上光

上光(かみみつ)

雲の上から透ける太陽や月の光。

古くは平安から、誰にも知られない密かな恋心を、氷の下で人知れず流れる下水に例えてきた。

どんなに隠そうとしても、溢れ出てしまう恋心を上光に例える。


・普遍、遍在【上光常在】

 上光は雲に遮られても降り注ぐ光であるから、雲の上に光源があることを証明します。

 そして見えなくてもそこにある光は、太陽は常に空に存在しているという事実に繋がり、上光が観察されれば雲の上には光が『普遍に』満ちているということになります。

 上光は如何なる時、如何なる場所にも存在して世界にもたらされる光の象徴なのです。


・宇宙背景輻射

 宇宙背景輻射とは、宇宙空間のどこにでも存在している光の放射のことです(ざっくり言うと)。上光は『普遍』であるので、宇宙に遍在する『宇宙背景輻射』もまた、上光のモチーフとなっています。


・無限光【上光無限】

 カバラで説かれる『アイン・ソフ・オウル』『完全に無限である光』『宇宙と人を満たす神の愛』。これもまた上光の在り方に繋がり、このモチーフ故に上光は人に対して慈悲を抱いて接してくれます。


・下水

 『下』と『上』の対比、『みづ』と『みつ』の音の近似より、上光は下水の対義語としての語源を持ちます。

 そして下水が和歌で隠された恋心を表現したように、上光は対義語として隠しきれない恋心を表現するのです。


・神満つ【神満上光】

 神の本質は、権能、力、現象にあります。神満つとは、つまり神霊としての力が世界に満ちて発現することにあります。

 上光は、その神の力が満ちて、世界を包むことを象徴しているのです。

 即ち、上光が見えたならば、諸天善神がその力を携えているので、その力をきちんと受けとりましょう。


・障害の無効【上光貫透】

 上光は、太陽や月などの光が雲に遮られても見えているものです。

 それは雲という障害があっても、それを無視して届いているということなので、上光の力には『障害の無効』『貫通』『ダイレクトに届く』といった概念が伴います。


・ガルダ

 インドの神霊にして光り輝く霊鳥たるガルダ、それが仏教に取り入れられた迦楼羅天、金翅鳥を、上光は化身とします。

 巨大で光り輝く翼は天空を覆い、尾羽は朱く煌めいていて。まさしくそれは上光の景色に重なります。

 上光はその翼を雲の上で広げ、幾筋かの翅を地上まで提げているのです。


・慈悲

 上光は雲に遮られても、光という恵みを世界に与えます。それは入滅しても、法を遺すことで一切衆生を成仏させて救済していく仏の慈悲にも通じます。


・仏性

 上光は、例え見えなくも太陽は雲の向こうに存在することを示します。

 それは法華経に説かれた、どんな存在にも仏性は存在するという法理を表しているのです。


・逆さ鏡

 逆さ鏡とは、葬儀に参列する妊婦さんが、お腹に鏡を入れるという風習です。それは鏡が、赤ちゃんに近寄る穢れを跳ね返すという信仰から行われるものです。

 逆さ鏡は外からは見えませんが、その効力を発揮するものです。それは雲の向こうに見えなくとも光という能力をもたらす上光と似通ったところがありますね。


・2015年1月1日

 この日、上光は生まれました。まだ未言という言葉も生まれる前ですが、この日から未言は始まったのです。

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