34話 自衛隊西方への大遠征。発動!輸送艦隊護衛大作戦・・・・・・なのです! 4

 アースティア暦 1000年・西暦2030年・5月30日・午後14時20分・ユーラシナ大陸・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・コヨミ半島・コヨミ皇国・万代藩・万代港・防衛省・新世界アースティア・ユーラシナ大陸調査自衛隊派遣隊総司令部・万代支部・第一会議室にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


更にダバ派遣隊付いての会議での話は続いて居た


「それでこの陣容なのか?だがな、このメンツと装備は過剰過ぎやしないか?」


「俺の所のアパッチとコブラ、それに椎名三佐の部隊の10式戦車隊や他の戦闘車両まで出す必要が有るのか?輸送するだけなら、海自や普通科の連中だけでも十分だろう?」



「ええ、黒田一尉の言いたい事は分ります。運搬だけなら海自の護衛艦と輸送艦の派遣、井上一佐や他のレンジャー持ちの自衛官の方々を含めた警備に必要な方法は他にも幾らでも有ると思います。」


「戦車や戦闘ヘリ、多数の陸自装備を持って行っての護衛は、流石に大袈裟では無いのですか?」



黒田一尉と椎名三佐も派遣する戦力が過剰すぎるのでないか、輸送をするだけなら、海自戦力と護衛戦力り陸自普通科部隊を少数で十分だと、素人でも同じ考えの反応をすろだろう。



他の陸自のメンバーもまた至極同然の疑問を竜史に投げ掛けた。


 それもその筈、今回の陸自の派遣部隊が合計で2000人。



 10戦車12両・16式機動戦闘車4両・AAV7水陸両用車10両。



 87式自走機関砲8両・96式装輪装甲車5両・87式偵察警戒車8両・89式装甲戦闘車5両。


11式装軌車回収車2両・31/2tトラック11台・軽装甲機動車12両。



 高機動車10両・120mm迫撃砲10門・1/2トラック2両・82式通信車1両。



 偵察用オートバイ8台・AH-64D戦闘ヘリコプター (アパッチ・ロングボウ)7機。


 AH-1S戦闘ヘリコプター(コブラ)7機・CH-47JA 輸送ヘリコプター4機。


 UH-1H多用途ヘリコプター4機・OH-1観測ヘリコプター2機と言った具合に、チョッとした上陸戦が出来そうな編制だったからである。



海自の編制もいずも型ヘリコプター搭載護衛艦かが、ひゅうが型ヘリコプター搭載護衛艦ひゅうが。


 護衛艦きりしま・あしがら・いかづち・いなづま・くらま・とね・ちくま。


 あかつき型護衛艦あかつき・ひびき・しらつゆ・しぐれ・すずかぜ。


 つがる型揚陸護衛艦つがる・おしか・おが・おもえ・まつまえ。


 あつみ型輸送艦あつみ・もとぶ・ねむろ。


 みうら型輸送艦みうら・おじか・さつま。 



補給艦ましゅう・おうみ。はやぶさ型ミサイル艇7隻。


 海洋観測艦しょうなん・にちなん。



 掃海母艦うらが・多用途支援艦ひうち・すおう・あまくさ等が編制されて、派遣される事と成った。


 残った護衛艦で万代港の守りを固め、舞鶴や呉に佐世保の残存艦隊は、旧日本海と九州から東シナ海、更に皇国西側の龍雲海にかけての警戒を続けられて居た。



「俺もその辺の所を是非、聞きたいね高見君。」




井上一佐も大規模な編制の艦隊を大げさだなと見ていた。



 任務とは言え、一佐から三佐の階級クラスまでの指揮官として駆り出すには、特別な理由が要る筈と見ていた。



 確かに、ただの物資の受け取りと輸送だけなら、最低限の運用で動かせる海自幹部を上官とする艦隊や一射等の陸自衛幹部を指揮官にして、小中規模の部隊の編制で済むだろう。



 何か別の思惑か西に何か起きているかと思って居た。



 何れにしても彼の口ら語られるだろうと思い、余計なツッコミは言わないで置く井上一佐だった



「はい、若輩ながら国務の大臣職を預かっている身なので、この処置を取るのは、皆さんの無事の帰還の為の処置です。と言うのは建前ですね。地図を見て貰うと分り易い思います。」



 竜史は地図を指揮棒で指しつつ説明を続ける。



「此処より内陸の一部はコヨミ皇国領です。」


「西に龍雲海、その海の3方向には、南にドラグナー皇国、北はコヨミ皇国領で西に帝國占領統治領であるシャッポロ領です。」


「この海は丸で円を刳り貫くかのように形になっており、シャッポロ湾と言う地名の湾と成って居る所です。」



「この地方の海は、龍雲海を大きく3つの地域に分けて居ます。」



 地図の北に指揮棒が指される。



「北に目をやるとパイプ・ライン川と言う大河が流れています。この大河は、大陸のあちこちに延びて流れています。」


「何でも昔の戦争の名残と言う話が有ると聞き及んで居ます。」



「さて、その大河は支流も併せて、護衛艦クラスの船舶が、余裕で通過できるほど幅と水深が有ると先行偵察により調査済みです。」



「北には、ラクロアナ王国と言う国があり、コヨミ皇国との国境近くに大河を挟んで飛び地の領地、シャン・ライア州領が在ります。」


「此処は南北と西側方面の貿易港で、同国に取って重要な拠点と成ります。」


「問題なのは、此処から西に向って大河を遡上し、数箇所の湖を抜けて、3カ国の国境を越えて目的地であるダバード・ロード王国に辿り着くまでには凡そ7日以上ほど掛かると見ています。」


