70話 激闘!レジェンダリア諸島 カントルナ砦近郊上陸撤退戦 3
アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月5日・午前8時07分・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖畔・アルガス公国・モンブラン州・ブラキュリオス湖東部河口付近にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
リナとハンナの二人は、無事に帝国から略奪した物資や金目の物を積み終えて、帝国軍輸送隊を襲撃した現場である位置から、帝国領地であるグリクス市のグリクス港を避ける様にして、進路を徐々に北東へと向う。
そして、その中間地点であり、安全な空路であるレジェンダリア諸島の上空を素通りし、北へと進路を変更する。
其処からブラキュリオス湖の対岸に在るアルガス公国の港町へと向って居た。
アセリア空挺艦隊は、各方向を警戒しながら進む。
デコモリンの部下の1人が、パイプ・ライン川の東を見張って居た。
その東側から大きな音と共に、鉄の塊が西へと向かい自分達の艦隊の間近に向って来て居たのである。
向かって来た鉄船の船団は、備え付けられて居た砲塔をアセリナ空挺艦隊に向けて、照準を合わせて来た。
「おおっ!あれは何だろう?」
「ああっ!何んとっ!!凄いぞっ!!同志諸君っ見ろっ!!あれをっ!」
「同志達よっ!見よっ!」
「如何にもゴツイ感じの鋼鉄の鉄船艦隊が向って来るぞっ!」
「カッコイイ・・・・」
彼女達は暢気に海自艦隊の勇壮さに見とれて居たりする。
アセリアの人達は、英雄伝などの話をこよなく愛するアレな人達だ。
例え巨大な合体ロボットを見たとする。
その目は子供の様に輝く事だろう。
もしかしたら、日本国のジャパニメーションを見せたら、もっとあの病気を拗らせるだろう。
何せ、同類の姿を描いた作品が、独特の描写とストーリーとキャラクター達が暴れまわるのシーンが、当然の様に描かれて居るからだ。
海自艦隊が謎の飛行物体と言って居たアセリナ空挺艦隊では、船体を透明化魔法で覆っていて、東からやって来る鋼鉄の艦隊こと、海自艦隊のレーダーに自分達が察知されて居るとは、誰も考えては居なかったりする。
「こちらは日本国海上自衛隊であるっ!」
「我が艦隊の前方上空にいる艦艇に告げるっ!」
「直に姿を現しっ!国籍と艦名及び当方の臨検を受けられたしっ!さもなくば撃沈するっ!」
「くり返す、直ぐに姿を現せたしっ!警告した後に威嚇砲撃するっ!」
「警告はもう一度、2回くり返す内に返答せよっ!」
海自側はこの様な警告を2回繰り返し発した。
「隊長、東より鉄船の艦隊が向って来て居ますっ!」
「謎の艦隊、何か言って居る様ですが、まさか我々が見えて居る筈が・・・・・・・・・」
「それは、無い無い。」
「透明化魔法イリューシンを見破れるなんて事は、著名な魔法使いか、感の良い武人くらいなのだっ!」
「そうそう・・・・・・・」
「東の鉄船の艦隊の先鋒隊、此方へ砲塔を指向中・・・・・・・来たぁぁぁぁぁーーーーっ!!」
後に日本が、この透明化魔法を技術調査したのだが、姿は隠せても、レーダー等の科学的なセンサー全てから、僅か成りとも探知可能と言う検証結果が報告されるのである。
ミサイル艇と護衛艦の砲塔から放たれた砲弾は上空にいるアセリナ艦隊を掠めて外れて行った。
これには流石のアセリナ艦隊の聖天使騎士達等は、大パニックに陥ってしまう。
その頭の可笑しな女性・・・聖天使騎士多いアセリナ王国。
当然、この艦隊は女性しかいない。
この艦隊の人員の大半が、何らかの可笑しな言動や口調、思考している変人達である。
