33話 自衛隊西方への大遠征。発動!輸送艦隊護衛大作戦・・・・・・なのです! 3 

 


 アースティア暦 1000年・西暦2030年・5月30日・午後14時10分・ユーラシナ大陸・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・コヨミ半島・コヨミ皇国・万代藩・万代港・防衛省・新世界アースティア・ユーラシナ大陸調査自衛隊派遣隊総司令部・万代支部・第一会議室にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 一行は海自区画を抜けると中央にある防衛省・新世界アースティア・ユーラシナ大陸調査自衛隊派遣隊総司令部、万代支部と書かれた建物の前で車を降りた。


 ちなみに派遣隊本部は、大使と外交官を含めた人達り護衛と総合的な情報が手に入り易い皇都・星都市と成って居る。



 此処でコヨミ皇国側の人達とは、一旦、別れる。



 コヨミ皇国の人達が自衛隊基地に来たのは、ある事に付いての会議の為であった。


 日本側がコヨミ皇国の者等と一旦、別れたのは、単に自衛隊だけで行う事務的な会議と打ち合わせの為のである。


 ついでに会議室で昼食も摂るので、コヨミ皇国側との直接会議の日程は、午後3時過ぎからと言う話に成っている。


 それまでコヨミ皇国のメンバーは、食堂で昼食を取る予定に成って居る。



竜史達と自衛官等の一行は、集合予定の有る第一会議室の中に入ると30代半ば位の無精髭を生やした男がブラックコーヒーを飲みながら待っていた。



「よう、久し振りだな三石。」



「置鮎一佐、お久し振りですね。」



この二人は、何度か一緒の護衛艦での勤務と地方隊の編制で、同じ地方隊や護衛艦群で、供に艦長の経験があった。


 置鮎の方が出世が早い事もあり、暫くの間、お互いに顔を会わせて居なかったのであった。



 置鮎竜次郎一佐は、現在はヘリコプター搭載型護衛艦かがの艦長をして居る。



 海自では艦長に成れるのは、2佐以上と旧海軍時代からの慣例であり、世界の海軍の慣例でもある。


 但し、水雷艇の指揮官は艇長と言い、これは3佐以上で成れるのだ。



 日本ではミサイル艇はやぶさが、これに当たる船だ。


 これも世界的な慣例的決まりで有るのだった。



「三石2佐、立ち話と旧交を温めるのは、それ位にして、席に着きたまえ。」



「はい。」



羽佐間に、そう言われると彼女は置鮎の隣の席に着いた。羽佐間の右手に竜史が座った。




「遅れて済みません羽佐間さん、陸自の打ち合わせが少々長引きまして。」




「構わんよ。そちらの打ち合わせが決まらんと家の方も動けんからな。」



 数分の遅れで入って来た家中陸将が陸自の幹部らと一緒に会議室に入る。



「椎名ひかる三佐です。」



「黒田宗近一尉だ。」



「ダバ派遣・陸自派遣隊の指揮官を務める井上一彦一佐です。」



 この三人は、これから話し合われるダバード・ロード王国への派遣部隊主要なメンバーであった。


 ダバード・ロード王国からの提案で、準備が進められて居る国際会議の開催地と成る東京へと向かう事と成った西方の国家元首や政府職員の向かえに行く為に、結成された西方面海自派遣艦隊・通称・ダバード・ロード王国派遣艦隊。


 略称名はダバ派遣艦隊と名付けられた派遣艦隊。


 その陸自のダバ派遣部隊の一翼として部隊指揮を任されて居る人達である。


 椎名三佐は女性で、キャリアウーマン風な顔立ちのクールな女性に見えるが豪快な性格で、10式戦車隊の車長兼中隊長していて、彼女の部隊は、演習での命中率と撃破率は120%なんて噂が有る。


 黒田一尉はAH-64D戦闘ヘリコプター (アパッチ・ロングボウ) 隊の中隊長をしている。


 井上一佐は普通科の大隊長をしていて、レンジャー持ちでもある人物だった。


 そして、水陸旅団や空挺隊員の多くの経験も積んで来た事のあるベテランでもあるのだ。


 さて、このメンバーを集めたのは、日本政府と防衛省、外務省、交援省であり、此処に居る自衛隊にメンバーらすら、その真の目的の内容を知らされて居ない極秘作戦。


 東京サミット開催(仮)の為に護衛艦隊と陸自派遣隊の2部隊で構成された西方国家元首脳陣・極秘輸送艦隊極秘輸送大作戦を行う為の招集である。



「さて、皆さん、お忙しい中をお集まり頂いて有難う御座います。ある事情が有りまして、日本政府は防衛省、外務省と共に、僕の所管する交援省にある事を要請して来ました。」



