第9話 こそこそ



 この世界にはどんな傷や病気にも効く、薬があるらしいです。


 それは、エコー万能薬という物です。


 けれど、エコー万能薬に使われる薬草は珍しくて、なかなか手に入らないようです。


 この世界の人達は皆、薬を手に入れるのには、かなり苦労しているようでした。


「それなのに、この里の近くにはあるのよね」


 しかし何とも珍しい事に、獣使いの里の付近では、数年に一度、たまに素材が見つかったりする事があります。


 険しい崖によく生えているらしいので、行ける人は限られてくるらしいですが。


 でも、もしかしたら、崖の近くでも見つけられるかもしれません。


 そう思った私は、そんな珍しい薬草を探しに行く事にしました。


 危ないからこっそり一人で、朝早くに出発する予定だったんですが、町の外に出た時に「お嬢、内緒でいくつもり? 仲間外れはいやだから俺も一緒につれてってよ」と、アリオに見つかってしまいました。


「嫌だっていっても、心配だからついてくよ」

「しょうがないわね」


 人懐こい性格のアリオだけど、頑固な所もある彼は駄目と言っても、こっそりついてくるでしょう。

 危ない目にはあわせたくなかったけれど、渋々承諾しました。


 見つかってしまった以上つれていくしかありません。


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