第129話 冒険者達
ヴァラカス地方中央から北東部を活動範囲とするベテランの冒険者の
レベル6戦士のロイドをリーダーに、タサン、ワルドの二人の戦士、ガダリという色白の痩せこけた
彼らのレベルは中堅止まりだったが、よく連携が取れており辺境ではそれなりに名前が知られていた。
そんな風凪に舞い込んだのが、ファーレン・ベイルン伯爵の発行した人探しの依頼である。
依頼の内容は人探しではあったが、詳細は伯爵邸で、ベイルン城で説明されるという少々眉唾な依頼だったが、古来より貴族の出す依頼は表から裏から周りに広めたくない内容が少なくなく、ロイド達はさして疑問に思う事もなく報酬の50セリグ(銀貨50枚)に釣られてベイルン城を訪れていた。
戦向きよりは権威を誇張するような尖ったデザインの白い城。城を取り囲む高い城壁に戦闘用の見張塔。
城門を潜り執事に案内される道のりで、
紅一点のリゼが気味悪そうにロイドの袖を引いて呟いた。
「ちょっと・・・、城の警備半端じゃあないんですけどっ。気持ち悪くない?」
ガダリが鼻でせせら笑う。
「貴族同士の領土の奪い合いなんて今に始まった事じゃない。ククッ。仕事が増える事は良いことじゃないか」
リゼは顔を歪めて笑う血色の悪い魔法使いにアッカンベーするとロイドの左腕にしがみついた。
後ろからその様子を見つめるタサンとワルドは複雑そうだ。
ロイドはリゼの彼氏面して右手でしがみつくリゼの手を握って言った。
「伯爵閣下は用心深い方なのだろ。気にする事でもないさ」
「そう?」
「そうさ」
リゼは一層抱きついて胸の膨らみをロイドの腕に押しつけて笑う。
背後に彼らの行いを気配を感じ取って、執事は氷のように冷たい表情で眼光鋭く通路の先を睨みつける。
(いい気なものだ。冒険者など下劣な輩に事を任せるとは)
主人のファーレン・ベイルンの言葉を思い出す。
『二度の失敗には熊のような大男が絡んでいると、草の報告だったな。ならば捨て駒をぶつければ良い。別に信頼のおける兵を送り込むのだ。男が障害になろうがなるまいが、冒険者にはせいぜい目立ってもらう。その間に、今度こそ姫様を攫ってくるのだ』
(伯爵閣下の仰せのままに・・・。せいぜい働いてもらうとしよう・・・)
執事は冒険者一行、
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