「それは、ダバード・ロード王国から自衛隊の西方への派遣要請です。」


「実は西方の雄である国家の一つで、ダバード・ロード王国が先頃、コヨミ皇国駐在大使を通じて、我が国の外務大臣である諏訪部さんと交援大臣である僕に会談の申し込みが有り、同大使からある以来の話が有りました。」



「それはこの世界の主力兵器として運用されている魔動機兵・ナイト・マギアの譲渡です。皆さんには、この機体の受領と輸送艦隊の護衛をお願いしたいと思って居ます。



「輸送の護衛だ?そんな事くらい向こうの輸送艦隊と戦闘艦隊で、何とかならないのか?」


「それが出きれば苦労無いとの事です。大艦隊を派遣すれば、帝国との大戦に成り兼ねないとの理由から、現地軍が日本国へと向かう事は困難を極め、現地へのルートは帝国の国境線であり、最前線とも言えるパイプ。ライン大河。」



「並みの軍では走破は難しいと、日本政府、防衛省、外務省、交援省が総力を挙げて調査した結果で出て居ます。」





「そんな理由から、僕は国外にして、未知の異地である西方地域への輸送艦隊の護衛及び、西方地域の直接調査と情報収集の為に、最高司令官代理及び交援省大臣として権限を行使し、自衛隊に西方へ遠征派遣出動を命じます。」



「遠征?これまた久しく余り使われていない言葉だな。ソマリア以外で軍事的に近い行動を極力避けて来た我が海上自衛隊としてはだがね。」



置鮎が皮肉を言いつつ、竜史の物言いを心の内でその面白い言い方を笑っていた。


 昨今では、遠征なんて言葉は日本では聞かなくなって居る。



 災害派遣、人道支援、海上警護、海上警備、調査派遣等と言われて居るし、唯一言ってる軍事的に近い用語と言えば、練習艦を伴なっての遠洋航海くらいだろう。



 軍事的な用語を政治の場や公共の場で言う事は、我が国では避けられて来た事であった。


 竜史は素人的な失言を言っているとも言えるが、もう、国連も中国も南北朝鮮も居ないのだ。



 遠慮と配慮は要らないだろうと言う考えから、この事をワザと言っていた。



国会も戦争行為自体を反対する勢力が居る物の、与党と中立政党は、侵略行為に当たる行為が無ければ、自衛隊の運用に問題が無いとの考えからであって容認する動きが強い。


 現政府も余程の無茶な行動をしなければ、与党議員と中立政党議員もそして、国民も五月蝿く言わないと予想して見ていた。


 まあ、国内各地でアレな人達が今もプラカード片手に日本各地で、戦争反対っ!戦争反対っ!と声高に叫び声を上げて居るが、そんな現実逃避と活動費を食い物にして居る連中の言う事を聞く必要も言ってる事を真に受ける気も、今の日本政府には更々無いのだ。 