特に女性は魔力が強力であるので、魔法には自信があった。
アセリナ王国を例えるなら、水の女神を称える変わり者が多い宗派か、可笑しな名前と言動の多い民族の思考と同じであると言えるだろう。
それがポッと現れた鋼鉄の艦隊に、自分達の透明化魔法を看破されたのだ。
「どどどどっ、どうましょうっ!同志っ!デコモリンっ!」
「ああああっ!あの鉄船はっ!我々の存在に気付いて居る様ですっ!!」
部下達が狼狽える中で、デコモリンは冷静に鋼鉄の艦隊の事を上空600メートル、距離にして10キロメートルに在る自分の空挺戦艦の艦橋から、望遠鏡を使って捉えて見ていた。
片言の変な口調の変人だが、その思考はとても冷静で、彼女は如何すべきかの答えを直に答えを出していた。
「直に魔法を解除をするデスヨーっ!アイテの出方を見マ~スっ!各艦は直ぐに停船デースっ!」
アセリナ艦隊は、ダバ派遣艦隊の要求通りに、直に停船と共に透明化魔法を解除するのだった。
「さて、何が出てキマースかね。」
リナとハンナは、旗艦の船室の窓から鋼鉄の艦隊たる海自艦隊を覗き見ていた。
「見ろっ!!リナ凄いぞっ!!大きな鋼鉄の塊が平然と水の上に浮んでいる。」
(何を暢気にしているのハンナはっ!)
(この子とアセリナ連中は、ホンと、珍しい物を見てると興奮するんだからっ!!)
リナは彼女の側で、ジト目で呆れていた。
しつこい様だが、アセリナの人々は可笑しな変わり者ので有名である。
海自艦隊を見て、その様相の捉え方は様々である。
もっとも、ハンナは軍籍から遊撃扱い(放蕩しているだけ)の身分である。
アセリナ王国軍の中央から命令がない限りは、自由な動きが許されて居た。
「さて、如何するリナ。リナ・ミーサガ・リンバース。」
リナは謎の鋼鉄の艦隊の対抗策を如何するかと、彼女の頭の中で、考えを巡らせていたのであった。
その一方、ダバ派遣艦隊はと言うと、ヘリコプター搭載護衛艦かがの艦橋には、普段は和装の着物を着て居るコヨミ皇国の将校の二人が、海自作業服を着て、この場に居って居た。
用意された作業服は、事前に海自女性自衛官の手によってスリーサイズを測って居た。
だが、一つだけ困った事は、バストサイズが比較的大きいが、許容範囲である高雄瑞樹と違って愛宕千棘はバストサイズ90センチはある為、目のやり場に困るほど作業着の表面に、そのナイスバディがくっきりと出てしまう事だった。
かがの艦橋に居る若い隊員達は、この時ばかりは、後ろを振り返るのを想わず躊躇うのであった。
今回、海自の作業着を貸し出すのは、彼女達が普段着て居る武者鎧や和装の装束、戦装束では、艦内を移動するのに、とても不便な点が多い。
緊急時や戦闘中に成れば、艦内で転倒する等の事故も考えられて居た。
其処で防衛省は、普段は海自のイベントや海自施設の極一部でしか使われて居ない物を貸し出す事を決定する。
外からやって来たお客さん専用である記念撮影と言う場でしか着ることの無い海自の作業服をわざわざ用意したのである。
しかも、一般人は、まず着ることの無い幹部用作業着で、まだ大きなイベントで数回しか使われて居ない物をである。
これには、コヨミ皇国軍内での二人の階級も関係して居た。
二人は揃って27歳なのだが、コヨミ皇国軍の人事事情の関係で大将と中将であった。
そんな訳で、他国の将校で、年齢が若過ぎるとは言え、下っ端の服を着せるのは、軍隊の儀礼上的に失礼と海自幹部らは、満場一致で全国に数枚しか無いイベント用の幹部服の貸し出しを上申した。
その結果、アッサリと防衛省は許可を出した。安元総理と雑用大臣こと竜史が二人とその上司である伊達愛海に、作業着の他に日本製の洋服を10着一式ほど送ったのである。
