いる第20飛竜航空隊の目の前に現れたのは、航空自衛隊の青き彗星こと池田秀三空将補が乗り込むF―2Bを先頭にして、マッハ2.0のスピードで飛行するF―2A部隊を率いて、大胆にも指揮官である敵将を討つと言う行動に出て見せたのである。


「こうして、池田一佐と飛べる日が来ようとは・・・・・・・」


「全くだ。しかも戦場の空でだ。」


「将補に成られてしまい。もう二度と有り得ないと思って居りました。」


「3人とも、もう私は空将補だよ。」


「何時までも一佐の扱いのままでは困るな。」


「ですが我々に取って米軍から演習で撃墜判定を取り、露軍や中国軍から舌を巻く様な追い払いしてのけたのは、一佐殿です。」 


 池田空将補の三沢基地時代から部下である柴本幸弘一佐・塩谷光三一佐・大川徹一佐・立木秋彦一佐の4人は、軽口を叩きつつ、初めての実戦に挑もうとして居た。


「立木までも、揶揄うのは、止めてくれ。」


 池田の後部座席には立木一佐が補佐として乗り込んでいた。


「しかし池田さん。読み通りとは流石ですな。」


 立木一佐が池田の鋭い感に感心していた。


「神谷が踏ん張って居る隙に、敵将を討ち取ってやるろうぜっ!!」と柴本一佐が意気込んでいた。


「良しっ!各機に告ぐ!」


「先ずはAAM-5を撃ち込んで、その混乱に乗じて散開っ!」


「20ミリで周囲に居る雑魚を片付けつつ、大将首を確実に狙え討つぞっ!!!」



「「「「了解っ!!」」」」



「FOX1」と言う掛け声と共に、AAM-5を一発づつ、計20発が第20飛竜航空隊に撃ち込まれた。


「回避っっっ!!!」



 運悪く、ミサイルに狙われた竜騎兵等は、必死に逃げ様として足掻いたが・・・・・・・・・・・


「うあああっ!!ああああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーっ!!!」


「来るなっ!来るなああああああぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーっ!!!」


「避けた筈だ。何故だっ!まだ追って来るだとぉっ?うううおおおおおぉぉおぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」


 20騎が爆砕して果て行く。


 続け様に20ミリバルカン砲の餌食と成り、先発して行った第18・19飛竜航空隊の二の舞に成りつつあった。



「少佐殿っ!北西から引き返して来る青い鉄龍が、再び我が方を狙って来て居ますっ!」



 副官のゲイツ大尉が上官であるバラン少佐に注意を促す。



 バラン少佐に狙いを付けたのは誰かと言うと・・・・・・・・・



「其処だっ!墜ちろっ!」


 バラン少佐に狙いを定めたのは、池田空将補であった。


 乱戦に有って彼は冷静に部下の指揮を執りつつ、敵指揮官機を撃ち落すべく、目標を正確にロックオンしてのけたのである。


 ロックオンの音の定まった効果音がコクピット内に鳴り響くと、AAM-5一発が轟音と共に撃ち放たれる。



「アッジマーグっ!!!ウインドバリア展開っ!!!」



 バラン少佐は、愛騎アッジマーグにウインドバリアなるカッター状の風を発生させてバリアを顕現させた。


 これに中る攻撃は、粉砕されるか掻き消される事に成るのだ。


 さて、池田空将補の駆るF―2Bから撃ち込まれたミサイルは、その構造と質の良さ、それに信管に中らなかった事も有り、信管のが原因の爆発やウインドカッターに切り刻まれるまでには至らなかったが、何度か強力なウインドカッターが鈍器の様に叩き付けられて爆砕して行った。


