竜籠

竜籠(りうかご)〔りゅうかご〕

列車。

細く連結して長い躯、カーブで弛む姿、きっとあれは魂の記憶の底にある龍を真似て作られたんだ。


・籠

 竜籠の籠は、江戸時代に使われた移動手段の籠です。かつての籠は人が前後で背負って運ばれましたが、竜籠は人の力ではなく、電気や蒸気、ディーゼルの力で運ばれます。

 竜には、龍脈など、力の流れそのものを指す時があります。人でなく、動力が牽引するからこそ、竜籠なのです。


・優れている

 竜は優れたものの象徴でもあります。

 列車は大地を走る乗り物でも特に速く、力強いものです。だって新幹線やリニアモーターカーだって、列車の一つなのですから。


・警笛

 列車が鳴らす警笛は、遠くからでも聞こえて、身を竦ませる恐さがあります。

 もしかしたら、竜の鳴き声を真似たのかもしれません。


・風圧

 列車が走りすぎる時、その風圧が周囲を通り抜けます。

 竜は竜巻など、風を起こす存在としても知られます。


・憧れ

 男の子なんかは、列車が大好きで憧れの眼差しで見つめます。鉄ヲタとか、たくさんいます。

 竜も人々に憧れと畏れを抱かせました。

 少し似ている気がします。


・車内の風景

 列車の連結部からさらに先に続く車両の中を見ていると、変な気分になります。

 ずっと続く車内に、人々の姿が納まり、鏡合わせみたいに錯綜した気分になるのです。

 まるで、竜に呑まれてその消化器官形成中を見ているような気分です。

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