44話 第二次龍雲海沖海戦 1

さて、後にブラキュリオス湖紛争と言う戦いの前に、日本国と海上自衛隊の動きと其処で起きた出来事を語って置きたい。



この記録は紛争の数日前に有った事で、航空護衛艦あかぎを旗艦とする艦隊が、龍雲海と東シナ海の境界線にて、今や帝国の属国に身を堕としてしまったドラグナー皇国(おうこく)と日本国との戦い。


 そして、日本国に取って戦後初めてと成る空母機動部隊が活躍した紛争の記録でも有る。


 そして、紅葉と親交の有るある王族の姉妹と行方知れずであったリナ姉であるレナ・ミーサガ・リンバースの名が、この戦史の歴史書にひっそりと初めて公式に載った物語である。



何時、何をしていたのかの記録は幾つも有るのだが、後の書物やテレビ番組に多くに抜粋されるのは、細かく記載された公式な歴史書であろう。 



 話の始まりは、数日前に遡る。


ダバ派遣艦隊がブラキュリオス湖に入る数日前の6月3日の出来事である。



龍雲海では海上自衛隊の連合派遣艦隊が、帝国に対しての警戒をしつつ、この世界での戦闘を想定した演習を兼ねて、日本も異世界各国等が国境と勝手に解釈して居るこの海域に来ていた。



 航空護衛艦あかぎを中心とした海自艦隊は、暁の水平線を東から昇ってきた朝日を拝みながら領海の境界線と言われる地点を進んでいた。


 マストには朝日旗たる海上自衛隊旗と日本国旗、信号旗等が海風を受けてパタパタと音を発てて靡いている。



 遥か遠くでは、12隻の海上保安庁が定期的な警備行動して居る。


 海保は帝国軍を発見したら即座に撤退を命令を出されて居る。



 何せ多数向って来る竜騎士に対しての対空火器が無いに等しいからだ。


 一様、保険として機関銃が備え付けられて居たが、ワイバーンの口から放たれる火炎弾がとても危険なので、牽制でしかない装備と言えた。



 竜史からの警告で、海保が異世界の軍に沈められたり、敵兵に巡視船に乗り込まれ、保安官が全滅すると言う創作物の話が有ると、海保と政府に意見書を提出して居た。



それ以来、海保は領海の外側に近い位置から離れる処置を取って、代わりに海自が帝国領近い領海外の海域の定期警戒をして居るのであった。


 そして、帝国領から離れた地域の水域では、今まで通りの業務が成されて居たが、変わった事や見慣れない事が有れば、直ちに本庁と交援省に報せ、日本政府と共に対策を講じる事に成って居た。



航空護衛艦あかぎを指揮して居るのは、あかぎの艦長でもある南雲忠二一佐。


その補佐を務めるのは、副艦長の藤田沙希2佐である。



 海自艦隊は、空母を運用する上でお約束の輪形陣を組んで艦隊編制をし、しょうほう型軽航空護衛艦しょうほう・ほうしょう。


 護衛艦のこんごう・あたご・しらね・むらさめ・きりさめ・さわぎり・うみぎり。


 そうりゅう型潜水艦そうりゅう・うんりゅう・はくりゅう・ずいりゅう。


 おやしお型潜水艦みちしお・うずしお・まきしお・いそしお等が、海上と海中からローラーナ帝国海軍の動きを遠巻きにしながら、警戒監視を続けて居た。



 いざと成れば、海中から敵戦艦に向けて魚雷をぶち込み、ハープーン対艦誘導弾で空挺戦艦が察知されない地点から不意打ちを喰らわせ、悪さしようとする輩どもに、一泡吹かせる積りである。



さて、行方不明と成ったレナが何所で何をして居るのかと言うと、彼女が攫われた4年前の時まで遡る。


 彼女はトキアード市立総合学園の大学を飛び級で卒業した学院が始まって以来の天才である。


 興味の有る事全てに全力を注ぐタイプの人間で、趣味は可愛い年下の妹とその友をシバク・・・・・・・いやいや・・・・・・・可愛がる?


