魅せ珠

魅せ珠(みせたま)

ドールアイ、特にグラスアイや宝石で造られたドールアイを指す。

それは目でありながら、見るためではなく魅せるためにある。


・魅了

 魅せ珠とは人を惹き付けて目を離させなくさせるものです。

 人を魅了して魂をしばしの間に奪う、そんなアヤカシのような恐ろしさと美しさを備えているのです。


・輝石

 魅せ珠は、ドールアイの中でも光輝く宝石や硝子の物を指します。

 そこが明るくあれ暗くあれ、魅せ珠が跳ね返す光は人の目を惹き、そこに彼人がいることを知らしめるのです。


・邪眼

 宝石には古来不思議な力が宿ります。

 そして周囲に影響を与える瞳を邪眼と呼び、人々は恐れていました。

 魅せ珠も宝石による神秘を持ち、その瞳に魅入られた者を狂わせる邪眼の一つでなのです。


・非生物の生命

 生物、取り分け人間の器官の中でも、目は生命の表れとされます。例えば、死亡判断の一つに瞳孔の散大や対光反射の停止があるように。

 逆に言えば、瞳に力があるもの、瞳に生気があるものは生命を宿していると言えるでしょう。

 魅せ珠は人形という非生物に宿る生命の象徴の一つです。


・美しい瞳

 人間でも、宝石のように美しい瞳を持つ人がいます。わたしが子供の頃にいた友達にも、それはもう美しい琥珀のような虹彩を持つ女子がいました。

 そのような瞳を見ていると、相手の人がまるで生き物とは思えない程に美しく思えて、精巧で芸術的な人形と相対しているような錯覚に至ったものです。


・発掘された神秘

 魅せ珠となった宝石はかつて地中深くに眠り、掘り起こされた時はごつごつした原石であり、磨かれて宝石となって、さらに加工をされてドールアイへとなるのです。

 つまり魅せ珠とは、人知られずにいた神秘が発掘されてその価値を顕にした状態であるのです。

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