35話 自衛隊西方への大遠征。発動!輸送艦隊護衛大作戦・・・・・・なのです! 5

 アースティア暦 1000年・西暦2030年・5月30日・午後15時20分・ユーラシナ大陸・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・コヨミ半島・コヨミ皇国・万代藩・万代港・防衛省・新世界アースティア・ユーラシナ大陸調査自衛隊派遣隊総司令部・万代支部・第三会議室にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



遅め昼食が終わり、日本側が使った会議室とは別の第三会議室に集まった一同。



 翌日に出発する西方への輸送艦を多数使った西方国家元首脳陣・極秘輸送艦隊極秘輸送大作戦が行われる。




それはダバード・ロード王国からの打診で、魔動機兵と言う人型兵器の受領、そして東京サミット開催(仮)の為に魔動機兵と言う人型兵器の受け取ると言う形で、西方国家元首脳陣を日本へと迎え連れて来ると言う一大極秘輸送作戦。



 更にダバード・ロード王国のもう一つの目的たる自国生産の魔動機兵を改良開発を目的に、軍事機密の塊を日本に譲渡し、新型機の開発を協同でやろうと言うものであった。   


 そんな様々な事情が絡む一大プロジェクトに向けて、ダバード・ロード王国は、廃棄寸前の機体と古い型の機体を凡そ30機以上を用意して待って居ると言って来て居る。


 日本も何れは、この行為に対して何らかの譲歩をしなければ、成らないだろうが、今は国交の締結を優先する考えだ。


 魔動機兵の譲渡と改良研究は、あくまでも西方国家元首脳陣を日本へと迎え連れて来ると言う一大極秘輸送作戦の一環の序でであり、これに関しての見返りはダバード・ロード王国側から求められて居ない。


 ダバード・ロード王国側からすれば、魔動機兵の譲渡は、自分達を日本まで護送輸送をして貰う旅費の一つと決めているからであった。


 だが、そのハイリスクリターンから来る自国への利益は、彼の国に取って莫大な物と成るのは確実と言える国益が絡む事で、自国の首脳幹部を黙らせる事で成立している事を付け加えて置く。

 


会議室では、右側に日本関係者、左側にコヨミ皇国関係者が座り、その間に交援省大臣である竜史が、この会議の進行役として座っている。


竜史の側から見て左のコヨミ皇国側の席に居るのは、日本との仲介人役を引き受けている紅葉が座って居た。



 そして、た西方国家元首脳陣・極秘輸送艦隊極秘輸送大作戦の最後の打ち合わせが始まろうとしていた。




 竜史は、書類を持ちながら会議の進行を始める。




「それでは最終確認を兼ねた会議を始めます。自衛隊の用意した陸海の両部隊の編制は書類の通りです。」




「準備期間が短いのに随分と早く揃えたものね、これなら大事な部下達を派遣出来るわ。」




 部隊編制の内容を見て感想を述べているのは、コヨミ皇国屈指の偏屈で変わり者と表される伊達愛海である。



「写真付の書類と言うのがまた、良いわね。これなら素人でも、パッと見る事で大体の事が分かるもの。」



「良い仕事してるわ」と言い仕事をした自衛官や他の省庁の官僚等を誉めていた。



 後方の席に控えて居る日本側の各省庁の者達は、彼女の噂をまことしやかに聞いていた為に、汗をダラダラと垂らしている。


 付け加えて言うのなら、これを纏めた官僚と自衛官等は、正に死に物狂いで仕事を行ったであろう。



 意気消沈の所を愛海の毒舌を喰らい止めを刺されて居たのであった。



「それじゃ、二人とも留守の方は、このわたしに任せて、日本の人達の道案内を宜しくね。」



「はい。」



「はい。」



 愛海の横には高雄瑞樹と愛宕千棘の二人が座っている。



「いや、違ったわね。留守はわたしと自衛隊が守るから安心してねが妥当だと思うわ。」



今度は実際に防衛を担う自衛官の人達が汗ばんで来ていた。



「愛海様、今回は観戦武官の任も同然と考えています。」



「ふふっ、そうね。乗った事もない船に乗るのも大事な経験よね。」



「そうよね、どうせならしっかりとやり方を盗んで来なさい。」



(いや、この場で堂々と我が自衛隊のやり方を盗めって。)



