妖す
妖す(あやかす)
妖怪がやったとしか説明できないような、ふしぎなこと、不可能なことを引き起こすこと。
「ケータイがない!」「妖精があやかしたよ」のように使う。
なお、わたしの家で頻発します。
・妖怪全般
妖怪の行動は全て妖す。だって、存在自体が不思議なモノが起こしたことは、それが普通にニンゲンがやることであっても不思議でしょ?
・化け猫
妖怪の中でも、化け猫は妖すの未言巫女が化身とするくらい、妖すらしい存在です。
妖すとは、身近で起こるからこそ、妖されたと人々は驚くのですから、今の時代でも常にそばにいる猫を元にした妖怪は、妖すのモチーフとして強いのです。
・座敷童子
座敷童子も妖すのモチーフとして強いイメージを与えています。妖すという言葉には、起こって困ることもあれば、起こって助かることもあります。だって、不思議な出来事って、ヒトの都合なんて知ったことではないから、いいこともわるいことも起こすのです。
そのいいことの側面のモチーフとなるのが、座敷童子なのです。
・妖精全般
妖精の行動は全て妖す。だって、存在自体が不思議なモノが起こしたことは、それが普通にニンゲンがやることであっても不思議でしょ?
・猫
そもそも猫は、よく妖かしてくるのです。草むらにいたと思ったら消えるし、餌箱引っくり返しては素知らぬ顔するし、物は隠すし、気まぐれだし。かわいい。
・脳
妖すとは、認識や記憶の齟齬、欠落によって起こることも多いです。つまり、度忘れとかうっかりとかですね。
妖すは人の脳に住んでいて、たまに記憶を妖して消して、人を困らせるのです。
・妖すの未言巫女は人間が好き
妖すは人間が好きです。そして妖すは、退屈な日常よりも、刺激的な毎日の方が、人は幸せになれると思ってます。仕方ないんです、人間じゃない未言巫女に倫理を求めてはいけません。
妖すは、不思議が起こって困れば、それは楽しいでしょうとにやにや笑い、不思議が起こって助かれば、ほらお礼を言ってごらんとくすくす笑い、何もなければ、退屈でしょ、楽しませてあげると厄介事を巻き起こしてけらけら笑うのです。
妖すの未言巫女は人間が大好きなので、人間を放っておかないのです。
・動詞全般
不思議な存在が起こすことは、全て妖す。
でも、そもそも人間や命がここに存在してるのって、とっても不思議。広い広い宇宙のすみっこで、他のどの星にもまだ見当たらない生命はとっても特別な存在です。
だから生命が起こすことは、みんな妖す。
でも待って。生命じゃないもの、意思がないものが、意思があるかのように、なにかに決められているかのように、いろんな現象を起こすことは、とっても不思議。とっても奇跡。だから生命じゃないものが起こすことは、みんな妖す。
でもでもさ。なにも起こらないのも、実は不思議なこと。当たり前にあることがないなんて、おかしなことでしょう?
つまり、ありとあらゆる動詞は、妖すと言い換えられるのです。そんなタイミングを全ての動詞が持ってるのです。
この全ての動詞に言い換えられることで、妖すは全ての動詞から少しずつ言霊をかっさらっていて、強い言霊を宿しているのです。
・日常、当たり前
妖すは、日常の中で起こるもの。だって、特別な時に特別な場所で特別な事が起こるのは、当たり前だしちっとも不思議じゃないんです。
だから、日常の中で起こった不思議こそが、妖すなのです。
そして特別な時に特別な場所で特別じゃない当たり前な事が起こったら、それはとてもとてもシチュエーションに合わなくて、ものすごく妖された気分になるのです。
・あ、妖すー!?
妖すの被害にあった未言屋店主の叫び。もはやお家芸。心の中でこの叫びをあげない日はない。
・怪奇
怪奇、怪談は正体不明だからこそ恐ろしい。そして妖すはその実行者が正体不明である行動なのです。
・正体不明
妖すという動詞は、基本的に「妖された」という受動形で過去形として使われます。
それは、妖した結果を後から認識して、そのあり得なさに驚くから。
妖すは、その実行者は正体不明であり、往々にしてその実行の瞬間も不明なのです。
・大惨事
妖すは、大惨事が大好き。だって人を驚かせるのが大好きだから。
小さな妖すなんてなかなかなくて、知れば思わず叫ぶような大惨事を引き起こすのです。
・悪戯
妖すがやらかすのは、いつもは悪戯レベルです。本当にどうしようもない事態というのは、天災か人災から起こるもの。
妖すによって起こるのは、困るけれどもそれで日常が脅かされないレベルのものだったり、困ったけれども同じように不思議なことにすぐ解決したり、そんな妖すの悪戯にわたしたちは振り回されているのです。
・奇跡
妖すの不思議な出来事は、困ったことに限らず、逆に助かることにも使います。
妖すは人を助ける時は、それはもう一切合切全て解決くらいに劇的に問題を取り除いてくれます。妖すは、気分が乗ったら奇跡を与えてくれるのです。
その奇跡に、前項のような悪戯がたんまりとくっついて来ることがあるので、期待しすぎにはご注意なのですが。
・妖す姉妹
未言巫女の中には、未言の語源を共有していたり、語源に繋がりがある者同士で姉妹を作るものがいます。
妖す姉妹は、未言巫女の姉妹でも人数でも一つ一つの未言の質でも、最大規模なのです。
妖すを長女として、風虫、磁蝉、葉踏み鹿、雪鳥、雨鼠、空猫、虚猫、未会猫、風鳥、夜鯨、夜虎、影犬、荷猫、荒魚、水蚯蚓、芥狸、枯葉鼠。
これらは、妖すだけが動詞で、他の妹たちはみんな名詞です。正体不明の妖す者たち、それを一つ一つ具体的に形を与えたもの、認識したもの、それが妖すの妹たちなのです。
つまり、妹を主語にして、妖すを動詞にするので、妖すはこの妹たち全ての言霊を自分のものとして扱えます。
・【妖在非在】
妖す者は在りて在らざる。
人は妖された結果を見てから、妖すという言葉を意識します。起きた結果があるということは、それを起こした者が存在したということです。
しかし、それは元々存在しないかもしれません。何もなくてそれが起こった、もしくはそれを起こした者は既に存在しなくなった、認識できない、そうなれば誰がやったのかと証明するのは不可能です。
妖す者が起こしたことは確かに現実としてあっても、その存在は証明出来ず不在存在であるのです。
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