第6話 テスト後の小話

──何はともあれ、テストも無事に終わった

あと。


「花さん良かったですね、テスト間に合って」


「あぁ、実は、朝は弱いんだ……。昴のおかげで助かった」


 花さんも朝弱いのか……それにしても、良かった良かったテストが無事間に合って。

花さん、バイトしながら勉強も頑張っていたからな……。報われて良かった。

 これにて、一件落着だな。

 自分のことのようにホッと息を撫で下ろす。


「ところで昴……」


 ん? 何か空気が変わったな。

 非常にまずい気配を察知し、気持ちを誤魔化すかのように

 肩のストレッチを始め、姿勢を変えようとする。しかし、花さんは、最初から、それを見破っているかのように、淡々と告げる。


「あたし、後から気づいたんだが、通話がテレビ通話になってたみたいなんだ」


「……はい」


「勿論、あたしの着替えなんて見てないよな?」


「はい、勿論です!」


「本当に?」


「……はい」


「もう一度聞こう。本当に?」


「……すみませんちょっと見えちゃいました」


「やっぱりそうか……乙女である、あたしの身体を見たからにはそれなりの罰が必要だな……」


 ゴゴゴゴゴゴ。花さんの圧を身体に感じる。

 悪い予感はこれだったか!!

 だって見えたものは、しょうがないよね!

 見えたんだもの!!!


「わあああああああああ!!! すみませんんんんんんんんんっ!!」


 でも、全力で謝る。

 花さんに向かって、謝ったのって何回目だろう。いつも謝っている気がする……

 いや、ほとんど僕が、原因か。


「あーうん。そこまで謝られると、あたしの良心が痛むよ。まぁ、流石に恥ずかしかったけど……悪気はないんだよな? だったら、怒ってないから」


「花さん……」


「まぁーうん。気にするな。それと……

 代わりにするつもりもないし、断ってくれて構わないんだが、次のテストも良かったら教えてくれないか?」


「それくらいで良ければ、僕は全然構わないですけど……」


 花さんの下着姿を見てしまったという事実を、許してもらえるなら勉強を教えるなんて、容易いものだ。どうせ、暇だし。

それに、しばらく、花さんと一緒にいたからか、これが終わったら、放課後がなんか

 退屈してしまう気がしていたのだ。


「そうか、じゃあまた頼むよ」


「はい!!」


僕らのこの不思議な関係は、

どうやらまだ続くらしい。

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