(普通、言うか。張本人たる我々が居るこの場で・・・・・・)



 ニヤニヤとして居る目で、下っ端の自衛官の様子を見て、揶揄いがいが有ると思って居る愛海。


 今回、コヨミ皇国側の好意で、瑞樹と千棘の両名は自衛隊の道案内として、本作戦に参加する事と成って居るのだ。



「羽佐間提督も、もしもの場合は例の約束をお願いするわ。」



「分っておりますとも。万が一の場合の件は高見大臣との協議をしておりますし、日本政府の許可も取って有ります。」



羽佐間海上幕僚長も冷静な顔立ちで彼女に相対して居る。



 流石は年の功である。



 その会議を見ている紅葉は心の内で「はぁ~」と溜息を吐いて居た。



 友の吐く毒を受け流せる人は、そうは居ないとね。



「羽佐間幕僚長、例の件とは何ですか?」



 例の件と聞いて、ふと気に成った置鮎一佐が疑問に思い質問をして来た。



「ああ、今はまだ話せん。何事もなければ、それで良い。」



「はぁ?」



 これ以上聞いても無駄と悟った彼は、大人しく引き下がった。



 最終確認を終えた双方は、翌日の午前6時集合、7時出港とし、会議はその場で解散と成った。



 同行者二人は荷物を纏め次第、自衛隊の宿舎に泊まる事になった。



 自衛隊の行動は時間厳守が基本でからである。


 その習慣に慣れていない二人を気遣い、自衛隊側は、翌日に備えて宿舎を用意したのであった。




 一方、外では自衛隊員達が、港での陸揚げと積荷の入れ替えに連日に渡って作業に追われていた。




「オーライ、オーライ、止まーれ。良し、10(ヒトマル)は、これで最後だ。」




「さつまに各種砲弾と弾薬、誘導弾積み込み終わったぞ。」




「おお、ご苦労様。」




「そういえば、新型補給艦が来るって聞いたけど。」




「耳が早いな。ああ、まみや型が急遽、来るって話だぞ。」





「西方に派遣される補給艦が有るだろう、それに付いて行かれると、万代港で護送艦の補給に支障を来す事も有るからな。その代わりだってさ。」




 まみや型とは、先頃、就役した新鋭補給艦のまみや・いらこ・あかしの事である。



 西方への護衛艦隊を中心とした輸送艦による西方国家元首脳陣・極秘輸送艦隊極秘輸送大作戦に、補給艦ましゅう・おうみを派遣する事に成ったので、その代わりの補給艦を万代港に派遣する事と成ったのである。



 別の違う所では、陸揚げされた車両が、皇都へと随時向う所であった。




 陸揚げされて居るのは戦車部隊で、主に北部方面隊と東部方面隊から派遣された主力の戦車隊である。



74式戦車は、今だ国内に100両以上は稼動状態にして有る戦車で、近年、退役させ、部品様にストックして有った50両が、各地の倉庫で眠って補完されて居る分を全て合わせると150両は残って居た。


