61話 遠方より友が降って来る?堕天しない聖天使と血染めの鋼鉄姫将軍との笑闘!? 4

アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月3日・午前10時53分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・西太平洋地域・日本国・日本国領海・沖縄県・東シナ海近海域・日本国海上自衛隊・護衛隊群連合艦隊「南雲護衛隊群」にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





一方のマーヤは、艦橋や艦内から武装して現れた海自隊員と周囲の空を舞うドラグナー騎士達を見て、自分が注目されて居る事に気が付く。



「あっれーっ!!何故に我は、こんなにも注目されているのだっ!?」




「それに・・・・今まで見た事も無い造りの船なのだ?丸で我が義妹のシェスカのみたいで有るな?」



見た事も無い船に興味深々で、幼い頃より妹の様に可愛がって居る?シェスカの実家で使って居る船に似て居ると思った。



 そして、物珍しそうに辺りをキョロキョロ見渡して居ると、突如として寒気に襲われた。



「へっ!へっ!へっ!!へっくちょんっ!!!」



(ううっ、寒っ!!)



マーヤは完全に体が冷え切って居た。


 長時間の空の旅と海へのダイブのせいで、身体がブルブルと震え出したのだ。


 しかし、マーヤが辺りを見回した所を見る限り、此処は戦場である。



 格好が悪い事は言えないし、それが出きないのがアセリアの可笑しな性格と思考を持った人達の困った性分でもあった。



(むむむっ!!何だか知らないが、この状況で・・・・何か言わずには居られないぞっ!!!)



 本音は「ええーっ!!どううしよーっ!!完全に我は注目されてれるよおおおおおぉぉぉぉーーーーーっ!!!!」とか思ってたりする。



 無言で見詰められて居る、この状況が堪らなく息苦しい感じて居るマーヤ。



 それなので、例えずぶ濡れであろうとも、何時ものノリで言い放つ。



「くっくっくっ・・・・此処に居る全ての者共よ聞くが良いいいぃぃぃぃーーーーっ!!!」



「我が名はマーヤ・リリロッカ・ヨシカーナっ!!」


「この世界の救わんとする我は、この戦場に光臨するっ!!!」


「今宵も悪しき者達を成敗せんと、我のエクスプロン・ランサーの光の閃光に呑まれるが良いいいいぃぃぃーーーーーーーっ!!!!」


「なーっはーっはっはっはっはっはっはっ!!」



「なーっはーっはっはっはっはっはっはっ!!」



「なーっはーっはっはっはっはっはっはっ!!」




「なーっはーっはっはっはっはっはっはっ!!」



「なーっはーっはっはっはっはっはっはっ!!」




「さぁ、悪の手先に堕ちたドラグナーの騎士たちよっ!!我が槍の錆びにしてくれようぞっ!!!」



名乗り口上を言い放ち、更に決めポーズを取って居る。



 その動きに合わせて槍先が鍍金加工されたかの様に光り輝いて居るエクスプロン・ランサーをブンブント振り回しながら槍を構えた。



「どうしたっ!我と思わん者はっ!!この聖天使騎士団の総騎士団長にして、閃光の聖騎士マーヤに挑む者は居らんのかっ?!」



と続けて言い放つが、周囲の者達はシーンとして居る。


・・・・・・と言うかポカンとして居た。


コイツはずぶ濡れの格好で、何を言ってるんだと思われて居た。



(うんうん、我は今日も決まってるね。さーてっと、誰も我に掛かって来ないようだし、このまま帰っちゃえーっと・・・・・・・・・)