 それも違うか・・・・・とにかく学んだ事を実践したり(実験台・妹らを)、勉強を教えたり(デスマーチ漬けで・・・)体を鍛えたり(親友達と一緒に妹らをスパルタサバイバル)したりして居た。




 そのせいで紅葉達は、姉達の事をスッカリ恐怖の大魔王扱いに成って居たりする。



 妹達のその怯えぶりは、実の姉を恐れ、騒動の度に現れる胡散臭い魔族の詐欺師の様な輩に、故郷から送られた手紙の差出人の名に怯え震える洗濯板を持ち、ドラマタの異名持った大魔導師そのモノであると言えた。



度々物の語りの中に名前と触り程度だけ登場さている3人の恐怖の化身もとい、紅葉を筆頭とする仲良しお転婆集団が幼少期から恐れて已まない姉達。



ヴァロニカ・サークラ・レアモン。



 ドラグナー皇国第一皇女。通り名はアイアン・ブラッド・プリンセス。血染めの鋼鉄姫将軍と呼ばれて居る。


 11歳の時で初陣を飾り、敵を真っ二つにし、身に着けていた白銀の鎧を真っ赤に血で染めて以来、幾つもの戦場で返り血を浴びた事が由来である。



幼い頃からドラグリア白龍大帝国の大帝であるエリノア・ドラグリアに師事を受け人外的な強さを身に付けた女傑であった。


 人類種で恐らく世界最強の部類に入る武人にして天下無双とは彼女の為にある言葉だろう。


 スタイルと容姿共に申し分が無いが、決定的な欠点が有る。


 それはクールで無表情の無愛想で有る事だろう。


 男っ気が全く無く、浮いた話と言うのは、これと言って無かった。


 基本的に何でもこなす無敵超人的な人だけが、自室には人には言えない趣味が有る。



それは何かと言うとだ、自分の部屋には、実の妹である第二王女のアルビィーヤ・サークラ・レアモンが可愛くて仕方が無く。


 実の妹関連の自作グッズ作りや、妹のアルビィを模したオリジナルグッズを特注する始末である。


 普段の彼女は妹を想う余りに厳しく接して居て、自分に出来る事は努力すれば他人(妹達にも)にも出きる筈だと言い切り(そりゃあ、無茶だよ)無茶な特訓させて鍛え様として居た。


 強さのレベル順番に上げるならば、彼女がこの3人組みの筆頭と言えるだろう。



現在24歳で、10年前の14歳の時に、自国が敗戦した事により帝国の属国となり、親友らとの交流が絶たれてしまって居る。


 だが、帝国は彼女とそのレアモン王家の一族等を処断せず、そのまま戦力として扱き使われて居た。




 ドラグナー皇国は敗戦したとは言え、一騎当千のヴァロニカと聖龍を扱う騎士団の実力をローラーナ帝国自身が恐れて居たからだとも言われて居る。


 奇襲と大軍での大攻勢による中途半端な勝ち方も、ローラーナ帝国がドラグナー皇国騎士団とヴァロニカ等を恐れて居る原因でも有るのだが・・・・・・・・・・・・・・・・




レナ・ミーサガ・リンバース。



 ダバード・ロード王国の王立総合技術研究所の研究員にして稀代の魔導師でもあり、魔導関連技術の技師でもある。


 かなりの戦闘系統魔法の使い手でもあり、閃光魔法と言う所謂、光線式の魔槍、魔導弾、魔導光線などの光の粒子の魔法応用した業と雷撃魔法を得意として居た。



この両方を融合せた魔法である雷光の使い手てでも有り、雷光のレナの通り名で、ソコソコ諸国には知られて居た。


 実力だけなら、リナは火力とパワーと魔力だけは高いが、手数と経験等を含めると姉であるレナが有る意味上であると言えよう。



 仮面を被った改造人間のバイク風のヒーローに例えるなら、技レナ、力のリナと言えば良いだろう。




見た目はリナに似ているが、現在の背が170cmくらいでスタイルが有り余っているリナよりも低い背丈の164センチくらいで、リナと比べると少しばかり小柄な背格好であるが、彼女も十分に魅力的なスタイルである。