「行き来するのに、往復で凡そ14日を予定しています。」


「勿論、何か有れば予定の変更も構いません。日数も早期に帰還した場合での日数計算です。」


「自衛隊の皆さんには、安全第一で無事に戻って貰いたいと思っています。それと、厄介な出来事は有った時は、僕にご連絡を下さい。



「安元総理を始め、日本政府のお歴々と共に対処しますので・・・・・・・・」



「成るほどねぇ、これだけの距離を往復すると成ると、ある程度の規模の艦隊や陸自装備は要る様だな。」



「陸上戦力に揚力部隊と各種ヘリに戦車、装甲車と色々と物入りな訳だな。」



 置鮎一佐と井上一佐の両名は、凡その状況を呑み込めている様だった。



「と言う訳だ。スマンが陸と海、両自衛隊の指揮官二人は、緊密に協力し合って無事に帰って来て欲しい。」



「陸自の編制に対空誘導弾を持たせないのは護衛艦がある為だ。オマケとして87式自走機関砲を付ける決定は、わし等大陸派遣隊・統合作戦部からの厚意だ。」


「最も輸送艦の数が元々足りない事も関係しているがな。」



羽佐間が補足の説明をしつつ理解を求めた。日本は現在の所、旧式輸送艦を含めて17隻も保有している。


 一時期に比べて大幅な増強を行っているが、万代港への往復に従事している関係でこれ以上は、余程の事態が起こらない限り艦船を割けないのである。



「この輸送任務は、大河の反対に位置する南部の帝國領の近くをどうしても通過する事に有ります。」


「軍や民間の船が、ただ通過するだけならこの世界の慣例的な国際法に違反しないのですが・・・・・・・・・。」



「わたし達か、北部の友好国の軍隊が、帝國の何れかの地方軍団や地方部隊と独自にぶつかる可能性が有りと言うのですね。」



三石がこれから先の展開を予想し、頭の痛い事実に溜息が出そうに成った。



「それと西方でも帝国軍の動きが活発に成って居るらしいとの情報も入っています。」


「日本の管理下に成っている国際宇宙ステーションと第1次アマテラス計画の人工衛星の打ち上げに伴い、定期的な地上の監視を行って居ます。」


「やはり、地上では空挺魔導艦と陸上魔導艦らしき艦影の動きが活発に動いていますね。西方の大河の方でも帆船型戦艦も同じくとの情報が入っています。」



「軍事衝突が、何時、何所で起きるか分からない中を君達を派遣するのは危険なのは承知なのだが・・・・先方からの軍事兵器の無償提供だ。」



「この世界では大量輸送の手段が魔導船と言う我々からすれば、特殊船舶な事も有って、それらから身を守る完璧に近い防衛手段を持ち、輸送手段を持っている我が国が、直接現地に向わなければ成らないのだ。」


「それに軍事機密に相当する兵器を大量に運搬する危険性と無償提供を受け取りを断るのも外交上の慣例として失礼な事だ。」


「派遣される諸君なら無事に任務を遂行出きると期待している。」



羽佐間が最高司令官として話を纏める。



 確かに軍事機密に相当する魔導機兵と発見された戦闘機を大量に遠方へと輸送するのは、この世界では危険を伴う。


 何時、何所で襲撃されるか分からないからだ。



 護衛を付けたいが、それぞれ国に所属している官民が保有する魔導戦艦等の戦闘艦は、揃って帝国に対抗して居るし、どの艦もスケジュールも埋まって居て、急な対応に困って居るらしいのである。



 それに自由に動かせる船はと言うと、更に限られて来る。



 其処で彼の国は、日本に受け取りに来てい欲しいと頼み込んで居るのたが、本当は別の目的も絡んで居るので、実にこの様な回りくどいやり方に成って居たのであった。



「ともかく・・・・・西へ、先方からご招待です。」



「外交官は今回の訪問は、外交交渉ではない為に、行けませんが、無事に物資を受け取りご帰還を、それとこの封筒二つ、渡しておきます。置鮎一佐、貴方に預けます。」



 何か竜史が何処かの有名な軍師みたいな事をしていた。



「これは何だ?」



「秘密の封書です。今の日本のご時勢では、古いと言われるかも知れません。」



「秘密の指令書が入ってます。一つは、困った事態になったら封を開けてください。二つ目は目的地に着いたら開ける様にして下さい。それまでは金庫にしまって下さい。」



「了解した。」



「両指揮官は、それぞれの部隊指揮系統は、そのままにして、全体の統合指揮系統は先任の置鮎一佐を司令官とし、副司令官を井上一佐とします。」


「副官もそれぞれの指揮者をそのままとします。」



「それと、万が一の場合に備えて、追加の支援艦隊の編成と派遣の用意が有ります。ですので皆さんは安心して前に進んで下さい。」




「それでは皆さん、航海の無事とご武運を。」



竜史の締めの一言を言い終えると、その場に居る自衛官が一斉に立ち上がり敬礼をした。



 会議が終わると連絡を受けた給仕担当の自衛官達が遅めの昼食を持って現れた。



 そのまま会議室に居たメンバーはその場で昼食と成って行く。


 色々多忙なスケジュールで有ったが故に、お昼も遅くなってしまったらしい。


 かくして日本が異世界で初めて行う遠征任務の会議は、この様にして終わったのである。

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