瀾(七)
「おい、新米の『護国軍鬼』。お前、何をやった?」
「佐伯の足を奪いましたが……」
「何かが、おかしい。佐伯は……
「えっ?」
次の瞬間、
「何故、俺がこの事を知ってるかは、後で話す……。お前……3号鬼と初代の
どう云う事だ? 「味方であっても、他のチームのメンバーの個人情報は知ってはならない」が「ルール」の筈。しかも……私達が双子である事まで知ってる。……どうなっている?
「佐伯の目的が判らんが……もし、ヤツの目的が、
「仮に……その推測が正しかったとして……私が
「もし、
「ちょっと待って下さい。いつ、誰が、私の脳をいじったんですか?」
「そりゃ……クソったれな『神』様が、お前の気付かない内にだよ。そして……佐伯に宿ってる神は……お前の脳をいじった『神』の姉妹……言うなれば同じ存在の別々の『
その時、少し離れた場所で爆発音がした。
マズい……。そうか……さっきの爆発音も……佐伯が怒りで何かに当たり散らしたからじゃない。
足を奪われたヤツが……私を追う為の「近道」を作る為に……私とヤツの間に有る建物や障害物を次々と破壊していたのだろう……。
その時、私の目の前に、一台のバイクが姿を現わした。
髑髏のペイントが有るヘルメット。胸に肋骨の意匠が有るプロテクター付のライダースーツ。だが……傷だらけでボロボロの状態だ。
「行け……。俺とヤツの力は相性が悪いが……時間稼ぎにぐらいはなる」
「でも……」
「話は後……いや……早く逃げろッ‼」
次の瞬間、背後で大きな……しかし……さっきの爆発音とは違う音がした。……そう……何か岩のようなモノが割れる音。
「クソがっ‼」
再び雪雲が割れ、そこから眩い光が漏れる。
しかし、またしても……いや違う……。
地を割って吹き出した膨大な量の水が霧と化して上空を覆い、天から降る熱線を散乱・減衰させた。
「威力は中々だけど……使い勝手は悪そうね」
たしかに逃げた方が良さそうだ……。しかし……こんな無茶苦茶な状況でも通用するか判らないが……逃げるとすれば……。
「おい、待て、何を」
「えっ?」
私はバイクで佐伯に向かって行った。
「恐いと思った時、逃げたいと思った時は……相手に向って行く癖を付けろ」
それが、私の師匠の1人が教えてくれた事だった。
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