第24話 好きな人の話題は女子会だけで

幼馴染とは凄いもので、あーそう言うこともあったなぁと思うようなことをしっかりと覚えている。


それが次々と彼女の口から出てくるのだから幼馴染はやはり只者ではない。



そのエピソードの中にはちょっぴり青春チックなフィクションも混じっていたように感じるが、ほとんどの話は俺の記憶にも存在する出来事だった。




「ねーねー夢くん」


「ん?」


「やっぱりあの時は私のこと好きだった?」


「え?はい!?」




波美の突然の言動に俺はひどく動揺した。


そんなこといきなり聞いてくるなんて誰が思う?いな、誰も思わん!




「どうだったかなぁ」


「私は好きだったなぁ、夢くんのこと」


「へ、へーそうなのか」





ちょっと恥ずかしくて顔を逸らす。


だがそれとは反対に波美は嬉しそうにおれの顔を覗き込んだ。




「いまはどうだと思う?」


「し、知らねーよ」


「えーっとねー......やっぱり秘密ー」


「なんだそれ」


「へへへ」




笑顔の彼女とは反対に俺はそっと胸を撫で下ろした。




「あ、あのさ工藤くんは今好きな人とかはいないの?」


「え?」


「その、なんか前に聞いた時は結局どうだったか分からなかったから」


「あーたしかに」


「夢くんいるの?」


「えっと.....」




少し考えていたが目の前にいる3人からの視線がすごい。というのは当たり前なのだが、何故か後ろの方でものすごいオーラを感じる。


振り向いて確認しようとも思ったが、謎の悪寒が俺を振り向かせなかった。




「いるんですか?」


「波子までそれを聞くか」


「はい、気になるので」


「いやでも」


「ねぇ夢くん、とりあえずいるかいないかだけ教えてよー」


「え、えっと」


「工藤くん教えて」


「あー分かったよ」




3人に押し負け俺は覚悟を決めた。




「うん.....その、いるよ」


「「「えぇええ!!」」」


「そんな驚かなくても」


「いやー驚くよー。それで夢くんの好きな人誰なの?」


「それは教えん!」


「えー気になるよー」


「私も知りたいなー」


「なら私も」


「波子おまえは便乗するな」


「私も知りたい!」


「言い直さんでいいわ」




またしても3人の圧が俺にかかる。


が今度ばかりは教えることはできない。


なぜならそれは.....




「先輩の好きな人は私に決まってます!」





その時、先ほどまで静かだった奴の声が部屋に響いた。





「お前、どうやってそこから出てきた!?」


「そんなの簡単ですよ。ちょっと本気を出したんです」


「そんなちょっとやそっとじゃあの布団から抜け出せる訳が.....まさかお前」


「えぇ、そうですとも先輩!まだまだ甘いですね!」


「くそっ」




「ちょっと2人で何を劇みたいなこと始めてるかしら」


「そうだよ夢くん!私も混ぜてよー」


「えーそういうことなの?」


「話を戻しましょう」


「お、おう」




そして話題は次のステージ、俺の好きな人へと移行した。

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