第3話 かぐやからの告白

智希と挨拶を交わし、僕は屋上へ向かうことにした。1年間ここで学校生活を送ってきたが、屋上には行ったことがなかった。屋上まで行く間の廊下で先生たちとすれ違ったのに誰にも「どこに行くの?」という疑問を持たれずに行き無事に屋上にたどり着けた。屋上を開けるとかぐやはもうそこにいた。

「優牙くん、ちゃんと来てくれたんだ。」

「僕、約束破りそうに見える?」

「うん。ちょっとね。」

初対面なのになかなか失礼だなって思った。少しは、注意しないとかぐやの後に影響が出るなと思って決めたのに、かぐやの次の一言で僕は口を止められた。

「あのね、優牙くん。私、次の誕生日までしか生きられないんだ」

…かぐやが死ぬ?何で?全く意味が分からずいる僕の前でかぐやは、のんきそうにスキップしていた。まるでさっきの発言が嘘かのように。そして、かぐやは僕に向かって話始めた。

「私はね、病気とかじゃなくて、神様に決められたの。」

「へっ?…どういうこと?」

僕の疑問と裏腹にかぐやは僕を見て微笑んでいた。

「私は私になる前、いわゆる天国みたいなところで私の14歳の誕生日の10月9日までしか生きられないって言われたの。だから私が生きられるのは、あと約6か月なの。」

僕の沈黙を消すかのようになって彼女は続ける。

「で!! その代わりに神様から、願い事が叶えられる願い玉を3つもらえたの。1つは、家族で、2つ目は、自分に、3つ目は、転校した学校で一番初めの隣の席の人のために使うって決めたんだ。だから、優牙くんの願いを叶えさせて欲しいの。」

「えっ……。でも、僕なんか…」

「いいのいいの。何かある?」

急に隣の席になった転校生に、次の誕生日までしか生きられないとか、願いを叶えてあげると言われた僕の気持ちも考えてほしい。

「いや、特には……」

「そっかー」

やっと諦めてくれると思った。

「じゃあ、今度どっか行かない?」

「えっ…!?あ……。い、いつ…?」

「それは、じゃあLINEで連絡するから。」

彼女は、ポケットからスマホを取り出した。

「はい! これ、私の。」

「あっ…。じゃあ、僕の…。」

「ありがとう。玄関まで一緒に行こう!」

屋上から校舎に戻ると、生徒はもう誰もいなかった。

「じゃあね、またLINEするね。」

「うん。」

次の誕生日までしか生きられないかぐや姫は、僕よりも先に行ってしまった。そんな彼女と僕を見守るように春の光は暖かく心地よかった。

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