「何だっ!口ほどにも無い者共だなっ!!!」



「こう見えて我は世界を救わんが為の仕事で忙しいのだっ!!!」


「斬り掛かって来る根性が無いなら居ねいっ!!」と・・・・・・・そのまま立ち去ろうとした時だった。



「まーたーおーまーえーかーっ!!!!マーヤーああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」



マーヤが振り返る瞬間、後ろには怖ーい形相した武神様が、ずぶ濡れな上に、それはそれは大層お怒りのご様子であった。




「ひっ!?だだだっ、だれっ!!誰の事だ?!我はマーヤなのではないぞっ!!!」



戦闘の時意外ではトラブルメーカーで、ハッタリ言うだけの気弱なのが、本来の彼女なのだ。



 思わず、旧友怒れるの怖い形相を見て、嘘を言ってしまった。



 勿論、逃げられないと分かって居てもだ。





ヴァロニカは、愛騎レッドアイゼンとのドラグフュージョンを強制解除されて居た。



 そして、重い鎧を着ているヴァロニカは、不名誉の溺死寸前の所をレッドアイゼンに引き上げられてあかぎの飛行甲板に飛んで来ていた。



「キュウゥゥンンン。」



何の心の準備もせずに、海水に使ったレッドアイゼンは、情けない鳴き声と嫌な顔をしながらぐったりとして居た。



被害に遭ったレッドアイゼンは、突然、水に濡れるのが嫌なのだ。



「嘘を付くなあああぁぁぁぁぁーーーっ!!!先ほど堂々と大声で名のって居たであろうがっ!!船の外側まで聞えて居たぞ!!!」



「ええっと、そのだな・・・・・・・・・・・・・・・」



「貴様はっ!!何時もそうだっ!!!」



「何時も何時も何時も何時も何時も何時も何時も、いっーーーもっ!!!」



「何で私がっ!!お前のトラブルのせいでっ!!!こうも毎度っ!!毎度っ!!酷い目に遭わなければ成らんのだっ!!!」




「ここっ、こっ、今回は死にそうだったんだぞっ!!!」



泣きそうな目で訴えるヴァロニカは、本当に溺死寸前だった。



 彼女は泳げない分けじゃない。



 ただ、装備が重いので沈むのは自明の理である。


 彼女の竜騎士団は、聖竜のお陰で水中でも1時間くらいは戦闘が出来るが、それは息継ぎしての話なのである。



 1時間ごとに息継ぎしないと聖竜の力が尽きて、両者の息が続かないのである。


 今回はパートナーであるヴァロニカが上手くレッドアイゼンに、指示を出せない程の不意打ちで、海にダイブした為に、合身の強制解除に成ってしまい海へとドボンしてしまう。



 ヴァロニカは、危うくそのまま海の底へと沈む所だったのであった。



「けっ、計算どおりっ!!良くぞ我の正体を見抜いたなっ!!我が友にして、今や宿敵の友たるヴァロニカよっ!!」




「「「「「「「「嘘付けええええええぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」」」」」」」」




 思わず其処に居る全員が、声を揃えて、一斉に突っ込みを入れながら叫んだ。



「ひっ!!」




一斉の突っ込みに、怯んだマーヤ。恐る恐る周囲に聞いて回る。



「えっと、ひょっとして・・・・我はお呼びで無いのか・・・・・・・」



マーヤに聞かれた者等は、何故かうんうんと頷く。



「お呼びで無い?」



 更に頷く。



「お呼びで無いの?」



 そうだ、そうだと言う雰囲気と頷く者ら。



「それじゃっ!!こりゃまた失礼しまし・・・・・」



それは丸で、昭和の往年のスターの如く逃げようとしたマーヤだったが、すぐさま彼女の方にヴァロニカの手に捉まれた。



「待ていいいぃぃーーっ!!!」



「まーさーかー・・・・このまま逃げられるとでも?」




「ガタカダブルブルっ!!ガタガタブルブルっ!!」



「ゆっ、ゆゆゆゆっ許してええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーっ!!!!」




「槍を取れええええぇぇぇぇーーーーーっ!!!貴様と一刺しやらんと私の気が済まんっ!!」




実はマーヤは、ヴァロニカに一度も武道の試合で勝った例が無かったりする。



 良くて引き分けが良い所だった。



 そう、分が悪いから必死で逃げて居たりする。




「ふええええっ!!ごっ、ごめんなさーいっ!!ゆっ!ゆゆゆゆゆっ!許してええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」




「来ないのなら、こっちから行くぞっ!!うおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」




ヴァロニカが地面に転がって居た魔法剣シルヴァロスを拾い上げると勢い良く斬り掛かって来た。




(まっ、不味いのだっ!!このままでは、非常にめんどくさい事に・・・・・・)


(でっ、でもっ!周りからこんなにも注目されて居る中で、ズタボロにされるのはカッコ悪いのだっ!!!)



ヴァロニカの魔法剣シルヴァロスが斬り掛かると、マーヤがエクスプロン・ランサーをすかさず構えていなして行く。



 そして、二人は凄まじい斬り合いを始めた。



(くっ、暫くやり合わない内に、腕が前より上がって居るだとっ!?)



(くそっ、槍の一合、一合が重いっ!!この戦で消耗さえして居なければっ!!マーヤ如きにっ!!)



(あれれれっ!?前やった時よりも何だか動きが悪いな?どう言う事なのだ?)



 マーヤがヴァロニカの動きを不信に思って居る。



 それは多分、疲れて居るだけだ思われる。



カンカンと得物特有の金属音が甲板の上に鳴り響く。



 更に言うと、海自隊員の別の意味での悲鳴が鳴り響いて居る。



 何故かと言うと、飛行甲板が少しづつだが、傷付いて来て居るからだった。



 整備を担当している航空科の隊員とデッキ科の隊員が、特に涙目に成り「あーあーっ!!」と頭を抱えていた。



(はぁ~、それにしてもお腹が空いたのだ。)


(もう丸3日は口にして居ないよおおおおぉぉぉぉーーーーーっ!!!!)



(早く面倒な性格のヴァロニカを如何にかしないとなのだっ!!!)



(早くこの勝負で満足させなければっ!)


(・・・・・でないと、更にしつこく向って来るのだっ!!!)



尚も激しい斬り合い続いて居る。


 槍と剣の搗ち合いは、300を超え様として居た。


 カンと言う刃物音が最後に響くと両者は間合い取る。



(くうっ、3百合は斬り合った筈だ。)


(だが、何なんだっ!あの表情はっ!!必死すぎるっ!)