「何だと?!ええいっ!」


 池田空将補は続けて20ミリバルカンを撃ち込んだが、ウインドカッターのバリアに弾かれてしまう。


「風のバリアか・・・・・いや、あれは魔法の類の物か?厄介だな・・・・・・・」


「池田さん。あれは魔法か何かですかね。」


 後部座席の立木一佐が冷静に分析し、見解を述べていた。


「そうだろうな。高見君辺りなら何か思い付くだろが、この戦闘中に意見を求めるのも無理だ。」


 池田空将補は、続けて柴本幸弘一佐・塩谷光三一佐・大川透一佐の3人が後に続いて連携で攻撃を仕掛けたが結果は変わらなかった。


「池田さん。面目ない。」


「しかっし、ありゃ強力な風圧と真空の風、かまいたちのカッターだな。」


「発生源は騎乗している指揮官らしき男か・・・・」


「奴が乗って居る竜と言う訳だな?」


 柴本幸弘一佐・塩谷光三一佐・大川透一佐の3人は、初の実践でもあるが、地球に居なかった見た事も無い敵に対して、如何すれば良いのかを必死に考える。


 周囲の戦闘は、それぞれのF―2編隊が対処して居るので、彼らは敵指揮官たるバラン少佐を相手に出きて居たのだった。


「うーむ。」



 池田空将補は、バラン少佐が乗っているカマデラノドンを良く観察していた。


 そして有る事に気が付いたのである。


「一つだけ、試してみたい事が有る。」


「と言うと?」


 立木一佐が聞き返す。


「あのバリアは、竜の真横の周囲だけ展開していると考えられる。ひょっとしたら真下か、真上にはバリアが展開出きないかも知れん。」


 池田空将補は、ウインドバリアの弱点らしき地点を見出したらしい。


「ダメ元でも、やって見ましょう。」


「こっちが指揮官にかまけてジリ貧に成る前に、蹴りを付けないと面倒だ。」


「俺達が、かく乱して見せます。その間に・・・・・・・・・」


「良しっ!各機散開して、仕掛けろっ!隙を突いて、私も再び、奴に仕掛けるっ!」


「「「了解!!!」」」


 柴本幸弘一佐・塩谷光三一佐・大川透一佐の3人は、バラン少佐に大して、かく乱攻撃を仕掛ける事にした。



その隙に池田空将補が展開中のバリアの穴を突くと言う物である。



 一方のバラン少佐は、何とかして撤退か、部隊を持ち直そうとして居た。


 もう直ぐ来る筈の援軍が来れば、もう一当てして撤退が出きるかも知れないからだ。



 しかし、このまま戦い続ければ、何れは彼の愛騎たるアッジマーグも力尽きるだろう。


「このままでは不味いか。」


「それにしても、私に対して、一番に仕掛けてきた鉄龍は優秀だな。」


「名の有る竜騎兵か指揮官をして居る敵将かも知れん。」


 青い鉄龍は、再び先回飛行をしながら、立て続けに閃光弾を撃ち込んで来た。


「ぐううっ!何んと言う投射力だ。」


「だが、まだだっ!この程度では墜ちんよっ!」



 ゴオオオォォォーーーッッ!!!と飛行する3機が、周囲を入れ替わり立ち代わりに、飛び回り攻撃を耐えるバラン少佐と愛騎アッジマーグ。


其処へ、真上から別の青い機影が現れる。


「この轟音は・・・何処だ?・・・・」


「むっ?!」


「なっ!!何っ!?真上だとっ?!」


「沈めっ!」


 池田空将補はAAM-5を撃ち込んだ。


 撃ち込まれたAAM-5は、バラン少佐の乗る竜に向って飛んで行く。


「ちいいぃぃっ!」


 バラン少佐は、アッジマーグの手綱を引き寄せ、バリアの方向を変えるべくアッジマーグの視界方向を真上に向けた。


「ギヤアアーーァァオオオーーーン!!」


「アッジマーグ!?」



 だが、高速で向ってくるミサイルはウインドバリアの隙間の穴に僅かに間に合わなかった。


 しかし、爆発したミサイルの爆風と破片の一部がバラン少佐とアッジマーグを傷付けて、空から落下して行く。


 「ふう、ふうーっ、ふーっ。ぐううっ!!」


 バラン少佐は済んでの所で持ち堪えたのだ。