勿論、国産の高い下着一式をオマケ付きある。女性の衣服は、何かと気を使うものとの配慮も込められていた。
勿論、階級章を外しての使用である。
さて、コヨミ皇国の二人が艦橋に上がったのは、接触した飛行物体の所属組織を確認して貰う為であった。
飛行物体の姿が、徐々に姿が現れて行くと、全長が100メートル、幅が20メートルクラスの木造式の帆船型の空挺戦艦と呼ばれる魔動力式の飛行戦艦が現れる。
「瑞樹さん、千棘さん、わざわざのご足労を有り難う御座います。」
「いいえ、大丈夫です。」
「それで状況は?」
瑞樹と千棘は派遣艦隊のメンバーに対して、名前で構わないと言って置いた。
下士官等も同様であるとも言って居る。
二人は日本の自衛隊の方が、年上で経験が豊富である為、国家間の礼儀よりも人としての道理を優先したいと思っていた。
そんな訳で、西へと向かう旅路の中ではすっかり、さん付けでの呼び方が定着しつつあった。
特に二人は、同じ女性の三石二佐や洲崎二佐等も仲が良くなりつつある。
寄港地では、海自女性隊員が集まっての女子会が、行われたりして居た。
置鮎一佐も気兼ねなく階級章が、上である二人を名前で呼んでいた。
「笹沼2佐。」
「はっ、先ほど艦隊の先鋒に位置する護衛艦あかつきのレーダー管制を担当して居る隊員が、前方10キロ圏内に、600メートル上空にて、飛行して居ると思われる謎の物体をレーダーで捉えました。」
「我々は直ぐに警戒態勢を取り、相手に向かって警告を行いました。」
「その結果、反応が有りませんでしたので、威嚇砲撃を行い。」
「ようやくその姿を現し、走飛ぶ船・・・こちらで言う空挺艦と言う空中船である事が確認されました。」
「現在の相手方は、停船中と成って居ます。」
「お二人には、空挺艦が何処の所属かを確認して頂きたいのです。」
「確認ですか、その上でわたくし達に、空挺艦隊との会談に同行すれば宜しいのですか?」
「ええ、そうです。それであの空挺艦でしたか?」
「何処の所属か分りますか?」
「千棘、一緒に来てくれる?」
「ええ。」
そう言って二人は外を見上げる。近くの隊員が気を利かせて双眼鏡を千棘に貸し出した。
双眼鏡を貸し出した隊員は、千棘の満面の笑みと、はち切れんばかりの巨乳を真正面から拝んで一瞬だけボーっとしていた。
その様子を一部の者達は、鬼の形相で眺めていた。
「妬ましい」「羨ましい」「死ねばいいのに」「地獄に堕ちろ」「この憎しみの気持ちで人が殺ろせたら・・・」とか言う呪詛の言葉が飛び交って居た。
瑞樹と千棘は双眼鏡を覗き込むと空挺艦のマストの帆を見る。
帆の布地には国旗か家紋か何らかの紋章が描かれて居る。
「あれは・・・天使と槍に兜よね。」
「そうね、それならアセリナ王国で間違いないわ。」
「置鮎さん、あれはアセリナ王国所属の空挺艦で、間違いないですね。」
「・・・と言う事は、シベリナ連合の国々。コヨミ皇国の味方と見て良いんですね。」
千棘からアセリナ王国と言うシベリナ連合の一国であり、友好国である事を知ると艦橋に居る面々と共に、ホッとした置鮎一佐である。
「ええ、ですが・・・・・・・」
千棘と言う人物を知る人達から天使の笑みと言われる笑顔の千棘が困った顔付きに成る。
無論、大陸に派遣され、彼女と交流を持った自衛官達も同じ感想を述べて居る。
「何か問題でも?」
「彼の国の人々は、とても変わった人々で有名なのです。」
「変わった人?」
「ええ、説明するよりお会いなった方が、分かり易いと思いますわ。」
千棘にアセリナの人々は変わった人達であり、その実情に付いては、会えば分かると言う。
置鮎一佐は、アセリナ艦隊との会談を試みる事と成ったのである。
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