71話 激闘!レジェンダリア諸島 カントルナ砦近郊上陸撤退戦 4

 アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月5日・午前8時15分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖畔・アルガス公国・モンブラン州・ブラキュリオス湖東部河口付近にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 アセリナ艦隊と遭遇したダバ派遣艦隊は、アセリア艦隊との会談準備に入っていた。会談場所と成ったのは、いずも型ヘリコプター搭載護衛艦かがの艦内で行われる事となった。


アセリナ軍の先触れの聖天使騎士3人とリナとハンナが空挺艦を飛び立ち、空からゆっくりと置鮎一佐達の目の前に舞い降りて来た。


 「おおっ、正しく天使」と言う声が海自隊員から上がったが、その見た目の良い幻想的な姿来るイメージは、直に打ち砕かれる事と成る。



「おおーーっ!我が友リナよ、凄いぞっ!」


 ハンナとアセリナの聖天使騎士は、何故か大はしゃぎして興奮してしまい。


物珍しい形をして居る見た事も無い艦船である護衛艦をキョロキョロと見て居た。


「魔力が全然感じられないぞっ!」


「あっ!あっちもだっ!」



「なぁ、同志達っ!」


「鉄の塊が魔力や魔法の力無しで、水の上に浮いて居るぞっ!」


 海自の幹部と隊員達からは思わず「えっ?」と言う言葉が漏れていた。


「くくくっっ。我がエクスプロン・ランサーから穿ち撃ち放たれたエクスプロトンバスターに耐えられるだろうか?」



「くくくっ、試しにあの船に向けて、ぶっ放して見たいっ!!!」


甲板に降り立ったのはヨハンナ・リリロッカ・ヨシカーナこと、ハンナである。



 諸国からは雷帝ことリナ・ミーサガ・リンバースとワンセットの凸凹コンビとして見られており、帝国軍と冒険者ギルドの間では、通称アセリナの頭の一番可笑しな天使。


 または頭の一番可笑しな小娘。


 もとい、イカレタ小娘とも呼ばれて居る。


 そんな頭の可笑しな娘の不穏な発言が聞える中で、1人の海自隊員が司令たる置鮎一佐に耳打ちする。


(置鮎一佐、この人達ってひょっとすると・・・・・・・・・)


(言うな。俺もその手の作品くらい見た事ある世代だ。)



 30代から20代の隊員の心内では(この人達は・・・・・・・・中二病患者だあああああぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!)と言う言葉が、シンクロして声が発せられていた。


時は2030年代である。日本のアニメ作品は多岐を極めていた。


 オタクは2000年代にあるドラマや幾つかのオタクアニメが流行り出すと、オタクと呼ばれる人種の人々は、社会的に認知を正式に受け、一般の人でもオタクが手に取っていたアニメを気軽に見る時代と成って居た。


そんな関係で、此処に居る自衛官達でも、中二病キャラが出て来るアニメは、決して珍しい作品では無かったのである。


(まさか、中二病キャラが異世界で、本当に実在して居るとは・・・・・・・・・)


(変わって居ると聞いては居ましたが、まさか、それが中二患者だったとは・・・・・・・・・)



(私はてっきり頭が良い天才か、奇行な行動を取る変人の類と思って居ましたよ。)


(これはこれで、奇行なような・・・・・・・)


 流石にサブカルチャー・アニメ大国日本でも、日常で中二病をやっているバカ、もとい、変わり者は居ない事だろう。


 精々コスプレして台詞を真似る位だ。


  実際に中二病なんてやってたら、卒業した後に黒歴史として恥かしくて堪らないものに成るだろう。


 この場に居る自衛官の面々は、ある意味で期待を裏切られた様である。


「ちょっと、ハンナ。」



「アンタ、挨拶もしないで、何を物騒な事を言ってるのよっ!」


ヒラリと空から舞い降り立ったのは、リナである。


 ここ数年間、供に一緒に居る親友であり、ハンナの保護者代わりをして居る。


リナとハンナは、シベリナ諸国の中の有力者の娘の中で、紅葉と不滅の友情を誓い合った仲であった。


 簡単に言えば、彼の猫型のロボット達の友情の誓いや三国志の桃園の誓いの話に似ていた


「おおっ!我が友リナよっ!」


「見ろっ!凄いぞっ。」


「済みません、この子を含めてアセリナの人達は、あの、そのっ、変わってて・・・・・・・・・・」


「いえ、お気遣いなく。」


「えっ?」


「ですから、お構いなく。」


「???」


 リナは首を傾げていた。


 何故か日本の軍人さん達は、アセリナの人達に対しての免疫が付いてた事にポカンとして居た。


 大抵の人達なら戸惑う反応が常なのだ。


 そして、自衛官の面々に頭を下げるリナ。自衛官らはリナのある物に注目が集まる。


(((こっ、こっ、これはーーーーーっ。)))


(千棘さんも凄かったが、これも何と言う破壊力。)


(異世界人の女性達のボディスタイルは化物かっ!?)