「まあまあ、置鮎さん、今の発言はジョークとして流して下さいよ。」



 若者が年上から弄られるのは、ご愛嬌である。からかわれて居るのを承知で竜史は話を続けた。



「さて、この度の皆さんへの出動命令は、先月末にコヨミ皇国の万代市の外務省連絡事務所に、ダバード・ロード王国からの打診を受けての事です。」



「現在日本政府は、コヨミ皇国と国交樹立に向けて先月から外務省が中心と成ってコヨミ皇国に入り万代市と加古島市に事務所を構えました。」



「そして、今月の中旬から皇都・星都市にも大使館を構えて居ます。」


「交援省も外務省のサポートや情報収集をしながら、様々な方や各国の省庁組織と接触し、日本国と地球系国家とのサポートと橋渡し役を担う仕事して居ます。」


「そして、先月から各国の在コヨミ大使館の大使と面談や各国本国から、国交に付いての日程の問い合わせを受けて居ました。」


「勿論、此方も何カ国かに国交樹立申し出をコヨミ皇国に仲介して貰って居ますが、ある国が逸早く動きが有りました。」



日本がコヨミ皇国入りして1月が経って居る。


 皇都・星都市と万代市それと加古島市にある外務省連絡事務所は、コヨミ皇国から仮では有るが、大使館と領事館にの扱いに格上げされて居る。


 日本からの大使の派遣に付いても人選が、検討中なので就任次期は、もう少し掛かる様である。


 異世界各国も強かで、日本の存在を知り始めた各国の大使が本国との連絡のやり取りが活発に成って居た。



 そんな中で先手を取った国が在った。


 それがダバード・ロード王国である




「早いな。情報の早い獲得と素早い外交能力・・・・優秀なトップが居るようだな。」



置鮎一佐は、素早い動きをした国家を誉めた。



 三石は出発前からニュースや海自基地の上官等から今だ人数不足と警備上の問題から皇国以外の国家に、外交団の派遣が出きないもどかしい状況と厳しい状況にある日本の情勢である事を聞いていた。



「それが先に申しましたダバード・ロード王国です。」



竜史の話に自衛隊幹部らの注目が集まる。



「そのダバード・ロード王国からの申し出は二つ有ります。」



「その内の一つは、ダバード・ロード王国内のアルインランド州の州都の近くには、パイプ・ライン大河が通過する湖であるアイリッシュ湖が在ります。」


「そのアイリッシュ湖の中央には、ガイダル諸島と言う島が有るそうです。」

「そのガイダル諸島には、複数の古代の遺跡が、そのまま残って居るらしく。此処を日本に調査して欲しいとの事です。」



「はぁ?遺跡だぁ?高見君そんな事は、文科省を通じて考古学者か各大学の関連の博士にでも頼めば良いんじゃないのか?」



置鮎一佐は、当然の事を言うのである。



 確かに遺跡なら文科省が国内の専門大学から学者でも派遣すれば済む話だ。



 何で自衛隊がわざわざ出向いて行く先では無いと思うのは誰でも当然の考えと言えた。


 

 その事に付いて竜史は、話しを続けながら置鮎に納得の行く説明をして行く事で誤解を解こうとした。



「実はその遺跡でですね。その昔、空挺魔導戦艦の飛行場に使われた施設の遺跡らしいんですよ。」


「ダバード・ロード王国からは、その飛行場遺跡を調査した上で、現代式の飛行場に作り変えて、使える様に欲しいと言われたんですよ。」


「其処で交援省は、日本政府に対して、必要な資材と機材、遺跡調査に必要な学者と建築技師、護衛の普通科部隊と施設改築建設の為に施設科等の自衛官達を付けて現地に行って貰ったのですが、其処でとても面白い物を発見したんですよ。」



「面白い物?」



 井上一佐が聞き返してきた。



「ええ、魔法の中には、物や建物を保存する固定化魔法と言う魔法が有りまして、その魔法が掛けれた遺跡はですね、保存状態がかなり良い形で残り続けると言うんです。」



「そして、調査した飛行場の地下室のその中には、見た事も無い戦闘機が30機と弾薬が多数発見されました。」



「それも700年前の遺跡でですよ。」



「正に異世界、SF映画みたいな出来事だな。」



「事に由っては、世紀の発見と言う感じにも成りますね。」



丸で映画やアニメのような竜史の話に黒田一尉と椎名三佐も興味を惹かれたらしい。




「現地に派遣された文科省の職員と学者さん達に建築や電工技師の人達も驚いて居ましたよ。保存状態がとても良いので、発見した機体は、補修と電子機器を入れ替えれば、まだまだ使えそうだとの事でした。」




「その飛行場と発見した飛行機は、自衛隊と日本政府が管理する事と成った。」





「羽左間さん、我々はその飛行場への追加物資の輸送と魔導機兵の受領とも発見された飛行機の受け取りと輸送護衛が今回の我々の任務なのですか?」



 三石二佐が作戦の意図を聞いてきた。



「その通りだ。高見君。」



「はい。ダバード・ロード王国は30機以上の機体を日本に無償提供したいとダバード・ロード王国の在コヨミ皇国大使を通じて我が国に言って来て居ます。」



「先に述べた飛行機も、日本の筑波大学と三葉重工、カワカミ重工、モトダ技研工業、常陸那珂製作所、スバル星重工株式会社の五社で解析して行く予定と成って居ます。」


「おおっ?!我が国でも名立たる企業が集まっての技術解析か?」


「物凄い計画だな。」


 

 自衛官幹部達は、自分達に馴染みある日本有数の技術と技術者を有する大企業の名を聞いて感心していた。



 何しろ、防衛省と自衛隊が日ごろからお世話にも成っている会社が入って居るのだから、関心する所も有るのだろう。


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