チョキチョキ長期の初詣
相変わらず僕は長期休暇の上に胡座をかいて、平日よりもいい加減に生きている。
長い坂道は参拝道、のらりくらりと歩いてる。やけに透き通った純粋な景色が、朝の陽に照らされてなんとも言えず輝いていた。
団地のくすんだ白さと、見上げた空の青さと淡さは、曖昧なままに終わらした将来の話によく似ていた。
誰かの言葉を借りようと思ったけど、何も思いつかない、無学だ無知だ白痴だ、発想力が欠如している。
坂を上りきった頃、往来する車に注意しながらコンクリートの上をずんずんと進んでいく。
上り坂が下り坂になって、子供がはしゃいで降りていくのが見える。
木でできたトンネルをくぐり抜けるとそこはまた長い階段のある坂、しかし、例年のように行列は出来ていなかった。
時間の問題だろうか?それとも参拝者が減った?分からないけどスムーズに行けて悪くはなかった。むしろいい事だ。
神様、あなたはどこにいるのでしょうか、この空の上ですか?
それとももっと身近で僕達を見守ってくれているのでしょうか?
ねぇ、聞こえていますか?
見えていますか?
或いはこの拙作を読んでおられますか?
もしそうだとしたら私は身も縮こまる思いです。
それは決して寒さから来た体の反応ではなく、あなたの偉大さに恐れをなした体の反射です。
神様、あなたの話はここら辺で誠に恐縮ながら一旦切らせていただきますね。
そんな訳で僕は坂を下りて、ひいおばあちゃんのお家へお邪魔させて頂きました。
たいそう元気なご様子で、今にも走り出しそうな勢いでしたね。
滑舌なんて僕よりもずっとしっかりしていましたし。
冬の景色を眺めながら、田舎の道を歩いていると何か感慨深いものを感じる。
畑に植わった唐辛子や大根、名前は分からないけど青い花弁をつけた綺麗な玄関先の花。
道路の隙間から体を出した雑草は何を考え何を見ているのかとふと気になったりするけど、僕と同じ気持ちなのかもなと思ったりもする。
利己的かもしれないけど、自己中かもしれないけど、僕と道端の名前も知らない草が同じことを感じていたら素敵だと思わないかい?
コタツはないけど心は暖かい、お雑煮を頬張ると体も暖かくなってきた、緑色の草原に浮いた白い雪玉を眺めながら、きらびやかな容器に所狭しと並んだおせち料理に手を伸ばした。
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