 思わず赤い彗星が白い奴に言い放ったみたいな例えで言ってしまう隊員達。


 千棘の豊満で、我が儘ボデイなバストもパンパカパーンな破壊力が有して居たが、リナのバストサイズは戦艦に例えるなら長門級戦艦なんて生易しい物では無い。


  彼女の胸の大きさは正に、世界最高クラスの戦艦サイズ。


 そう、敢えて上げるのなら大和級戦艦と言うべきサイズだろう。



 此処に居る自衛官らは、リナの姿と豊満なバストを見た瞬間に際して、ズドドーンと言う46センチ主砲の発砲音の幻聴が聞えた共に、巨大な主砲の幻影を見えたに違いない事だろう。



 この光景は、地球の欧米でも中々見かけないスタイルの女性を見て、此処に居る男性陣は、驚愕し目が釘付けに成るのだが、後に雷帝としての彼女と普段の素を見かける様に成って来ると「何だ、只の残念美人か」と言いガックリと肩を落としてしまう。


 そして、彼女を色物を見る目で見るようになり、真実を知った者達は、ガラスが砕ける効果音が聞え、夢から覚める事と成るのであった。



 男にとって女性に関する事に措いて、色物と言う類の人物像は、チェンジと言う言葉出るか、又は・・・はぁ~と言う溜息が漏れてしまう存在の一つなのかも知れない。


そんな中で皆が鼻の下を伸ばして美人の容姿を物色する中で冷静な人達が居る。


 既婚者や彼女持ち、もしくは、それほど美人に執着して居ない人達が話を進める。



 置鮎一佐もその1人で、既婚者であった。


 故に色香に惑わされないので、とても冷静的であった。


「君は?」



「あっ、自己紹介が、まだでしたね。」



「あたしは、リナ・ミーサガ・リンバースと言います。こっちの子が・・・・・・・・」



「我が名はヨハンナ・リリロッカ・ヨシカーナっ!」



「世界最高峰っ!アセリナ族の聖天使騎士一の戦士にして、アセリナ族一のエクスプロン・ランサーの使いであり、爆裂魔砲撃を極めし者っ!」



「そして、何れは、この世界を救う者であーるっ!」



「「「えっ?!」」」



「くっくっくっ、なーっはっはっはっ!なーっはっはっはっ!なーっはっはっはっ!」



「なーっはっはっはっ!なーっはっはっはっ!なーっはっはっはっ!」


「なーっはっはっはっ!なーっはっはっはっ!なーっはっはっはっ!」



頭の可笑しな娘は、槍をクルクルと回しながら、どこぞの爆裂娘と同じ様な決めポーズを取りつつ、どや顔で高笑いをしながら名乗りを上げていた。



それを見ていた自衛官等は一瞬だけ、反応に困った。



(おい、おい、この手の娘を相手にする場合は、どうすれば良いんだっけ?)



(おっ、俺が知るわけないだろう!)



(ええっと、確か~)



(ダメですっ!。)


(此処には、アレを御せる機転の利く主人公やハレームモテ期到来の男の様な主人公が居ませんよ。)



(ああっ、そうだった。頭の可笑しな娘をいなせるのは、奇特な彼氏キャラか運が良くてクズでカスでクソマな主人公くらいしかっ!!有り得ないんだったああああぁぁぁぁーーーーーっ!!)



(そもそも中二キャラなんてっ!実在しないからマニュアルすら無いぞっ!!)



(それも日本でも、まだ描かれていない天使系中二キャラだっ!)


(対応できる人材が居るのか、如何なのかも怪しいっ!)



 ちなみに悪魔中二キャラは、ネトゲーにドハマりしてしまった駄天使キャラと共に、既に漫画やその漫画を原作としたアニメで描かれて居る作品が在るのだ。



 自衛官らはハンナの対応を巡って混乱している。



「お~い、其処の貴様らっ!心の中で、何か失礼な事を言ってないか?」



「それよりもハンナっ!ちゃんと真面目に挨拶をしないと、マーねぇにチクるわよ。」



 この時、ハンナの中で何かのスイッチがオンなる。トラウマスイッチ「オン」と・・・・・・・・・



「おっ、おおお、お姉ちゃんにっ?」


「ひっ、ひいいぃぃぃぃーーっ!!!ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル。」



「ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル。」


「ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル。」


「ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル。」


「ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル・・・・・・・・」


ハンナはまるで何処かの小覇王に報復を喰らってトラウマを植え付けられた良家の幼女の様に成ってしまう。


 親友達は、彼女に良く言い聞かせる時に、ハンナはとっても良い子よねと言う。まぁ、脅し文句でも有ったりするのだが・・・・・・・・



「あっれー、ちょっと薬が効き過ぎたかな?」



「まぁ、あたしも人の事を言えないけどねぇ・・・・・・・」



「ねぇ、ハンナ。ちゃんと挨拶すれば良いわ。ハンナはとっても良い子だよね。」



「ホント?」



 涙目である。それも中二な台詞とポーズ取らないので、幼い顔立ちとマッチして、ハンナの事が、何故か可愛く見えてしまう。



(ふあああぁぁぁーっ!!)



(ああ、何故だろう。)



(この小動物を見る様な可愛いさは?)



(妙に癒されるううぅぅーーーーーーっ!!)



 ハンナの半泣き姿を見た自衛官等は、何故か心が、ほっこり癒される様な感覚に陥ったのである。



「本当よ。」



「皆さんゴメンナサイ。」



「改めまして、ヨハンナ・リリロッカ・ヨシカーナです。宜しくお願いします。」



ハンナは、その場でお辞儀をして恥かしそうに挨拶をして見せた。


 自衛官ら「今度はデレて見せた。」とか「こう言う子も、なんか人気が出そう」とか感想を漏らしていた。



 ハンナは中二病を患って居るが、実の姉とその親友や親友の紅葉の躾けをしっかり受けている為、素の顔は、とても良い子と親しい人達から言われていた。



「ホントに良い子ね。良くできました。」



 白々しくワザとらしい事を言いながら面白がって居たリナであった。

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