第15話

私は止まっていた足を再び動かし、シンタロウがいる教室へ急いだ。





「ねえシンタロウ聞いてー!また大野さんが来るらしいよ!!」


「大野?…あー警察の人?またかよ、なんで俺ら疑われてんの?」


シンタロウは心底だるそうな顔をした。


「さあねー、まあ、身近な人から疑われていくよね。私も教えれること何も無いから困っちゃうよお」


だよなー、ってシンタロウは言うかと思ったの。


でも違った。


「お前さ、何か知ってるだろ」


冷酷な目で私を見ながらシンタロウはそう言い放った。


「…は、知らないよ?」


心臓がドクドクする。


落ち着け、落ち着け私。


「…ハスナ嘘つく時、すげえ拳握るんだよ。なあ、お願いだから隠し事辞めてくんね?俺だって、ハスナとかハヤトのこと疑いたくねえんだよ…」


辛そうな目でシンタロウは私を問いつめた。


「っ…ご、ごめん…でも…本当に何も知らないの。私は…ハヤトなら…知ってるかもだけど…詳しいこととかは…その…」


心臓は鳴り止まない。


「お前、あの日おかしかったぞ?確かにハヤトもおかしかったけどお前も同じだ。何を知ってる?俺とコトハが知らなくて、ハスナとハヤトが知ってることあんだろ?」


「わ、わかった、わかったから離れて…」


シンタロウは多分自覚なしに私に近づいて来ていて、威圧感がエグかった。


「私も隠し事は嫌いなの…でも…ハヤトもコトハもいる時に話した方が良くない!?…」


逃げ切れ私。


「お前そうやって逃げようとしてんだろ」


「――――――っ!!!」


「ハヤトも学校来てねえし、コトハだって落ち込みっぱなしだろ!4人が揃うのが難しいこと分かっててそう言ってんだよな!?」


「ご、ごめん、ごめん…」


「…お前が言わねえなら、ハヤトに直接聞きに行く。」


「やめて!!!」


いきなり叫んじゃったから喉が痛かった。


「話すから…お願い。…それだけはやめて…」


「…チッ、…んでそんなハヤトのこと庇うんだよ…」


「私が話したら、ハヤトには何も聞かないって約束して!お願い。」


シンタロウは黙っていたけど、約束してくれたはず。


シンタロウは優しいやつだから。素直でいい人だから。








「あの日は、私にとって何も変わらない日だったんだよ…―――――――

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