第13話 深夜の助教さん

 研究室には誰もいなかった。

 時刻は夜中の一時。想定外にミーティングが長引き、こんな時間になってしまった。さすがにちょっときついな。明日はミーティングもないし、午後からの出勤にさせてもらおうかな……。

 なんてことを考えながら、帰り支度をする。

「あ、そうだ、実験室確認しておかないと」

 そうつぶやいてポケットをさぐり、実験室の鍵がないことに気づく。しまった。赤間君に鍵を返してもらう手はずを整えるのを忘れていた。彼がうっかり持って帰ってしまっていたら、実験室の中を確認することができない。

 赤間君のデスクを確認するも、鍵は目に付くところにはおいていないようだ。

「もしかして実験室の鍵もって帰っちゃったのかな。まずいなー……」

 こういうとき、僕自身に魔法能力がないと不便だ。手紙鳥を彼にとばすことも、もちろん鍵を開けることもできない。僕は赤間君のデスクの前で途方に暮れる。

「でもま、発動停止処置をかけておいてって言ったしな」

 とりあえず今日のところは帰ろう、そう思ったところで──

 ごとん。

 音がした。気のせいかと思い耳をすませると、ごとごとと何かがうごめく音がする。音のする方を無意識に見やった僕は、自分の脳から血の気が引く音を聞いた。

 音は、倉庫実験室から聞こえていたのだ。音がする。つまり、マンドレイクが

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