 その74戦車を大陸派遣隊に組み込んで居るのは、失っても惜しくない装備としている為である。



 日本の自衛隊の戦車隊は、未だに全部で500両前後を保有して居る。



日本の戦車は、将来的には機動戦闘車と併せて300両前後と減らされる事に成るらしい。


 この異世界に転移した日本は、諸事情で代替と再編作業が遅れていて、機動戦闘車が中部と近畿を中心に120両が配備され始めていた。



そして、大陸派遣隊には、先に述べた74式戦車以外に、10式戦車と90式戦車を合わせて200両が派遣されている。


 国内に残るのは凡そ200両前後の10式戦車が残る事になる。


 政府は派遣に至って機甲装備の出し惜しみは良くないと考えて居る傾向に有る様だった。


 だが、全戦力を出すのは、流石に不味いので、使い古しの74式戦車を多めに出す事で、帳尻合わせをして居るのだった。


 74式戦車達に取っては、もう、これが最後の活躍だろうと防衛省も考えている。



 一部の隊員達の間では、最後の奉公が出きると泣いて喜んで居るとか。


 この新世界にて、主力となる兵器である事には間違いなかった。


 この後、以外にもこのアースティア大戦に措いて、74式戦車は、この世界の主力陸戦兵器と成る。


 配備させる流れてとして、先ずは異世界各国に61式戦車を先行配備させ、練習機兼第一戦車大隊として戦車隊を創設。


 次に操縦と砲撃に慣れて来た所で、代替えを始めて行く。



 まぁ、軍事関連に詳しい者からすれば、旧式の61式戦車から何故、配備するかと言うとだ。


 コストパフォーマンス的な理由と、順番を追って配備して行くと言うありふれた理由から来る物だ。


 流石に90式や10式を売り出す訳にも行かないし、地球系の国々にも配る必要と理由も有る事から、74式戦車を地球系国家に優先配備をし、遅れて戦車運用に成れた異世界国家群に、砲塔を100ミリにした車両を売って行くと言う流れが生まれた訳だ。


 勿論、戦車生産の為に、日本国が苦労して作り上げた現用の74式戦車に掛かる費用を新規生産の戦車にも同様のコストを掛けるのは、不味いので、それに掛かる費用対効果を算出し一台当たりの調達価格を1億円を切る様にとの無茶な通達が来て居た。


 そして、三葉重工業株式会社が全ての設計から生産体制の音頭を取る形で、地球世界でも取って居た生産体制方式をフル活用して、これに応えたのであった。



 後に、この世界近代化兵器の大半を生産して行く事に成る日本国、陸上装備は三葉重工業株式会社が中心と成って、豊川自動車工業株式会社と追浜自動車産業株式会社の二大自動車工業が大量生産工場を手配して行く。



 其処に更にカワカミ重工・大日本製鋼所・スバル星自動車工業株式会社・松葉東洋自動車工業、ダイマツ自動車工業が各種フレームや装甲版の生産を請け負い。


 足回り部品の類を大松製作所・常陸那珂製作所・三葉扶桑が請け負う体制が整えてられて行くのであった。



 その甲斐も有ってか、61戦車と74式戦車の平均コストは大量生産の採算が取れる見込みも有って最大で7千万円までコストカットに成功する事に成ったと言う。






さて、話を戻すが、港で陸揚げされた90式戦車隊、最高尾に10式戦車が出発しようとして居た。



 その後ろに78式戦車回収車、90式戦車回収車、11式戦車回収車が続いて居る。



この機甲装備は、対帝国に対しての中核の防衛戦力である。



 日本とコヨミ皇国は、コヨミ皇国の内陸部の万州地方での迎撃プランを想定していた。



 それが何時に成るのかは、まだ分からない。



沖合いにはヘリコプター搭載護衛艦かがとひゅうがでは、陸自のヘリコプター部隊が続々と着陸して来ていた。



 今回の遠征は急遽、決まった話でも有ったからだ。



先月の13日に有った日本とコヨミ皇国との動きをアーヤ女王は魔法水晶での魔通信を使ったコヨミ皇国の駐在大使とのやり取りで皇国の動きを察知し、4月中には凡その方針を決めて居たのだ。



そして、日本から送られたカタログ冊子に目を通した。



異世界共通暦、アースティア暦1000年 4月20日に行われた御前会議で日本との国交を結ぶべく行動起す事に決めたのである。



 その一環として、アイリッシュ湖のガイダル諸島に在る飛行場の遺跡を日本に調査と改修と改築の許可をさせ、主力兵器である魔動機兵・ナイト・マギア30機を無償提供を決めた。



魔通信でコヨミ皇国の駐在大使に全権を与え、5月の半ばに機兵の譲渡と運搬に関する取り決めを終えていた。



 一方の日本とこ皇国では、ダバード・ロード王国への派遣に向けての協議をし、コヨミ皇国は、道案内の武官を派遣する事を決定。


 出発の為、自衛隊は数日を掛けて夜通しで積荷の整理を行う羽目と成ったと言う訳だ。


 そのせいで車両もヘリも護衛艦も休み無く動き回っていた。



 楽をしていたのは航空護衛艦の乗員と空自の人達である。



 その楽で気楽な自衛官らを作業に励む自衛官らは恨めしい目で見て居たと言う。

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