(きっと、途轍もない修練を重ねたに違いない。)



(もう、しつこいのだあああぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!!そろそろ止めたいって言えば良いのにっ!!!)


(それにもあの息を切らしても冷静な表情は何なのだっ!)


(ヴァロニカの脳筋っ!!、ああっ!もうっ、めんどくさいっ!!)


(我はお腹が空いて死にそうなのだっ!!!)



 戦う旧友の二人の思惑に、齟齬が見られて居た。



 マーヤは腹を空かして、目が血走って居るだけであり、ヴァロニカもマーヤに対する怒りで勘違いをして居た。



「もう、ヴァロニカっ!!いい加減にするのだっ!!」



「来いっ!マーヤっ!!」



 二人は同時に駆け出した。そして・・・・・・・・・・



「ううっ・・・ああ、もう眠く成って・・・・・ぐうーっ・・・・・・・・・・・」



「きゅうぅぅぅ。お腹が空き過ぎて力が出ない。」



二人はそれぞれ別の意味でパタリと力尽きていた。



ヴァロニカは、力と魔力の消耗と疲労から疲れ果て寝てしまい。


 マーヤに至っては、空腹で目を回して倒れて居た。



 無理も無い、丸3日は何も口をして居ないのだから・・・・・・・・・・・・・



 さて、偶発的な邪魔者が入ったが、ようやく戦闘が止まったのだが、何とも味気の無い終わり方なので、後世の歴史書を読む学者や脚本家達は、揃って嘘くさいと言い放ち、学者達は内容の真意を必死で確かめ、脚本家らは脚色を付けた内容に変更する者が多かったのである。



この戦いは日本の圧勝と言いたいが、損害も少なからず出て居る。



 しかし、ローラーナ帝国海軍・第一外征艦隊は、この戦いのせいで艦隊の再編と再建を余儀無くされ、当面の間は、作戦不能に陥る事と成るのである。


 2330隻の艦隊の内、飛行型と水上航行型の竜母は全滅に帰した。



 各種の大小の戦闘艦も1400隻程が魚雷とミサイル、爆撃に由って沈められて居り、航空隊たる竜騎士隊も全滅させられて居る。



中小の傷者と撃沈を免れて済んで居たのはドラグナー皇国のレッドブラッドアイゼン聖龍騎士団くらいであった。



 ドラグナーの騎士達は、日本の艦隊のミサイルや砲弾の直撃の直前に魔法障壁や剣などで受身を取って居たらしい。


 味方に回収されながらの撤退で、何とか生き残って居るのだった。


 海上自衛隊とレッドブラッドアイゼン聖龍騎士団の両者は、この後、戦後処理を行う為に、時はアースティア暦1000年・西暦2030年・6月3日・午前11時10分を持って同海戦での戦いでの停戦に合意する。



 沖縄から外交官と交援省の外務課と停戦条約の立会いの為に、小林由紀子交援省大臣補佐官が派遣された。



交援省の役割は、異世界に於ける全ての軍事・国交・外交・経済の雑用及び仲立ち・その他を業務として居る為なので、この立会いは必然な事であった。



 一方のドラグナー側は、騎士団長たるヴァロニカ姫将軍が、体調不良で寝込んで居るので、騎士団員の中でも年長者たるアイリーが、騎士団長代行で停戦条約サインを行った。


 しかし、この停戦はあくまで、この第二次龍雲海沖海戦の事に呑みの停戦である事を強調して置く。帝国は日本との停戦をしたいとは国家としては思って居ない。



 今回は日本国へと侵攻をしたドラグナー皇国・ドラグナー皇国軍・レッドブラッドアイゼン聖龍騎士団空挺魔導艦隊と言う属国軍艦隊とローラーナ帝国・ローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊と言う帝国内の一外征艦隊との停戦である。



この世界での戦争のレベルの位置付けとしては、紛争と成る位置付けである。



既にレッドブラッドアイゼン聖龍騎士団空挺魔導艦隊は、ローラーナ帝国海軍・第一外征艦隊の総司令官であるシドウ・ギワザン准将に、日本と停戦に至ったと伝令を出して居た。


 余りにも大規模な武力衝突で在るが故に、その戦後処理には、1月以上掛かると言って有り、色々な理由を付けて帰国が、お遅れると報告をする様にも伝令官に言って有るのだ。


 まぁ、生き残った者の救助に傷病者の回復と、結構やる事が多い。


 航空護衛艦あかぎ艦内での話し合いで、レッドブラッドアイゼン聖龍騎士団の面々の日本滞在期間と将校や兵士の一斉引き上げの期日等が決められるのだった。



 なお、今回の戦後処理の仲介役と連絡中継地としての役割をコヨミ皇国が買って出て居た。


 如何やら紅葉が裏で手を回してくれて居るらしい。



 さて、此れにて、第二次龍雲海沖海戦の戦闘は終わりを告げる事と成ったのであった。


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