「バラン少佐ああああぁぁぁぁーーーーーーっ!!!」



 大声で声を掛けて現れたのはグリクス地方軍団所属の第21・22飛竜航空隊が200騎と空挺戦艦七隻と空挺竜母が五隻だった。


「援軍か?」


「はっ!!援軍のバン・グッター少佐です。」


「バン少佐が率いるグリクス地方軍団所属の第9艦隊を率いて、只今到着を致したようです。」


 フラフラとして居るバラン少佐を決死の思いで、回収して行く。


 第21・22飛竜航空隊の隊長達は、数で再びF―2を圧倒し始める。


「態勢を建て直しつつ、残って居る味方を回収しろっ!!!」


「了解ですっ!!!」


 後に続く飛竜航空隊の竜騎兵らは神谷一佐とダバ派遣支援艦隊のかく乱攻撃を始めた。


 両者は、部隊と戦線の立て直しを図るべく、部隊を退き始めていた。



「各機、一旦、ダバ派遣支援艦隊まで後退だ。」



「様子を見るんですか?」


 立木一佐が聞き答えた。


「ああ、あれはあっちの援軍だな。あの援軍は予定されて居た艦隊と見るべきだろう。」



「それに此方も、今は補給も兼ねて、しょうかくとずいかくに着艦する。」



「神谷達も、そろそろ息切れ(弾薬と燃料)して居る頃合いだろう。」



 両者は一旦、退くがこれで戦力は一時的に五分に成った。



 空自派遣隊が補給を終えるまでの間、何が起きるのか、それは戦神だけが知るものかも知れない。



 一方、ダバ派遣支援艦隊の旗艦である航空護衛艦しょうかくでは、同じく航空護衛艦である。


 ずいかくと共に、敵大将格と思しき者を討ち取り切れなかったとの報告を受け、次なる対処を迫られて居た。 


 艦隊司令官である小沢司郎一等海佐は、空自の奇襲が上手く行かなかったと判断すると直ぐに、搭載してきた海自の航空隊にスクランブル発信を命じていた。


「直営機と飛ばし、更に攻撃隊を敵艦隊へ更に攻撃を加える。発艦開始せよっ!」


「了解です!!!海自航空隊は、発艦開始せよっ!」



 出撃のサイレンが鳴り響き、待機していた海自航空隊のF/A-18E/Fスーパーホーネットの改修機であるF-18J改がエンジン音を響かせていた。


 出撃をするのは、新設されたばかりの海自第1航空隊と海自第二航空隊の計20機である。



「ようやく出番か。」


「山崎っ!余り調子に乗るなよっ!!」


「お前こそなっ!!小安っ!!」


 隊長の山崎勇一射と小安健人一射である。


 両名とも空自の訓練学校に居た時に、海自の航空隊の新設の話を聞いて志願した経歴を持っている者達である。


「サシバリーダーより、海自第一航空隊及び海自第二航空隊の各機へっ!!」


「無茶はするなっ!!俺達の補給が済み次第、第二攻撃を仕掛けるっ!!」


「其れまで持ち堪えれば良い。」


 通信から神谷一佐からの指示が来る。


 そう、彼らは次の攻撃までの繋ぎなのだ。


 無茶をせず、防御に徹して居れば、ダバ派遣支援艦隊側が圧倒的に有利だった。


「へえーっ、あれが噂の沖縄で、エースと呼び声の高いの神谷一佐かい?」


「まっっ!俺の方が腕は上かなっ!」


「あん?何所の誰だ?俺の悪口と軽口を訊く奴は?」


「いえいえ、一佐殿の腕前を直に見られて光栄であります。」


 山崎は慌てて取り繕った。


 戦闘中と言う事もあって、通信がオープンに成って居たらしく。


 彼の小声の独り言が、漏れてしまって居たらしい。


「ふぅーっ、やっべぇっ!やっべぇっとっ!」


 そん一幕で、冷や汗を掻いた山崎であった。



「各機発艦せよっ!!」



 海自第1航空隊と海自第二航空隊は、ダバ派遣支援艦隊を敵から守るべく、各航空護衛艦から、それぞれ発艦して行ったのである。


 神谷一佐並びに池田空将補の部隊は、補給の為にしょうかくとずいかくに収容。急ぎ整備や補給を終わらせ、次なる戦いに備えるのであった。

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