・・・・・と言うよりもリナがエリンに鍛えられた影響で育ち過ぎたスタイルを持った残念美人であった。



 姉妹の見た目の違いと言えば、背丈の他に髪の長さはリナよりも短く、セミロングであると言う事だろう。




何時も落ち着いた雰囲気でニコニコした笑顔をして居るが、戦闘モードとお仕置き、妹らに講師をしている時は雰囲気が一変する。


細目の眼つきが悪魔に見えるとその昔、リナは言って居た。



 その形相は京都に伝わる魔を払うと言われる流派で、神鳴る剣の使い手の姉妹の姉の様だとも言えよう。


 そして、リナ達に取ってトラウマの象徴でも有るらしい。



20歳の時に王国南部の鉄の都と王家の渓谷と言う伝説の地にて、古代遺跡を発見した。



その調査員の1人に抜擢され、運悪く誘拐されてしまう。




公式には行方不明とされて居るが、著名な魔導師な上に、下手を打つと帝国軍が施設ごと壊滅の憂き目に遭う為に、扱いに困ったローラーナ帝国中央政府は、致し方なく、レナと親交のあるドラグナー皇国のヴァロニカの元に預けられて居る。



 今現在もドラグナー皇国に幽閉されて居るが、彼女は帝国の予算で好き放題の大迷惑な悠々自適な隠遁生活をして居た。


 見張りのドラグナーの兵士や、幽閉所を監視して居るローラーナ帝国軍の将校らは、その矛先が自分達に向けられるのを畏れて居るらしく。



彼女が本気を出して暴れられたら、本当に手が付けられないからである。




妹のリナの動向もある程度は独自のルートを通して把握して居るが、「軟な鍛え方をした覚えも無いから・・・・まぁ、なんとか成るわよね」と言って放置して居た。



その気になれば脱獄等は容易であるので、見張りをして居るドラグナー皇国兵士と監視をして居るローラーナ帝国軍の将校らは、何時自分達が、彼女の報復の刃の切っ先が向いて来るのかと、気が気では無いらしい。




マーヤ・リリロッカ・ヨシカーナ。


 24歳で現在はアセリナ王国の国家代表の地位にあり、聖天使騎士団の総騎士団長で、通称総長と呼ばれ、公式な場では総長閣下と呼ばれて居る。



 国家代表の選出方法は先ず、国家に奉仕して居る官僚から騎士団に所属して居る者達の間で、闘技場で予選を戦い抜き、勝ち残った上位12位の代表同士で闘技場での決闘が行われる。


 其処で一番に強い物だけが総長の地位に就けると言う訳だ。



 アセリナ王国は選挙制度が無いので(この世界は選挙制度と言う概念が殆ど無い)殆んどが試験を受けて国家か地方自治体に入所し、下から這い上がるのが定番である。


 マーヤは、何となく腕試しで参加した国家代表選抜決闘大会で、実力ある猛者を打ち倒して22歳の若さで国家代表たる総長の座に付いてしまった。



彼らはアセリア族と言う亜人間種で、背に羽の生えた翼人族である。



 見た目は白い羽の生えた天使にも見える美しい姿をして居る。


 人口の殆どが女性と言うこの世界でもありがちな特殊な部類の種族である。


 男性の同族が珍しく、殆どが人間の男性との婚姻で賄われているが、6対4の割合でアセリア族女性が生まれてしまうらしい。



他のアセリア族同様に固有武器であるエクスプロン・ランサーと言う魔導槍を振り回し、エクスプロトンバスターと言う収束魔導砲ブチかます。



 閃光の聖騎士マーヤと呼ばれ、エクスプロトンバスター5発を撃ち放す事が出き、閃光魔法も使う。


 接近戦でも槍で敵を串刺しにしたり、光の魔法剣を数多撃ち放つ等のチート過ぎる強さを誇っている。



ハンナは幼い時に山で無理やり、山篭りに付き合わされ、ハンナの目の前で、可笑しなセリフを言いつつ竜や熊を串刺しにしてしまう。



それを見ていたハンナは大量の返り血を浴びて白目を向いたまま気絶をし、トラウマをまた一つ抱えてしまう事が有った。


 ハンナは自分の姉に告げ口を言うと言われたり、姉の武勇伝を聞かされると、「トラウマスイッチがオン」と成り、ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブルと震え上がり、それは丸でカエル宇宙人の宇宙忍者や美少女三国志世界に登場する裕福な幼女系我が儘お嬢様みたいに現実逃避をしてしまうのである。



