第10.5話(番外編) イメチェン後の神崎さんをみにいくぞ!
太陽が、僕に向かって日差しを
突きつける。正直、夏よりも春の方が心地よく、好きである。
だが、今この瞬間だけは、そんなことはどうでも良かった。
そう。僕は、花さんのバイト先に、向かおうとしている。
どうせなら、バイト先のツインテール花さんを見たいと思ったからである。
どうしても気になったのだ。
だが、花さんにバレてしまっては、またこの前みたいに怒られてしまう。
なので、眼鏡に、マスクというバレないように、変装をした状態で向かう。
「さて、あまり目立たないようにしないと」
♢♢♢
「いらっしゃいませー」
(花さんじゃないな……別の人だ、花さんどこに行ったんだろう)
とりあえず、ドーナッツを買い、
席に座る。
このお店は、ドーナッツはセルフ、それ以外の飲み物などは、注文という形をとっている。
「花さん、いないなぁ……今日は、いつもならいる日なんだけど」
すると、カウンターから
うっすらと声が聞こえた。
「花ちゃん、似合ってるから大丈夫よ」
「でも……恥ずかしいっす」
「今日は、宮本くんもいないから、恥ずかしくないでしょう?」
「まぁ……知ってる人に見られるよりかは、恥ずかしくないっすけど」
あ、普通にいます。花さん、すみません。
「ほら、あのお客さん、さっき店員さん呼んでたわよ、いってあげて」
店長さんは、なぜか、僕に向かって
指を指している。
ん、あれ? 僕、頼んでないよ!?
そう思って、振り返ると
店長さんは、うふふと笑いながら
こちらに手を振っている。
「あれ、今完全に目があったよな……まさか、店長さん気付いて……ってやば! 花さんきた!!」
「お……お待たせしました、
お客様、ご注文をどうぞ」
凄い……。なんだろうこの感覚は。制服とはまた違って、白いシャツに、綺麗めの黒いスカートという格好。それに、バイト先の真面目な花さんの恥ずかしがっている様子がまた可愛らしい。一度、見たはずなのに、また吸い寄せられてしまうほどだ。容姿端麗な顔の横からピョコンと飛び出したツインテールが合わさった様子は、まるで、可愛らしい妖精を見ているかのようである。
「お、お客様?」
「あ、は、はい! オレンジジュースをお願いします」
危ない、危ない。
すっかり見惚れてしまっていた。
「オレンジジュースですね、かしこまりました、少々お待ち下さい」
ふぅ……。なんとかバレてはいないようだ。
しばらくすると、花さんが頼んでいたオレンジジュースを持ってきた。
「お待たせしましたオレンジジュ……うわっ!」
「危ない!」
ガバッ。
花さんがこけないように抱き抱える。
「あ、ありがとうございます、お客様」
ん? なぜか、他のお客さんの視線が花さんのお尻ら辺にむかっている。
なぜだ?
花さんの後ろを見ると、スカートがめくれて可愛いらしいフリルのついた水色のパンツが露わになっていた。
「ちょ、花さん! 後ろ! 後ろ!」
「え? あっ……!」
花さんは、急いでスカートを押さえる。
「花さんは可愛いんですから、ちゃんと後ろも気を付けないとダメですよ」
「すみませんお客様……って、
ん? 今花さんって」
「あ」
「……お客様、その眼鏡とマスクを取っていただけますか」
「いえ、これは生まれつきで、どうしても外れないんです」
「……そんなわけがございません。私が取って差し上げます」
「ちょ、あっ」
眼鏡とマスクを外されてしまった。
「これは、どういうことかな? 昴」
あー、この笑顔が妙に怖い。凄みを感じる。
「いやー、奇遇ですね……じゃあ僕はこれで」
ガシッ。肩を掴まれる。
「話、ゆっくり聞かせてもらおうか」
……その後、ツインテールの花さんにこっ酷く叱られる僕であった。
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