中二的な言動は妹と変わらずだが、此方は至ってある程度は・・・・・普通の思考をしている。


 しかし、言動がアセリア族らしい為に誤解され易いし、妹の親友達は頭の可笑しな姉と思って居るし、鍛錬と称する集まりでは呂布か関羽、はたまた本多忠勝的な鬼神の様な気迫で迫って来る串刺し天使。


 見た目と言動はふざけて居る風には見えるが、アースティア世界でも指折りの猛者として知られて居た。


さて、一通りの紹介が済んだ所で、話を元に戻そう。



 話の舞台の場所は、ドラグナー皇国の新王都のニューサリヴァン市に在るニューロートレア城である。




ニューサリヴァン市の東には、この世界でも太平洋と呼ばれる海と数多くの交易の港町。


 西には帝国領のシャッポロ領。


 北東側に龍雲海が有り、都市の南には岩石を頂く山脈があり、この地にドラグナー皇国は新しい城を築いて居た。



 更に南には平原が広がり村や町がそこら彼処に点在し、麦畑や畑が広がって居た。



 その平原を越えた先には、旧王都ロートレア市と旧居城であるロートレア城が建って居る。


 その更に南には、この国の聖地たるドラグナー聖龍山脈が在り、広大な森共に人々の侵入を阻んで居た。



 その聖龍達が住まう森林の入り口には、神殿が建てられ、レビアナ・サリバンと言う聖龍達の始祖長に当たり、歴史上で初めて聖龍の中で人間へと姿を独力で変身できた人物であり、ドラグナー皇国を建国した初代の王と種族の壁を越えて結婚した女性である。



一時期はレビアナに続いて、多くの聖龍等が人の姿を取れるように成り、次々と多くの同胞達がドラグナー皇国や異国の民と出会い、そして、友好を深めた末に結婚をして行った。



多くの子供を儲けて平和な日々を過ごして居たが、ある出来事を境に人型の聖龍達が徐々に人々の前から消え去ってしまう。


レビアナも初代国皇が天寿を全うし、子や孫の行く末を見届けると、何時しか王室から去って歴史の表舞台から居なく成ってしまうのであった。



その後、ドラグナーの地方では、何時の頃からかレビアナは、嫁入り前の遥か西方での世界の敵にして災厄である邪神を倒して、世界を救った功績とドラグナー皇国の臣民が慕われた事に起因して神様扱いに成り、ドラグナー聖龍山脈に神殿が建てられ、レビアナ聖龍神教と言う宗教の神とされてしまって居た。



ドラグナー皇国の人々は、聖龍と人間との子孫を自称し、王族はレビアナ神の子孫と喧伝して居る。




聖龍に付いても少しだけ語っておこうと思う。



 この国の聖龍は、セイント・ドラゴンとも呼ばれる龍が生息して居て、身長が約35メートルから45メートルの間である。



 個体差もあるが、一般の国家で飼育されている飛竜は15メートルから25メートルくらいだ。



竜人族の竜化時の身長が大帝皇室の歴代の記録では最大で50メートルくらいは在ったと言う記録が有る。



 聖龍と言うのは、その中間くらいの背丈である。



古代の聖龍族と人間との子孫に当たるドラグナー国民らに色濃く受け継がれた者呑みが聖龍と契約をし、聖龍騎士に成る事が出きるのである。


 この国の騎士達は聖龍騎士に成る為に死に物狂いで鍛錬と勉強をこなし、日夜励んで居るが、それでも才能と血筋が物言うのである。



この聖龍との契約で得られる事は、騎乗するのは勿論のこと、最も信頼が厚いパートナーとの間では龍鎧器形態になれるのだ。


 龍鎧器形態は契約者と一対に合体し、聖龍が主人の鎧になる姿である。



 聖龍の鎧を纏った聖龍騎士は、一騎当千の強さを誇り、あるゆる空間での行動が可能となり、立ち向って来る敵は、例え一個師団であろうと楽々と打ち滅ぼせる実力が有ると言う。


 しかし、この聖龍との契約が何故在るのかを・・・・・ドラグナー皇国の人々は、その理由をすっかり忘れ去ってしまって居た。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る